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末期癌を宣告された医師・岬雄貴(みさき ゆうき)は、酒浸りの日々を送っていた。或る日、不良から暴行を受けた岬は、復讐を果たすが、現場には1枚のトランプのカードが。其のカードは、連続殺人鬼“切り裂きジャック”の物と同じだった。其の後、ジャックと岬の奇妙な関係が始まり・・・。
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医師で在り作家でも在る知念実希人氏は2011年、第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した。受賞作は「誰がための刃 レゾンデートル」というタイトルで、此の作品で彼は翌年、文壇デビューを果たす事に。
デビューから7年経った今年、「誰がための刃 レゾンデートル」を改題・改稿して上梓されたのが、今回読んだ「レゾンデートル」。レゾンデートルとは、「自身が信じる生きる理由。存在価値。」の意味。
現役の医師だけ在って、医療に関する記述がリアル。特に癌に関する記述は生々しく、癌で祖母を亡くしている自分には、「こういう感じで進行して行くのか・・・。」という怖さを、改めて感じた。
ミステリーを余り読み込んでいない人にとっては、真犯人に意外性を感じるだろうが、結構読み込んでいる人だと、そんなに意外性は無いだろう。実際、自分の場合、割合早い段階で察しが付いたし。
改稿しているとはいえ、新人が書いた内容としては悪く無い。でも、一般的なミステリーとしては、少々“粗”を感じなくも無い。「少し現実的では無いなあ。」と感じる部分も在るので。
総合評価は、星3つとする。