goo blog サービス終了のお知らせ 

ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「王とサーカス」

2015年11月22日 | 書籍関連

2001年6月1日、ネパール首都カトマンズに在るナラヤンヒティ宮殿内で、ビレンドラ・ビール・ビクラム・シャハ国王夫妻を始めとする9人の王族が射殺された。「ネパール王族殺害事件」と呼ばれる此の事件、9人もの王族が射殺されたという事以上に、其の犯人が国王の長男で在るディペンドラ・ビール・ビクラム・シャハ皇太子だったという事で、当時はセンセーショナルに報じられたもの。

 

9人を射殺した後、ディペンドラ皇太子は自殺図る。意識不明の状態で彼は国王に即位“させられる”も、事件の3日後に死亡するのだが、此の事件は当初より多くの疑惑が指摘されていた。「ビレンドラ国王の弟で、のディペンドラ“国王”の跡を継いギャネンドラ・ビール・ビクラム・シャハ国王によるクーデターだったのではないか?」という疑惑も、其の1つ。

 

そういった疑惑の多さも在ってか、ネパールの君主制は崩壊し、2008年5月28日に共和制へと移行。ギャネンドラ国王は退位する事に。

 

未だに謎多き「ネパール王族殺害事件」を下敷きにした小説が、今回読了した「王とサーカス」(著者米澤穂信氏)だ。

 

*********************************


2001年、新聞社を辞めた許りの太刀洗万智(たちあらい まち)は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材の、ネパールに向かった。

 

現地で知り合った少年サガルにガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先王宮で国王を始めとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかの様に、彼女の前には1つの死体が転がり・・・。

 

「此の男は、私の為に殺されたのか?或いは・・・。」。疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着い痛切な真実とは?

*********************************

 

当時のネパールの様子が、在り在りと思い浮かぶ筆致又、2005年以降、様々なミステリー・ランキングに数々の作品をランクインさせているだけ在って、伏線の敷き方も見事「王とサーカス」という意味不明なタイトルも、読み終えてみれば「成る程。」と思わせる。

 

だが然しネタバレになってしまうが、(太刀洗が関わった)殺人事件と「ネパール王族殺害事件」とは「“直接的”な関係性は全く無し。」という結果だし、殺人事件の動機自体も今一つしっくり来なかった。下敷きにしている事件がセンセーショナルな物だっただけに、読む前の期待度が非常に高く、だからこそ「こんな結末かあ・・・。」という落胆繋がってしまったのかも。

 

後味の良い結末では無く、其の点も人によって好き嫌いが分かれるかもしれない。総合評価は、星3つとさせて貰う。


コメント    この記事についてブログを書く
« オワハラ | トップ | “昭和生まれ”が欠かせなかっ... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。