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第1話 創傷
初任科第100期短期課程の桐沢篤(きりさわ あつし)は、風間(かざま)教場に編入された不運を呪っていた。医師から警察官に転職した桐沢は、ゴールデンウィーク明けに、最初の洗礼を受ける。
第2話 心眼
風間教場では、備品の盗難が相次いでいた。盗まれたのは、PCのマウス、ファースト・ミット、マレット。単独では使い道の無い物許りだ。
第3話 罰則
津木田卓(つきた すぐる)は、プールでの救助訓練が嫌で堪らなかった。教官の貞方(さだかた)は屈強な体格のスパルタ 教師で、特に潜水の練習はきつい。本気で殺されると思ってしまう程だ。
第4話 敬慕
菱沼羽津希(ひしぬま はづき)は、自分の事を初任科第100期短期課程の中でも、特別な存在だと思っている。広告塔として白羽の矢が立つのは、容姿に秀でている自分なのだ。
第5話 机上
仁志川鴻(にしかわ こう)は、将来の配属先として刑事課強行犯係を強く希望している。元刑事だという教官の風間には、殺人捜査の模擬実習を提案している所だ。
第6話 奉職
警察学校時代の成績は、昇進や昇級、人事異動等、事在る毎とに参照される。美浦亮真(みうら りょうま)は、同期で親友の桐沢篤が総代候補と目される中、大きな試練に直面していた。
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3年前、多くのメディアで高い評価をされた小説「教場」(著者:長岡弘樹氏)。警察学校を舞台にし、様々な問題を抱える“生徒達”を、教官・風間が手荒くも思える言動で“矯正”して行くというストーリー。伏線の張り方の巧みさ等、評価出来る点も在るけれど、矢鱈と「退校」を迫る場面等、不快感を覚える点が多く、個人的には「星3つ」という総合評価だった。
今回読了した「教場2」は、「教場」の続編。上記した6つの短編小説で構成されているのだが、全体的には今一つな内容。「第3話 罰則」の様に、早い段階で落ちが判ってしまう作品も然る事乍ら、「第5話 机上」及び「第6話 奉職」の様に、落ちが今一つ判り難い作品が在ったから。
「受話器を上げ、『136』をダイヤルすれば、最後に電話して来た相手の特定が、有料で出来る。」等、初めて知る事実が幾つか紹介されていて、そういう点は興味深かったが・・・。
総合評価は、星3つとする。