ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

指揮官

2006年11月25日 | スポーツ関連
昨日開催された「第8回ゴールデンスピリット賞」の表彰式で、受賞者の和田毅選手に対して選考委員の一人で在る長嶋茂雄氏が祝福の言葉を送っていた。2004年3月4日に脳梗塞で倒れて以降、長嶋氏の肉声が一般に流されるのは初めての事。正直な感想を言えば、想像していた以上に言葉のたどたどしさを感じてしまった。嘗ての立て板に水といった喋りを期待していた訳では当然無かったが、それでもこれ迄に見せてくれていた元気そうな姿からすると、もう少し回復されていると勝手に思い込んでいたからだ。でも一時は生命の危機を迎えていた事を考えれば、物凄い回復力と考えるべきなのだろう。読売グループプロパガンダに利用されないという前提で、これからも公の場に自然体で登場し、同じ病と闘っている人達に希望を与えて貰えればと思う。

ところで、熱海ジャイアンツの納会が開催されたのも昨日の出来事。この場で挨拶に立った原辰徳監督は、「高橋(由)上原二岡安部。この4人がチームリーダーです。安部にはキャプテンを命じます。」と語り、今季キャプテンを務めていた小久保裕紀選手の抜けた来季は、阿部選手をキャプテンに任命する事を披露したという。

一方、来季から再びベイスターズの指揮を執る事となった大矢明彦監督が先日ラジオ番組で「キャプテン制度を敷きますか?」と尋ねられた際、「キャプテン制度は敷かないつもり。と言うのも、キャプテンという肩書きを一人の選手に与えてしまう事で、その選手に必要以上の重荷を背負わせてしまうから。そもそも選手個々はプロとして頑張るのが当たり前なのだから、敢えてキャプテン制度を敷く必要は無いと考えている。」といった趣旨の回答をされていた。どちらが良い悪いでは無く、同じ指揮官でも考えは色々で在る。

監督の話で言えば、現在東京スポーツに連載されている「巨人を捨てた男が叫ぶ 『俺の話を聞け!』」が面白い。ジャイアンツOBでも在る駒田徳広氏が、”ジャイアンツを捨てた男”だからこそ語れるジャイアンツの内幕を赤裸々に綴っている。こう書くと「単なる暴露話か。」と思われる方も多いだろうがそうでは無く、「何故ジャイアンツがこんなにも駄目になってしまったのか?」という点を主眼に置いて記されているのだ。

彼がジャイアンツ時代に仕えて来た3人の監督、藤田元司氏、王貞治氏、そして長嶋茂雄氏の思い出がこれ迄触れられて来ているが、中でも藤田氏との思い出が駒田氏の心に強烈に刻み込まれているのが行間からひしひしと伝わる。当時の藤田監督と選手達の関係を、「父親と子供達」といった感じだったとし、興味深いエピソードを幾つか記している。中でも一番興味深かったのは、藤田氏がジャイアンツの監督に復帰した1989年の開幕戦、試合前の全体ミーティングでの出来事だった。

「皆で輪を作れ!全員で手を繋ぐんだ!」と切り出した藤田氏。駒田氏も「流石に気恥ずかしかった。」と述懐しているし、他の選手達も「何が始まるのだろうか?」といった戸惑いの表情を浮かべていたという。しかし藤田氏は大真面目な表情で「皆しっかり手を繋いだな?」と確認し、大きく一つ息を吸った上で、輪になった”我が子達”に言い聞かせる様にして次の様に語り始めたそうだ。

いよいよ今日から長いシーズンが始まる。この1年間には、色んな事が在る筈だ。勝つ日も在れば負ける日も在る。そして我が軍は負ければ叩かれる事になるだろう。唯、これだけは忘れてはいけない。何かが起きた時、責任を取る事が出来るのは、今、こうやって手を繋いでいる我々だけなんだ。不満や愚痴を外に向かって言った所で何も解決出来やしない。だから、この皆で解決しような。その気持ちを決して最後迄忘れないでいて欲しい。そして又秋、この皆で本当の喜びを分かち合おうな。

力強くでも無く、厳しくでも無く、静かに語り掛ける藤田氏の言葉は、駒田氏を始めとした選手達の胸に強く響いて来たと記されている。「チームとしての結束力」を重んじた藤田氏らしい逸話だ。

この時の思い出が原監督の心にも強く刻み込まれていた様で、同じ様に選手達に輪を作らせて語ったという。自然体の藤田氏。そして、未だ未だ自分を”作っている”様に見える原監督。「亀の甲より年の劫」と言ってしまうと酷なのだろうが、果たして選手達に嘗て駒田氏や原監督が感じた様な思いが伝わったのか気になる所。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
« 夕張市の現状は決して対岸の... | トップ | 「レオ~!!」 »

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ユカサナ(Sango-Q))
2006-11-25 23:44:08
>「高橋(由)、上原、二岡、安部。この4人がチームリーダーです。・・・」
生え抜きベテランの並ぶ中、清水選手の名前がありません・・・。
原監督の構想では、代打要員候補なのでしょうか。
でも想定外のことが起こるのは世の常、清水選手には腐らず、諦めずこのオフもトレーニングに励んで欲しいです。きっとすでにそうしているとは思います。


藤田監督のエピソード、いいですね。こう、胸にじーんと響きました。
私としては、同じことを原監督がやったら青春ドラマになりそう・・・だと感じました。
「亀の甲より年の功」というよりは、監督としてのタイプの違いだと思いますが。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。