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民家で発見された男性の絞殺体。殺害現場から持ち去られていたのは、1枚のメイプル・リーフ金貨だった。完全犯罪を計画していた犯人を、臨床犯罪学者の火村英生(ひむら ひでお)と推理作家の有栖川有栖(ありすがわ ありす)がロジックで追い詰めて行く。
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推理小説が大好きなので、数多くの作品を読んで来ている。唯、好きになった作家の作品は徹底的に読み漁って行く一方で、有名な作家で在っても、全く作品を読んでいない事も結構在る。
今回読了した小説は、有栖川有栖氏の「カナダ金貨の謎」。「臨床犯罪学者の火村英生と推理作家の(著者と同姓同名の)有栖川有栖がタッグを組み、難事件を解決して行く。」という「作家アリス・シリーズ」の第30弾で在り、又、「国名シリーズ」としては10冊目との事。
実は有栖川氏の作品を読んだのは、今回が初めて。推理作家として有名な方なので、名前は知っていたけれど、何故か手に取る機会が無かった。「作家アリス・シリーズ」を原作にしたTVドラマ「臨床犯罪学者 火村英生の推理」を見て、内容が面白かったので、今回読む事に。
TVドラマでの有栖川有栖もそうだったが、小説の世界の彼も関西弁バリバリで、方言大好き人間の自分にはとても心地良い。良い意味でのアクセントとなっており、原作を読む気になった理由の1つでも在る。
「カナダ金貨の謎」は5つの短編小説で構成されているのだが、中でも「あるトリックの蹉跌」は全部で13頁しかない、実に短い作品。でも、「同じ大学の学生で在った火村と有栖川が、知り合いになった切っ掛けを描いている。」という点で、重要な作品と言えるだろう。
トリック面では「カナダ金貨の謎」が、そして真犯人の意外性では「トロッコの行方」が「まあ及第点を与えられるレヴェルかな。」という感じだが、全体的に“低調さ”を感じる内容。「読む前の期待度が高過ぎた。」というのも在るのだろうが・・・。
総合評価は、星3つとする。