昨夜の対カープ戦に敗れたジャイアンツ。此れで2連敗となった訳だが、負けるにしても、来季に期待を持てる様な点が皆無だったのは、ファンとして残念でならない。
カープの投手陣がガンガン厳しい所を攻めて来るのに対し、ジャイアンツの場合、先発の2人は別にして、リリーフ陣が概して逃げの投球、即ち外角への球が多く、内角への厳しい球が殆ど見られなかった。強力なカープ打線に対して内角へ攻める事は、少しでもコースが甘くなれば長打を浴びる危険性も伴うけれど、腰を引いたバッティングをさせる為には絶対に必要な事。厳しい内角攻めが無いから、カープの打者達は安心して踏み込んだバッティングをしていた。ジャイアンツの打者の多くが、腰砕けなバッティングを見せていたのとは対照的に。
昨日の試合後、ジャイアンツの高橋由伸監督は、打てない打撃陣を嘆くコメントを出していた。結果を残せない打撃陣が問題なのは確かだが、彼等同様に高橋監督自身も“綺麗な野球”に拘り過ぎているのが一番の問題ではないか?カープの打撃陣は投じられた球に食らい付き、「何としても点を取ってやる!」という姿が感じられるのに、ジャイアンツの打撃陣は概して「綺麗に点を取る。」という形に拘っている様に見えて仕方無い。「絶好のチャンスを迎えても、無為無策の選手任せで、結局は点が取れずに逆転負け。」という展開を、今季は何度見せられた事か。スクイズをするなりして、貪欲に1点を捥ぎ取るという姿が殆ど見られなかった。こういう野球を続けていたら、来季のジャイアンツは優勝なんて夢の又夢だろう。
閑話休題。
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長年、刑事で在る母・羽角啓子(はずみ けいこ)に毎年届く、差出人不明の御守り。秘められた想いが、封印された過去を引き寄せる。
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近年、ミステリー部門で注目を集めている小説家の1人・長岡弘樹氏。そんな彼の短編小説4作品を収録したのが単行本「赤い刻印」で、上記した梗概は表題作でも在る「赤い刻印」に付いて。長岡氏のヒット作「傍聞き」に登場したシングル・マザー刑事と其の娘が、再び登場している。
4作品に共通しているのは、何とも言えない遣り切れ無さ。一番遣り切れ無いのは「手に手を」という作品で、登場する様な家庭は今、決して少なく無い様に感じる。将来に明るさを感じられないだけに、読み終えた後の虚脱感が大きい。
「サンクスレター」という作品は、色んな意味で運命の残酷さを感じさせられるが、似た様な設定の作品は過去に在りそう。
「秘薬」という作品は妙に設定に凝り過ぎて、肝心な中身が“薄い”様に感じる。表題作の「赤い刻印」は哀しい結末で在るのだけれど、啓子の娘・菜月(なつき)の戯けた口調が救いだった。
全体的に言えるのは、「長岡氏だったら、もっと良い作品を著せるだろうに。」という事。「手に手を」以外は、内容に深みが感じられなかった。総合評価は星3つ。