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呪いの動画によって自殺を図った女子高生。男性に触れられた瞬間、肌に異常を来す女性。そして、密室で溺死した病院理事長の息子。常識的な診断や捜査では決して真相に辿り着けない不可解な事件。解決出来るのは、怜悧な頭脳と厖大な知識を持つ変人女医・天久鷹央(あめく たかお)、唯1人。
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先日、現役の医師でも在る小説家・知念実希人氏の作品「天久鷹央の推理カルテⅡ ファントムの病棟」を読んだ。現在迄に10冊上梓されている「天久鷹央の推理カルテ・シリーズ」の第2弾に当たる。今回読んだのは第3弾「天久鷹央の推理カルテⅢ 密室のパラノイア」。依然として、第1弾は読んでいない状態。
表紙のイラストもキャラクターの設定も、ライトノヴェル調のシリーズ。女医・天久鷹央がシャーロック・ホームズ、そして内科医見習いの小鳥遊優(たかなし ゆう)がジョン・H・ワトソン役。ホームズも非常に変人だが、鷹央も負けてはいない。怜悧な頭脳と厖大な知識を持っているが、コミュニケーション能力が極めて低く、要らぬ軋轢を生み捲っているのだ。そんな鷹央を補佐し、事件解決への手助けをしているのが優。全体的に軽い乗りのストーリーだが、現役の医師が書いているという事も在り、医療に関する記述は非常に興味深いし、又、勉強になる。
3つの短編小説から構成されており、最初の2作品はトリックが判った。最後の作品「密室で溺れる男」は「水が出る所が全く存在しない密室で、男性が溺死した。」という不可解な設定が面白く、又、トリックが明らかとなった時点で「確かに、そんな話は聞いた事が在るな。」と唸らされた。此の1作品で、総合評価をグンと押し上げた感が在る。
総合評価は星3.5個。