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中学時代に陸上で全国大会を目指していた町田圭祐(まちだ けいすけ)は、交通事故に遭い、高校では放送部に入る事に。圭祐を誘った宮本正也(みやもと まさや)、久米咲楽(くめ さくら)さん達と放送コンテストのラジオ・ドラマ部門で全国大会準決勝迄進むも、惜しくも決勝には行けなかった。
3年生引退後、圭祐等は新たにTVドキュメント部門の題材として、ドローンを駆使して陸上部を撮影して行く。軈て映像の中に、煙草を持って陸上部の部室から出て来る同級生・山岸良太(やまぎし りょうた)の姿が発見された。圭祐が真実を探って行くと、計画を企てた意外な人物が明らかになって・・・。
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湊かなえさんの「ドキュメント」は高校の放送部を舞台にした小説で、3年前に読んだ「ブロードキャスト」の続編。「中学時代に陸上部で活躍したものの、高校入学前に大怪我をした事で、陸上競技を諦めた町田圭祐が、同じ中学出身の同級生・宮本正也から“声”を褒められ、“流される儘”に放送部に入部した事から、話は始まって行く。」のが前作の「ブロードキャスト」で、圭祐達が高校1年の儘という設定から、「前作の結末から間も無い頃。」という時代設定と思われる。
「読んで嫌な気分になるミステリー。」の事を“イヤミス”と呼んだりするが、そういう作品を十八番にする代表格が湊かなえさん。でも、「ブロードキャスト」はイヤミスと全く異なる、読後に爽快感すら在る内容だった。自分は此の作品に「星4つ」を与えたのだが、第2弾の「ドキュメント」は最後の方で“嫌な感じ”が在るものの、全体を通しては“高校生の青臭さ”が良い意味で出ている。
でも、内容的には凡庸で、「作者は、何を訴えたかったのか?」が判らない。「ブロードキャスト」を読み終えた時の充足感は無い。湊作品には概して厳しい評価を下して来た自分が、前作では高い評価を下し、今後を非常に期待していたのに・・・残念だ。
総合評価は、星2つとする。