「野外に設置された水道の蛇口やマンホールの蓋、門扉、グレーチング(側溝の蓋)等がごっそりと盗まれた。」というニュースを見聞する様になって久しい。金属の価格高騰を受け、転売目的での窃盗の様だが、最近では「全国の太陽光発電所で、銅線ケーブルが盗まれる被害が多発している。」と聞く。“銅価格の高騰”が原因だとか。
銅価格の高騰は窃盗事件多発のみならず、あらゆる方面へと影響を及ぼしている。週刊新潮(5月30日号)に、「銅が高値で5円玉&10円玉、何れプラスチックに?」という記事が載っていた。
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・5円玉は、銅を60~70%含んだ黄銅。10円玉は銅が95%で、残りは錫と亜鉛の合金。銅価格の高騰が主要因で、原材料費が額面に迫っている。
・5月17日付けの「日経速報ニュース」によると、5円玉は額面の94%、10円玉では8割近く迄、コストが上昇。金属大手『JX金属』が発表する銅の価格(建値)は、9年前の約2倍になっている。
・銅の価格がこんなにも高騰している背景には、世界的な“カーボン・ニュートラルの波”が在る。再生可能エネルギーとして期待されている洋上風力発電は、海底の送電ケーブルに大量の銅を使用すると見られており、又、普及が見込まれているEVや、其の給電設備ににも銅が必要。そんな需要の高まりが、銅価格の高騰を推し進めていると思われる。
・材料の値段が硬貨の額面を上回ると、硬貨を鋳潰して売却する輩も現れる。過去に、そういう実例も在った。「硬貨を溶かしたり、傷付けたりすると処罰されるが、外国に持ち出し精錬するのは、国外犯規定が無い為、此の限りでは無い。1980年代にアメリカのテキサス州で、石油富豪が銀を買い占めた事により、銀の価格が8倍以上に暴騰。注目されたのが、銀の含有量が60%も在る日本の“稲穂100円硬貨”で、当時、大量の同硬貨が国外に持ち出され、流通量が枯渇した事が在った。」。(経済部デスク)
・大蔵省(現財務省)は、こうした銀不足を見越して、1960年代後半から100円玉を白銅に切り替えている。
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「銅等の材料費が額面を超えてしまった場合、別の材料で新しい5円玉や10円玉を製造する可能性は在るのか?」を記者が財務省に問い合わせた所、「貨幣の製造には、材料費以外の様々な要素が在ります。又、其の材料の変更には、市中に於けるATMや自動販売機等の金銭機器への影響も踏まえる必要が在ります。」(広報室)との回答が在ったそうだ。
紙幣では在るが、イギリスと香港では既にプラスチック製の通貨が使用されている。万全な偽造防止対策が施されれば、何れ硬貨の材料にもプラスチックが使われる可能性が出て来るのかも知れない。