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ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「月」の場合は任意だったけれど

2010年11月28日 | 時事ネタ関連
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スペインの女性、『太陽』の所有権を主張」(11月27日、AFPBB News

雨の良く降るスペイン・ガリシア自治州女性が26日、地元公証役場で「太陽」の所有権を登記したと発表した。

アンヘレス・デュランさん(49歳)は、スペイン紙エル・ムンド(電子版)の取材に、太陽系惑星殆どの所有権を登記した米国人男性の話を見見掛け、9月に自分も太陽を登記したと語った。

国際社会では、国家が恒星や惑星の所有権を主張してはならないとの合意は在る。しかし、個人が其れを主張する事に付いては何の取り決めも無い、とデュランさんは語る。

「何の妨害も無かった。私は法的に所有権を主張した。私は愚か者じゃ無いし法律を良く知ってる。誰もが出来た事だけど、思い付いたのは私が初めてだったのね。」(アンヘレス・デュランさん)

公証役場の作成した文書は、デュランさんが「スペクトル型G2の恒星で太陽系の中心に位置、地球から約1億4,960万キロメートルの距離に在る太陽の所有者。」で在ると明記している。

さて、所有権を獲得したデュランさんは、此れから「太陽を使う人」全員から利用料を徴収する考えだと言う。

利用料の内50%をスペイン政府、20%をスペインの年金基金に寄付する考えらしい。更に10%を研究費に、10%を世界の飢餓撲滅に、最後に残った10%を自分で使うとの事。

「物事を正しく遣るべき時が来たのよ。収入を生み出し、景気を良くして、人々の生活を良くする方法が在るなら、遣るしかないでしょ?」とデュランさんは問い掛けた。
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1980年にアメリカ人のデニス・ホープ氏がサンフランシスコ行政機関出頭し、「月の所有権」を申し立てた所、其れが認められた。当時、宇宙に関する法律は「宇宙条約」(1967年発効)しか存在しておらず、此の法律では「天体を含む宇宙空間に対しては、何れの国家も領有権を主張する事は出来ない。」と「国家による所有は否定しているものの、個人の所有に関しては言及していないという“法の盲点”を突いた物だった。彼は「ルナエンバシー」なる会社を立ち上げ、月等(其の後に火星金星等の所有権も取得。)の土地を販売する事に。区分化された此れ等の土地を購入した人に対して、同社は権利証を発行している。

此の「地球圏外不動産業」の話を昔知った時、「何とも目聡い人が居るもんだ。」と感心してしまった。、其の後の1984年に「月其の他の天体に於ける国家活動を律する協定」というのが締結され、「月は何れの国家の専有にもならない。月の表面や地下、天然資源は、如何なる国家・機関・団体・個人にも所有されない。、月の天然資源が開発可能となった時は、其の開発を律する国際的レジームを設立する。」という取り決めになったし、メインの恒星や惑星の所有権は既に所得されていると思っていただけに、「太陽の所有権」が手付かずだったというのは意外だった。

所有権を取得したアンヘレス・デュランさんの“真意”は判らないけれど、「取得によって、福祉や環境の問題に多くの人の関心を向けさせる。」というのが真意“で在れば”、其れはシンパシー覚えなくも無い。しかし「金儲け」だけが主目的で、他の理由は後付けの様な気がする。「私は愚か者じゃ無いし法律を良く知ってる。」という発言には強い自己顕示欲が、又、「物事を正しく遣るべき時が来たのよ。」という発言には「先達てビデオを流出させた海上保安官の『私が遣らなければ。』的な胡散臭さを感じてしまう発言。」と似た感じを自分は受けたので。

月等の土地に関しては、洒落で購入する人が殆どだろう。「プレゼントや記念に、一寸買ってみるか。」と軽い乗りで、其れも任意で購入している訳だ。しかし今回の場合は、「太陽を使う人全員から利用料を徴収する。」としている。地球上で太陽の恩恵を受けていない人間なんか皆無なのだから、そうなると地球人全員が利用料を払わなければならないという事になり、此れは「強制」となる訳だ。

実際問題、彼女の言い分が通るとは到底思えないけれど、「取得によって、福祉や環境の問題に多くの人の関心を向けさせる。」というのが彼女の真意で無かったとしたら、何とも嫌な思いの残るニュースで在る。

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2 コメント

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西洋人の志向 (悠々遊)
2010-11-28 10:37:32
アメリカ大陸を「新大陸」と称し、先住民の事などお構い無しに列強で領土を奪い合った伝統が、ヨーロッパ人にはありますから特に驚きはしません。
自然は万人の共有物という思想が失われているんでしょう。

ただし、この登記には問題もありますね。「天体を含む宇宙空間に対しては、何れの国家も領有権を主張する事は出来ない」ということであれば、その国家の一員である一個人がその属する国家に登記しても、他の全ての国家・個人に対して権利が発生するのかな。

特許権の場合はそれぞれの国に対して特許申請する必要があると聞いていますが、所有権の場合はどうなんでしょう。

第一、登記を受け付けた役所が、全世界の全ての役所に対し、他に権利を主張している個人・団体が無いか確認したのかどうか。その作業を怠っているとすれば、他人の権利を侵害している可能性を排除できないとして、登記そのものが無効になる可能性が大。

イスラム教など、世界の宗教には太陽を信仰の中心にしているものが少なくないし、そういった信仰の対象に対し個人の所有権が認められるのか、という疑問も生じます。

とはいえ、話題性は確かにありますね。
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>悠々遊様 (giants-55)
2010-11-28 20:43:11
書き込み有難う御座いました。今回はこちらにレスを付けさせて貰います。

中国には所謂「中華思想」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%80%9D%E6%83%B3)が根付いているし、元々は「自分さえ良ければ、後は知ったこっちゃ無い。」という思考が含有されていなかったかもしれないけれど、我が国でも嘗ては「八紘一宇」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%B4%98%E4%B8%80%E5%AE%87)という言葉を前面に押し出して身勝手さを見せていた事も在る訳で、「自然は万人の共有物という思想が無い。」というのは結局の所、人種云々というよりも個々人によって異なるのでしょうね。勿論、人種によって特定の思想が根強く在るというのは否定出来ないけれど。

実際問題としては、スペインの一公証役場が全世界の申請状況を逐一調べたとも思えないし、或る程度チェックして「此れは他に申請者が居ない。」と判断したというのが正しい気がします。今回の所有権による影響が何処迄及ぶのかは判らないけれど、全人類に支払いの網を掛けるという今回の一件が、常識的に通るとは到底思えない。仰る様に、話のネタとしては面白いけれど。
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