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早々に進学先も決まった中学3年の2月、ひょんな事からヨーロッパの古城のデッサンを拾った尾垣真(おがき しん)。軈て、絵の中にアバター(分身)を描き込む事で、自分も其の世界に入り込める事を突き止める。
友達の少ない真は、同じくハブられ女子で美術部員の城田珠美(しろた たまみ)にアバター作成を依頼、共に冒険する内、“パクさん”という大人と出会い、塔の中に1人の少女が閉じ込められている事を発見。10年前のと或る失踪事件に、彼女が関連している事を知った3人は、或る計画を立てる・・・。
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宮部みゆきさんの小説「過ぎ去りし王国の城」は、「拾った絵の中にアバターを書き込む事で、自分も其の世界に入り込め、其処で冒険する。」という内容で、ドラえもんの作品に在った様な感じもする作品。詰まり、設定其の物には目新しさが感じられない。
宮部作品が苦手な理由に、「ストーリーが冗長に流れる。」というのが在るのだけれど、今回の作品に関して言えば、冗長さは余り感じなかった。然し、他の苦手な理由で在る「(明石家さんま氏が得意とする様な)1人ボケツッコミ的記述」は健在で、其の点は辟易とさせられた。
範疇で言えば「サイエンス・ファンタジー」という事になるのだろうけれど、先月読んだ「悲嘆の門」といい、近年の宮部作品には似たテーストの物が目立つ気が。好きな人は好きなのだろうけれど、個人的には余りのめり込めなかった。
総合評価は、星2つとする。