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喧嘩別れした幼馴染みの伯斗(はくと)が、数年振りに晶良(あきら)の前に現れた。幼い頃に夢中になった「埋蔵金が眠る幻の村を探そう。」と言う。
嘗て祖母からこっそり手に入れた幻の村の地図。其れは晶良と伯斗
の友情の証、2人だけの秘密の冒険だった。今になって、一体何故?蟠りを感じ乍らも、半信半疑で再び幻の村を目指そうとした矢先、伯斗の消息が途絶えてしまう。更に“御宝"を狙う連中が晶良に迫り・・・。
幻の村とは? 伯斗の目的は、本当に埋蔵金だったのか?
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3年前に更新が止まってしまったが、其れ迄は良く覗かせて貰っていたブログ「手当たり次第の読書日記」。其方で「配達あかずきん」なる小説が推奨されていたので、手に取ったのが5年前の事。著者の大崎梢さんは元書店員という事も在って、出版界の内情に関する記述が興味深く、又、本に対する愛情がひしひしと伝わって来る事も在り、以降、彼女の作品を読み漁っている。
「本」を題材にしていない作品も結構書かれている大崎さんだが、今回読了した「誰にも探せない」も、そんな1つ。子供の頃に夢中になった埋蔵金探しを、大学生になっても忘れられないでいた晶良。そんな彼の前に、幼馴染で、子供の頃に一緒に埋蔵金探しをしていた伯斗が突然現れ、嘗て捜し歩いた場所を訪れる事になるというストーリー。
ストーリー設定が比較的確かな大崎作品だが、「誰にも探せない」は非常に粗が多い様に感じる。登場人物達の関係性に御都合主義な点が目立つし、「結局、何だったの?」と思ってしまう様な、意味不明な設定(“カノコ先輩”が連れて来た、来年の“湖衣姫”役に決まったという美人の友達なんぞもそう。)も幾つか在るので。そういった粗が、どうしても読み進める気を失わせてしまう。
緊迫した状況なのだが、記述からは其の緊迫感が伝わって来ない。全体的に、現実感が無いのだ。終わり方も端折った感が在って、「うーん・・・。」という思いがどうしても残る。
総合評価は、星2つという感じ。