現実逃避ING

やるせない毎日からの逃避行。

潜水服は蝶の夢を見る

2008年02月23日 | 映画
ELLE編集者のジャン・ドーは脳梗塞で倒れ、目覚めたときには唯一左目の瞼だけが動くという状態。目の前にいる医師、看護師、見舞いに訪れた妻や子供たちの言葉ははっきりと理解出来るのに、自分の思いを言葉で伝えることは出来ない。

意思を伝える方法は、言語療法士の編み出したもののみ。瞬き一回が「はい」、二回が「いいえ」。一文字ずつ読み上げられるアルファベットを瞬きで止める。単語が完成したら瞬き二回。

一度は死にたいと思ったジャン・ドーだったが、左目の瞬きと記憶と想像力があれば、この潜水服を着たような閉塞感の中から蝶のように羽ばたけると思い直す。そして、倒れるまでの半生を綴った自叙伝を書き上げた。

それがまさにこの映画の原作「潜水服は蝶の夢をみる」だ。

ジャンの左目の視点から描かれているシーンがとても多く、彼がどれだけの閉塞感の中にいるのかを物語っている。

自分がもし同じような状況になったら、きっとジャンのように死にたいと思うだろう。しかし、ジャンのように思い直すことができるだろうか。瞬きのみでしか意思を伝えられないコミュニケーション方法に挫けることなく何かを周りに伝えることが出来るだろうか。

気が遠くなるほど果てしない作業。
それをほんの一瞬でも感じ、考えることがこの映画を観る意味なんだと思う。

単純に面白さや感動を伝えてくれる映画ではない。ただ、映画を観る尺度がそれだけではないということを再確認させられた。
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アメリカン・ギャングスター

2008年02月17日 | 映画
1960年代から70年代にかけて、麻薬ルートを牛耳るギャングのボスとそれを追う警官の実際にあった話を元にしたストーリー。

主役がギャングだし、麻薬や警官の汚職などが絡んでいるため、全体的な描写は暗い。ギャングの優雅な部分はほとんどなく、警官に尻尾をつかませないため、派手派手しい華やかさを嫌い、裏の顔は一切出さないというのが話の重要なポイントだった。

時代背景にも疎ければ、細かな描写を見過ごしてしまったため、前半の展開に全くついて行けなかった。おまけに、いつになく登場人物の名前も俳優さんの顔も頭に入っていかなくて、後半になっても「これって誰だっけ?」とか思ってしまう始末。大まかな流れはさすがに理解していたけど、物凄く不完全燃焼なまま観終えてしまった。

デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの2大スター競演を楽しむためには、まず簡単なストーリーを予習すべきだったと反省。もう一回観たいところだけど、長いので却下かな。
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チーム・バチスタの栄光

2008年02月17日 | 映画
漫画かドラマのどちらかでも「医龍」を見たことがあれば、「バチスタ」という単語に反応してしまうはず。私が最初に興味を持ったのも、原作が誰とか、監督や主演が誰というところではなく、「バチスタ」という単語そのものだった。

それだけだったがゆえに、話の展開はいまいちという感じが否めない。途中で犯人が分かってしまってつまらなくなったというわけではないし、話の理解度が低かったわけでもない。単純にストーリー展開が呆気なかったというか、淡白だったというべきか。
結末をここで書こうとは思わないけど、最後まで観て、「なるほど原作が医師なわけだ。」と思えた。

結末を知った上で、改めて見たらまた違った見方が出来るのかも知れないけど、特にそこまでの執着心はないというのが正直なところ。
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結婚しようよ

2008年02月17日 | 映画
吉田拓郎のヒット曲に乗せて、家族の暖かさが伝わってくる。

出だしの、駅前で出会った青年が“我が青春のフォークソング”を知っていたというだけで気に入り、一家団欒の夕食を信じないというだけで家に連れて帰るのはやや行き過ぎな感じがした。しかし、そんな気前の良さと、一家の主たる父親像をしっかりと持っている父親だからこその行動なんだなぁとすぐに思い直した。

全編通して流れる往年のヒット曲がとても心地よくて、三宅裕司演じるお父さんと一緒になって口ずさみたくなってしまった。
また、それらの音楽がただの挿入歌やBGMではなく、劇中歌として流れるあたりが私の好きなパターンだったというのも大きい。

父親としての威厳ばかりではなく、家族の温もりを何より大事にしているお父さん。こんなお父さんが実際にどれだけ存在しているだろうと思いながらも、自然と涙が溢れてきた。

テレビでこの映画の宣伝を見たとき、R45指定なんていう冗談を耳にしたし、パンフレットの裏表紙にも「R45?」って書かれてるけど、どんな世代が観ても家族の暖かさを感じることは出来ると思う。劇中で使われる吉田拓郎の曲を知っていれば尚良しかな。
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L change the WorLd

2008年02月17日 | 映画
デス・ノートから生まれたスピンオフ。Lを主役に据え、映画デス・ノートのラストに繋がるLの知られざる23日間の事件。

原作では月を相手にテニスしたり、殴り合いをしたりというシーンがあったけど、映画版のデス・ノートでは、動きのあるLがほとんどなかった。ある意味、この作品は、出し切れなかった“Lらしさ”のためにあったように思える。

“デス・ノート”も月も出てこないため、話の題材は緊迫した知能戦とは程遠い。世界観という意味では、天才であるがゆえに狂ってしまった人間や、欲に溺れた人間が相手というのは合っていたと思う。ただ、その狂った人間がLと(ワタリを通して)連絡を取り合える関係にいたというのは、Lを中心としたネットワークとそのセキュリティの完璧さを揺るがすもので、設定として残念だった。

ただ、残念だったと思うのは、あくまで「デス・ノート」を元に考えているからで、Lを主人公とした話としては、見応え充分だった。Lが苦手な子守をしながら、他人に心を通わせていく。映画版でこそ出来た話だと思った。
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ラスト、コーション 色|戒

2008年02月17日 | 映画
第二次世界大戦下の中国を舞台に、政府軍のスパイであるイーと、抗日運動をするレジスタンスの女スパイとしてイーに接近し、次第にイーに惹かれていくワンの愛憎劇。

パンフレットを読んで、「そうか、イーは政府軍のスパイだったのか」と、改めて知った。単に政府軍の重要な役人って感じで観ていたので。
正直、字幕を追うのが辛かったし、舞台となっている上海や香港の時代背景に疎かったのは否めない。

出だしのラストに繋がるシーンは良いとして、主人公のワンがレジスタンスに参加していくまでの展開が結構速くて、追い切れなかった。クライマックスまで来て、とても話を浅く感じてしまったのは、きっと前半の人物像を描いている部分の理解度が浅かったせいだと思う。それだけに、前半で展開を追い切れなかったのが残念でならない。
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実写版・魁!!男塾

2008年02月09日 | 映画
言わずと知れた、週刊少年ジャンプで連載されていた漫画「魁!!男塾」の実写映画。

連載していた原作を読んで好きだったからこそ興味を持ち、この時期にあえて男塾を実写化するんだからと観てきたわけだけど…。

なんて言ったらイイのか。ある意味オモシロかったのだが、結果的には残念だった。

ことさらシリアスに作り込んでいるシーンが、一番笑えてしまってどうしようもなかった。CG処理などの映像技術を使わず、リアルアクションで作り上げたのは凄いと思うが、やっぱり非現実的な戦闘シーンを小細工なしに演出するのは不可能。

ホントは凄いはずの必殺技が実に人間的。死闘のはずがリアルな格闘技。その映像のギャップがあまりに大き過ぎた。

アニメ化もそうだけど、原作ありきだと、設定の違いがいつもポイントになったりする。実際、この映画にも原作との設定の違いはあるし、気になるところではあったけど、先述のギャップの前では些細な違いでしかなかった。

それにしても、出演者はそれなりに豪華だった。とても学ランを着るような歳じゃないのに、照英や田中哲司が塾生役で出ているし、修羅和尚には織本順吉まで。ちょい役とは言え、オセロの中島知子や矢沢心、つじあやのまで登場したのは驚いた。

さらに、パンフを見ながら、原作の絵と実写を比べると、キャラの多くはかなり忠実に作り込みが成されていると思う。

そう考えると製作者サイドの原作への思い入れは半端じゃなかったんだなぁと感心してしまう。それだけに、肝心な部分で見せ方が不十分だったのが、やはり残念だった。
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KIDS

2008年02月08日 | 映画
過去に、心に、体に傷を負った3人の悲しくも暖かいストーリー。主演はあくまで小池徹平と玉木宏の二人だけど、二人が出会った店で働くシホを演じた栗山千明も話の主軸でとても魅力的だった。

「超能力を持った少年」であるがゆえのファンタジーだけど、単に幻想的なだけではなく、その力がもたらす悲しみやツラさがとても痛々しくリアルに感じられた。

男同士の友情やシホとの恋愛など、熱い思いや暖かな感情もしっかりと感じられるのだが、それ以上に苦しみやもどかしいほどの純粋さが際立っていて、それだけで感極まってしまった。

最後に流れる槇原敬之の「Firefly」が映画にとても合っていて、エンドロールを観ながら、また悲しくなってしまった。
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銀色のシーズン

2008年02月02日 | 映画
2月に入ってからの映画初め。でも、今年に入って最初に観ようと思っていた映画だったので、映画初めとしてはちょうど良かった。

冒頭の雪山を滑り下りるシーンからスキーの疾走感がとても気持ち良く、全編通してスキーシーンのBGMを使った演出がマッチしていた。

怪我から復帰できない元トップ選手と、ワケありの花嫁。話の展開はある程度予想がつくところだったけど、舞台となっているスキーシーンがとてもカッコ良く作られていたので飽きなかった。

個人的にもっとモーグルに注目したシーンがあったらイイのにと思った。モーグルってとても面白いスポーツなのに、なかなかテレビでは放送しないから。せっかくモーグル選手が主人公なんだから、もう少し競技を取り上げて欲しかったなぁ。まあ、あまり説明臭くなってしまったら困るんだけど。

寒い冬に持ってこいの心暖まる映画だったけど、やっぱり外に出たら普通に寒かった…。
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ベオウルフ 呪われし勇者

2007年12月22日 | 映画
ある国で起こっている怪物の襲撃騒動。怪物を倒すため、はるばる海を渡り、一人の勇者がやってきた。名をベオウルフと言った。

ベオウルフは、相手が武器を持たないなら、自らも素手で戦うと言い放ち、見事に怪物を退治した。さらにその母親である怪物をも打ち倒したベオウルフは、最大の賛辞を受ける。その直後、王が自殺とも取れる行動で死に、ベオウルフが王となった。

勇者としての力に加え、富、名声、権力。全てを手に入れたベオウルフ。しかし、その裏には、先代の王より続く、断ち切ることの出来ない呪いがあった。

… …

アンジー扮する怪物に呪いをかけられるという部分だけが、予告編などで特に記憶に残っていたため、そこに行くまでがとにかく長く感じた。なにしろ、そこがちょうど中間地点だったくらいだから。

怪物退治の前半は、とにかく姿形を気持ち悪く描いているので、観ていてあまり気持ちのいいものではなかった。その中で、怪物にあわせて全裸になったベオウルフの股間が映りそうになると、誰かの腕や置物などで上手く隠れるようにしているのが気になって、笑いそうになってしまった。いっそ、モザイク処理してくれた方が潔くて気にならなかったのに。

後半のアクションシーンはさすがと言いたくなる迫力で圧巻だった。でも、いかんせん、勇者が簡単にアンジー(扮する怪物の母親)の魅力に負けちゃってるシーンがあるから、いまいち気持ちは乗り切らなかった。やむを得ずにかけられた呪いだったらいざ知らず。仮にも勇者なら、そんな簡単に折れないでよ~。って感じだった。

アンジーみたいな怪物だったら、魅力に負けても仕方ないかと思いつつ。全体的なストーリーのバランス、ベオウルフの役回りなどがいまいちだったから、やや期待外れだった。
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