統一という。文章の統一に文体がある。話しことばと書きことばを混ぜないというルールのようである。その区別には何があるのか。語の用法、文字使い、そして普通体と丁寧体の別を言うが、それは語法にかかわる。ふつう体は語の言いきりが用いられる。丁寧体は丁寧の語法で、文末に、―です、―ます と用いる。それを文体の統一の表れと見る。
文章の統一は文の統覚作用において思想を表わす語法である。普通体の文は意見、主張など論文にも表れる。それでは丁寧体はどうか。これは実は陳述を表わす語法となって、話者が対する聞き手にどのように言うか、それは読み手に対するのでもあるが、文における陳述作用を言い、統一叙述から文法の現象と捉えてきたため、丁寧の語法が不明となった。
丁寧体は文章ではもっぱら手紙用となって、論文の体裁に主張することも少なくなってきた。手紙で文体の選択は個人にゆだねられるので嘗ての国語には候文から丁寧へのつながりを見る。手紙に書簡であるより電子媒体のメールを広く用いて見ることが多くなったので文体もその事情に合わせたものになっている。文章の文体はジャンルを問えばどうか。
手紙はいわば特定の個人となる宛名を持つ。丁寧な文体で書かれるゆえんである。一方でまた、大勢にスピーチをするにも丁寧口調となって丁寧文体である。それはどういう違いによるものか、あるいは同じ機能であるのか。見ず知らずの人に声をかけるのも丁寧文体である。
ほかに考えてみると敬語を必要とする敬体の場面も丁寧文である、その習慣はどうしてか。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「文体」の解説
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ある特定の個人,時代,流派などの言語表現を特徴づける様式。これは
(1) 客観的条件──素材,媒体など──によって規定され,また
(2) 表現主体の特性に基づく主観的条件やこの主体の属する広義の環境──民族,言語,時代など──によっても規定され,さらに
(3) 芸術体験の本質的構造に対する美学的見解に基づく基本概念──古典的とロマン的,写実的と象徴的,主観的と客観的など──によって類型的に分化される。一般には (2) が最も重視され,言語,時代環境とともに,個人的な語法 (語の選択,語順,文の段落,結合など) の特徴を総合するところに文体が成り立つとみられる。