洒落は言語遊戯となって、駄洒落という遊びをする。年賀はがきを郵便局で販売していて、何種類もあるうちに、そのダジャレをマークにしているというから、しげしげと眺めることになる。2017年は鶏の干支、そこで、とり歳があしらわれている絵柄に郵政省が遊びを見せて、さてそれは何かというわけである。洒落による言葉遊びは語呂合わせ、同音の語を一つにして二つの意味を表現する。その意味するところに気づけばしゃれがわかる。酉年であるからデザインに鳥の絵を描く。その鳥はよく見ると何かしている、そしてそれは、それぞれにことばをかけてある。
世界大百科事典 第2版の解説
しゃれ【洒落】
〈しゃれ〉のもつ意味内容については,時代によって若干の違いが生じていることもあって定説がないが,滑稽性,物事にこだわらぬ自由な精神,極度に洗練された感性のそれぞれを重視する三つの立場にほぼ分けられよう。近世初期においては,滑稽性よりも精神性に重点がおかれ,遊興理念を表現する言葉として用いられるのが一般であったが,中期以降はしだいに滑稽性および感性の洗練度を示すものにその中心が移り,文芸面においては特に言語遊戯に関する機知,滑稽を表す言葉となった。
三省堂 大辞林
しゃら 【洒▼ 落▽】
一 ( 形動 ) [文] ナリ
①生意気なさま。しゃらくさいさま。 「 -な丁稚(でつち)あがりめ/浄瑠璃・曽根崎心中」
②さっぱりしているさま。しゃれているさま。 「薄化粧に花車(きやしや)めかして-なる風情をおもてにし/仮名草子・可笑記」
二 ( 名 )
遊女をいう。 「此所に名高き-には/浮世草子・三代男」
しゃ らく [0] 【洒▼落】
( 名 ・形動 ) [文] ナリ
気質がさっぱりしていて,物事にこだわらない・こと(さま)。洒脱。 「無邪気にも見える。-でもある/三四郎 漱石」
しゃれ [0] 【洒▼ 落▽】
①その場に合った,気のきいた,人を笑わせる文句。多く語呂合わせや地口(じぐち)をいう。 「 -を言う」 「駄-」
②たわむれ事。冗談事。 「 -が通じない」
③気のきいた服装や化粧で身なりをととのえていること。おしゃれ。 「生身玉(いきみだま)の里がへりに-を尽くし/百花譜」
④当世風で気のきいていること。 「諸事-を好み,高慢の鼻たかくなりしゆゑ/黄表紙・高慢斎行脚日記」 〔「洒落」は当て字〕
デジタル大辞泉の解説
しゃら【×洒▽落】
[名・形動ナリ]
1 物事にこだわらず、さっぱりしているさま。しゃれているさま。いき。
「傾城といへるものは…―なる風情をおもてにし」〈仮・可笑記・三〉
2 しゃらくさいさま。生意気。
「―な丁稚(でっち)上がりめ」〈浄・曽根崎〉
3 遊女。近世、越前でいう。
「此所に名高き―には」〈浮・三代男・三〉
しゃ‐らく【×洒落/×灑落】
[名・形動]物事にこだわらず、さっぱりしていること。また、そのさま。洒々落々。「―な人柄」
「―でありながら神経質に生れ付いた彼の気合を」〈漱石・明暗〉
しゃれ【×洒▽落】
《動詞「しゃれる」の連用形から。「洒落」は当て字》
1 その場に興を添えるために言う、気のきいた文句。ある文句をもじったり、同音や似た音の言葉に掛けて言ったりする。地口(じぐち)・警句の類。「洒落を飛ばす」「洒落が通じる」「駄洒落」
2 戯れにすること。冗談事。「こんないたずらは洒落にならない」
3 (多く「お洒落」の形で用いる)気のきいた身なりをすること。華やかに装うこと。「お洒落をして出かける」「洒落者」→おしゃれ
4 今風で、あかぬけていること。
「風雅でもなく、―でなく」〈浄・忠臣蔵〉
しゃらく
【洒落】
《名・ダナ》心・ふるまいなどがさっぱりしていて、深く執着しないさま。
しゃれ
【洒落】
1.(言葉の同音を利用して)人を笑わせる、気の利いた文句。例、. 「へたな―はやめなしゃれ」の最後の部分が
2.洒脱(しゃだつ)で気がきいていること。 「―者」
洒落(しゃれ) - 語源由来辞典
gogen-allguide.com › 「し」から始まる言葉
洒落の語源は、「晒れ(され)・戯れ(され)」が転じたとされる。 「晒る(さる)」は、長い間、風雨や日光に当たり、白っぽくなるという意味が原義。 「戯る(さる)」は、「たわむれ」の意味。 これらの意味から、「洗練される」「しゃれて趣がある」という意味になった。
しゃれ【×洒▽落】 例文一覧 30件
・・・しかし私がその努力にやっと成功しそうになると、彼は必ず音を立てて紅茶を啜ったり、巻煙草の灰を無造作に卓子の上へ落したり、あるいはまた自分の洒落を声高に笑ったり、何かしら不快な事をしでかして、再び私の反感を呼び起してしまうのです。ですから彼が・・・<芥川竜之介「開化の良人」 青空文庫>
・・・ 伯母の洒落は生憎通じなかった。「じゃ莫迦の樹と云う樹なのね。」 伯母は「初ちゃん」の話さえ出れば、未だにこの問答を繰り返している。実際又「初ちゃん」の話と云ってはその外に何も残っていない。「初ちゃん」はそれから幾日もたたずに柩・・・<芥川竜之介「点鬼簿」 青空文庫>
・・・さればお紺の婀娜も見ず、弥次郎兵衛が洒落もなき、初詣の思い出草。宿屋の硯を仮寝の床に、路の記の端に書き入れて、一寸御見に入れたりしを、正綴にした今度の新版、さあさあかわりました双六と、だませば小児衆も合点せず。伊勢は七度よいところ、いざ御案・・・<泉鏡花「伊勢之巻」 青空文庫>
・・・「ええ、わりい洒落だ」「なんでも、あなたがたがお忍びで、目立たぬようにという肚だ。ね、それ、まん中の水ぎわが立ってたろう。いま一人が影武者というのだ」「そこでお召し物はなんと踏んだ」「藤色と踏んだよ」「え、藤色とばかりじ・・・<泉鏡花「外科室」 青空文庫>
・・・というと、洒落気と茶番気タップリの椿岳は忽ち乗気となって、好きな事仕尽して後のお堂守も面白かろうと、それから以来椿岳は淡島堂のお堂守となった。 淡島堂というは一体何を祀ったもの乎祭神は不明である。彦少名命を祀るともいうし、神功皇后と応神・・・<内田魯庵「淡島椿岳」 青空文庫>
・・・ 汲み取った下肥えの代りに……とは、うっかり口がすべった洒落みたいなものですが、ここらが親譲りというのでしょう。父は疑っていたかもしれぬが、私はやはり落語家の父の子だった。自慢にはならぬが、話が上手で、というよりお喋りで、自分でもいや気・・・<織田作之助「アド・バルーン」 青空文庫>
・・・彼等は教師の洒落や冗談までノートに取り、しかもその洒落や冗談を記憶して置く必要があるかどうか、即ちそれが試験に出るかどうかと質問したりした。彼等の関心は試験に良い点を取ることであり、東京帝国大学の法科を良い成績で出ることであり、昭和何年組の・・・<織田作之助「髪」 青空文庫>
・・・赤や黄のオードコロンやオードキニン。洒落た切子細工や典雅なロココ趣味の浮模様を持った琥珀色や翡翠色の香水壜。煙管、小刀、石鹸、煙草。私はそんなものを見るのに小一時間も費すことがあった。そして結局一等いい鉛筆を一本買うくらいの贅沢をするのだっ・・・<梶井基次郎「檸檬」 青空文庫>
・・・「まさか狼の丸焼で一杯飲みたいという洒落でもなかろう?」「まずそんなことです。……実は僕、或少女に懸想したことがあります」と岡本は真面目で語り出した。「愉快々々、談愈々佳境に入って来たぞ、それからッ?」と若い松木は椅子を煖炉の方・・・<国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」 青空文庫>
・・・ですから網打だの釣船頭だのというものは、洒落が分らないような者じゃそれになっていない。遊客も芸者の顔を見れば三弦を弾き歌を唄わせ、お酌には扇子を取って立って舞わせる、むやみに多く歌舞を提供させるのが好いと思っているような人は、まだまるで遊び・・・<幸田露伴「幻談」 青空文庫>
・・・野暮でない、洒落切った税というもので、いやいや出す税や、督促を食った末に女房の帯を質屋へたたき込んで出す税とは訳が違う金なのだから、同じ税でも所得税なぞは、道成寺ではないが、かねに恨が数ござる、思えばこのかね恨めしやの税で、こっちの高慢税の・・・<幸田露伴「骨董」 青空文庫>
・・・今度東京へ出て来て直次の養母などに逢って見ると、あの年をとっても髪のかたちを気にするようなおばあさんまでが恐ろしい洒落者に見えた。皆、化物だと、おげんは考えた。熊吉の義理ある甥で、おげんから言えば一番目の弟の娘の旦那にあたる人が逢いに来てく・・・<島崎藤村「ある女の生涯」 青空文庫>
・・・そして話の調子を変えて、「そう言えば、仏蘭西の言葉というものは妙なところに洒落を含んでますネ」 と言って、二三の連がった言葉を巧みに発音して聞かせた。「私も一つ、先生のお弟子入をしましょうかネ」と高瀬が言った。「え、すこし御・・・<島崎藤村「岩石の間」 青空文庫>
・・・真っ白い長い顎髯は、豆腐屋の爺さんには洒落すぎたものである。「おかしかしかし樫の葉は白い。今の娘の歯は白い」 お仙は若い者がいるので得意になって歌っている。家について曲ると、「青木さんよう」と、呼び止める。人並よりよほど広い額に・・・<鈴木三重吉「千鳥」 青空文庫>
・・・ ともうひとりの客は、げびた洒落を言いました。「名馬も、雌は半値だそうです」 と私は、お酒のお燗をつけながら、負けずに、げびた受けこたえを致しますと、「けんそんするなよ。これから日本は、馬でも犬でも、男女同権だってさ」と一ば・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」 青空文庫>
・・・ その夜おそく、私は嫁を連れて新宿発の汽車で帰る事になったのだが、私はその時、洒落や冗談でなく、懐中に二円くらいしか持っていなかったのだ。お金というものは、無い時には、まるで無いものだ。まさかの時には私は、あの二十円の結納金の半分をかえ・・・<太宰治「帰去来」 青空文庫>
・・・中には内で十分腹案をして置いて、この席で「洒落」の広めをする人がある。それをも聞き漏さない。そんな時心から笑う。それで定連に可哀がられている。こう云う社会では「話を受ける」人物もいなくてはならないのである。 こんな風で何年か立った。・・・<著:ダビットヤーコプ・ユリウス 訳:森鴎外「世界漫遊」 青空文庫>
・・・衆生を済度する仏がホトケであるのは偶然の洒落である。 ラテンで「あるいはAあるいはB」という場合に alius A, alius B とか、alias A, alias B とか、また vel A, vel B という。alius ・・・<寺田寅彦「言葉の不思議」 青空文庫>
・・・ 芭蕉去って後の俳諧は狭隘な個性の反撥力によって四散した。洒落風からは始めて連歌の概念を授けられ、太田水穂氏の「芭蕉俳諧の根本問題」からは多くの示唆を得た。幸田露伴氏の七部集諸抄や、阿部小宮その他諸学者共著の芭蕉俳諧研究のシリーズも有益・・・<寺田寅彦「俳諧の本質的概論」 青空文庫>
・・・そして栄華の昔には洒落半分の理想であった芸に身を助けられる哀れな境遇に落ちたのであろう。その昔、芝居茶屋の混雑、お浚いの座敷の緋毛氈、祭礼の万燈花笠に酔ったその眼は永久に光を失ったばかりに、かえって浅間しい電車や電線や薄ッぺらな西洋づくりを・・・<永井荷風「深川の唄」 青空文庫>
・・・「何だか洒落か真面目か分らなくなって来たぜ」「まるで御話にも何もなりゃしない。ところで近頃僕の家の近辺で野良犬が遠吠をやり出したんだ。……」「犬の遠吠と婆さんとは何か関係があるのかい。僕には聯想さえ浮ばんが」と津田君はいかに得意・・・<夏目漱石「琴のそら音」 青空文庫>
・・・ただ好い加減に頭の悪い事を低気圧と洒落ているんだろうぐらいに解釈していたが、後から聞けば実際の低気圧の事で、いやしくも低気圧の去らないうちは、君の頭は始終懊悩を離れないんだという事が分った。当時余も君の向うを張って来客謝絶の看板を懸けていた・・・<夏目漱石「長谷川君と余」 青空文庫>
・・・談笑洒落・進退自由にして縦横憚る所なきが如くなれども、その間に一点の汚痕を留めず、余裕綽々然として人の情を痛ましむることなし。けだし潔清無垢の極はかえって無量の寛大となり、浮世の百汚穢を容れて妨げなきものならんのみ。これを、かの世間の醜行男・・・<福沢諭吉「日本男子論」 青空文庫>
・・・もの共に浮気の性質にて、末の松山浪越さじとの誓文も悉皆鼻の端の嘘言一時の戯ならんとせんに、末に至って外に仔細もなけれども、只親仁の不承知より手に手を執って淵川に身を沈むるという段に至り、是ではどうやら洒落に命を棄て見る如く聞えて話の条理わか・・・<二葉亭四迷「小説総論」 青空文庫>
・・・永遠の洒落者め。君はまだホラチウスの書なぞを読んで世を嘲っているのかい。僕が物に感じるのを見て、君は同じように感じると見せて好くも僕を欺したな。君はあの時何といった。実にこの胸に眠っているものを、夜吹く風が遠い便を持って来るようにお蔭で感じ・・・<著:ホーフマンスタールフーゴー・フォン 訳:森鴎外「痴人と死と」 青空文庫>
・・・併し火葬のように無くなってもしまわず、土葬や水葬のように窮屈な深い処へ沈められるでもなし、頭から着物を沢山被っている位な積りになって人類学の参考室の壁にもたれているなども洒落ているかもしれぬ。其外に今一種のミイラというのはよく山の中の洞穴の・・・<正岡子規「死後」 青空文庫>
・・・時にきょうの飾りはひどく洒落ていますな。この朝日は探幽ですか。炭取りに枯枝を生けたのですか。いずれまた参りましょう。おい車屋、今度は猿楽町だ。」「や、お目出とう御座います。留守ですか。そうですか。なるほどこういう内ですか。」「まアあんさ・・・<正岡子規「初夢」 青空文庫>
・・・「蝦姑にするたあ洒落くせえ!」「でも、本当に、海老なかったのかしら」 小さい声で、思い出したようにふき子がいったので陽子は体をゆすって笑い出した。 彼等は昨夜、二時過ぎまで起きて騒いでいた。十時過ぎ目をさますと、ふき子は、・・・<宮本百合子「明るい海浜」 青空文庫>
・・・ 巻中に名を烈している一行は洒落翁、国朝、仙鶴、宗理、仙廬、経栄、小三次、国友、鳶常、仙窩、料虎、按幸、以上十二人である。洒落翁は竜池であろう。この中に伊三郎がいたそうであるが、その号を詳にしない。香以は「親爺の供をしては幅が利かぬから・・・<森鴎外「細木香以」 青空文庫>
・・・昔の和歌に巧妙な古歌の引用をもって賞讃を博したものがあるが、この種の絵もそういう技巧上の洒落と択ぶ所がない。自己の内部生命の表現ではなく、頭で考えた工夫と手先でコナした技巧との、いわばトリックを弄した芸当である。そうしてそのトリックの斬新が・・・<和辻哲郎「院展日本画所感」 青空文庫>
世界大百科事典 第2版の解説
しゃれ【洒落】
〈しゃれ〉のもつ意味内容については,時代によって若干の違いが生じていることもあって定説がないが,滑稽性,物事にこだわらぬ自由な精神,極度に洗練された感性のそれぞれを重視する三つの立場にほぼ分けられよう。近世初期においては,滑稽性よりも精神性に重点がおかれ,遊興理念を表現する言葉として用いられるのが一般であったが,中期以降はしだいに滑稽性および感性の洗練度を示すものにその中心が移り,文芸面においては特に言語遊戯に関する機知,滑稽を表す言葉となった。
三省堂 大辞林
しゃら 【洒▼ 落▽】
一 ( 形動 ) [文] ナリ
①生意気なさま。しゃらくさいさま。 「 -な丁稚(でつち)あがりめ/浄瑠璃・曽根崎心中」
②さっぱりしているさま。しゃれているさま。 「薄化粧に花車(きやしや)めかして-なる風情をおもてにし/仮名草子・可笑記」
二 ( 名 )
遊女をいう。 「此所に名高き-には/浮世草子・三代男」
しゃ らく [0] 【洒▼落】
( 名 ・形動 ) [文] ナリ
気質がさっぱりしていて,物事にこだわらない・こと(さま)。洒脱。 「無邪気にも見える。-でもある/三四郎 漱石」
しゃれ [0] 【洒▼ 落▽】
①その場に合った,気のきいた,人を笑わせる文句。多く語呂合わせや地口(じぐち)をいう。 「 -を言う」 「駄-」
②たわむれ事。冗談事。 「 -が通じない」
③気のきいた服装や化粧で身なりをととのえていること。おしゃれ。 「生身玉(いきみだま)の里がへりに-を尽くし/百花譜」
④当世風で気のきいていること。 「諸事-を好み,高慢の鼻たかくなりしゆゑ/黄表紙・高慢斎行脚日記」 〔「洒落」は当て字〕
デジタル大辞泉の解説
しゃら【×洒▽落】
[名・形動ナリ]
1 物事にこだわらず、さっぱりしているさま。しゃれているさま。いき。
「傾城といへるものは…―なる風情をおもてにし」〈仮・可笑記・三〉
2 しゃらくさいさま。生意気。
「―な丁稚(でっち)上がりめ」〈浄・曽根崎〉
3 遊女。近世、越前でいう。
「此所に名高き―には」〈浮・三代男・三〉
しゃ‐らく【×洒落/×灑落】
[名・形動]物事にこだわらず、さっぱりしていること。また、そのさま。洒々落々。「―な人柄」
「―でありながら神経質に生れ付いた彼の気合を」〈漱石・明暗〉
しゃれ【×洒▽落】
《動詞「しゃれる」の連用形から。「洒落」は当て字》
1 その場に興を添えるために言う、気のきいた文句。ある文句をもじったり、同音や似た音の言葉に掛けて言ったりする。地口(じぐち)・警句の類。「洒落を飛ばす」「洒落が通じる」「駄洒落」
2 戯れにすること。冗談事。「こんないたずらは洒落にならない」
3 (多く「お洒落」の形で用いる)気のきいた身なりをすること。華やかに装うこと。「お洒落をして出かける」「洒落者」→おしゃれ
4 今風で、あかぬけていること。
「風雅でもなく、―でなく」〈浄・忠臣蔵〉
しゃらく
【洒落】
《名・ダナ》心・ふるまいなどがさっぱりしていて、深く執着しないさま。
しゃれ
【洒落】
1.(言葉の同音を利用して)人を笑わせる、気の利いた文句。例、. 「へたな―はやめなしゃれ」の最後の部分が
2.洒脱(しゃだつ)で気がきいていること。 「―者」
洒落(しゃれ) - 語源由来辞典
gogen-allguide.com › 「し」から始まる言葉
洒落の語源は、「晒れ(され)・戯れ(され)」が転じたとされる。 「晒る(さる)」は、長い間、風雨や日光に当たり、白っぽくなるという意味が原義。 「戯る(さる)」は、「たわむれ」の意味。 これらの意味から、「洗練される」「しゃれて趣がある」という意味になった。
しゃれ【×洒▽落】 例文一覧 30件
・・・しかし私がその努力にやっと成功しそうになると、彼は必ず音を立てて紅茶を啜ったり、巻煙草の灰を無造作に卓子の上へ落したり、あるいはまた自分の洒落を声高に笑ったり、何かしら不快な事をしでかして、再び私の反感を呼び起してしまうのです。ですから彼が・・・<芥川竜之介「開化の良人」 青空文庫>
・・・ 伯母の洒落は生憎通じなかった。「じゃ莫迦の樹と云う樹なのね。」 伯母は「初ちゃん」の話さえ出れば、未だにこの問答を繰り返している。実際又「初ちゃん」の話と云ってはその外に何も残っていない。「初ちゃん」はそれから幾日もたたずに柩・・・<芥川竜之介「点鬼簿」 青空文庫>
・・・さればお紺の婀娜も見ず、弥次郎兵衛が洒落もなき、初詣の思い出草。宿屋の硯を仮寝の床に、路の記の端に書き入れて、一寸御見に入れたりしを、正綴にした今度の新版、さあさあかわりました双六と、だませば小児衆も合点せず。伊勢は七度よいところ、いざ御案・・・<泉鏡花「伊勢之巻」 青空文庫>
・・・「ええ、わりい洒落だ」「なんでも、あなたがたがお忍びで、目立たぬようにという肚だ。ね、それ、まん中の水ぎわが立ってたろう。いま一人が影武者というのだ」「そこでお召し物はなんと踏んだ」「藤色と踏んだよ」「え、藤色とばかりじ・・・<泉鏡花「外科室」 青空文庫>
・・・というと、洒落気と茶番気タップリの椿岳は忽ち乗気となって、好きな事仕尽して後のお堂守も面白かろうと、それから以来椿岳は淡島堂のお堂守となった。 淡島堂というは一体何を祀ったもの乎祭神は不明である。彦少名命を祀るともいうし、神功皇后と応神・・・<内田魯庵「淡島椿岳」 青空文庫>
・・・ 汲み取った下肥えの代りに……とは、うっかり口がすべった洒落みたいなものですが、ここらが親譲りというのでしょう。父は疑っていたかもしれぬが、私はやはり落語家の父の子だった。自慢にはならぬが、話が上手で、というよりお喋りで、自分でもいや気・・・<織田作之助「アド・バルーン」 青空文庫>
・・・彼等は教師の洒落や冗談までノートに取り、しかもその洒落や冗談を記憶して置く必要があるかどうか、即ちそれが試験に出るかどうかと質問したりした。彼等の関心は試験に良い点を取ることであり、東京帝国大学の法科を良い成績で出ることであり、昭和何年組の・・・<織田作之助「髪」 青空文庫>
・・・赤や黄のオードコロンやオードキニン。洒落た切子細工や典雅なロココ趣味の浮模様を持った琥珀色や翡翠色の香水壜。煙管、小刀、石鹸、煙草。私はそんなものを見るのに小一時間も費すことがあった。そして結局一等いい鉛筆を一本買うくらいの贅沢をするのだっ・・・<梶井基次郎「檸檬」 青空文庫>
・・・「まさか狼の丸焼で一杯飲みたいという洒落でもなかろう?」「まずそんなことです。……実は僕、或少女に懸想したことがあります」と岡本は真面目で語り出した。「愉快々々、談愈々佳境に入って来たぞ、それからッ?」と若い松木は椅子を煖炉の方・・・<国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」 青空文庫>
・・・ですから網打だの釣船頭だのというものは、洒落が分らないような者じゃそれになっていない。遊客も芸者の顔を見れば三弦を弾き歌を唄わせ、お酌には扇子を取って立って舞わせる、むやみに多く歌舞を提供させるのが好いと思っているような人は、まだまるで遊び・・・<幸田露伴「幻談」 青空文庫>
・・・野暮でない、洒落切った税というもので、いやいや出す税や、督促を食った末に女房の帯を質屋へたたき込んで出す税とは訳が違う金なのだから、同じ税でも所得税なぞは、道成寺ではないが、かねに恨が数ござる、思えばこのかね恨めしやの税で、こっちの高慢税の・・・<幸田露伴「骨董」 青空文庫>
・・・今度東京へ出て来て直次の養母などに逢って見ると、あの年をとっても髪のかたちを気にするようなおばあさんまでが恐ろしい洒落者に見えた。皆、化物だと、おげんは考えた。熊吉の義理ある甥で、おげんから言えば一番目の弟の娘の旦那にあたる人が逢いに来てく・・・<島崎藤村「ある女の生涯」 青空文庫>
・・・そして話の調子を変えて、「そう言えば、仏蘭西の言葉というものは妙なところに洒落を含んでますネ」 と言って、二三の連がった言葉を巧みに発音して聞かせた。「私も一つ、先生のお弟子入をしましょうかネ」と高瀬が言った。「え、すこし御・・・<島崎藤村「岩石の間」 青空文庫>
・・・真っ白い長い顎髯は、豆腐屋の爺さんには洒落すぎたものである。「おかしかしかし樫の葉は白い。今の娘の歯は白い」 お仙は若い者がいるので得意になって歌っている。家について曲ると、「青木さんよう」と、呼び止める。人並よりよほど広い額に・・・<鈴木三重吉「千鳥」 青空文庫>
・・・ ともうひとりの客は、げびた洒落を言いました。「名馬も、雌は半値だそうです」 と私は、お酒のお燗をつけながら、負けずに、げびた受けこたえを致しますと、「けんそんするなよ。これから日本は、馬でも犬でも、男女同権だってさ」と一ば・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」 青空文庫>
・・・ その夜おそく、私は嫁を連れて新宿発の汽車で帰る事になったのだが、私はその時、洒落や冗談でなく、懐中に二円くらいしか持っていなかったのだ。お金というものは、無い時には、まるで無いものだ。まさかの時には私は、あの二十円の結納金の半分をかえ・・・<太宰治「帰去来」 青空文庫>
・・・中には内で十分腹案をして置いて、この席で「洒落」の広めをする人がある。それをも聞き漏さない。そんな時心から笑う。それで定連に可哀がられている。こう云う社会では「話を受ける」人物もいなくてはならないのである。 こんな風で何年か立った。・・・<著:ダビットヤーコプ・ユリウス 訳:森鴎外「世界漫遊」 青空文庫>
・・・衆生を済度する仏がホトケであるのは偶然の洒落である。 ラテンで「あるいはAあるいはB」という場合に alius A, alius B とか、alias A, alias B とか、また vel A, vel B という。alius ・・・<寺田寅彦「言葉の不思議」 青空文庫>
・・・ 芭蕉去って後の俳諧は狭隘な個性の反撥力によって四散した。洒落風からは始めて連歌の概念を授けられ、太田水穂氏の「芭蕉俳諧の根本問題」からは多くの示唆を得た。幸田露伴氏の七部集諸抄や、阿部小宮その他諸学者共著の芭蕉俳諧研究のシリーズも有益・・・<寺田寅彦「俳諧の本質的概論」 青空文庫>
・・・そして栄華の昔には洒落半分の理想であった芸に身を助けられる哀れな境遇に落ちたのであろう。その昔、芝居茶屋の混雑、お浚いの座敷の緋毛氈、祭礼の万燈花笠に酔ったその眼は永久に光を失ったばかりに、かえって浅間しい電車や電線や薄ッぺらな西洋づくりを・・・<永井荷風「深川の唄」 青空文庫>
・・・「何だか洒落か真面目か分らなくなって来たぜ」「まるで御話にも何もなりゃしない。ところで近頃僕の家の近辺で野良犬が遠吠をやり出したんだ。……」「犬の遠吠と婆さんとは何か関係があるのかい。僕には聯想さえ浮ばんが」と津田君はいかに得意・・・<夏目漱石「琴のそら音」 青空文庫>
・・・ただ好い加減に頭の悪い事を低気圧と洒落ているんだろうぐらいに解釈していたが、後から聞けば実際の低気圧の事で、いやしくも低気圧の去らないうちは、君の頭は始終懊悩を離れないんだという事が分った。当時余も君の向うを張って来客謝絶の看板を懸けていた・・・<夏目漱石「長谷川君と余」 青空文庫>
・・・談笑洒落・進退自由にして縦横憚る所なきが如くなれども、その間に一点の汚痕を留めず、余裕綽々然として人の情を痛ましむることなし。けだし潔清無垢の極はかえって無量の寛大となり、浮世の百汚穢を容れて妨げなきものならんのみ。これを、かの世間の醜行男・・・<福沢諭吉「日本男子論」 青空文庫>
・・・もの共に浮気の性質にて、末の松山浪越さじとの誓文も悉皆鼻の端の嘘言一時の戯ならんとせんに、末に至って外に仔細もなけれども、只親仁の不承知より手に手を執って淵川に身を沈むるという段に至り、是ではどうやら洒落に命を棄て見る如く聞えて話の条理わか・・・<二葉亭四迷「小説総論」 青空文庫>
・・・永遠の洒落者め。君はまだホラチウスの書なぞを読んで世を嘲っているのかい。僕が物に感じるのを見て、君は同じように感じると見せて好くも僕を欺したな。君はあの時何といった。実にこの胸に眠っているものを、夜吹く風が遠い便を持って来るようにお蔭で感じ・・・<著:ホーフマンスタールフーゴー・フォン 訳:森鴎外「痴人と死と」 青空文庫>
・・・併し火葬のように無くなってもしまわず、土葬や水葬のように窮屈な深い処へ沈められるでもなし、頭から着物を沢山被っている位な積りになって人類学の参考室の壁にもたれているなども洒落ているかもしれぬ。其外に今一種のミイラというのはよく山の中の洞穴の・・・<正岡子規「死後」 青空文庫>
・・・時にきょうの飾りはひどく洒落ていますな。この朝日は探幽ですか。炭取りに枯枝を生けたのですか。いずれまた参りましょう。おい車屋、今度は猿楽町だ。」「や、お目出とう御座います。留守ですか。そうですか。なるほどこういう内ですか。」「まアあんさ・・・<正岡子規「初夢」 青空文庫>
・・・「蝦姑にするたあ洒落くせえ!」「でも、本当に、海老なかったのかしら」 小さい声で、思い出したようにふき子がいったので陽子は体をゆすって笑い出した。 彼等は昨夜、二時過ぎまで起きて騒いでいた。十時過ぎ目をさますと、ふき子は、・・・<宮本百合子「明るい海浜」 青空文庫>
・・・ 巻中に名を烈している一行は洒落翁、国朝、仙鶴、宗理、仙廬、経栄、小三次、国友、鳶常、仙窩、料虎、按幸、以上十二人である。洒落翁は竜池であろう。この中に伊三郎がいたそうであるが、その号を詳にしない。香以は「親爺の供をしては幅が利かぬから・・・<森鴎外「細木香以」 青空文庫>
・・・昔の和歌に巧妙な古歌の引用をもって賞讃を博したものがあるが、この種の絵もそういう技巧上の洒落と択ぶ所がない。自己の内部生命の表現ではなく、頭で考えた工夫と手先でコナした技巧との、いわばトリックを弄した芸当である。そうしてそのトリックの斬新が・・・<和辻哲郎「院展日本画所感」 青空文庫>