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語法 句法 文法 文章法

2017-11-03 | 日本語文法
文法を用語にする分野を並べてみると、語法、句法、文章法をあげる。句法と、文章法とは文学における文法に関連する。あるいは、句法は漢文の影響を受け、文章法は言語学の影響を受けてとらえる。もと、語法は中国語の文法として見られたが、その見方考え方は日本語の文法をまずあらわしていた。語というとらえ方は、言との対応があり、古くに詞辞の大別を入れていたから、詩句、詞章、辞書などの呼称にそれぞれ、ことばを表している。こう見てくると、文には広く文学の用法があり、文法となるのは時代を見ていくと、下がって近代のこと、翻訳語としての概念が現れる。文章法には作文、作文作法、作文法、文章作法、文章構成法などの広がりがあり、漢語の影響にあったが、そこに文章表現として日本語法が唱えられるようになり、さらには時代の影響に、概念が広がり、文章に構文、シンタクスをとらえようとする。




語法 句法 文法 文章法  日本文法大全


語法 ゴホウ
デジタル大辞泉の解説
ご‐ほう〔‐ハフ〕【語法】
1 言葉遣いの規則。文法。
2 言葉の使い方。表現法


ご‐ほう〔‐ハフ〕【語法】例文一覧 2件

・・・私は復古癖の人のように、徒らに言語の純粋性を主張して、強いて古き言語や語法によって今日の思想を言い表そうとするものに同意することはできない。無論、古語というものは我々の言語の源であり、我民族の成立と共に、我国語の言語的精神もそこに形成せられ・・・<西田幾多郎「国語の自在性」青空文庫>

・・・今この語法に従い女子に向て所望すれば、起居挙動の高尚優美にして多芸なるは御殿女中の如く、談笑遊戯の気軽にして無邪気なるは小児の如く、常に物理の思想を離れず常に経済法律の要を忘れず、深く之を心に蔵めて随時に活用し、一挙一動一言一話活溌と共に野・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>

三省堂 大辞林
く ほう-はふ [0] 【句法】
①詩文や俳句の作り方。
②漢文を訓読する際の、基本的構文や文法事項。


大辞林 第三版の解説
ごほう【語法】
①語が文を構成する上での法則。文法。 「日本語の-研究」
②言葉の使い方や、文の表現方法。 「誤った-」


世界大百科事典内の語法の言及
【文法】より
文法というものは,どの言語でも,このように,普通,特定少数の文や語句だけについてのきまりではなく,〈一定の条件を備えた任意の文〉について,あるいは〈一定の範囲の多数の語句〉について同じように成り立つ一般性の高いきまり,すなわち規則性としてとらえられる事がらなのであり――だからこそわれわれは比較的容易に言語を習得できるわけである――,さらに,そうした種々の規則性の背後に,実はいっそう抽象度の高い原理が見いだされることもしばしばなのである(これに対し,特定の文や語句だけについてのきまりは,特に〈語法〉と呼んで区別することがある)。このように,(1)~(3)に関する一般性の高い諸々の原理や規則性と,多少の個別的なきまりとがいわば束になって当該の言語を成り立たせているわけで,それらの一つ一つのことをではなく,特にそれらを総体としてとらえた概念のことを文法(文法体系)と呼ぶ場合もある。


語法の英語 
ごほう
主な英訳
wording


研究社 新和英中辞典での「語法」の英訳
ごほう1 語法
〈文法〉 grammar
〈慣用法〉 usage
〈表現法〉 an expression; 【形式ばった表現】 a mode [way] of expression; wording
アメリカの語法ではその言い方は一般に認められている. According to American usage, the expression is acceptable.
語法違反
a grammatical mistake
【形式ばった表現】 a solecism.


句法 クホウ
デジタル大辞泉の解説
く‐ほう〔‐ハフ〕【句法】
詩歌・俳句・文章において、句や文を組み立てる際の言葉の決まり。

く‐ほう〔‐ハフ〕【句法】例文一覧 3件

・・・〔『日本』明治三十二年三月三十日〕 曙覧が客観的景象を詠ずるは、新材料を入れたることにおいて、新趣味を捉えしことにおいて、『万葉』より一歩を進めたるとともに、新言語新句法を用いしことにおいて、一般歌人よりは自在に言いこなすことを・・・<正岡子規「曙覧の歌」青空文庫>

・・・この間に立ちて形式の簡単なる俳句はかえって和歌よりも複雑なる意匠を現わさんとして漢語を借り来たり佶屈なる直訳的句法をさえ用いたりしも、そは一時の現象たるにとどまり、古池の句はついに俳句の本尊として崇拝せらるるに至れり。古池の句は足引の山鳥の・・・<正岡子規「俳人蕪村」青空文庫>

・・・格堂の句は旨い事は実に旨いものであるが、その句法が一本筋であるだけにいくらか変化に乏しい処がある。 このほか鳴雪、四方太、紅緑、等諸氏の句については近来見る処が少ないのでわざと評を省いて置く。〔『ホトトギス』第五巻第八号 明治3・・・<正岡子規「病牀苦語」青空文庫>


大辞林 第三版の解説
くほう【句法】
①詩文や俳句の作り方。
②漢文を訓読する際の、基本的構文や文法事項。


文法 ぶんぽうgrammar
翻訳|grammar
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

個人の頭のなかに内在している文法 (言語) 事実そのもの (→ラング ) をさす。またそれを記述しようとした文法論,文法学説,文典をさすのにも用いられる。古くは古典語を正しく読み書きするための技術として発達した。規範文法や学校文法といわれるものはこの系列の延長上にある。記述文法の範囲にも諸説がある。広義では,音論 (音声学・音韻論) ,意味論を含めた言語一般の体系・規則を扱うもので,伝統文法,生成文法,比較文法などの文法はここに属する。狭義の文法は,意味をもった言語単位 (形態素や単語など) が,個々の語彙的意味を一応離れて,どういう範疇体系を形成しているか,語形替変をするものはどういう形態体系を有するか,それらの要素同士が文を形成するときに,どういう順序で,どういう関係で結びつき,どういう構造をなすのか,そこにどういう規則が支配しているのかという面を対象とする。また,単語を基準にして,その内部構造を扱う形態論と,単語の結合などのより大きな単位を扱う統辞論とに分ける立場と,そのような分け方には本質的な差はないとする立場とがある。対象とする最大単位は文とするのが通例であるが,文間関係,談話分析,文章論も含めるべきだとする説もある。


デジタル大辞泉の解説
ぶん‐ぽう〔‐パフ〕【文法】
1 文章を構成するきまりや規範。また、文章を書く上でのきまりや書き方。
2 言語を構成する諸要素の間にみられる法則性。また、それを分析・記述する研究。ふつう、単語・文節・文などの言語単位について説かれるが、さらに語構成・文連接・文章構成などの問題についても扱われることがある。


大辞林 第三版の解説
ぶんぽう【文法】
①言語を文・語などの単位に分けて考えたとき、そこに見られる規則的な事実。文法的事実。
② ① の事実を体系化した理論。文法論。
③文章の作法。文章を作る上でのきまり。


百科事典マイペディアの解説
文法【ぶんぽう】
語および語結合における体系的現象そのもの,またはこの現象の記述的・説明的研究をさす。狭義には,語形とその結合を中心とする形態論,シンタクスをさし,音韻論,意味論などは含めない。
→関連項目比較言語学


世界大百科事典 第2版の解説
ぶんぽう【文法 grammar】
【概説】
[文法とは]
 一般に文法と呼ばれているものは,当該の言語における,(1)単語が連結して文をなす場合のきまり(仕組み)や,(2)語形変化・語構成[派生語や複合語のでき方]などのきまり(仕組み),あるいはまた(3)機能語[助動詞・助詞・前置詞・接辞・代名詞等]の用い方のきまり(仕組み),とほぼいえるであろう。 たとえば,(A)〈ねこがねずみを食べた。〉は日本語のまっとうな文であり,これを〈ねずみをねこが食べた。


日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
文法
ぶんぽう
grammar

言語の音声と意味を結び付ける体系をさすが、学者の意図や方法論などにより、いくつかの意味に使い分けられている。一つの言語の正しい使い方という規範的目的をもって書かれた文法、つまり規範文法に対し、言語学者が通常用いる意味は、規範文法のような価値判断の伴わない、客観的または科学的な見地からの記述、つまり記述文法をさす。記述文法という用語はまた、一時点での言語の状態を対象とした、いわゆる共時的な記述をさすが、この用法では、言語の歴史的発展を対象とした通時的記述である歴史文法と対比される。方法論的な観点からの用法としては、歴史言語学における言語間の比較という点を取り入れた比較文法という名称や、近年のチョムスキーの提唱による文法理論をさす変形文法(生成文法)というものがある。また、文法学者により体系化された文法理論の場合には、とくに日本では、文法学者の姓を冠したもの、たとえば「山田文法」(山田孝雄(よしお))、「時枝(ときえだ)文法」(時枝誠記(もとき))というような使われ方もする。


文章法 ブンショウホウ
デジタル大辞泉の解説
ぶんしょう‐ほう〔ブンシヤウハフ〕【文章法】
1 文章を作る方法。文章作法(さくほう)。
2 「文章論2」に同じ。

ぶんしょう‐ろん〔ブンシヤウ‐〕【文章論】
1 文章に関する論評。文章の主題・構成・文体などを論じるもの。
2 文法論において、文論・構文論・措辞(そじ)論・シンタックスなどの分野をさす語。品詞論に対していう。文章法。



大辞林 第三版の解説
ぶんしょうろん【文章論】
①文章に関する論。
②「 構文論② 」に同じ。
③文章① の性格・構造・機能・分類などを研究する学問分野。


大辞林 第三版の解説
こうぶんろん【構文論】
①〘論〙 〔syntactics; syntax〕 記号論の一分科。意味内容を考慮せずに、記号と記号との結合と分離を支配する形式的規則を取り扱う学問。シンタクティクス。シンタックス。統語論。統辞論。
②〔syntax〕 文法論の一部門。文を構成する単位(単語あるいは語群)の配列の法則とその機能、各々の構成単位の機能などを研究対象とする学問。シンタックス。統語論。統辞論。 → 意味論 ・ 語用論


世界大百科事典内の文章論の言及
【文法】より
…同じような性質をもつ単語を同じ〈品詞〉としてまとめる,いわゆる〈品詞分類〉は,どちらの分野にも関係する。なお,このほか,文が連結して一貫性のある文章をなす上でも相応のきまりがあるはずだとして,それらを明らかにしようとする〈文章論〉を,シンタクス・形態論とともに文法の一分野として唱える向きもあるが,この場合のきまりは,先の(1)~(3)とはかなり異質の,いわば傾向的なきまりにとどまるものであり,重要な研究課題ではあるものの,やはり文法とは呼び難い。
[広義の文法]
 以上に見てきた普通の意味での文法のほかに,意味(論)・音韻(論)の問題(あるいはそのうち一方)まで,またときには表記法の問題などまで含めた広い範囲のものを文法と呼ぶ立場や場合もあるので,注意を要する。

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