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国語学と意味論

2013-07-04 | 現代日本語百科2025
国語学と意味論

国語学と意味論の研究について述べようとすると、それは1980年代までは海外の動きを伝える状況のようであった。それを国語学辞典の項目から読み取ることができる。国語学辞典は学会創立10周年記念の企画に1955年、出版された。学界は1944年、昭和19年3月30日に発足とある。それからこの辞典は同じく35周年を迎えて企画された記念出版であり、1980年、国語学大辞典となる。判型も大きく、項目も記述の分量が増えた。この双方の内容は大辞典が辞典を踏まえてその発展の軌跡を読み取ることができる。また学会誌には国語学があり、2004年には日本語の研究となった。それに2年の研究展望がありその項目に、総説、研究史、研究資料をはじめとして文法、語彙、音韻、文字、表記、文章、文体、社会言語、言語生活、地域言語、方言、数理的研究、そして海外における日本語研究を分ける。ここには意味論としての項目がない。

1955年、国語学辞典に意味論の項目があり、研究史を概説するので見てみよう。語の意味、語源、意味変化を取り上げて、意味学 Semasiologie という名称を19世紀初めにドイツ人、ライジッヒ K,Reisig に始まるとする。フランスでは、リトレ E.Littre、ついでダルメストテール A.Darmesteter およびブレアル M.Brealを上げる。今日の意味学、意味論 semantics の名称はブレアルに始まるとする。その後、フランスのメイエ、ドイツのパウル、またヴントなど社会学、心理学そして民族心理学にも展開すると言う。マルティ、フンケの人名が見え、意味学は言語学と心理学、哲学との限界領域にあるとする。それで、一般意味学に言及している。執筆、関本至。東京堂、36ページ。

1980年、昭和55年に昭和30年から25年を経て国語学大辞典が刊行され、意味論も中項目のうちに、3ページ超の記述をしている。その内容を3つに分けるので、意味論の分科を思わせる。言語学の一分科としての意味論、論理学的意味論としての指示の理論、一般意味論のそれぞれに、1980年のころの様子として、言語学的意味論の最近の情況と同じく、この分野の意味論尾論争は目下続いている最中で、これに参加している人間の数もきわめて多く、まだ決定的な説を挙げることはできない、と二つ目の執筆者、吉田夏彦がが注記している。東京堂、37-41ページ。

なお学会誌に学界展望を載せる。第55巻3号通巻218号に特集2002-2003年があり、この号を以て国語学としての日本語学会の展望を、次の通巻226号、日本語の研究に引き継ぐ。第2巻3号で、2004‐2005年の日本語学会の展望である。語彙として、史的研究と理論、現代をわけている。この分類では意味論は国語学に引き続き日本語学の語彙の分野にあり、その理論と現代を一覧すれば、国語学の意味論を知ることになる。学界展望記事だけでうかがい知ることはもとより難しいが、研究論文、著書の動向に参考とすべきであろう。

なお、国語意味論という著述があり、それによれば、意義と呼ばれ意味と呼ばれるものは一体何なのか、という一文でその章は始まる。
>だから意味というものは、言葉のものであると同じだけ経験のものである。 7ページ
>意味はこのように、本質的にひとりひとりのものである。それはひとりひとりの人間が、他のいかなる人間とも同一でない、差し替えのできない個性であるのと同じことである。  9ページ
という記述がある。第一章 意義の構造 一 意義・言葉・経験  国語意味論  渡辺実  塙書房  平成14年2月
この記述は国語で意味を解説するもので、ほかにはこのような説明は見られない。これは平成8年、日本語概説、岩波書店刊、に見られて瞠目した。


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