雅言集覧、雅語音声考がごおんじょうこう という書物があって、雅言、雅語があることを知る。それに対しては俚言集覧という書があり、雅言と俚言が対比するかと思ってしまう。雅語に対しては俚語ということがあるとして、俚言に導かれる。それは俚び言 さとびごと となって、さとび という語に、みやび があることに気づく。雅はみやびである。
みやびとさとびと、言い換えれば、都風 みやこぶり と 郷ぶり である。雅言はそのような対照で用いられるかと思うが、少し様子がある。都ぶりというのは、中央のことであったし。郷風というのは、地方のことであったから、都に対する田舎としてみると、それはどこであるかとなる。都の周辺はどこまでも、どこでもそうであるからだ。また都風は郷にあって目立つので聞き耳を立てることになるが、変わらず、都にあってはいなびたことだと、方言は聞き捨てられる。
それを俚言集覧とした後世にはわかることであって、時代が下ると明らかになることもあったのだろう。ただ方言に対する意識は、方処、方処を知ることが、みちのくや、さきもりなどの知るところであった。
雅語はまた歌語であったとすると論が粗いが、主に和歌を詠む時にだけ用いられる特殊な言葉や表現として、鶴つるを たず、蛙かえるを かわず と表現する類はどうであったのだろうか。。
世界大百科事典 第2版の解説
がげんしゅうらん【雅言集覧】
石川雅望(まさもち)が編した古語索引ともいうべき辞書。〈い〉~〈か〉の6冊を1826年(文政9),〈よ〉~〈な〉の3冊を49年(嘉永2)刊行。それ以下は写本のまま伝わる。現在は,中島広足が追補の筆を加えた《増補雅言集覧》(3冊,1887)が行われる。平安時代の文学作品を中心に,奈良時代の作品その他からも語種を集めて〈いろは順〉に配列したもの。解釈はほとんど施されていないが,引例が豊富で,いちいち出典を示している。
世界大百科事典 第2版の解説
りげんしゅうらん【俚言集覧】
太田全斎編の国語辞書。26巻。全斎(1759‐1829)は備後福山藩士で漢学者。音韻の研究でも知られる。本書の成立は不明だが,1797年(寛政9)から1829年(文政12)までの間と考えられる。《雅言集覧》《和訓栞(わくんのしおり)》とともに,近世の三大国語辞書と目される。村田了阿編と誤り伝えられたが,俗諺を集めた《諺苑(げんえん)》が発見され,全斎の手になることが明らかになった。《諺苑》に,俗語,漢語,仏語,方言などの類を増補し,改編したのが本書である。
デジタル大辞泉の解説
がげんしゅうらん 〔ガゲンシフラン〕 【雅言集覧】
江戸時代の国語辞書。石川雅望(いしかわまさもち)著。文政9年~嘉永2年(1826~49)に「な」の項まで刊。後半は未刊のまま写本で伝わった。主に平安時代の仮名文学書から語彙を集めて、いろは順に用例・出所を明示したもの。
がごおんじょうこう〔ガゴオンジヤウカウ〕【雅語音声考】
江戸時代の語学書。1巻。鈴木朖(すずきあきら)著。文化13年(1816)刊。語の第一義を音声に置き、言語の写声的起源論を説いたもの。
りげんしゅうらん 〔リゲンシフラン〕 【俚言集覧】
江戸時代の国語辞書。26巻。太田全斎著。成立年未詳。主として俗語・俗諺などを集め、五十音の横の段の順序に配列して語釈を加えたもので、明治33年(1900)に、井上頼圀(いのうえよりくに)・近藤瓶城(こんどうみかき)が現行の五十音順に改編、増補して「増補俚言集覧」3冊として刊行。
デジタル大辞泉の解説
さとび‐ごと 【×俚び言/▽俗び言】
世俗の言葉。俚言(りげん)。俗言。また、田舎びた言葉。方言。「手足のたゆきを、―にだるいと言ふ」〈玉勝間・八〉
大辞林 第三版の解説
がごおんじょうこう【雅語音声考】
語学書。鈴木朖(あきら)著。1816年刊。音声をかたどった言語があることを主として説いた言語起源論。
がげんしゅうらん【雅言集覧】
江戸時代の国語辞書。五〇巻。石川雅望著。古語・雅語をイロハ順に配列し,主に平安時代の文献から多数の用例を引く。1826~49年に半ばまで刊行。87年(明治20)に中島広足が「増補雅言集覧」として加筆刊行。
りげんしゅうらん【俚言集覧】
国語辞書。二六巻。太田全斎著。1797年(寛政9)以後1829年(文政12)以前の成立。俗語・俗諺を集めて五十音の横段の順に配列,語釈を施す。1900年(明治33),井上頼圀(よりくに)・近藤瓶城(みかき)が増補,五十音順に改編した「(増補)俚言集覧」三冊が刊行され流布した。
みやびとさとびと、言い換えれば、都風 みやこぶり と 郷ぶり である。雅言はそのような対照で用いられるかと思うが、少し様子がある。都ぶりというのは、中央のことであったし。郷風というのは、地方のことであったから、都に対する田舎としてみると、それはどこであるかとなる。都の周辺はどこまでも、どこでもそうであるからだ。また都風は郷にあって目立つので聞き耳を立てることになるが、変わらず、都にあってはいなびたことだと、方言は聞き捨てられる。
それを俚言集覧とした後世にはわかることであって、時代が下ると明らかになることもあったのだろう。ただ方言に対する意識は、方処、方処を知ることが、みちのくや、さきもりなどの知るところであった。
雅語はまた歌語であったとすると論が粗いが、主に和歌を詠む時にだけ用いられる特殊な言葉や表現として、鶴つるを たず、蛙かえるを かわず と表現する類はどうであったのだろうか。。
世界大百科事典 第2版の解説
がげんしゅうらん【雅言集覧】
石川雅望(まさもち)が編した古語索引ともいうべき辞書。〈い〉~〈か〉の6冊を1826年(文政9),〈よ〉~〈な〉の3冊を49年(嘉永2)刊行。それ以下は写本のまま伝わる。現在は,中島広足が追補の筆を加えた《増補雅言集覧》(3冊,1887)が行われる。平安時代の文学作品を中心に,奈良時代の作品その他からも語種を集めて〈いろは順〉に配列したもの。解釈はほとんど施されていないが,引例が豊富で,いちいち出典を示している。
世界大百科事典 第2版の解説
りげんしゅうらん【俚言集覧】
太田全斎編の国語辞書。26巻。全斎(1759‐1829)は備後福山藩士で漢学者。音韻の研究でも知られる。本書の成立は不明だが,1797年(寛政9)から1829年(文政12)までの間と考えられる。《雅言集覧》《和訓栞(わくんのしおり)》とともに,近世の三大国語辞書と目される。村田了阿編と誤り伝えられたが,俗諺を集めた《諺苑(げんえん)》が発見され,全斎の手になることが明らかになった。《諺苑》に,俗語,漢語,仏語,方言などの類を増補し,改編したのが本書である。
デジタル大辞泉の解説
がげんしゅうらん 〔ガゲンシフラン〕 【雅言集覧】
江戸時代の国語辞書。石川雅望(いしかわまさもち)著。文政9年~嘉永2年(1826~49)に「な」の項まで刊。後半は未刊のまま写本で伝わった。主に平安時代の仮名文学書から語彙を集めて、いろは順に用例・出所を明示したもの。
がごおんじょうこう〔ガゴオンジヤウカウ〕【雅語音声考】
江戸時代の語学書。1巻。鈴木朖(すずきあきら)著。文化13年(1816)刊。語の第一義を音声に置き、言語の写声的起源論を説いたもの。
りげんしゅうらん 〔リゲンシフラン〕 【俚言集覧】
江戸時代の国語辞書。26巻。太田全斎著。成立年未詳。主として俗語・俗諺などを集め、五十音の横の段の順序に配列して語釈を加えたもので、明治33年(1900)に、井上頼圀(いのうえよりくに)・近藤瓶城(こんどうみかき)が現行の五十音順に改編、増補して「増補俚言集覧」3冊として刊行。
デジタル大辞泉の解説
さとび‐ごと 【×俚び言/▽俗び言】
世俗の言葉。俚言(りげん)。俗言。また、田舎びた言葉。方言。「手足のたゆきを、―にだるいと言ふ」〈玉勝間・八〉
大辞林 第三版の解説
がごおんじょうこう【雅語音声考】
語学書。鈴木朖(あきら)著。1816年刊。音声をかたどった言語があることを主として説いた言語起源論。
がげんしゅうらん【雅言集覧】
江戸時代の国語辞書。五〇巻。石川雅望著。古語・雅語をイロハ順に配列し,主に平安時代の文献から多数の用例を引く。1826~49年に半ばまで刊行。87年(明治20)に中島広足が「増補雅言集覧」として加筆刊行。
りげんしゅうらん【俚言集覧】
国語辞書。二六巻。太田全斎著。1797年(寛政9)以後1829年(文政12)以前の成立。俗語・俗諺を集めて五十音の横段の順に配列,語釈を施す。1900年(明治33),井上頼圀(よりくに)・近藤瓶城(みかき)が増補,五十音順に改編した「(増補)俚言集覧」三冊が刊行され流布した。