ワクチンの接種によって感染拡大は抑えられるか。その情勢について見通しを述べている。
日本国内の高齢者に接種が完了すると、日本での接種率が30%を超える。7月末に、そうなると、感染の終息が予想されている。
大量のワクチン投与、という準備を進める政府、自治体の計画で、大人数の会場で接種することが始まる。
日経記事コラム、大機小機に、コロナ前線の話題。
＞世界の7割以上の国・地域で拡大に歯止め
終息にほぼ成功した台湾、オーストラリア
厳しい規制で感染を抑え込んだ中国、トルコ、
感染率が低いアフリカなど
＞接種率が高い50カ国、平均
30%程度で感染拡大が収まり
50%で終息し、
2回目の接種を終えた完全接種率でみると30%前後でほぼ終息
＞日本も医療従事者に加えて、7月末までに高齢者の接種が完了すれば、完全接種率は33%になる。
大機小機 コロナ前線に変化の兆し
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新型コロナは変異型ウイルスが猛威を振るい、依然先が見通せない状況が続いている。だが、ここにきて変化の兆しも見える。インドなど一部で感染拡大が続き、日本もリバウンドに見舞われる一方、世界の7割以上の国・地域で拡大に歯止めが掛かり、感染が収まりつつあることを見落としてはなるまい。
万全な対策で終息にほぼ成功した台湾やオーストラリア、厳しい規制で感染を抑え込んだ中国やトルコ、感染率が低いアフリカなど様々だが、ワクチン接種の進捗で収束に向かう国が増え始めたことが大きい。その数はすでに41カ国に及ぶ。世界の約9割の国・地域で接種が始まり、今後、収束に向かう国がさらに増えるだろう。
集団免疫確保に必要なワクチン接種率は70%程度といわれている。だが、イスラエルでは1回以上接種した人の割合が25%に達した時点で感染拡大にブレーキが掛かり、60%でほぼ終息している。英国では30%、米国も40%程度で収束に向かっている。接種率が高い50カ国を平均すると30%程度で感染拡大が収まり、50%で終息し、2回目の接種を終えた完全接種率でみると30%前後でほぼ終息している。
ワクチン接種率と感染防止との関係は変異の型やワクチンの種類、既感染者と潜在感染者の数に加えて、社会システムや感染予防対策、医療体制などによって変わる。集団免疫に達する前でも十分な対策を講じれば、感染を収束させられることがわかる。
まだ感染が収まっていない主要国について、現在の接種ペースが続くと仮定して、平均値を当てはめると、多くの国が今年の夏までに収束に向かう計算になる。日本も医療従事者に加えて、7月末までに高齢者の接種が完了すれば、完全接種率は33%になる。大規模接種会場の開設で対象者が広がれば接種率はさらに高まるだろう。
楽観は禁物だが、ワクチン接種が計画通り進み万全な感染防止対策を講じれば、東京五輪の開会式までに感染を収束させることができそうだ。
コロナに打ち勝つにはウイルスの進化を上回る対策が必要になる。闘いは道半ばだが、ワクチン開発の成功で局面が変わり始めたことも事実だ。アスリートの夢をかなえるためにも東京五輪の開催と成功を期待したい。
（富民）
