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余る

2017-05-25 | 日記
余りは算数の用語で、割り切れない、残りであるし、数量的に超えている部分である。それはいっぱいになってのこと、あふれ出るばかりのこととなると、このあまりも、のこりも、いずれにしても、有り余ることであり、過ぎたる残りである。余りを楽しむとか、残りを静かにするとか、およそ、そのニュアンスには、この語の持つ意味内容には、かけ離れることである。そうなのか、必要以上にあったものだから、あまるわけであるから、そのあまりには、扱いようがあって、退職、退官、退休、定年、停職、引退、ましてや、隠居は、余ってのことである、と考えてみよう。



あま・る 【余る】
[動ラ五(四)]

1 多すぎて残りが出る。使いきれずに残る。「―・った小遣いは貯金する」「人手が―・る」

2 (多く「…にあまる」の形で)

数量などがある基準を超える。「身の丈六尺に―・る大男」「五万人に―・る観客」

程度や力などが、ある程度以上にはなはだしくなる。「勢い―・って転倒する」「目に―・る言動」「身に―・る重責」

3 割り算で、割り切れないで残りが出る。

4 いっぱいになってあふれる。

「忍び給へど、御袖より(涙ガ)―・るも、所せうなむ」〈源・須磨〉

[用法]あまる・のこる――「余る」はある基準の量を超えて何かがあること。「旅館の支払いが済んでも金が余る」「身に余る光栄」「自分の手に余る難しい問題」「一〇を三で割ると三が立って一が余る」などと用いる。◇「残る」は、なくならないで、まだある場合に用いる。「金が使いきれずに残る」「十分考えたが、まだ疑問が残っている」「一〇から八引くと二残る」◇「御飯のおかずが余った」は、四人の食事に六人分のおかずがあって食べきれなかったというような場合。四人分用意されていたのに、全部は食べきれなかったときは「おかずが残った」となる。


あま・る 【余】
解説・用例

〔自ラ五(四)〕

(1)数量がある基準を超える。

*常陸風土記〔717〜724頃〕行方「囲み、大きなる竹の如く、長さ一丈に余(あまり)き」

*竹取物語〔9C末〜10C初〕「翁、年七十にあまりぬ」

*源氏物語〔1001〜14頃〕須磨「忍び給へど御袖よりあまるも、所せうなん」

(2)才能、勢い、気持などが、ある範囲からあふれ出る。ある程度以上にはなはだしくなる。

*古事記〔712〕下・歌謡「大君を 島に放(はふ)らば 船(ふな)阿麻理(アマリ) い帰り来むぞ 我が畳ゆめ」

*古今和歌集〔905〜914〕仮名序「在原業平は、その心あまりて詞たらず」

*源氏物語〔1001〜14頃〕夕顔「あさましと言ふにもあまりてなむある」

*大鏡〔12C前〕六・道長下「心だましひすぐれかしこうて日本にはあまらせ給へり」

*徒然草〔1331頃〕一七二「若き時は、血気うちにあまり、心、物に動きて、情欲おほし」

(3)能力を超える。分に過ぎる。

*伊勢物語〔10C前〕八七「田舎人の歌にては、あまれりや、たらずや」

*大鏡〔12C前〕四・道隆「よろづのこと身にあまりぬる人の、もろこしにも、この国にもあるわざにぞ侍なる」

*愚管抄〔1220〕六・後鳥羽「手にあまりたる事かなともや思ひけん」

*太平記〔14C後〕二二・義助朝臣病死事「目に余る程の大勢也と聞て」

*日葡辞書〔1603〜04〕「シアンニ amaru (アマル) コト」

*俳諧・猿蓑〔1691〕五「乗出して肱(かひな)に余る春の駒〈去来〉 麻耶が高根に雲のかかれる〈野水〉」

*門〔1910〕〈夏目漱石〉一三「分別に余(アマ)って当惑してゐた」

(4)ある基準を超えて余分が出る。必要を満たして残りが生じる。

*枕草子〔10C終〕六・おなじことなれどもきき耳ことなるもの「げすの詞には、かならず文字あまりたり」

*源氏物語〔1001〜14頃〕若菜上「御髪(みぐし)の〈略〉裾のふさやかにそがれたる、いとうつくしげにて、七八寸ばかりぞあまり給へる」

*浮世草子・けいせい伝受紙子〔1710〕三・二「旦那はいはねど四相をおさとりなさるる。おさばきが諸事あまるは」

*狐の裁判〔1884〕〈井上勤訳〉一「此の皮を以て帽子を作り、残余(アマレ)る皮にて」

(5)割り算で、割り切れないで残りが出る。

(6)ある程度に達するまでのゆとり、余地がある。使わない、到達しない部分があとに残る。

*昇天〔1923〕〈十一谷義三郎〉六「彼は懐から蟇口をとり出した。中には払ひに余るほど這入ってる筈だ」

(7)((2)から転じて) 子供などがさわぐ。ふざけすぎる。

*菊池俗言考〔1854〕「あまるな 余勿(あまるな)なるへし若年の者なとの元気溢れて悪(わろび)事なとするを阿万留と云は元気の余ると云事なるへし」

語誌

(1)に挙げた例のような「AがBにあまる」「AがBよりあまる」というのが本来の使い方。単に「Aがあまる」「Bにあまる」と表現されてもある基準を超えるということに変わりはないが、超えた分に力点が移ると(4)の使い方となる。現在では(6)のように、ある基準に達するまでのゆとりをいう新しい意味が生じている。

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