>一生の残りのいのち。人生のさかりを過ぎた後の生涯。残年。余命。上記引用に、日本国語大辞典の説明は、残りの命、その残りは,さかりを過ぎた後、となるが、その時とはいつか。中国語の虎に、hǔ kǒu yú shēng 虎口余生
成語・格言(形式)、九死に一生を得る、と見えて、これは、死ぬ境にあるようである。現代語で、職を退いてからとあるのは、社会活動の仕事を意味して、年をとり、1線から退くことであろうか。第二の人生には、>芸術は第二の人生である《阿部次郎「三太郎の日記」から》芸術は人生そのものを描くものとして、創作者のもう一つの生き方の表現である。日本国語大辞典 という解釈もある。さて余生をどう考えるか、生涯を送ってみなければわからないし、その一生には何がさかりであったか、仕事であったかと、振り返るときがあるかどうかである。死ぬ思いをすれば生き残ったということで、余生となるとは限らない。どうにも、残された人生と、そう思う時点で、余生が始まるようである。
日本国語大辞典の用例
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*日本往生極楽記〔983〜987頃〕善謝「梵福山裡。閑送余生」
*本朝麗藻〔1010か〕上・花落春帰路〈藤原伊周〉「年月推遷齢漸老、余生只有憶恩心」
*星巖集‐丙集〔1837〕京甸集・秋夕書懐寄弟「余生廓落難為計、暮雨森沈欲作霖」
*徳山道助の帰郷〔1967〕〈柏原兵三〉一「余った金で余生を食いつないで行こうと思った」
*謝霊運‐擬魏太子中集詩・陳琳「余生幸已多、矧廼値明徳」
大辞林 第三版の解説
よせい【余生】
年をとり職を退いてから送る生活。残されている人生。 「 -を楽しく送る」
よ‐せい【余生】 の意味
出典:デジタル大辞泉
盛りの時期を過ぎた残りの生涯。残された人生。「静かに余生を送る」「余生を楽しむ」
よ‐せい【余生】例文一覧 18件
・・・そして、夭折した二児のことを考えるたびに、せめて、正しく生きる為には、余生をいかなる苛竦な鞭で打たるゝとも辞さないと思うのです。 こうした苦しみは、独り私達ばかりでなかった。そして、私達が、まだまだどん底の生活をして来たとは思われない。・・・<小川未明「貧乏線に終始して」青空文庫>
・・・故人となってしまった人というならまだしも、七十五歳の高齢とはいえ今なお安らかな余生を送っている人を、その人と一面識もない私が六年前の古い新聞の観戦記事の切り抜きをたよりに何の断りなしに勝手な想像を加えて書いたというだけでも失礼であろう。しか・・・<織田作之助「勝負師」青空文庫>
・・・九州の土地でたとえ職工をしてでも自活し、娘を引き取って余生を暮したい。蝶子にも重々気の毒だが、よろしく伝えてくれ。蝶子もまだ若いからこの先……などとあった。見せたらことだと種吉は焼き捨てた。 十日経ち、柳吉はひょっくり「サロン蝶柳」へ戻・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
・・・ もし赤穂浪士をゆるして死をたもうことがなかったならば、彼ら四十七人は、ことごとく光栄ある余生を送って、終りをまっとうしえたであろうか。そのうち、あるいは死よりも劣った不幸の人、もしくは醜辱の人を出すことがなかったであろうか。生死いずれ・・・<幸徳秋水「死刑の前」青空文庫>
・・・ 若し赤穂義士を許して死を賜うことなかったならば、彼等四十七人は尽く光栄ある余生を送りて、終りを克くし得たであろう歟、其中或は死よりも劣れる不幸の人、若くば醜辱の人を出すことなかったであろう歟、生死孰れが彼等の為めに幸福なりし歟、是れ問・・・<幸徳秋水「死生」青空文庫>
・・・あの養子を助けて、家の手伝いでもして、時には姉さんの好きな花でも植えて、余生を送るという気には成れないものですかなあ」「熊吉や、それは自分の娘でも満足な身体で、その娘に養子でもした人に言うことだぞや。あの旦那が亡くなってから、俺はもう小・・・<島崎藤村「ある女の生涯」青空文庫>
・・・先生は又、あの塾で一緒に仕事をしている大尉が土地から出た軍人だが、既に恩給を受ける身で、読みかつ耕すことに余生を送ろうとして、昔懐しい故郷の城址の側に退いた人であることを話した。「正木さんでも、私でも――矢張、この鉱泉の株主ということに・・・<島崎藤村「岩石の間」青空文庫>
・・・私もやっぱり、金でもたくわえて置いて、余生を安く送ろうとするような年ごろに達したのかもしれない。日あたりも悪く、風通しも悪く、午後の四時というと階下にある冬の障子はもう薄暗くなって、夏はまた二階に照りつける西日も耐えがたいこんな谷の中の借家・・・<島崎藤村「分配」青空文庫>
・・・ナポレオンが三十すぎたらもう、わが余生は、などと言っていたそうですが、あれが判って、可笑しくて仕様が無い。」「余生ということを、あなた自身に感じるのですか?」「僕は、ナポレオンじゃ無いし、そんな、まさか、そんな、まるで違うのですが、・・・<太宰治「鴎」青空文庫>
・・・に達した観がございまして、あの婆さん教授に依って詩の舌を根こそぎむしり取られました私も、まだ女性を訴える舌だけは、この新憲法の男女同権、言論の自由に依って許されている筈でございますから、私のこれからの余生は挙げて、この女性の暴力の摘発にささ・・・<太宰治「男女同権」青空文庫>
・・・私はこの本一冊を創るためにのみ生れた。きょうよりのちの私は全くの死骸である。私は余生を送って行く。そうして、私がこののち永く生きながらえ、再度、短篇集を出さなければならぬことがあるとしても、私はそれに、「歌留多」と名づけてやろうと思って居る・・・<太宰治「もの思う葦」青空文庫>
・・・森へ帰って、あたりまえの、つまらぬ婆として余生を送ろう。世の中には、わしにわからぬ事もあるわい。」そう言って、魔法の祭壇をどんと蹴飛ばし、煖炉にくべて燃やしてしまった。祭壇の諸道具は、それから七日七晩、蒼い火を挙げて燃えつづけていたという。・・・<太宰治「ろまん燈籠」青空文庫>
・・・もし事情が許せば、静かなこの町で隠逸な余生を楽しむ場合、陽気でも陰気でもなく、意気でも野暮でもなく、なおまた、若くもなく老けてもいない、そしてばかでも高慢でもない代りに、そう悧巧でも愚図でもないような彼女と同棲しうるときの、寂しい幸福を想像・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
・・・多くの人の玩弄物になると同時に、多くの人を弄んで、浮きつ沈みつ定めなき不徳と淫蕩の生涯の、その果がこの河添いの妾宅に余生を送る事になったのである。深川の湿地に生れて吉原の水に育ったので、顔の色は生れつき浅黒い。一度髪の毛がすっかり抜けた事が・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
・・・わたくしは老後の余生を偸むについては、唯世の風潮に従って、その日その日を送りすごして行けばよい。雷同し謳歌して行くより外には安全なる処世の道はないように考えられている。この場合わが身一つの外に、三界の首枷というもののないことは、誠にこの上も・・・<永井荷風「西瓜」青空文庫>
・・・そうしてその多くの人々に代わって、先生につつがなき航海と、穏やかな余生とを、心から祈るのである。<夏目漱石「ケーベル先生の告別」青空文庫>
・・・は、戦場で、最新式の武器で、兵士という名でそこへ送り出されたそれぞれの国の人民たちに殺し合いをさせるばかりか、軍需生産という巨大な歯車に小経営者の破産をひっかけ、勤労者をしぼり上げ、女子供から年よりの余生までを狩りたてて、独占資本という太い・・・<宮本百合子「便乗の図絵」青空文庫>
・・・そういう縁故があれば、A子さんが働いて義理のお姑さんの余生をすごさしてあげなくてもよいということにもなるのでしょうが――。 A子さんが働いてその方の世話を見なければ、とかかれていますが、この働くということばは、どういう内容で云われている・・・<宮本百合子「三つのばあい・未亡人はどう生きたらいいか」青空文庫>
成語・格言(形式)、九死に一生を得る、と見えて、これは、死ぬ境にあるようである。現代語で、職を退いてからとあるのは、社会活動の仕事を意味して、年をとり、1線から退くことであろうか。第二の人生には、>芸術は第二の人生である《阿部次郎「三太郎の日記」から》芸術は人生そのものを描くものとして、創作者のもう一つの生き方の表現である。日本国語大辞典 という解釈もある。さて余生をどう考えるか、生涯を送ってみなければわからないし、その一生には何がさかりであったか、仕事であったかと、振り返るときがあるかどうかである。死ぬ思いをすれば生き残ったということで、余生となるとは限らない。どうにも、残された人生と、そう思う時点で、余生が始まるようである。
日本国語大辞典の用例
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*日本往生極楽記〔983〜987頃〕善謝「梵福山裡。閑送余生」
*本朝麗藻〔1010か〕上・花落春帰路〈藤原伊周〉「年月推遷齢漸老、余生只有憶恩心」
*星巖集‐丙集〔1837〕京甸集・秋夕書懐寄弟「余生廓落難為計、暮雨森沈欲作霖」
*徳山道助の帰郷〔1967〕〈柏原兵三〉一「余った金で余生を食いつないで行こうと思った」
*謝霊運‐擬魏太子中集詩・陳琳「余生幸已多、矧廼値明徳」
大辞林 第三版の解説
よせい【余生】
年をとり職を退いてから送る生活。残されている人生。 「 -を楽しく送る」
よ‐せい【余生】 の意味
出典:デジタル大辞泉
盛りの時期を過ぎた残りの生涯。残された人生。「静かに余生を送る」「余生を楽しむ」
よ‐せい【余生】例文一覧 18件
・・・そして、夭折した二児のことを考えるたびに、せめて、正しく生きる為には、余生をいかなる苛竦な鞭で打たるゝとも辞さないと思うのです。 こうした苦しみは、独り私達ばかりでなかった。そして、私達が、まだまだどん底の生活をして来たとは思われない。・・・<小川未明「貧乏線に終始して」青空文庫>
・・・故人となってしまった人というならまだしも、七十五歳の高齢とはいえ今なお安らかな余生を送っている人を、その人と一面識もない私が六年前の古い新聞の観戦記事の切り抜きをたよりに何の断りなしに勝手な想像を加えて書いたというだけでも失礼であろう。しか・・・<織田作之助「勝負師」青空文庫>
・・・九州の土地でたとえ職工をしてでも自活し、娘を引き取って余生を暮したい。蝶子にも重々気の毒だが、よろしく伝えてくれ。蝶子もまだ若いからこの先……などとあった。見せたらことだと種吉は焼き捨てた。 十日経ち、柳吉はひょっくり「サロン蝶柳」へ戻・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
・・・ もし赤穂浪士をゆるして死をたもうことがなかったならば、彼ら四十七人は、ことごとく光栄ある余生を送って、終りをまっとうしえたであろうか。そのうち、あるいは死よりも劣った不幸の人、もしくは醜辱の人を出すことがなかったであろうか。生死いずれ・・・<幸徳秋水「死刑の前」青空文庫>
・・・ 若し赤穂義士を許して死を賜うことなかったならば、彼等四十七人は尽く光栄ある余生を送りて、終りを克くし得たであろう歟、其中或は死よりも劣れる不幸の人、若くば醜辱の人を出すことなかったであろう歟、生死孰れが彼等の為めに幸福なりし歟、是れ問・・・<幸徳秋水「死生」青空文庫>
・・・あの養子を助けて、家の手伝いでもして、時には姉さんの好きな花でも植えて、余生を送るという気には成れないものですかなあ」「熊吉や、それは自分の娘でも満足な身体で、その娘に養子でもした人に言うことだぞや。あの旦那が亡くなってから、俺はもう小・・・<島崎藤村「ある女の生涯」青空文庫>
・・・先生は又、あの塾で一緒に仕事をしている大尉が土地から出た軍人だが、既に恩給を受ける身で、読みかつ耕すことに余生を送ろうとして、昔懐しい故郷の城址の側に退いた人であることを話した。「正木さんでも、私でも――矢張、この鉱泉の株主ということに・・・<島崎藤村「岩石の間」青空文庫>
・・・私もやっぱり、金でもたくわえて置いて、余生を安く送ろうとするような年ごろに達したのかもしれない。日あたりも悪く、風通しも悪く、午後の四時というと階下にある冬の障子はもう薄暗くなって、夏はまた二階に照りつける西日も耐えがたいこんな谷の中の借家・・・<島崎藤村「分配」青空文庫>
・・・ナポレオンが三十すぎたらもう、わが余生は、などと言っていたそうですが、あれが判って、可笑しくて仕様が無い。」「余生ということを、あなた自身に感じるのですか?」「僕は、ナポレオンじゃ無いし、そんな、まさか、そんな、まるで違うのですが、・・・<太宰治「鴎」青空文庫>
・・・に達した観がございまして、あの婆さん教授に依って詩の舌を根こそぎむしり取られました私も、まだ女性を訴える舌だけは、この新憲法の男女同権、言論の自由に依って許されている筈でございますから、私のこれからの余生は挙げて、この女性の暴力の摘発にささ・・・<太宰治「男女同権」青空文庫>
・・・私はこの本一冊を創るためにのみ生れた。きょうよりのちの私は全くの死骸である。私は余生を送って行く。そうして、私がこののち永く生きながらえ、再度、短篇集を出さなければならぬことがあるとしても、私はそれに、「歌留多」と名づけてやろうと思って居る・・・<太宰治「もの思う葦」青空文庫>
・・・森へ帰って、あたりまえの、つまらぬ婆として余生を送ろう。世の中には、わしにわからぬ事もあるわい。」そう言って、魔法の祭壇をどんと蹴飛ばし、煖炉にくべて燃やしてしまった。祭壇の諸道具は、それから七日七晩、蒼い火を挙げて燃えつづけていたという。・・・<太宰治「ろまん燈籠」青空文庫>
・・・もし事情が許せば、静かなこの町で隠逸な余生を楽しむ場合、陽気でも陰気でもなく、意気でも野暮でもなく、なおまた、若くもなく老けてもいない、そしてばかでも高慢でもない代りに、そう悧巧でも愚図でもないような彼女と同棲しうるときの、寂しい幸福を想像・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
・・・多くの人の玩弄物になると同時に、多くの人を弄んで、浮きつ沈みつ定めなき不徳と淫蕩の生涯の、その果がこの河添いの妾宅に余生を送る事になったのである。深川の湿地に生れて吉原の水に育ったので、顔の色は生れつき浅黒い。一度髪の毛がすっかり抜けた事が・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
・・・わたくしは老後の余生を偸むについては、唯世の風潮に従って、その日その日を送りすごして行けばよい。雷同し謳歌して行くより外には安全なる処世の道はないように考えられている。この場合わが身一つの外に、三界の首枷というもののないことは、誠にこの上も・・・<永井荷風「西瓜」青空文庫>
・・・そうしてその多くの人々に代わって、先生につつがなき航海と、穏やかな余生とを、心から祈るのである。<夏目漱石「ケーベル先生の告別」青空文庫>
・・・は、戦場で、最新式の武器で、兵士という名でそこへ送り出されたそれぞれの国の人民たちに殺し合いをさせるばかりか、軍需生産という巨大な歯車に小経営者の破産をひっかけ、勤労者をしぼり上げ、女子供から年よりの余生までを狩りたてて、独占資本という太い・・・<宮本百合子「便乗の図絵」青空文庫>
・・・そういう縁故があれば、A子さんが働いて義理のお姑さんの余生をすごさしてあげなくてもよいということにもなるのでしょうが――。 A子さんが働いてその方の世話を見なければ、とかかれていますが、この働くということばは、どういう内容で云われている・・・<宮本百合子「三つのばあい・未亡人はどう生きたらいいか」青空文庫>