内気な高校生のコユキ(田中幸雄/佐藤健)は、ある日、ニューヨーク帰りで天才的なギターテクニックを持つ竜介(水嶋ヒロ)と運命的な出会いをし、音楽の道にのめり込んでいく。
ボーカルの千葉(桐谷健太)、ベースの平(向井理)、そしてコユキの親友サク(中村蒼)がドラムに加わり、バンド「BECK」が結成された。
ライブハウスでの活躍、自主制作CDの作成、そして大型ロックフェスへの出演が決まり、メジャーへの道を進み始めたように見えたその矢先、ライバルバンドの大物プロデューサーが罠を仕掛ける…
ハロルド作石の人気コミックの映画化。
原作は累計発行部数1500万部という大ヒット作であり、映像化は不可能と言われてきた。
それもそのはず。
原作では音楽のシーンで歌詞やメロディの表記が無く、「BECK」の音楽世界は全て読者の思い描くイメージに委ねられているのである。
つまり、奇跡的に集まったメンバーによる「BECK」という“ミラクル”バンドが作り出すサウンドイメージは読者ひとりひとりの心の中にあり、どう表現しても誰の心にも響かない可能性があるという、映像化に対するチョモランマどころではない大きな障壁が立ち塞がっているのだ。
中でも、隠れた才能を開花させ、“奇跡のボーカル”で聞く者全てを虜にするコユキの歌声は、本作における最重要ポイントであり、読者から最も注目されるところ。
これまで公開されてきた音楽シーンを伴う映画の中のどの作品よりも、そのサウンドが作品に与える影響は強大であり、その不出来は作品に対する凄まじい破壊力を持つ。
こう書いているだけで、よくもまあ映画化しようと思ったな!と思えてくる本作だが、そんな映画史上最困難とも言える難事業に挑んだのは、「20世紀少年」シリーズで、原作のファンの期待を裏切ることなく原作をイメージ通りに映画化したと定評のある堤幸彦。
かのコユキの“奇跡のボーカル”を、思わず
「え!?」
と声に出てしまう表現方法で、見事に映像化してみせた。
「そうきたか!」とニヤリとさせられながら、TVドラマの「TRICK」で意表を突かれたときの感覚そのままの、“いかにも堤監督”な作品に仕上がっている。
原作のファンも、レベルの差こそあれ全員納得なのではないだろうか?
原作を知らなくても全く問題無し。
若い頃、音楽に夢中にのめりこんだ「オヤジバンド」世代には、奇跡のメンバー達の音楽に対するピュアな姿勢が胸を打つ。
かつてのたぎる情熱を思い出し、「BECK」がのし上がっていく様子に喝采を送らずにはいられないだろう。
音楽に純粋な若い情熱がほとばしり、熱い思いが観る者の心も熱くする秀作!
「BECK」
2010年/日本 監督:堤幸彦
原作:ハロルド作石
出演:水嶋ヒロ、佐藤健、桐谷健太、忽那汐里、中村蒼、向井理
ボーカルの千葉(桐谷健太)、ベースの平(向井理)、そしてコユキの親友サク(中村蒼)がドラムに加わり、バンド「BECK」が結成された。
ライブハウスでの活躍、自主制作CDの作成、そして大型ロックフェスへの出演が決まり、メジャーへの道を進み始めたように見えたその矢先、ライバルバンドの大物プロデューサーが罠を仕掛ける…
ハロルド作石の人気コミックの映画化。
原作は累計発行部数1500万部という大ヒット作であり、映像化は不可能と言われてきた。
それもそのはず。
原作では音楽のシーンで歌詞やメロディの表記が無く、「BECK」の音楽世界は全て読者の思い描くイメージに委ねられているのである。
つまり、奇跡的に集まったメンバーによる「BECK」という“ミラクル”バンドが作り出すサウンドイメージは読者ひとりひとりの心の中にあり、どう表現しても誰の心にも響かない可能性があるという、映像化に対するチョモランマどころではない大きな障壁が立ち塞がっているのだ。
中でも、隠れた才能を開花させ、“奇跡のボーカル”で聞く者全てを虜にするコユキの歌声は、本作における最重要ポイントであり、読者から最も注目されるところ。
これまで公開されてきた音楽シーンを伴う映画の中のどの作品よりも、そのサウンドが作品に与える影響は強大であり、その不出来は作品に対する凄まじい破壊力を持つ。
こう書いているだけで、よくもまあ映画化しようと思ったな!と思えてくる本作だが、そんな映画史上最困難とも言える難事業に挑んだのは、「20世紀少年」シリーズで、原作のファンの期待を裏切ることなく原作をイメージ通りに映画化したと定評のある堤幸彦。
かのコユキの“奇跡のボーカル”を、思わず
「え!?」
と声に出てしまう表現方法で、見事に映像化してみせた。
「そうきたか!」とニヤリとさせられながら、TVドラマの「TRICK」で意表を突かれたときの感覚そのままの、“いかにも堤監督”な作品に仕上がっている。
原作のファンも、レベルの差こそあれ全員納得なのではないだろうか?
原作を知らなくても全く問題無し。
若い頃、音楽に夢中にのめりこんだ「オヤジバンド」世代には、奇跡のメンバー達の音楽に対するピュアな姿勢が胸を打つ。
かつてのたぎる情熱を思い出し、「BECK」がのし上がっていく様子に喝采を送らずにはいられないだろう。
音楽に純粋な若い情熱がほとばしり、熱い思いが観る者の心も熱くする秀作!
「BECK」
2010年/日本 監督:堤幸彦
原作:ハロルド作石
出演:水嶋ヒロ、佐藤健、桐谷健太、忽那汐里、中村蒼、向井理