石油会社を装ったアメリカCIA本部。
優秀な分析官であるイブリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、そこをCIAと知ったうえで訪れたロシアからの亡命者というオルロフ(ダニエル・オルブリフスキー)を尋問する。
ロシアの特殊スパイ養成機関の教官だったという彼は、アメリカに長年潜伏してきたロシアのスパイが、アメリカ副大統領の葬儀に参列するために訪米する予定のロシア大統領を暗殺すると告げる。
彼が告げたそのスパイの名は「イブリン・ソルト」。
突如として二重スパイの容疑をかけられたソルトは、身の潔白を訴えるが聞き入れられず、最愛の夫の身を案じてCIA本部から逃走する。
だが自宅に戻ってみると既に夫の姿はなく、何者かに連れ去られた形跡が残っていた。
翌日、副大統領の葬儀が行われる協会に姿を見せたソルトは、思いもよらぬ行動に出る…
アンジェリーナ・ジョリー、強い強い強い!
とにかく強い!
衝撃に強い、ケガに強い、とにかくカラダが尋常でなく強い!
「600万ドルの男」…もとい、女性なのだから「バイオニック・ジェミー」か!?
いや、彼や彼女は殴られるようなことも銃で狙われるようなこともなく、ましてや激しいカーチェイスの果てに自分が乗っている自動車を高速道から落下させて逃げる、などというスーパーアクションをする必要などなかったのだから、いくら彼・彼女がサイボーグとはいえ、本作のソルトの強さにはかなわない。
もともとアンジーにとってアクションはお手のもの。
見事なお手並みを拝見できるのだが、今までの中でも最強のキャラクターが誕生した。
数年前にアンジーが、製作準備中だった「007 カジノ・ロワイヤル」の話を聞いて、
「私がボンドをやりたいっ!」
と漏らしたことから、本作の主演に据える話が急浮上したとか。
当初の脚本では男性(そしてトム・クルーズを予定)としていた主人公が、急遽女性に書き換えられたという。
しかしそれでアクションの激しさが急激に緩むものではなく、かえって過去のヒロインものとは比べものにならない程、アクションもストーリーも格段にハードなものとなっている。
チャーリーズ・エンジェルがいくらフルスロットルしようとも、到底追いつくレベルのものではなくなったのだ!
そしてその主人公たるソルトには、アンジーの風貌がドンピシャ、ズバリとハマっており、他の女優はとても想像できない。
当然、リンゼイ・ワグナーでは補えない。
物語も、冷戦時代のソ連において実際に存在したという「KAプログラム」を下敷きにしていて興味深い。
この「KAプログラム」とは、優秀な子どもたちを集めて徹底したスパイ教育を施し、極めて厳しい訓練に耐えることができた精神的にも肉体的にもタフな者だけが選抜されてアメリカへと送り込まれ、ひとたび指令が下されれば一斉に戦争をしかける「Xデー」を何十年も待ち続けさせるというもの。
このベースによって本作は、リアリティ満点の骨太なハードボイルド作品に仕上がっている。
最後の最後まで、一体誰が味方で誰が敵で、誰が裏切り者で誰が正義を目指しているのか分からず、心地よい裏切りが続いて、スクリーンから目が離せない。
アンジーの活躍に対して「んなアホな!」とツッコむのは正しい鑑賞法ではない。
ただひたすら何も考えずに、“アンジー版ジェームズ・ボンド”のアクションを楽しんでいただきたい。
アクションスターとしてのアンジーの魅力が最大限に引き出された、娯楽スパイ活劇の傑作!
「ソルト」
2010/アメリカ 監督:フィリップ・ノイス
出演:アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、ダニエル・オルブリフスキー
優秀な分析官であるイブリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、そこをCIAと知ったうえで訪れたロシアからの亡命者というオルロフ(ダニエル・オルブリフスキー)を尋問する。
ロシアの特殊スパイ養成機関の教官だったという彼は、アメリカに長年潜伏してきたロシアのスパイが、アメリカ副大統領の葬儀に参列するために訪米する予定のロシア大統領を暗殺すると告げる。
彼が告げたそのスパイの名は「イブリン・ソルト」。
突如として二重スパイの容疑をかけられたソルトは、身の潔白を訴えるが聞き入れられず、最愛の夫の身を案じてCIA本部から逃走する。
だが自宅に戻ってみると既に夫の姿はなく、何者かに連れ去られた形跡が残っていた。
翌日、副大統領の葬儀が行われる協会に姿を見せたソルトは、思いもよらぬ行動に出る…
アンジェリーナ・ジョリー、強い強い強い!
とにかく強い!
衝撃に強い、ケガに強い、とにかくカラダが尋常でなく強い!
「600万ドルの男」…もとい、女性なのだから「バイオニック・ジェミー」か!?
いや、彼や彼女は殴られるようなことも銃で狙われるようなこともなく、ましてや激しいカーチェイスの果てに自分が乗っている自動車を高速道から落下させて逃げる、などというスーパーアクションをする必要などなかったのだから、いくら彼・彼女がサイボーグとはいえ、本作のソルトの強さにはかなわない。
もともとアンジーにとってアクションはお手のもの。
見事なお手並みを拝見できるのだが、今までの中でも最強のキャラクターが誕生した。
数年前にアンジーが、製作準備中だった「007 カジノ・ロワイヤル」の話を聞いて、
「私がボンドをやりたいっ!」
と漏らしたことから、本作の主演に据える話が急浮上したとか。
当初の脚本では男性(そしてトム・クルーズを予定)としていた主人公が、急遽女性に書き換えられたという。
しかしそれでアクションの激しさが急激に緩むものではなく、かえって過去のヒロインものとは比べものにならない程、アクションもストーリーも格段にハードなものとなっている。
チャーリーズ・エンジェルがいくらフルスロットルしようとも、到底追いつくレベルのものではなくなったのだ!
そしてその主人公たるソルトには、アンジーの風貌がドンピシャ、ズバリとハマっており、他の女優はとても想像できない。
当然、リンゼイ・ワグナーでは補えない。
物語も、冷戦時代のソ連において実際に存在したという「KAプログラム」を下敷きにしていて興味深い。
この「KAプログラム」とは、優秀な子どもたちを集めて徹底したスパイ教育を施し、極めて厳しい訓練に耐えることができた精神的にも肉体的にもタフな者だけが選抜されてアメリカへと送り込まれ、ひとたび指令が下されれば一斉に戦争をしかける「Xデー」を何十年も待ち続けさせるというもの。
このベースによって本作は、リアリティ満点の骨太なハードボイルド作品に仕上がっている。
最後の最後まで、一体誰が味方で誰が敵で、誰が裏切り者で誰が正義を目指しているのか分からず、心地よい裏切りが続いて、スクリーンから目が離せない。
アンジーの活躍に対して「んなアホな!」とツッコむのは正しい鑑賞法ではない。
ただひたすら何も考えずに、“アンジー版ジェームズ・ボンド”のアクションを楽しんでいただきたい。
アクションスターとしてのアンジーの魅力が最大限に引き出された、娯楽スパイ活劇の傑作!
「ソルト」
2010/アメリカ 監督:フィリップ・ノイス
出演:アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、ダニエル・オルブリフスキー