伊波塾長の気ままブログ

スタディの代表者の伊波勝也塾長が、日常の出来事や生徒の勉強について思いつくまま気ままに書き込んでいます。

巡り合わせ

2013-08-22 17:41:25 | Weblog
いとこの息子が、この春、県内の公立高校から現役で東京大学に合格した。現役で東大というと、そんな公立高校は限られてくるのだが。

小さい頃、父親が亡くなり、その子は母親だけという片親のもとで育っていった。普通の予備校や塾には通っておらず、英語専門の塾に通っただけだったという。金のかからない孝行息子である。

いとこの家庭は決して裕福ではなく、母親が仕事をしながら子供たちを育てていった。まだ下の子供たちが残っているので、しばらくは大変なのだろう。

人の能力とは何なのか。人の能力を引き出すものは何なのか。優しい穏やかな血筋と母親の柔らかい笑顔、そして父親からもらった資質、父親の早逝という巡り合わせ。

好むと好まざるとに関わらず、人はある環境のもとに生まれる。その環境は本人だけのものであり本人だけしか知らない。巡り合わせで与えられた環境が、一人ひとりの出発点である。

与えられた出発点を変えることはできない。親を選ぶことはできないし、育っていく家庭を選ぶこともできない。しかし、出発点の意味は変えることができる。

巡り合わせの環境とどう向かい合うか、それをどう意味づけるか。人の生き方は、子供の頃から試される。

人を動かすとは

2013-08-03 18:07:32 | Weblog
人を動かすとは、人の自由意志と行動への介入であり、人の自由意志への越権行為である。越権行為なのだから、人を動かすにはそれだけの覚悟が必要である。

人は、自らの自由意志により自己の自由意志を他者に委ねることがある。共通の目的を持つ組織は、目標達成のために組織の構成員に自由意志の委任を求める。自由意志の委任を求めるのだから、その目的は倫理的にも社会的にも正当なものでなければならない。

塾の先生は生徒の学力・成績向上という目標達成のために、ときには生徒に自由意志の委任を求める。生徒は自由意志の判断を塾に委ねるので、実際の勉強だけに意識を集中することができる。

たとえ生徒が自らの意志で自由意志を塾に委ねているとはいえ、人の自由意志へ介入していることに変わりはない。それだけの覚悟を持って生徒を動かしているのか、先生方は常に自問しなければならない。その自問と反省が、塾の授業をより効果的で充実したものにしていく。