まだ寒さは残るものの梅の花がほころび始め、春が間近になるこの時期は、新入学そして新社会人が誕生し、街も賑わいが出てくる季節。これに伴う引っ越しが盛んになることもあり、通信業界の最大の商戦期となる。
今年は、各社が光回線とモバイルをセットにしたメニューを用意。一見、自分には関係ないと感じるかもしれないが、光回線サービスの契約者は全国約2600万世帯。セット割引への転用手続きをするだけで通信費の割引を受けられるユーザーは少なくない。これにより、家で使用するインターネットは「フレッツ光」に、モバイルは「各キャリア」にとバラバラで契約するのではなく、固定とモバイルの通信費をひとつにまとめる時代に突入した。そのため、これからの通信費は例年とは違ったものさしで考える必要がある。何と言っても話題の中心は、ドコモがNTT東西の光回線卸販売(コラボレーションモデル)を活用して提供する「ドコモ光」、そして同メニューとセットにすると通信費の軽減が期待できる「光シェアパック」および「光データパック」だろう。
ドコモは携帯電話回線と光回線のセット販売サービス「ドコモ光」を3月1日から開始する。
この固定回線とモバイルをセットにしたメニューについては、さまざまな情報があるためわかりにくいと感じている方も少なくないはず。そこで、もっとも話題のドコモのメニューを端的にご紹介するので、このものさしで考えてみることをご提案してみたい。
まず、ドコモのセットメニューの大きな特徴は、以下の3つが挙げられる。
1.光ファイバーによる最大1Gbpsの高速データ通信が可能
2.ひかり電話契約など、オプション契約がセットではない
3.割り引き額が、永年変わらない
このほかにも、ショップの応対品質なども挙げることはできるが、比較的わかりやすい形で違いを示すと、この3つが考えられる。
1. 光ファイバーによる最大1Gbpsの高速データ通信が可能
この点は意外に注目されていないのだが、NTT東西の光コラボレーションモデルは、通信速度が最大1Gbpsとなる。従来の「フレッツ光」では、下りの通信速度が最大200Mbps、上りの通信速度が最大100Mbps(NTT東日本の「フレッツ光ネクストハイスピードタイプ」)だったのに対し、「ドコモ光」では、上り下りとも通信速度が最大1Gbpsと格段に速くなる。そのため動画などの映像を楽しんだり、各社が提供するクラウドストレージサービスなどを活用する際、快適な環境になる。
ドコモによると、「現在NTT東西が提供する「フレッツ光」は、約1900万世帯が契約をしていて、日本のインターネット契約世帯の約70%に相当」する。その理由は、一戸建てや集合住宅に関係なく、高速通信サービスが提供できるというNTT東西の光ファイバー網ならでは特徴。インターネット回線を選ぶわけだから、その通信速度は基本中の基本であるほか、回線を契約する住まいで利用できるか否かも重要な点だろう。
2. ひかり電話契約など、オプション契約が必須条件ではない
ドコモのセットメニューでは、月額500円程度かかる自宅のひかり電話サービスの契約が必須条件とならない。この点は意外と見落とされがちだが、ドコモの「光シェアパック」および「光データパック」を契約する際は、「カケホーダイ」(スマートフォンは2700円、ケータイは2200円)の基本料金が選べる。となると、自宅の電話を契約する必要はあるのだろうか。
総務省の2013年の家計調査では、1世帯あたりの携帯電話(ケータイ、スママートフォンを含む)の通信費は10年前の1.4倍で、固定通信も含めると通信費の総額は年間で12万3596円であることが明らかになっている。長引く不況感、消費税増税などの影響で、家計の支出を極力抑えたいと考えている方は少なくないはず。
こうした中で、かけ放題で使える携帯電話があるなかで、固定電話の契約を残す必要があるのだろうか? ドコモのセットメニューは、ケータイでもスマートフォンでも固定通信とのセットメニューが用意されている。これは思案のしどころといえないだろうか。
3. 割り引き額が、永年変わらない
この点は、これ以上の説明は要らないのだが、光回線は一度契約すると長期で継続契約をするのが基本なので、永年変わらないというのは大きなメリットだといえる。裏返していえばドコモ以外は、ケータイやスマートフォンの割り引き額が、一定期間過ぎると下がってしまうということだ。少し話は逸れるが、これはドコモに長期契約をしている人が多いため、乗り換えを促したいという思惑があることと無関係ではない。逆にドコモでは、5年以上、8年以上、10年以上、15年以上の契約者それぞれに相応の割引額(最大で2000円)を設定している。目の前の割り引き額に注目するか、長く契約するとより安くなるほうを選ぶのか? 単なる割引額競争ではなく、支払う総額で考える視点も持ちたい。
以上の3つのポイントなどを、大まかにまとめたのが以下の表となる。
※各社のホームページの情報を元に作成(2月12日時点)。
この表をみてわかるのが、他キャリアと比べて、対応しているインターネットサービスプロバイダー(ISP)の数が、ドコモの場合、圧倒的に多いということ。たとえば、「フレッツ光」を利用しているユーザーが、光コラボなどのサービスに契約する場合「転用」手続きが必要になるわけだが、ISPの契約変更をしなければならないとなると、当然、解約などの手続きも増えることになる。その点、ドコモ光は対応ISPとして、「ドコモnet」や数多くのISPの選択肢があるため、契約手続きも簡略化できる。メールアドレスやISP独自のサービスがそのまま使えることなど、特にシニア層にとっては、契約手続きが簡単だと非常にメリットを感じられるはずだ。
光回線を含めたメニューがポイントとなる2015年の春の通信サービス。どこのサービスがあなたに最適かを考える際の参考にしていただきたい。