【世界からみるWEST】尖閣問題、世界はどう見る? 米誌「日本に正当性ある」韓国紙「中国海軍が日本を追い越すだろう」
中国海警局の船舶は今年に入ってからも連日のように日本固有の領土である尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の接続水域を航行している。海洋進出を続ける中国に関し、世界はどうみているのか。米専門誌は「(尖閣問題は)日本に正当性がある」と指摘。一方で、韓国紙は中国の海洋戦力が今年末に日本を上回ると伝えている。
米外交専門誌ナショナル・インタレスト「日本の主張のほうがより正当性がある」
中国軍は昨年末、尖閣諸島を含む日本周辺の空海域で活動を活発化させた。
12月4日には中国海軍の駆逐艦やフリーゲート艦など4隻が鹿児島県の大隅海峡を通過、同25日には宗谷海峡を抜けて東シナ海に向けて航行していたことを、自衛隊が確認した。同6日以降には中国軍機が沖縄本島と宮古島の間を相次いで通過している。
尖閣周辺への海洋進出をめぐり、米外交専門誌ナショナル・インタレスト(電子版)は1月15日付で「お気の毒です、中国 尖閣問題では日本の主張のほうがより正当性がある」と題した記事を掲載した。
記事では、日本固有の領土である尖閣諸島を日中で“共同管理”するという有識者の提案を踏まえ、「日本を疎んじた形。こうした妥協は日本にとって不公平だ」などと指摘。尖閣諸島をめぐる経済活動が行われた経緯や歴史的事実に加え、20、21世紀に出されている国際法の原則などを勘案した結果、「日本の主張のほうが有利だ」との見方を示している。
英BBC「無人島がいかに関係を悪化させたか」
尖閣諸島をめぐる対応が、近年の日中関係にいかに影響を及ぼしているかについて、英BBC放送(電子版)は昨年11月10日付で「無人島が日中関係をいかに悪くさせたか」と題した記事で検証した。
尖閣諸島を日本が支配していることを明記した上で、その重要性は油田やガス田などの埋蔵が期待されていることから、重要度を増しているなどと指摘。その上で、中国が尖閣問題でより強い姿勢を示し、東シナ海、南シナ海での領土に関する要求を強めた場合、日本だけではなく、米国にとっても懸念材料は増えるなどと強調している。
韓国・中央日報「中国の海軍力が日本を追い越す」
東シナ海での「緊張」が高まる中、日中の衝突が本当に起きないのだろうか。海上自衛隊と中国海軍の間で不測の事態を回避するための「海上連絡メカニズム」の運用開始に向けた防衛当局間の作業部会が1月12日に開かれたが、そうした懸念の解消のめどが立ったとは言い難い。
韓国の中央日報(電子版)は、中国が尖閣諸島を含む東シナ海だけでなく、南シナ海などを勢力圏と宣言し、海軍戦力の強化に拍車を加えていると指摘している。記事の中では、英国の軍事専門誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーの分析として「イージス艦戦力の充実度を挙げ、中国の海軍力が今年初めて日本を追い越す」としている。中国は駆逐艦を次々と就役させ、年末にはイージス艦戦力が日本の1・5倍以上になるという。
中国・人民日報「4つの理由」
中国の人民日報(日本語電子版)はかつて「釣魚島(尖閣諸島の中国名)が日本のものではない4つの理由」と題した記事を掲載した。その中では(1)日本の統治権を認めた1951年のサンフランシスコ講和条約が不法な条約で合法ではない(2)尖閣は沖縄に属する(3)沖縄はかつての中国の藩属国で、日本に属さない(4)ポツダム宣言の日本の版図に沖縄、尖閣は含まれていない-ことを挙げている。
今年2月10日の同紙は、9日の全国海洋会議で、王宏国家海洋局長が「今年中国は海洋権益の維持を的確に強化し、海、空、宇宙の立体化権益維持システムを着実に仕上げるとともに、全海域で石油・天然ガスの探査・開発、定期巡航法執行・検査などを展開する」と述べたと伝えた。
尖閣諸島付近の接続領域を連日のように航行し、ときに領海侵入さえ厭わない中国。同紙によると、王氏は会議で、昨年は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)の常態化主権維持巡航を継続」したなどと言及したといい、今年も島嶼部の主権を断固として守るなどと強調したと紹介した。