25歳から48歳まで続けてきた僕の最後のニュージーランド自転車旅が終わった。
本当に終わってしまった。
僕の実家が、離れていく。

娘と強めのハグをして別れた。

彼女は中学3年生。
僕はもう来ないということを何となく察したようだ。

ここは、ニュージーランド南島のクライストチャーチの閑静な住宅地にある。
兄弟と呼び合い認め合う、親友の家だ。

自分の家も同然に使わせてもらってきた。
真に僕は家族の一員だった。

兄弟の家族は僕の家族も同然だ。
本当の家族だと思ってきた。

ここは長く、僕の魂の置き場だった。
いや、
これからもだ。

今回がニュージーランド最後の旅と決めた。
しかし、
正直言って、決心は揺れ動く。

初めて年齢を実感した旅だった。
ニュージーランドはユルいはずなのだが、
キツく感じることがあった。

いや、
修羅場やキツい旅でも肝がすわっていたはずの自分のメンタルが、いつの間にか意外と脆くなっていることを思い知った。
これは、まずい傾向だ。

これまでのように自転車で激しい旅をするには、残された時間はそう長くはないだろうと感じた。
ヨーロッパならば60を過ぎても平気だろう。しかし、辺境の旅はどうだろう。
ニュージーランドは、いつもゆったりとしている。
新鮮で豊富な真水があり、気候も人々も優しく穏やかで、極めて安全だった。
快適過ぎて、少し甘えていたかもしれない。
でも俺の旅は、まだここでは終われない。
弛緩してはいけないんだ。
次に進まなければならない。
もう時は、いくらも待ってはくれないだろう。
でも心から好きなのだ、ニュージーランドが。
適度に辺境、適度に優しい。
大地、空、水、雲、森…そして西風。打ち付ける波飛沫。森羅万象の祝福。
去りたくない。
本当は、毎回ずっと、これからも、
ニュージーランドでいいと思っていたのだ、少し前までは。
友よ、友よ、親愛なる友たちよ。また会おう。
必ずだ。
ブログの読者の皆さんすまない。
今日の山小屋は、ちょっと…だ。

そんな僕の事情など関係なく、飛行機はあっという間にクライストチャーチを飛び立った。

翼に月が写り、輝く。

ニュージーランドの今夜は、
スーパームーンだという。
それはやけに、眩しい。