イリアス結構好きで、舞台化ときいてチケット取ってみました。
いや、もともとブラピがアキレウスをやった映画「トロイ」が面白かったので原作の叙事詩を頑張って読んだのがきっかけで好きになったのですが。
日本人の脚本による新しい作品ときいてちょっと心配してましたが、なかなか上手いこと舞台化してたと思います。
しかし、まさかのウッチー浮気報道でいきなり話題の舞台?になってしまって・・・しかも行ったのはウッチーのバースデー当日だったという・・・知らずに取ってたんですけどねー。
報道陣には気付かなかったですが、カーテンコールがやけに盛り上がってて・・・女性ファンが「頑張ってー」みたいな雰囲気でしたね。まあいい舞台だったことはいい舞台だったんですけど。
ちなみに私ウッチーも結構好きですが、奥さんの方がもっと好きなので・・・(笑)
本当は同じ日にヨッシーのコンサートに奥さんがゲスト出演してる方に行きたかったんですが、先にこっちのチケット取っちゃってまして。
イリアスを現代で見せるに当たって難しいのが神々の存在だと思うのですが・・・
映画「トロイ」では、見事に「神々は本当は存在しない」という立場を貫いていて、それはそれで面白かったのですが。(でもあれだとプリアモスが単身アキレウスのところに行けたのが謎なんですけど・・・)
この舞台では、その神々の取り扱いもなかなか上手いなーという感じでした。
最初に舞台に5人の女性が体に血の跡を見せて倒れていて、戦いの犠牲になった女性たちを思わせるのですが、彼女たちが立ち上がり、次第に戦乙女のような存在として、ナレーターとして、神々として、時にギリシア軍の兵士の代わりとして立ち回ります。
彼女たちがカッコイイんですよね~。
5人のうち一人に宇野まり絵ちゃんがいてちょっと嬉しかったですね~。(彼女のガヴローシュ好きでした
)
群集も全て5人でまかなっているくらいで、登場人物もいたってシンプル。
ギリシア側は4人しか登場しません。アキレウス、アガメムノン、オデュッセウス、パトロクロスのみ。
まあこの人たちだけいれば話回ると言えば回りますが・・・
そしてトロイア側はヘクトル、プリアモス、アンドロマケ、そして原作ではほとんど出てこないカッサンドラの4人のみ。(カッサンドラ原作には出てこなかったような・・・と思って確認したら、ちょろっとだけ出てました。カメオ程度に・・・)
パリスもヘレネも出てこないのはびっくりでしたねー。思い切りましたね。パリスとメネラオスの対決は、当人たち不在で戦乙女たち(と勝手に命名)のナレーションで進むのですが、これがなかなかカッコよくて。
この登場人物たちを削ってシンプルにしたところも上手かったなーと思います。
登場人物減らしながら、逆に原作にはほぼ出てこないカッサンドラを出して来たのも面白かったです。
カッサンドラが予知の力のために全ての結果を知りながら物語を見つめている様が、結末を知っている後世の我々の立場と重なって・・・。もともとイリアスって、当時の人々が皆知っている物語を再構築したものですからね。そのあたりもなんか気に入りました。
でもいくら新妻聖子さんだからってあんなに歌わなくてもと思いましたが・・・BGM程度に歌うくらいでカッコよかったのに。
ずっと無表情だったので、カーテンコールでにっこりしたらすごいかわいかったです・・・(笑)
あとはアンドロマケが戦いに翻弄される女たちの代表として効いてました。
ウッチーのアキレウスは、なんか腕広げてガニマタで歩く姿が笑えたんですけど・・・(汗)アガメムノンに女を取られて怒るところとか、パトロクロスの死に嘆くところとか、なんかむしろ笑えたのですが、アキレウスってそういうキャラだよな・・・と考えるとまあぴったりだったかな(汗)
アキレウスのスカート丈(汗)が結構短くて、バクシアニメのアラゴルンよろしくおっさんパン○ラなんてことになったらどうしようかと思いましたが(笑)なんか黒い長めのスパッツのようなもの履いてたようです(笑)
オデュッセウスは知将というのを強調してか、戦士の格好ではなくて長いローブだったのがちょっと違和感・・・まああれ以上おっさんのミニスカ姿見せられても・・・だったのでいいですけど(汗)(いやそんな短くもなかったですけど)
木場勝己さんのアガメムノンが結構知的でカッコ良くて違和感・・・アガメムノンと言えば横暴で無能な王、というイメージだったんですが、そのあたりを覆す感じでした。
まあ2幕では従来のイメージのアガメムノンになってましたけど・・・でも時折ナレーションを担当したりするとやっぱり知的なイメージになってしまう・・・まあそれもいいのかな。
池内博之さんのヘクトルがカッコ良かったですね~。映画「トロイ」でもエリック・バナがカッコよかったけど、かなりエリック・バナのヘクトルのイメージに近かったです。
原作だとカッコイイというよりは怪力の大男って感じなんですけどね・・・(汗)
平幹二郎さんのプリアモスは、息子を失って正気を失うあたりがさすが。
ちょっとデネソールやって欲しいかなと思ってしまいました・・・(どんなシチュエーションでそんなのあり!?(笑))
パトロクロスはもうちょっとかわいいと良かったかなーというのは個人的な感想です・・・(汗)
アキレウスと同性愛的な雰囲気、というのは、パトロクロスの死後の場面でだけ出てきてましたが、バランスとしては良かったかなと。最初からあんな感じではちょっとひいてしまいますからねー(汗)映画ではパトロクロスを幼くすることでそのあたりの表現は避けてましたけどね。(原作でも決して同性愛的な描写はないんですが、アキレウスの嘆き方が尋常じゃないのでやっぱり・・・という感じはありますね。映画「アレキサンダー」ではパトロクロスのことはっきりとアキレウスの恋人と言ってたし)
舞台ながら、パトロクロスが殺される場面など、これでもか、という残虐さを表していて、原作の雰囲気は出てましたねー。
戦乙女たちや他の登場人物たちのナレーションで物語が進む場面が多いのも、叙事詩っぽい感じが出てました。
戦いの場面も、ナレーションを上手く使ってたのと、アキレウスやヘクトルの登場させ方も上手かったですねー。
二人の対決シーンもなかなか頑張ってて、迫力ありました。
音楽も、エレキヴァイオリンとか生のヴィオラ(多分)とかを使い分けて、なかなか雰囲気出てました。もうちょっと演奏上手ければなーというところもありましたが・・・(汗)
カーテンコールでたった三人でやっていたと知ってちょっとびっくりしました。
というわけで、予想以上に上手いこと舞台化したな、という感じでした。なかなか楽しめました。
再演があったら行っちゃうかも、くらい気に入りましたよ。