12/27公開の、ローハンのヘルム王の時代のダンレンディング(褐色人)との戦いを描いたアニメ映画、「ローハンの戦い」を観て来ました。
字幕・吹き替えそれぞれ1回ずつ見た時点での感想です。
内容のネタバレ全開ですので、未見の方はご注ください。
正直、あまり期待してなかったんですよね。というか、映像化にあたっては期待しないようにしている…力の指輪もそうでしたし、ホビットもそうでした。そもそもLotRの時も半信半疑で評判聞いてから観に行ったんですよね…
で、結論から言うと、結構気に入りました。複数回見るのに躊躇しないというのは結構気に入っている部類です。確認したいところがあるからというのがあるにしても💦
追補編で「ヘルム王の娘」とだけ記述があった王女をヘラという名前にして主人公に据えた作品ですが、上手いアイデアだなと思いました。ヘルム王の陰惨なエピソードだけでは1本の映画として成り立たないと思うので。
とは言え、一体どうやって結末をつけるのか、と思っていましたが、上手いことまとめたなと思いました。終盤はどうなるかと引き込まれました。ウルフが負けるのはわかっているけど、ヘラがどうなるかは原作に出てこないからわからないですからね……
ヘラは勇気があって自由奔放だけど、いざとなると決断力もあって民を守る行動もできる、ある意味優等生的な王女でした。(あの時代に好き勝手に馬ででかけている時点で当時の基準では優等生ではないですけど…)
とてもかわいかったし、戦う場面はカッコよかったけど、ちょっと優等生過ぎというか、決断力がありすぎで、葛藤とか迷いとか全くなくて、人物の深みがなかったかな…エオウィンと比べてしまうと余計に。
まあ、悩める主人公も鬱陶しかったりするので(^^;)すっきり見られましたけど。最後まで爽快な主人公でした。
そして、敵役のウルフが、びっくりするぐらいわかりやすい悪役になっていていました。彼なりの葛藤とかあっても良かったと思うのですが、割と簡単に卑怯な行動に出ていたので唖然とするくらい💦いや彼なりに葛藤あったんでしょうけど、結果としての行動が一番わかりやすく卑劣な行動だという…💦
ヘラはともかく、ウルフの人物像はもう少し掘り下げられなかったのかとは思いますね…尺の関係があるにしてももう少し…
そんなこんなで、面白くは見たのですが、感動するというところまでは行かなかったかな…
ヘルム王は、見た目もカッコ良く、素手で戦う無双の姿もアニメだと違和感なくて良かったです。これ実写の特殊効果でやったらありがちな感じになっていただろうな…
昔から好きな市村正親さんが吹き替えるので楽しみにしていましたが、ぴったりで良かったです。
他のキャラクターでは、やっぱりハマですね~。映画オリジナルの歌が好きな設定で、入野自由さんの歌も良かったですが、あの優しいキャラクターはずるい…死に方は映画のフィーリを彷彿とさせましたけど。
エンドロールで流れるハマの歌、サントラを聴いていたのですが、字幕の訳を見て泣かされてしまいました…感動しなかったと書きましたが、ここだけは感情が動きましたね。
フレアラフもカッコ良かったな。こちらも優等生でしたが、この映画では脇役なのでよし。彼は追放されるところも救援にかけつけるところも、エオメルを彷彿とさせる設定でしたね。
吹き替えと字幕の違いですが、字幕というか英語の方が、原作やPJ映画から取っている台詞が多いことがよくわかると思います。日本語にそのまま訳すのはなかなか難しいですよね。
訳自体も字幕の方がわかりやすいという話ですが、私はそこまで細かく台詞覚えられてなくて💦吹き替えキャストはLotR・ホビットにも参加したベテラン揃いで、アニメということもあり、聴きやすかったです。
ただ、固有名詞がどうやら皆カタカナになっていて、特に吹き替えでは「ヘルム・ハンマーハンド」って早口で言っててなんだかな…となりました。「ついしゅおう」だと音だけだと何だかわからないというのはあるかもしれないけど、「ハンマーハンド」もちょっと何言ってるのか最初わかりませんでしたが…💦
あと、エオウィンのナレーションが、もっとミランダ・オットーに合わせて低いトーンだったらなと…
LotRでエオウィンを吹き替えていた本田貴子さんがオルウィンの吹き替えでしたが、エオウィンもやって良かったのになとちょっと思ったり。でもそれだとオルウィンがナレーションしている感じになってしまったかもですね。オルウィン活躍していたので、本田さんはオルウィンで良かったと思いますが。
ウルフの声に津田健次郎さんはちょっと渋すぎたかなーと💦ウルフ結構未熟な若者という感じだったので。字幕版だとマスケティアーズでダルタニアンをやってたルーク・パスカリーノで、イメージは合ってたと思います。
ドムビリの吹き替え(日本語版ではメリピピを吹き替えていた村治学さんと飯泉征貴さん)は、言われなければわからないレベル💦
アニメーションの映像は、素人目ですが、正直そんなにすごいと思えなかったのですが💦ロトスコープ使った上で手書きで作って、作業が大変だったということですが、それもどうやら納期の短さが原因だったようで、うーん。ヘルムが戦う場面とか、一騎討の場面は良かったと思いますが。
個人的には馬とかじゅうがあまりかわいくなかった…馬は目はかわいかったけど、顔というか鼻面が短くて、馬は顔が大きいほどかわいいとおもっているのでちょっと不満です。あと首も顔に対して太すぎだったな…
じゅうは、かわいくなかったです💦PJ映画のCGのじゅうはそれなりにかわいかったし、重厚感もあったのですが。
水中の監視者に食われる場面はゾウらしくてちょっとかわいかったけど…(そしてかわいそうだった)しかし水中の監視者、じゅうを飲み込めるほど大きいか!?
サントラはホビットでBlunt the Knivesを作曲したスティーブン・ギャラガーさんで、ホビットでサントラ製作のアシスタントをしていた方だそうです。
この作品ではハワード・ショアのサントラのテーマを使って良いことになっていたようで、LotRに出てくるテーマもいくつか出て来ます。もちろんローハンのテーマも。
サントラ盤で聴いた時は、使われる既存テーマの数も少なく、控えめに使っている印象で、中途半端かな…と思ったのですが、実際映画で見てみると、既存のテーマ、特にローハンのテーマはあまりフィットしないんだな、というのがわかりました。LotRのローハンのテーマって明るすぎるんですよね。セオデンの復活とか、ぺレンノールの戦いのイメージで、栄光の復活的なイメージがありますよね。
なので、ローハンのテーマの使い方も適切かなとは思ったのですが…ショアさんのテーマをどこまで使えることになっていたかにもよりますが、もっとテーマを変化させて映画に合うようにアレンジすることもできたとは思うんですよね。
ショアさんのローハンのテーマとは別に、メインテーマらしきものがあり(なぜかゴンドールのテーマに似てる💦)そちらの方が確かに映画には合っていたと思います。
ただ、他にもヘラのテーマとかいろいろあっても良かったと思うのですが、聴いた限りでは特になかった、ですよね。私が聞き取れてないだけかもしれませんが。
全体的にショアさんのサントラに雰囲気を似せていて、頑張ったなと思うのですが、実際に映画で聴いてみると結構ショアさんとは違いましたね。
サントラ盤聴いてた時は、かなり地味だな、という印象ではあって、でもキャッチーで分かりやすく派手なだけがいいサントラではないからな、ショアさんもそもそもは映像にフィットすることを優先して作曲するしな、などと思っていたのですが、実際に映像と一緒に聞いていると、結構音楽ずっと鳴ってるな…と思うくらいにはちょっとうるさかったです💦
もう少し工夫はできたと思うんですけどね…民族楽器使うとか。主題歌のThe Riderではそういう感じで良さげなサウンドだったのですが、本編ではできなかったのか。なんか時間とか予算の関係な気がしてならないのですが💦(憶測です💦)
あと、同じローハンのテーマでも、どうもオーケストラで録音していないようで(楽器のセクションごとに違うところで録音したようです)、音の響きがイマイチでした…これも時間と予算の都合でしょうね…
LotRと同じサントラのテーマとしては、指輪のテーマとローハンのテーマのほかに、ガンダルフの手紙が出てくる場面で「自然のテーマ」(エントの行進や鷲や蛾の場面で使われている)が出て来ましたが、あれは何だろうな。鷲がらみ?
確かにヘラのことをガンダルフが知っているとしたら鷲が教えたとしか思えないですね。そう思うと、鷲が角笛城のあたりを時々飛んでいたのはガンダルフに頼まれて偵察していた可能性もある?巣が近くにあったのもあるでしょうけど。
それと、灰色のガンダルフのテーマはホビットで出てきたのですが、マイナーで気が付かない人もいるかもだから、自然のテーマを使った、というのも考えられるかなと💦
サントラに関しては、頑張ってるな…とは思ったのですが、まあショアさんのサントラとは全然違ったな、という感じです。
(それを思うとベアー・マクリアリーさんの力の指輪のサントラはすごいなと改めて…まあ作曲者のキャリアからして違いますけど…)
ところで、War of the Rohirrimのサントラ、当初アレクサンドラ・デスプリとかいう話なかったですっけ。私の気のせいかな…
とまあそんなこんなで色々と不満もありつつも、やはりどこか気になって観たくなってしまう映画ではあります。
映画オリジナル設定も、原作とどうやったらつながるか考えてみるのもちょっと面白いかなと。ヘラのことが赤表紙本の記録に残っていないのはなぜかとか。
あと字幕・吹き替えとも1回ずつは見たいかな、と思います。
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