- こんばんは、白黒茶々です。
映画「THE LEGEND&BUTTERFLY(ザ・レジェンドアンドバタフライ)」で斎藤工さんが扮する徳川家康の姿は、あまりに印象的というか、トラウマになりそうなぐらい強烈でした。 「どうする家康」では、松本潤さん演じる家康が歳を重ねていくにつれて特殊メイクが濃くなっていき、しまいには原型をとどめない程に……… なんてことを心配されている方がいらっしゃるかも知れませんね。
それらの中の斎藤工さん✕特殊メイク=徳川家康は、安土城での接待を受けて余裕の表情をしているのですけど、それから間もなくして「家康の3大危機」に数えられている伊賀越えをするハメになるのですよね。 ちなみに1つ目の危機は、今まさに「どうする家康」で松潤家康が悩まされている三河一向一揆であります。
ということで、今回は残りの1つの三方ヶ原の戦いの後にあった話をさせていただきます。
元亀3年(1572年)12月の三方ヶ原の戦いで、武田信玄の軍に大敗した徳川家康は、夏目広次(吉信)が身代わりになったこともあって、なんとか浜松城に逃げ帰ることができました。 その際には、お城の北東の玄黙口を潜っていったと云われています。
そのあと、家康はお粥をかき込んでから寝たとも、敗走直後の情けない姿を絵師に描かせたとも云われているのですけど………
昭和58年(1983年)に放送された大河ドラマ「徳川家康」では、滝田栄さんが演じる徳川家康は真っ青な顔で浜松城に戻ってきました。 お城で迎え入れた家臣の本多作左(本多作左衛門重次、長門裕之)は家康が乗ってきた馬の鞍の付着物に気付き「殿、糞を漏らされましたか?」と言い、さらにそいつを指につけて嗅ぎ「お~、臭い臭い」とからかったのです。
それに対して家康は「これは糞ではのうて、焼き味噌じゃ
」という苦しい言い訳をしていました。
今ではコンプライアンス的に際どいのですけど、そのあたりの描写は「どうする家康」ではどうするのでしょうか? 家康にとっては最低最悪の悪夢のような出来事でしたけど、そこから立ち直る過程で重要となるので、NHKさんどうかスルーしないでください。
冷静さを取り戻した家康は、戦場から戻ってくる兵のためにすべての城門を開け放って、かがり火を焚きました。 その大胆な行為に武田軍は警戒し、浜松城攻めを諦めたと云われています。
昨年の12月25日に、私は波&狛とともに浜松城の周辺を歴史散策したのですけど、その際に犀ヶ崖(さいががけ)古戦場というところも訪れていました。 こちらは浜松城から北に1kmほど行ったあたりに位置しています。
現在は史跡公園となっているその端には、見学者のためにテラスが設けられています。 そこから見える風景は………
足がすくむ程の深くて険しい断崖となっています。 今は長さ約116m、幅約29~34m、深さは13m。
高所恐怖の方は、閲覧に注意してください。
※それは先に言わなければいけないヤツですよ!皆さまはすでに思いっきり見てしまったのでは。(編集部冷や汗)
今でも充分深いのですけど、かつては長さ約2km、幅約50m、深さは40mもあったそうです。
三方ヶ原の戦いのあと、武田軍は犀ヶ崖の付近に夜営していました。 その一方で、徳川方はその崖に布を渡して、敵方に橋が架かっているように見せかけたと云われています。
そこから、布橋という地名が残りました。
夜半になってから家康は、武田方に浜松城が炎上しているように見せかけるために普済寺に火を放ち、さらに武田軍の背後から鉄砲を撃ち込んだのです
武田の兵は慌て、布の橋を渡ろうとして人馬もろとも谷底に落ち、多くの犠牲者を出しました。 現在、崖の上にはその情景を詠んだ大島蓼太氏の「岩角に 鎧くだけて 椿かな」という句碑が立てられています。
さらにその古戦場跡の公園内には、犀ヶ崖資料館があります。
こちらは、入場無料のありがたい施設でもあります。 数年前に私が訪れた時には、宗円堂という古い建物を改装して資料館にしていたのですけど、老朽化のために公園内に新築移転しました。
その館内には、三方ヶ原の戦いや犀ヶ崖の戦いに関する資料はもちろんのこと………
遠州大念仏の展示もされています。 犀ヶ崖への奇襲によって家康は一矢報いたのですけど、その翌々年頃より夜更けになると、谷底から人や馬のうめき声が聴こえてくるようになりました。
さらに、その付近でケガ人が続出したり、イナゴの大軍が発生して農作物に害を与えたりしたため、犀ヶ崖の祟りでは!?と恐れられるようになりました。
そこで家康は、三河から了傳和尚を招き入れ、7日7夜鉦(かね)と太鼓を打ち鳴らして供養したところ、祟りは鎮まりました。 そこから、この地方で今に伝わる郷土芸能の遠州大念仏が起こったと云われています。
犀ヶ崖古戦場は「家康の散歩道」のコースに含まれています。 私たちは違う時期に他の順路も訪れていて、単品のものを買い集めたようになってしまいましたけど、あと少しで全部が揃います。
なので、近いうちに残りの椿姫観音や徳川秀忠公誕生の井戸にも行くようにします。