残された電話は僕を酷く不愉快な気分にさせた
留守電メッセージが 0件だった事に怒ってるわけじゃない
それは日常的に当たり前の事だし、どうだっていいと思う
僕がその場に残された電話を見つめて
立ちつくしていたわけは
それが僕の電話かどうかという事とは、直接は関係がない
むしろ、僕の電話だった方が良かったのかもしれない
レインコートからぽたぽたと何かが垂れる音がした
たぶん、雨が降っていたんだろう
机の上には赤い水滴がいくつも散らばっていた
状況から考えて携帯電話は午前五時からずっと不通のままだ
僕は携帯電話を綺麗に拭いてポケットにしまった
赤い水滴を指でなぞって、少しだけ舐めてみた
突然携帯が鳴り出して、僕はビクっとなった
僕はイライラする原因をハンマーで叩き壊した
僕は携帯を取り出して、電源を切った
静かな方がいい
壊す音だけを聞きたい
バラバラの破片になった電話を見ていても
僕の気分はずっと複雑なままだ
携帯を取り出して、警察に電話する
110なら、タダで話せるんだっけ?違ったっけ?
「もしもし、こちら湾岸署です。」
ブツ。
やめた。馬鹿馬鹿しい。
外へ出て、水たまりに石を投げ入れる
何度も何度も投げ入れる
6年前の事を思い出していた
冷静に考えれば告白する必要性なんかどこにもなかった
だけど僕は、恋愛の成就や彼女の笑顔なんかよりも
振られる事自体を必要としていたのか。
ポケットに手を突っ込んで、ぶらぶら歩いて
ゆっくりゆっくり家に帰った
玄関のドアを開けて、真っ先に壁に目がいった
電話線が最初から繋がっていなかった事に気付いた。
留守電メッセージが 0件だった事に怒ってるわけじゃない
それは日常的に当たり前の事だし、どうだっていいと思う
僕がその場に残された電話を見つめて
立ちつくしていたわけは
それが僕の電話かどうかという事とは、直接は関係がない
むしろ、僕の電話だった方が良かったのかもしれない
レインコートからぽたぽたと何かが垂れる音がした
たぶん、雨が降っていたんだろう
机の上には赤い水滴がいくつも散らばっていた
状況から考えて携帯電話は午前五時からずっと不通のままだ
僕は携帯電話を綺麗に拭いてポケットにしまった
赤い水滴を指でなぞって、少しだけ舐めてみた
突然携帯が鳴り出して、僕はビクっとなった
僕はイライラする原因をハンマーで叩き壊した
僕は携帯を取り出して、電源を切った
静かな方がいい
壊す音だけを聞きたい
バラバラの破片になった電話を見ていても
僕の気分はずっと複雑なままだ
携帯を取り出して、警察に電話する
110なら、タダで話せるんだっけ?違ったっけ?
「もしもし、こちら湾岸署です。」
ブツ。
やめた。馬鹿馬鹿しい。
外へ出て、水たまりに石を投げ入れる
何度も何度も投げ入れる
6年前の事を思い出していた
冷静に考えれば告白する必要性なんかどこにもなかった
だけど僕は、恋愛の成就や彼女の笑顔なんかよりも
振られる事自体を必要としていたのか。
ポケットに手を突っ込んで、ぶらぶら歩いて
ゆっくりゆっくり家に帰った
玄関のドアを開けて、真っ先に壁に目がいった
電話線が最初から繋がっていなかった事に気付いた。