あるところに
いや、もうよそうか。
それともはじめようか。
どっちだっていい。
猫の毛があんまり伸びて痒さを増してゆくものだから
ゴミ箱を漁る狼が あんまり臭いものだから
狼は猫に近づいてリンゴを囓ろうとする
そしてリンゴの丸さを囓るたびに
狼は解けて溶けて味を知る
猫はライオンを見ながら
狼の毛を鋭い爪で引っ掻く
狼は 猫に気付きもしない
そしてまた ライオンの事なんか知りたくもない
やせ細り 衰えて 死んでいくだけ
猫は狼にニャーンとだけ 泣くことがある
猫はリンゴに気付きもしない
だからきっと狼は遠くを見て長い夜を走ろうとする
白い荒野を 思い出して走るのだろうか
狼は猫に気付かない
だけど狼は花を見て 側にいる猫をペロリと舐める
猫の瞳は縦に赤く細く光る
毒のリンゴ
妖しの林檎
腐ったりんご
その舐め方が あまりにも丁寧で優しく優しく舐めるものだから
ライオンはそれを見て満足したかのようにガオウと吼える
獰猛さも勇敢さも何もかも勘違いして
きっと地上に雷が落ちる
雷が落ちれば麒麟が現れる
麒麟はただ、時を疾走するだけ
そしてただ、動物を見るだけ
何も話さない、角が伸びるだけ
狼は猫が知りたくて
猫を舐め続け
甘い甘い果実の猫を舐め続け
そして何もかも失ってゆく
猫はまた 誰よりも側にいる狼に舐められて
ライオンの夢を見続け果てる
そしてまた ライオンはガオゥウオゥと二回吼える
どこにいる
どこにいる
麒麟はどこにいる
麒麟はなにをみる
麒麟はなぜはしる
ただ それだけの冷たい話
いや、もうよそうか。
それともはじめようか。
どっちだっていい。
猫の毛があんまり伸びて痒さを増してゆくものだから
ゴミ箱を漁る狼が あんまり臭いものだから
狼は猫に近づいてリンゴを囓ろうとする
そしてリンゴの丸さを囓るたびに
狼は解けて溶けて味を知る
猫はライオンを見ながら
狼の毛を鋭い爪で引っ掻く
狼は 猫に気付きもしない
そしてまた ライオンの事なんか知りたくもない
やせ細り 衰えて 死んでいくだけ
猫は狼にニャーンとだけ 泣くことがある
猫はリンゴに気付きもしない
だからきっと狼は遠くを見て長い夜を走ろうとする
白い荒野を 思い出して走るのだろうか
狼は猫に気付かない
だけど狼は花を見て 側にいる猫をペロリと舐める
猫の瞳は縦に赤く細く光る
毒のリンゴ
妖しの林檎
腐ったりんご
その舐め方が あまりにも丁寧で優しく優しく舐めるものだから
ライオンはそれを見て満足したかのようにガオウと吼える
獰猛さも勇敢さも何もかも勘違いして
きっと地上に雷が落ちる
雷が落ちれば麒麟が現れる
麒麟はただ、時を疾走するだけ
そしてただ、動物を見るだけ
何も話さない、角が伸びるだけ
狼は猫が知りたくて
猫を舐め続け
甘い甘い果実の猫を舐め続け
そして何もかも失ってゆく
猫はまた 誰よりも側にいる狼に舐められて
ライオンの夢を見続け果てる
そしてまた ライオンはガオゥウオゥと二回吼える
どこにいる
どこにいる
麒麟はどこにいる
麒麟はなにをみる
麒麟はなぜはしる
ただ それだけの冷たい話