日本と世界

世界の中の日本

利上げも利下げもできない韓国、無能な政権で自滅の道へ

2018-10-22 11:54:13 | 日記
新宿会計士

.
利上げも利下げもできない韓国、無能な政権で自滅の道へ

配信日時:2018/10/22 08:00


ここ数日、私たちの隣国である韓国が、軍事的にも外交的にも経済的にも行き詰っていて、とくに日本との関係は「慰安婦」「旭日旗」「徴用工」という3点セットで、米国との関係は北朝鮮支援を巡り、急激に悪化しています。

つまり、韓国が日米との関係を悪化させて自爆する可能性が高いのですが、それだけではなく、金融政策という観点からも、韓国は隘路に嵌っている状況にあるのです。


↓本文へ
ここからが本文です。


目次 [非表示]
1 韓国の金融政策の隘路
2 来月利上げ?2.1 政策金利据え置き、金利見通しは利上げ?
2.2 何が何でも利上げしなければならない理由

3 利上げができるのか?3.1 失業率の上昇
3.2 異常な家計負債水準

4 脆弱過ぎる韓国経済4.1 利上げも利下げもできない
4.2 頼みの綱を自ら断ち切った韓国


韓国の金融政策の隘路

本日、『【総論】金融政策の基本と「絶対逆らえないトリレンマ」』という記事を掲載しました。

http://shinjukuacc.com/20181022-01/

その理由は、当ウェブサイトで金融政策について議論する機会がこれから急増するという予測もあるからですが、さっそく、その実例に出くわしました。それが、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に先週掲載された次の記事です。

韓国銀行、基準金利年1.5%で据え置き…雇用ショックと景気低迷が足かせに(2018年10月18日11時26分付 中央日報日本語版より)

私自身、別に「コリア・ウォッチャー」ではありません。ただ、ここ数週間、日韓関係を積極的に破壊しようとする動きが、「韓国側から」相次いでいるため、どうしても関心を持たざるを得ず、韓国メディアをチェックする機会が増えているのです。

ここに引用した記事は、「韓国社会の失敗例」という意味では絶妙な話題なのですが、先週は他に取り上げるべき話題が多すぎて、どうもこの韓国の金融政策について取り上げ切れなかったのです。

しかし、ちょうど先ほど、金融政策に関する「総論」を掲載したばかりですので、その流れで、この話題についても解説しておきたいと思います。
――↓本文は以下に続きます↓――

来月利上げ?

政策金利据え置き、金利見通しは利上げ?

議論に入る前に、中央日報の報道を確認しておきましょう。

私自身の文責で内容を要約すると、次のとおりです(※文意を変えない範囲で文章の順序を入れ替えたうえで、日本語表現を整えています。また、原文の「基準金利」という用語については「政策金利」に修正しています。)

•韓国銀行・金融通貨委員会は10月18日の政策決定会合で、政策金利を現行どおり1.5%で据え置くことを決めた。

•1999年以降で失業者数が最大となっているなどの経済環境の悪化を受け、今回の会合では11カ月連続で利上げを見送った格好だ。

•しかし、先月、米FRBがFF金利を2.25%に引き上げたことにともない、米韓金利格差は0.75%に拡大。10月15日現在で外国人投資家が保有する上場債券残高は前月比▲1兆2777億ウォンとなる110兆7843億ウォンだった。
また、政界からは、ソウル首都圏の不動産市場加熱を抑制するためには利上げが必要だとの圧力も強まっている。

•7月と8月の委員会では利上げを主張する少数意見が相次ぐなど、利上げに向けた地ならしは進んでおり、来月の金融通貨委員会では利上げが断行されるとの見方が一般的だ。

つまり、韓国国内ではインフレ率の上昇(あるいは資産バブル形成の疑い)に加えて、米韓の政策金利格差が0.75%にまで拡大しているという事情もあり、インフレ退治と通貨防衛を兼ねた利上げが必要だ、という主張です。

何が何でも利上げしなければならない理由


ところで、この中央日報の記事を読んでいても、今ひとつ、切迫感はありません。

ただ、韓国にとっては、何が何でも利上げしなければならない理由があります。それは、過度な通貨の下落を防ぐ必要がある、というものです。

現在、ドル・ウォン為替相場は小康状態にあり、むしろ韓国ウォンは米ドルに対して1132ウォンと、数年間のレンジで見ても決して悪くない状況にあります。

ただし、韓国経済は、通貨・ウォンがドルに対して上昇し過ぎても下落し過ぎても困るという状況にあります。なぜならば、韓国が輸出立国であるとともに、外国から巨額の資金を借りているからです。

たとえば、ウォンが上昇し過ぎれば、韓国製品の輸出競争力が損なわれます。

そして、韓国は輸出依存度がGDP対比40%という過度な輸出依存国家でもあるため、輸出競争力の低下はただちに韓国経済の苦境に直結してしまうのです。

しかし、韓国の通貨・ウォンがドルに対して下落し過ぎれば、外国から外貨で借りている債務(私の試算だと、2018年3月末時点で277兆2380億ウォン、つまり約28兆円、2500億ドル)の負債価値が上昇し、返せなくなってしまいます。

こうしたなか、次の中央日報の報道によれば、外国人の資金がジワリと流出しているという兆候も出ています。

外国人資金、2カ月連続で韓国債券市場から流出…「セルコリア」に?(2018年10月18日08時00分付 中央日報日本語版より)

もちろん、韓国ウォン建ての債券や株式が外国人により売られたところで、そのこと自体、韓国経済にとっては大した実害はありません。

しかし、為替相場をウォン安に押し下げる効果が生じるため、間接的には韓国経済に「外貨建債務負担の上昇」という打撃を与えます。

そして、米FRBが年内に再度、利上げに踏み切るとの観測も根強く、そうなれば、韓国銀行が金利据え置きを続けた場合、米韓金利差は年内に1%にまで拡大してしまいます。

「1%の金利格差」は市場参加者の心理的な負担にもなりますし、こうした米韓金利格差を放置できるほど、韓国経済は強くありません。


利上げができるのか?

失業率の上昇

そこで、今後は米国の利上げにあわせて、米韓金利差が拡大しないよう、韓国としても利上げに踏み切らざるを得ないでしょう。

ただ、それと同時に、まことに申し訳ないのですが、私自身は、韓国がさらにどんどんと利上げできる状況にはないと思います。
その根拠は、先ほど申し上げた、「韓国が外需依存国家であり、ウォン高を避けなければならないから利上げが難しい」という理由以外にも、さらに2つあります。


1つ目は、雇用環境の悪化です。

一般に、失業率と金融政策(あるいはインフレ率)には、密接な関係があります。利上げとは、いわば、「おカネを借りづらくするオペレーション」であり、そうなれば、「おカネを借りてバンバン投資しよう」という人が減り、結果的にインフレ率(とくに資産価格の上昇率)は抑制されます。

ところが、インフレ率が下がれば、失業率が上昇することが知られています。これが「フィリップス曲線」の議論です(※ただし、失業率とインフレ率の細かいメカニズムについては、本稿では割愛します)。

韓国の場合、文在寅(ぶん・ざいいん)大統領の雇用政策の失敗により、失業者数が増大しています(最低賃金引き上げの概要については、『雇用政策の失敗は経済の自殺:民間経済潰す韓国の最低賃金』で議論していますので、あわせてご参照ください)。

正直、文在寅氏は外交面でも軍事面でも素人ですが、経済面では「最悪」と述べても過言ではないほどの酷い政策オンチですが、失業者数が増加している中で利上げを強行すれば、失業者数がさらに増え、悲惨な事態が生じる可能性が高いです。

異常な家計負債水準

韓国の利上げが難しいと私が考える理由は、それだけではありません。

2つ目の理由は、家計債務の問題です。

韓国の資金循環統計を眺めてみると、2018年3月末時点で、家計の金融資産残高は3178兆9240億ウォン(1円=1ウォンと仮定すれば、約320兆円)ですが、銀行などからの借入金残高は1603兆1410億ウォン(約160兆円)にも達しています。

韓国のGDPは1.4兆ドル程度(1ドル=110円と仮定すれば、約151兆円)ですので、家計部門は年間GDPを上回る負債を抱えている計算です。

利上げをすれば、家計債務の金利負担が上昇してしまい、破綻する家計が続出する可能性が高いのです。


韓国の家計が負債を積み上げている理由は、色々あるでしょう。

国民が借金をすることにそこまでの抵抗を感じないという、日韓の文化の違いもあるのかもしれません。ただ、「韓国では40代になれば企業をリストラされ、やむを得ず自営でフライドチキン屋を営んで生計を立てる」、というパターンの人が多いとも聞きます。

いずれにせよ、1つめの「雇用が不安定である」という理由に加え、家計債務が過剰であるという問題は、韓国独自の「地雷」であることは間違いないでしょう


脆弱過ぎる韓国経済

利上げも利下げもできない

「金利」とは、普段の私たちにとってはなじみがない指標です。ですが、たまにはこうした指標から眺めてみると、韓国経済がいかに脆弱であるかについて、改めて理解を深めることができるのです。

あらためて列挙してみると、


利上げできない理由3つ

•韓国は外需依存国家であり、自国通貨高になりかねない利上げは避けるべき。

•韓国では失業率が上昇する傾向にあり、雇用市場を冷やしかねない利上げは避けるべき。

•韓国では家計債務負担が異常に大きく、家計を圧迫しかねない利上げは避けるべき。


利上げしなければならない理由3つ

•韓国は外国からたくさんのカネを借りており、自国通貨安を防ぐために利上げすべき。

•現在0.75%の米韓政策金利格差が拡大しないためには、利上げすべき。

•不動産を中心に資産バブルの兆候が生じており、バブル退治のためには利上げすべき。

要するに、韓国経済は、利上げも利下げもできない状況にあるわけです。



おそらく、この「利上げできない理由」よりも、「利上げしなければならない理由」の方が大きいため、通常の国であれば、利上げをしたうえで、利上げに伴う弊害を抑え込む対策を取るでしょう。

しかし、私の目から見て、現在の韓国の文在寅政権が、「利上げに伴う弊害をしっかり抑え込みつつ、利上げに備える」といった政策を取るだけの賢明さを持ち合わせているようには見えません。

頼みの綱を自ら断ち切った韓国

こういうときだと、従来ならば、日本や米国に泣きつけば、たとえば日本からは日韓通貨スワップ協定により通貨のバックアップを施してもらい、米国からは為替介入を黙認してもらう、といった対応を取ることができました。

十分な規模の日韓通貨スワップ協定があれば、通貨不足に悩まされるおそれもなくなります。

そこで、バブル退治のため、通貨防衛のために思い切った利上げに踏み切り、それでウォン高になりそうになれば、すかさず為替介入を実施する、というのが、従来の韓国のやり方だったのだと思います。

しかし、ここ数週間だけで見ても、日韓関係、米韓関係はいずれも深刻に傷ついています。

たとえば、米国は韓国の北朝鮮支援を巡り、マイク・ポンペオ米国務長官が康京和(こう・きょうわ)韓国外交部長(外相に相当)に「キレた」とか、米国の財務省が直接、韓国の銀行にプレッシャーをかけたとか、そういった話題が相次いで出て来ています。