2020年10月23日、米華字メディア・多維新聞は、米韓同盟の亀裂が「すでに最大化」しているとする評論記事を掲載した。以下はその概要。先日、韓国大統領府国家安全保障室長一行が訪米し、「米韓同盟関係はこれまでになく堅固になっている」ことを改めて確認した。
しかし皮肉なことに、ほぼ時を同じくして行われた第52回米韓安保会議の終了後に予定されていた記者会見が中止になった。
韓国側は交渉が物別れに終わったことを否定したものの、戦時作戦統制権をめぐって両国の溝が埋められなかったことは明らかだ。
また、今回の安保会議では米国のエスパー国防相が改めて「在韓米軍駐留費を米国民の税金で賄うのは不公平」などとして、防衛費の負担を増やすよう求めた。
米国が戦時作戦統制権の返還を韓国の防衛費用分担増要求のカードに用いていることは明白。
さらには、トランプ大統領も在韓米軍の削減を何度も主張しており、トランプ政権は韓国への圧力を強め続けている。
このほか、米国は韓国を中国けん制のレール上に引き込もうともしている。
まず韓国を「インド太平洋戦略」に加えようとし、さらに中国の排除を目的とした「経済繁栄ネットワーク」構想への参加を求めている。
近ごろではまた、ポンペオ国務長官が掲げている中国のIT企業を世界市場から締め出すことを目的とした「クリーンネットワーク構想」にも巻き込もうとしている。
米国のいじめや圧力に対し、韓国の外交が困難に直面していることは間違いない。
まさに、イ・スヒョク駐米韓国大使が先日語った「韓国は70年前に米国を選んだが、それは今後も引き続き米国を選択することを意味するものではない」という言葉のとおりである。
今や、米韓同盟の亀裂は、これまでのいかなる時に比べても鮮明だ。
https://www.recordchina.co.jp/b846805-s0-c10-d0135.html
朴槿恵(前韓国大統領)の執政期に「底」を付けた感のある日韓関係は、現下の文在寅(韓国大統領)執政期に至って「二番底」の局面に入りつつあるけれども、そうした現状に反映されているのは、実は対米同盟への意識の落差と言われる。
同盟とは、「互いが必要とされるときに互いの必要に応える努力」によって支えられる。
特に安倍晋三第二次内閣発足以降の日本は、集団的自衛権行使を降り込んだ安全保障法制の策定を含めて、安倍氏の米国に対する対応は明確だった。
だが、文在寅執政下の韓国からは、そうした努力の形跡は明瞭ではない。
それは、朴槿恵執政期の露骨な「離米傾中」姿勢に併せて、米韓同盟の枠組における「腐食」と「空洞化」を懸念させている。
米韓同盟の崩壊は、日本の安全保障の最前線が「38度線」から「対馬海峡」に後退する事を意味する。
米国の「同盟国」や日本の「友好国」としての韓国が失われるというのは、そういう事態が現実のものになるという意味となる。
言い換えれば、文政権の限界でもある。今後の韓国政府の動きが中国寄りとなるのかというと、それほど単純ではない。
国の崩壊が近い韓国では、中国に飲み込まれるようなことは望まないだろう。
文政権の限界とは言え、今後の動きにおいて、菅政権下では、外交力が無いのも事実。韓国政府のみならず日本政府の動きも大きな関心ごとと言える。