名君 保科正之公とは
異常な人口減少で韓国は「消滅」する?
7/9(金) 18:15配信
<出生率が「1」を下回るのは戦争などよほどの異常事態といわれるが、韓国ではその「異常事態」が3年続いて回復の兆しが見えない>
3人目の子どもを迎えて幸せそうなソウルの家族(2018年)。これからは少数派になるかもしれない Kim Hong-Ji-REUTERS
韓国の2020年の出生率は0.84(暫定)で、2019年の0.92を大きく下回る見通しだ。
出生率が1を下回るのは3年連続のことで、0.84は歴代最低値だ。
韓国の出生率はOECD平均1.61(2019年)を大きく下回り、OECD加盟国の中で最も低い。
2020年に生まれた子どもの数は27.2万人で30万人を切ったのは初めてである。
2020年の大学の入学定員が約47.3万人であることを考えると(4年制大学:約31.0万人、短大:約16.3万人)、生まれた子どもの数がいかに少ないかが分かる。
このままだと今後多くの大学が廃校に追い込まれる可能性が高い。
地域別にはソウルが0.64で最も低く、釜山(0.75)、仁川(0.81)、大邱(0.81)、光州(0.81)のような大都市の出生率が全国平均を下回っている。
一方、韓国で出生率が最も高い世宗市の出生率も2019年の1.47から2020年には1.28まで低下するなど全ての地域(第一級行政区画※)における出生率が昨年を下回った。
※韓国には17の第一級行政区画(1特別市・6広域市・1特別自治市・8道・1特別自治道)がある。
問題は今年と来年の出生率がさらに低下する可能性が高いことだ。
新型コロナウイルスの影響で婚姻件数が大きく減少したからだ。
韓国統計庁が発表した2020年の婚姻件数は約21.3万件で2019年の23.9万件を下回り、統計を発表した以降最も低い数値を記録した。
さらに、5月に発表された2021年第1四半期の婚姻件数は約4.8万件で前年同期より1万264件(-17.6%)減少した。
従って、今年と来年の出生率の回復を期待することは難しい。
専門家の中には今年の出生率が0.7台まで、そして来年の出生率が0.6台までに低下すると予想する人もいる。
韓国政府は少子化対策として2006年から総額21兆円を投入してきたが成果が出ていない。
その理由の一つは支援策の多くが結婚後の支援に偏っているからだ。
韓国ではまだ儒教的な考えが根強く残っており、結婚してから出産するケースが多い。
しかしながら、多くの若者は安定的な仕事を得ておらず、結婚という「贅沢」を選択できない立場に置かれている。
2021年5月現在の20歳~29歳の若者の失業率は9.3%で全体失業率4.0%より2倍以上高く、大卒者の正規職就業率も低い(参考2015年は52.5%、韓国職業能力開発院)。
韓国で若者の失業率が高い理由としては、大学進学者が多く卒業後に需要と供給のミスマッチが発生していることと、サムスン電子、現代自動車などの大企業と中小企業の間の賃金格差が大きいことが挙げられる。
そこで、多くの若者は就職浪人をしてまで大企業に入ろうとするが、選択されるのは一部の人に過ぎない。
男性は結婚前に家を用意するのに
■韓国における合計特殊出生率 出所)統計庁「人口動向調査」より筆者作成
不動産価格の高騰も未婚化・晩婚化の一因になっている。
ソウル市のマンションの売買実取引価格指数(2017年11月=100)は、文政権が誕生した2017年5月の94.1から2021年4月には164.9となっており、約1.75倍上昇した。
韓国では結婚前に男性側が家を用意する慣習があるものの、不動産価格の高騰は男性の結婚のハードルを高め、婚姻件数の減少につながっている。
今後、韓国で出生率が回復されないと2750年には国が消滅するという予測(推計基準:2013年の出生率1.19)も出ており、韓国政府は強い危機感を抱えている。
2022年3月の大統領選挙で、各候補者はバラ色の少子化対策を公約として打ち出す可能性が高い。
そうなると、出産や育児に関する手当は現在よりさらに手厚くなるだろう。
但し、問題は雇用不安や不動産価格の高騰等が原因で若者が結婚に踏み足せず、未婚化・晩婚化が加速していることだ。
韓国政府は、出産と育児と関連した結婚後の支援に加えて、若者に安定な雇用が提供できる雇用環境を整えると同時に、不動産価格を安定化させ、若者が不安なく結婚や出産ができる環境を構築する必要がある。
それこそが韓国を消滅から救う近道であるだろう。
2020年の出生率が1.34に低下した日本でも今後の韓国の出生率の動向や韓国政府の対策は大きな参考になると考えられる。
お互いに知恵を絞って少子高齢化に対応することを期待するところである。
中国、韓国、世界で仕事をしてきたビジネスマンが読み解く時事問題。外国人とのビジネスで知った彼らの本質、政治家や評論家には見えない視点で迫ります。
60歳以降の賢い働き方の“常識”を逆転させる
むしろこの在職老齢年金の見直しをきっかけに、「60歳以降の賢い働き方」の常識が一変することを知っておきたい。
その変化を踏まえて対策を講じなくてはならない。
これまで、年金カット基準が厳しい60代前半のうちから年金満額受給を実現するテクニックとして、会社に勤めて厚生年金に加入する働き方をやめて、同様の収入が得られる仕事を業務委託などフリーランスの立場で請け負うというやり方があった。
社会保険労務士の北山茂治氏が説明する。
「厚生年金に加入しない働き方なら、いくら稼いでも年金カットにはならない。そのため、会社に雇われない働き方が得とされてきたが、年金カット基準が緩和された上に、特別支給の老齢厚生年金を受け取れない世代が60代に差し掛かるようになり、常識は逆転します。
今後は、できる限り長く会社勤めで働く方法を探るのが賢い選択となります。在職老齢年金のカットを気にしなくていい以上は、雇用保険や労災保険への加入など、会社勤めのほうがメリットは大きくなる。60歳以降、あるいは65歳以降も会社勤めで働く選択肢が持てるようなキャリア形成をしておくことが望ましいといえます」
※週刊ポスト2020年9月18・25日号