韓国は、日本への優越感と劣等感が入り交じって複雑な国民心理を形成している。
優越感は「道徳の国」という韓国朱子学の教え。
劣等感は、日本の植民地にされたことだ。
その劣等感を吹き飛ばす事態が起りそうである。国防費予算が、23年にも逆転しそうだ。
日本の防衛費は、韓国と争って増やす必要もない。
仮に韓国が日本を上回れば、これまでの「軍国主義日本」という非難は消えるはず。
けたたましい非難が一つでも消えれば、静かになってありがたい。
『日本経済新聞 電子版』(8月31日付)は、「韓国国防予算が日本に並ぶ、22年5.3兆円 23年にも逆転」
と題する記事を掲載した。
韓国政府が8月31日に発表した2022年(暦年が会計年度)の政府予算案で、国防費は前年比4.5%増の55兆2277億ウォン(約5兆3000億円)となった。
足元の為替レートでは、日本の21年度当初の防衛予算に並んだ。
今後も大幅な増額を予定しており、23年にも実額で日本を上回る可能性がある。
(1)「物価などを考慮した購買力平価で換算すると、日韓の防衛費はすでに逆転している。
日本政府は18年の時点で韓国が日本を上回ったと判断している。
韓国の人口1人当たりの国防予算は日本の2.4倍にのぼる。
中国の脅威が高まるなか、日本でも防衛に対する負担のあり方について議論が求められそうだ。
実額は韓国が日本に肉薄する状況になった。
日本の21年度当初の防衛予算は5兆3422億円だった。
22年度は防衛省が過去最大規模の5兆4797億円の概算要求を決めた」
この記事では、韓国の国防費が日本と接近していることを不都合なことのようなイメージだが、そういう見方をすべきでない。
国防費は効率的に使用することだ。
日本の国防費は、GDPの1%である。韓国は2%であるから、いつかは逆転して当然だ。
実際の国防力は、軍隊の練度に比例する。
米軍との共同演習が多い日本のほうがはるかに上であろう。
バイデン政権は、中国の浮上を考慮し海外駐留米軍の再配置戦略を新たに組み立てている。
問題は、この過程で米韓同盟に消極的な韓国政権の態度が、在韓米軍の戦力損失につながりかねないという点だ。
米国は、在韓米軍内の戦闘ヘリコプター部隊を日本に送ることを検討しているという。
米国との合同演習に積極的な日本とは違い、韓国政府は何かに付けて合同演習を縮小または延期しようしている。
この結果、米軍のヘリ操縦士の演習がまともにできないという悩みを抱えている。
『中央日報』(8月31日付)コラムが報じている。
(2)「韓国政府の国防中期計画は年平均で6%を超える増額を予定する。
25年の予算は67兆を想定する。
軍事境界線を挟んで北朝鮮と向かい合う韓国は毎年、対国内総生産(GDP)比で2%を超える支出を維持している。
多くの予算を配分するのは、核・ミサイルの増強を続ける北朝鮮への対応だ。
ミサイル発射の兆候を探知し、先制打撃を加える「キルチェーン」と呼ぶ攻撃体系の整備などがある」
38度線の向こうには、世界で「難敵」の北朝鮮が控えている。
韓国は、これに備えて陸軍の兵力を増大させているが、これからは海軍力の時代である。
その意味で、日本の防衛体制は、韓国よりもはるか先を行っている。
別に、韓国と戦争する訳でないから、日韓の軍事比較は無意味である。
『日本経済新聞 電子版』(8月31日付)は、「防衛予算5.47兆円要求、南西離島に軸足 迫るGDP1%」と題する記事を掲載した。
防衛省は2022年度予算の概算要求で5兆4797億円を計上した。
21年度当初予算比で2.6%増やした。
要求通り21年度を上回れば防衛費は過去最大となる。
米中対立が激しくなるのを踏まえ中国は軍事費を増やす。
戦闘機や艦船の調達を急ぎ、台湾に近い南西諸島の防御力を高める。
(3)「政府は防衛費の目安を国内総生産(GDP)の1%以内としてきた。
内閣府が7月に発表した22年度の名目GDP見通しに基づくと、要求額は0.97%と1%に迫る。
岸信夫防衛相は8月31日の記者会見で「必要な防衛力を大幅に強化し、多次元統合防衛力を構築していきたい」と述べた。
特に中国公船が沖縄県・尖閣諸島周辺で日本の領海侵入を繰り返していることへの懸念は強い」
日本の防衛は、尖閣諸島防衛で南西諸島を重視する体制に切り替わっている。次のパラグラフがそれを説明している。
(4)「敵艦が離島に近づけないよう、敵艦の攻撃圏外から狙える長射程ミサイルの開発費に379億円を求める。
護衛艦や戦闘機に積む。イージス艦に搭載する長距離防空ミサイル「SM6」も207億円で取得する。
敵のレーダーに探知されにくい最新鋭ステルス戦闘機「F35」は12機の購入費1300億円を計上した。
21年度予算の6機分から倍増する。南西諸島での離島防衛能力の強化は台湾有事への備えにもつながる。
自衛隊配備の空白を埋めるため、沖縄県・石垣島に新たな部隊を設ける。
駐屯地を新設し、警備部隊とミサイル部隊で計570人規模とする。
長時間の防御に耐えられるよう弾薬を確保する。
石垣島と沖縄県・宮古島の駐屯地と鹿児島県・奄美大島の分屯地に火薬庫を建設する。
弾薬購入費は2537億円と21年度の当初予算比で1割積み増す」
下線部は、尖閣諸島と台湾を一体として捉えている結果である。
中国は、この両島を同時攻撃して米軍の戦力分散を狙ってくるだろうと見ている。
むろん、日米海軍が圧倒的に優位な潜水艦部隊によって、中国艦船の出足を止める手はずだ。
中国が、こういう日米海軍の布陣を軽く見て開戦してくる危険性を否定できない。
それだけに、長時間防御に耐えられるよう弾薬を確保する。事態は、ここまで進んでいるのだ。