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韓国、「弱り目に祟り目」潜在成長率ガタガタ、素人政権が辿り着く先は「衰退二文字」

2020-01-29 12:00:00 | 日記
2020年01月29日
韓国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評

韓国経済は、音を立てて崩れている感じである。最低賃金の大幅引上げ(2年間で29%)と週労働52時間が、大きなブレーキになっている。現実を無視して、理想論を追いかけすぎた反動に見舞われている。昨年の実質GDPは、2.0%成長であった。名目GDP成長率は、1.2%の模様だ。この結果、GDPデフレーターはマイナス0.8%見当と見られ、これがGDP成長率を押し上げたもの。不況期特有であるGDPの「名実逆転」が起こっていた。

文政権は、学生運動家上がりの集団である。北朝鮮問題になると目の色を変えるが、経済成長には無頓着である。最賃の大幅引上げと労働時間短縮を組み合わせたらどうなるか。経済が失速するということに気付かなかったのだ。この集団が、韓国経済の舵取りをしている以上、潜在成長率は低下して当然である。一言で表わせば、韓国経済は衰退過程に嵌り込んでいる。

勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。


韓国、「弱り目に祟り目」潜在成長率ガタガタ、素人政権が辿り着く先は「衰退二文字」

『中央日報』(1月28日付)は、「下降一途の韓国経済基礎体力、OECD推算潜在成長率 10年間で1.4%ポイント低下」と題する記事を掲載した。

韓国の潜在成長率が2%台中盤まで落ちたという経済協力開発機構(OECD)の分析が公表された。潜在成長率は労働力や資本のような生産要素を最大限活用して景気過熱を招かずに実現できる成長率だ。国家経済の基礎体力を示す。

(1)「28日、OECD発表によれば、韓国の潜在成長率予想は今年2.5%だ。これまでの潜在成長率の推移を示す。

2021年 2.4%

2020年 2.5%

2019年 2.7%

2018年 2.9%

2010年 3.9%

2009年 3.8%

潜在成長率が3%台から2%台に落ちるのに9年(2009~2018年)かかっているが、2%台から1%台に落ちるまでにかかる時間はこれより短くなる可能性が高い」


潜在成長率は、生産年齢人口比率と深い関係がある。
生産年齢人口比率


2014年 73.41%(ピーク)

  15年 73.36%

  16年 73.16%

  17年 72.92%

  18年 72.61%

(資料:世界銀行)

上記の生産年齢人口比率は、2014年がピークである。その後は、「人口オーナス期」に移行しているが、その低下幅は微々たるもの。一方、潜在成長率低下は大幅である。経済政策の失敗がもたらした結果と見るほかない。


(2)「人口高齢化が急速に進む中、革新不振、サービス業生産性の停滞などが複合的に作用して下落ペースが速まっているとみられている。15~64歳の生産年齢人口は2017年を基点に引き続き減少していく見通しだ。韓国経済の生産性向上ペースも遅くなっている。米国の経済研究機関「コンファレンスボード」によると、韓国の全要素生産性増加率は2017年1.2%から2018年0.5%に下落した。全要素生産性は労働と資本の投入量では説明できない付加価値の増加分を意味する。生産過程での革新と関連が深い」

韓国の全要素生産性増加率は、2017年1.2%から2018年0.5%に下落している。この理由は、失業率の増加と労働時間短縮がブレーキをかけたと見られる。生産量が減ったのだから、全要素生産性増加率が低下して当然であろう。

韓国雇用労働部が52時間を超えて勤務していた107万人余りを調査したところ、52時間制導入で平均月収が38万8000ウォン減少していた。上限の68時間近く勤務してきた労働者にとって、時間にすると23.5%の時間短縮だが、休日手当や夜勤手当、超過勤労手当等の割増支給を考慮すると手取り収入は20%から30%減ることになるという。生活の質を高めるはずの52時間制が、経済不安を高めるのだ。

(3)「実質成長率は、低下する潜在成長率にも及ばなくなっている。韓国の昨年の国内総生産(GDP)成長率は2%だ。OECD推算の潜在成長率に比べて0.7%ポイントも低い。今年、政府の成長率目標(2.4%)を達成するといっても、潜在成長率を下回っている。潜在成長率が低くなり、政府の拡張財政や韓国銀行の政策金利の利下げのような通貨政策が大きな効果をあげにくくなっているという意味だ」

低下している潜在成長率を引上げるには、構造的な脆弱性にメスを入れるほかない。労働市場の流動化である。働き方の多様性を実現することだ。労組が反対しても国民を救済する目的であれば、強硬策で突破するのも政治力である。文政権には、それができないのであろう。

韓国・文政権下で労働争議が熾烈化、高まる深刻な経済減速リスク

2020-01-28 13:27:45 | 日記
韓国・文政権下で労働争議が熾烈化、高まる深刻な経済減速リスク

真壁昭夫

2020/01/28 06:00


Photo:Jae Young Ju/gettyimages©

ダイヤモンド・オンライン 提供 Photo:Jae Young Ju/gettyimages

有力企業の労働組合が

大規模なストライキを実施

 近年、韓国では、サムスンなど有力企業の労働組合が大規模なストライキを実施するケースが目立つ。労使間の争議が激しくなると、操業度が低下するなど企業業績にマイナスの影響を与える。

 それは、韓国経済の減速リスクを高める無視できない要因だ。韓国経済の成長率の低下が鮮明化しており、今後、一段と厳しい状況を迎えることが懸念される。

 韓国内の労働争議の影響などを回避するために、大手企業が海外に活路を求めることが目立ち始めている。経済成長率の低下や文在寅(ムン・ジェイン)大統領の経済政策の失敗もあり、雇用環境は悪化傾向にある。

 今のところ、文大統領は国内経済のテコ入れには目立った政策を打っていない。

 そうした文大統領の対応もあり、1月中旬の世論調査では同氏に対する否定的な評価が50%を超えた。その背景には、労働争議の激化や輸出の停滞懸念などを受け、文政権下で生活環境の改善は期待できないと考える世論があるとみられる。

 こうした状況が続くと、韓国の社会心理はさらに悪化し、経済の安定にマイナスの影響を与えることになるだろう。


無視できない阻害要因になる

労働争議

 韓国では、歴史的に労働組合が経済や政治に強い影響を与えてきた。1960年代から1980年代まで、韓国では軍事政権が敷かれた。当時の政権は大手財閥企業の経営を優遇して経済成長の実現を優先し、労働組合の活動を強く制限した。

 軍事政権下、韓国の労働組合は圧力に反発し、民主化を求める主な基盤としての性格を徐々に強め、労働争議が激化した。1980年代に入ると、労働組合は学生の参画を取り込みつつ民主化を求める運動を展開し、労働争議も勢いづいた。1980年代後半に入ると、民主化の機運が高まる中で労働組合は方針を転換して企業に対する賃上げを求め始めた。

 以後、韓国の労働組合は、経済環境にかかわらず企業経営者に対して賃上げを求めてきた。労働組合は経営者を批判し、ストライキの断行などによって賃上げ要求を経営陣にのませ、影響力を強めた。労働組合の力が強まるとともに、企業はその意向に配慮せざるを得なくなり、業績動向に応じて雇用の調整を進めることは難しくなったと考えられる。

 その状況は、労働組合が韓国経済の生み出す付加価値の一部を蝕(むしば)む、というにふさわしいだろう。その結果、韓国の労働市場の流動性は低下し、企業の採用意欲が高まりづらいという無視できない問題が深刻化してきたと考えられる。労組の影響力拡大は、成長産業の育成や労働生産性の向上などにもマイナスの影響を与えたはずだ。そのため、景気の減速が鮮明となると、韓国株を手放そうとする外国人投資家が増加しやすい。

 労働組合の影響力拡大は、韓国のパートタイム就業者や自営業者の割合が高い一因と考えられる。言い換えれば、労働組合の影響力が拡大するとともに、経済全体で雇用機会が創出されづらい状況が続いている。

 そのため、労働市場への新規参入者である新卒の学生などの若者が希望する就業機会を手に入れることはかなり難しいようだ。このようにして韓国の労働市場では、労働組合に属するものと、そうではない人の間で、経済格差が拡大するなど、経済の二極分化が進んできたとみられる。


労働争議の激化を

止められない文大統領

 文政権下、労働組合の主張は従来に増して勢いづいているように見える。その一例として、韓国最大の労組組織である“全国民主労働組合総連盟(民労)”は、「朴槿恵前大統領の罷免につながった“ろうそくデモ”を率い、文政権発足を支えた」と主張している。韓国労働組合は、自らが現政権を支える重要基盤であるとの自負を強めているといえる。

 その状況を、“労組の暴走”と評する経済の専門家もいる。本来であれば文大統領は労働組合の活動に関する新しいルールや規制を整備し、企業経営を支えるべきだ。ただ、文氏が労働組合の支持を得ているだけに、企業寄りの政策を進めることは難しい。

 文政権下、多くの業界での労働争議が激化している。多くに共通するポイントとして、景気が減速する中でさらなる賃上げが要求されている。これは、韓国経済にとって、無視できないリスク要因と考えなければならない。

 本来であれば、中国経済の減速などによって韓国の輸出が伸び悩み、企業の経営状況が不安定化する中で労働組合が賃上げを求めることはできないはずだ。

 わが国のトヨタ自動車などでは、労使の協力の下、自助努力によって原価低減への取り組みを進め、その上でより効率的に付加価値を生み出すことが常に重視されてきた。それが企業の競争力を高め、賃上げを支える要素の一つとなり、企業の長期存続につながっている。

 しかし、韓国の労働組合の価値観は、これとは大きく異なる。ルノーサムスン自動車や現代自動車の労働組合は、業績動向にかかわらず、労働者はより多くの賃金を受け取る権利があると主張している。

 すでに現代自動車の従業員の平均給与は、トヨタ自動車の水準を上回っているとみられる。

 2018年秋以降、ルノーサムスン自動車ではストライキが数十回にわたって行われ、生産が落ち込んでいる。モノを生産し、輸出することによって経済成長を実現してきた韓国にとって、労組の影響力が強まってきたことは経済の安定を阻害する要因の一つだ。


懸念される

一段の経済成長率の低下

 今後の展開を考えたとき、韓国では経済の先行き懸念が高まり、労働争議がさらに激化する恐れがある。労働争議の激化は、企業経営をさらに圧迫し、韓国経済の停滞懸念を高めるだろう。

 そう考える背景には、世界経済の不確定要素が増大していることがある。

 まず、米中の通商交渉がどう進むかが不透明だ。米中は通商交渉の第1段階合意において、今後2年間で中国が米国からの輸入を2000億ドル増やすことに合意した。今後、中国は米国からの輸入を優先しなければならない。

 それは、中国への輸出によって景気を持たせてきた韓国経済にとってマイナスに働く要素を含む。同時に、景気が減速する中で中国が合意内容を確実に履行できるかもわからない。状況によっては、米中の摩擦が再燃することもあるだろう。

 また、中国では、新型のコロナウイルスの感染が拡大し、すでに冷え込みが鮮明となっている個人消費が一段と落ち込むことも懸念される。

 韓国では雇用環境の悪化などを受けて内需が低迷している。また、北朝鮮は核実験の再開を示唆している。朝鮮半島情勢の不安定感が増しつつある中、企業が長期の視点で韓国に資本を投じることは難しいだろう。

 外需依存度の高い韓国経済の先行き不透明感は、徐々に高まりやすくなっている。これまでの展開をもとにすれば、景気先行きへの懸念が高まるにつれて、韓国の労働組合は賃上げ攻勢を強めるだろう。

 そうした展開が現実のものとなったとき、労働争議の回避やより高い成長の取り込み、さらには柔軟、かつ安価な労働力を求め、海外進出を重視する企業が増えてもおかしくはない。長めの目線で考えると、労働組合に属する者に富が集中し、そうではない者がかなり苦しい状況に直面することも考えられる。

 労働組合の支持を得てきた文大統領が、セーフティーネットの整備や労働市場の改革など、必要とされる改革に取り組むことは難しい。

 当面、韓国では労働争議が熾烈(しれつ)化し、それに伴って世論が文政権の経済運営への批判を強める展開が予想される。文政権が韓国の社会心理を落ち着かせ、経済の安定を目指すことは容易ではないだろう。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

独裁へ突き進む文在寅 青瓦台の不正を捜査中の検事を“大虐殺”

2020-01-27 16:55:17 | 日記
青瓦台の不正捜査する検事を一斉に閑職 独裁化する文在寅政権

週刊新潮WEB取材班編集

2020年1月21日 12時30分


ざっくり言うと

文在寅政権が独裁に向けて暴走していると鈴置高史氏が解説する
8日に青瓦台の不正を捜査する検事を、一斉に閑職に追い込んだという
この件を韓国保守系紙は「大虐殺」などと呼び、報じているそう

独裁へ突き進む文在寅 青瓦台の不正を捜査中の検事を“大虐殺”



2020年1月21日 12時30分
デイリー新潮

秋美愛法務部長官(Transitional Justice Working Group/Wikimedia Commons)

 文在寅(ムン・ジェイン)政権が独裁にひた走る。青瓦台(大統領府)の不正を捜査する検事を一斉に閑職に追い込んだのだ。検事や裁判官を含む高官監視組織の新設に続く暴走だ。韓国観察者の鈴置高史氏が解説する。

青瓦台を捜査する検事を飛ばしてどこが悪い

鈴置:1月8日、韓国の法務部は最高検察庁の幹部、32人を地方などに左遷しました。文在寅大統領の側近の不正を捜査していた検事は全員、職を解かれました。保守系紙は「大虐殺」と呼んでいます。

 12月30日の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)――日本では「高官不正捜査庁」などと訳されますが――の設置法の強行採決に続く動きです(「文在寅政権が韓国の三権分立を崩壊させた日 『高官不正捜査庁』はゲシュタポか」参照)。

秋美愛法務部長官(Transitional Justice Working Group/Wikimedia Commons)

「高位公職者」には検事や裁判官を含みます。文在寅政権はまず昨年末に「政権が気にいらない捜査をしたり判決を下せば、牢屋にぶちこむぞ」と脅す体制を整えた。そして今年に入るとすぐに、気にいらない検事の粛清に乗り出したのです。

 1月14日の新年の会見で、この人事に関し聞かれた大統領は「検察の人事権は法務部長官と大統領にある」「検察が特定の事件だけを選んで熱心に捜査すれば、国民の信頼を失う」と答えました。青瓦台を捜査する検事を飛ばしてどこが悪いのか、と開き直ったのです。

指揮権発動よりも陰湿

――指揮権発動ですね。

鈴置:それよりもたちが悪い。人事権を用いることで、事実上の指揮権発動を偽装するという、陰湿でせこい手を使ったのです。

文在寅政権の三権分立破壊

 確かに、検事の人事権は大統領にあります。しかし、検察庁法の34条は「人事案に関しては法務部長官が検事総長の意見を聞いた後に大統領に上げる」よう定められています。

 保守派は同条項を掲げ、「秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の意見を聞かずに発令したから、今回の人事は無効」と主張しています。

 一方、政権側は「秋美愛長官が尹錫悦総長を呼び出して人事案を提示しようとしたのに、面会を拒否された」と説明。尹錫悦氏を懲戒する姿勢を見せています。

 翌1月9日に秋美愛長官が、部下に対し「懲戒するための法令を探せ」と指示しました。国会本会議場でスマホに「指揮監督権限の適切な行使のための懲戒関連法令を見つけておいて下さい」と書きこんでいる姿が、毎日経済新聞のカメラに収められたのです。

「<単独>秋美愛『懲戒関連法令を探せ』と指示…尹錫悦を狙ってか」(1月10日、韓国語版)でその写真を見ることができます。

 政権とすれば、検察の先頭に立って文在寅政権の不正を暴く尹錫悦検事総長を辞めさせたい。しかし検事総長の任期は2年間と決まっています。尹錫悦氏は2019年7月に就任したばかりで、今すぐには首にできない。

 そこで秋美愛長官の呼び出したのに応じなかったことを「抗命」とみなし、処分に動いている――あるいはそう見せて牽制したのです。

検事を皆殺し、今は独裁時代か

――泥仕合になってきましたね。保守派は引き下がれないでしょう。

鈴置:もちろん、保守派は死に物狂いで抵抗しています。検察を左派が握れば、文在寅政権の不正を暴けなくなるだけではありません。自分たちが監獄に放り込まれるからです。

 この政権がスタートして10カ月後の2018年3月の段階で、前の保守政権時代に長官・次官級のポストを歴任した11人が収監されました。大統領の2人は除いてです。

 朝鮮日報の「懲役合計100年 『積弊士禍』の陰の理由」(2018年3月22日、韓国語版)が報じた数字です。

 保守の最大手紙、朝鮮日報は社説で「独裁時代に戻った」と非難しました。「『青瓦台の捜査は任せた』と言っておいて、検事を皆降格、今は独裁時代か」(1月9日、韓国語版)の前文の最後が以下です。

・大統領の不法疑惑と大統領側近の不正を捜査するや否や、人事権を振りまわして報復を加え、強制的に捜査から手を引かせたのだ。独裁国家でしか起きないようなことが「民主化運動」政権で繰り広げられている。

権力の私物化、李朝時代に戻った

 朝鮮日報はこの後も連日、ある日は1日に2本もの社説で権力の私物化を攻撃しました。韓国語版を要約しつつ訳します。

・文在寅政権の不正を捜査していた尹錫悦検事総長の参謀たちの「大虐殺」が行われる一方、政権に近い検事が大挙、要職を占めることになった。ソウル地検の検事正には文大統領と共に働いたことのある、大学の後輩が任命された(「検察の捜査陣を飛ばしても『青瓦台の不正』が消え去るわけではない」=1月10日)

・権力を狙った捜査を妨げる司法妨害は、米国の大統領弾劾のもっとも重要な要件である。ニクソン(Richard Nixon)大統領はウォーターゲート事件を捜査していた特別検事を解任したことで弾劾の危機に瀕し、辞任に追い込まれた。尹錫悦捜査陣を虐殺した「1月8日事件」の本質も変わるところがない(「夢の中でも起きないことをやってのけた政権、正気に返れ」=1月10日)

・政権側が「抗命」を理由に尹錫悦総長に職を辞すよう圧迫している。王命に逆らった罪を犯したとして、李氏朝鮮時代の義禁府(捜査機関)に連れて行かれるのと同じだ。検察が国民の信頼を失ったのは、権力に屈従してきたからだ。だから検察改革は権力からの独立が出発点となった。ところが政権側は検察が権力に屈従せず「抗命」したと言うのである。泥棒が自分を捕まえようとする検察の捜査陣を空中分解させておいて「検察の抗命」に話をすり替えようとしているのだ(「『王命に逆らうのか』、李氏朝鮮時代に戻った民主化政権の憤怒」=1月11日)

 同じ保守系紙ながら、朝鮮日報と比べれば穏健な東亜日報や、一時は文在寅政権に近寄り「中立系紙」と見なされるようになった中央日報も、今回の検察人事に関しては社説で厳しく批判しました。

 東亜日報の社説の見出しは「現権力を捜査中の検事総長の手足をすべて奪う、検察人事の暴挙」(1月9日、韓国語版)でした。「暴挙」と言い切ったのです。

 中央日報の社説の見出しも負けず劣らず激しいものでした。「暴圧的な検事の人事、正義が虐殺された」(1月9日、韓国語版)です。

「三権分立の崩壊」を書かないハンギョレ

――左派系紙は?

鈴置:ハンギョレも社説「検察の『破格の人事』、『公正な捜査』が保障されねばならぬ」(1月8日、韓国語版)で「この人事が捜査に影響を与えてはいけない」と主張しました。

 者国(チョ・グッ)前法務部長官の疑惑には国民の怒りが爆発しました(「者国法務長官が突然の辞任 それでも残るクーデター、戒厳令の可能性」参照)。

 それにもかかわらず、ハンギョレは疑惑をほとんど報じなかったので、国民から「文在寅の御用新聞」と馬鹿にされました。怒ったハンギョレの若手記者が、編集幹部の解任を要求するなど反乱を起しています。

 だからこの社説でも、青瓦台の犯罪の隠ぺいを助けると見なされる主張は避けたのでしょう。でも、骨抜きにされた検察に「しっかりやれ」と要求すること自体がおかしい。

 将来、「検察の捜査が不十分だ」と国民が怒りを爆発させた時に「我々は公正な捜査を求めていた」と言い訳するための「アリバイ社説」でしょう。

 ハンギョレはそれどころか「尹錫悦総長に近い検事が要職を独占していることに検察内部からも批判があった」「選挙で選ばれていない権力には民主的統制が必要だ」と書き、今回の人事には正当性があったと説明しました。文在寅大統領の説明そのままです。

 民主化の旗手を自認するハンギョレが、三権分立が危機に瀕し民主化が後退している現実を一切、指摘しなかったのです。

 そもそも、ハンギョレの記者たちにはそんな認識がないのかもしれません。韓国人は党争――仲間内の争いに陥ると、周りが見えなくなってしまう。そうやって自ら国を滅ぼしてきたのです。

1日に3つの検察平定作戦

――それにしても保守系紙からはこれだけの批判。政権の暴走に少しは歯止めがかかりましたか?

鈴置:真逆でした。政権は暴走を加速しました。1月10日、秋美愛長官は検察が職制にない組織を新設するのを規制しました。捜査チームをバラバラにされた尹錫悦総長が、新たな組織を作って政権の不正の捜査を続けるのを防いだのです。

 1月13日、政権側は1日にして3つの検察平定作戦を実行しました。まず、青瓦台は者国前法務部長官への検察の捜査は人権侵害に当たるとして、国家人権委員会に調査を依頼しました。

 法務部は検察の職制改編を発表。権力の犯罪を暴く、日本の地検特捜部に当たる部署を大幅に減らしました。「廃止・縮小された部署のほとんどが現政権の実力者を捜査中」と東亜日報の社説「検察は職制改編と人事で圧迫されても、国民だけ見て前に進め」(1月15日、韓国語版)は指摘しています。

「とどめ」は1月13日に刺された

 さらに国会は、捜査指揮権を廃止して検察を弱体化する一方、警察の権限を強化する法案を通しました。与党の「共に民主党」は過半数を持ちませんが、選挙法改定で抱き込んだ小政党も賛成に回ったのです。

 保守の牙城だった検察から力を奪ったうえ「警察を左派の手先に使うのが目的」と韓国の法曹関係者は口をそろえます。リベラル派の弁護士も含めてです。

 検事や裁判官を含む政府高官を捜査する公捜処(高官不正捜査庁)の設置は昨年末に押し通しました。ただ公捜処は組織が小さく、実働部隊が手薄。そこで、保守派に睨みを効かせるのに足りない部分は警察力で補う作戦と考える韓国人が多い。

 また法案を通す過程で、国会議員は公捜処の捜査対象から外すことになりましたが、力を強めた警察を手足に使えば、立法府も牽制できることになります。

 中央日報の「青瓦台・政府・与党総動員、韓国検察の手足が縛られた」(1月14日、日本語版)は「1月13日を境に検察は変わった。手足が縛られたのだ」と書きました。検察は――韓国の三権分立は1月13日にとどめを刺されたのです。

保守大合同で活路を図るが……

――今後、文在寅政権はやりたい放題ですね。

鈴置:公捜処が動きだすのは7月。保守は4月15日の国会議員選挙で過半数をとって、公捜処設置法を廃止に追い込むつもりです。

 ただ、朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免騒動の際、弾劾に賛成するか否かで保守党は2つに割れました。韓国は基本的に小選挙区制ですから、分裂したままなら勝てる可能性は低い。

 300議席中、47議席を比例投票で選びますが、昨年12月27日の選挙法改編で小政党に優先的に配分する仕組みになった。最大の保守政党、自由韓国党は比例では1議席も取れないとの予測もあります。そこで保守側は中道保守政党も含めた大合同を模索し始めました。

――保守が4月の総選挙で負けたら?

鈴置:左派政権のやりたい放題になります。司法府を我がものとし、立法府も脅せるようになるのですから。

左も右も民主主義を壊す

――次の大統領選挙で保守が勝てば、韓国に三権分立が戻るのでしょうか。

鈴置:そう訊くと首を横に振る韓国人がほとんどです。まず、保守派は「そもそも、このまま行けば我々は大統領選挙で勝てない。左派政権が警察を使って選挙に介入して来るからだ」と説明します。

 確かに、今回の検察人事で捜査を妨害された蔚山市長事件。青瓦台が警察を使って対立候補を陥れ、文在寅大統領の支持者を当選させた、との疑いが持たれています。

 一地方都市の首長選挙でも介入したのですから、大統領選挙ともなれば、警察あげての大規模な妨害工作が起きて不思議ではありません。

 一方、普通の人は「保守が次の政権を取っても、もう、元には戻らない」と言います。司法も立法もコントロールできる――。政権にとってこれ以上に都合のいい話はない。保守の側だっていったん政権を取れば、こんな便利な武器は握って放さない、というわけです。

――結局、誰が政権に就こうが韓国の民主主義は壊れていく……。

鈴置:そういうことです。もう一度言います。韓国人は党争――仲間内の争いに陥ると、周りが見えなくなってしまう。そうやって自ら国を滅ぼしてきたのです。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年1月21日 掲載

韓国のデモは年間9万件!なぜこれほど多いのか―中国メディア

2020-01-27 16:43:19 | 日記
韓国のデモは年間9万件!なぜこれほど多いのか―中国メディア

Record China

配信日時:2020年1月23日(木) 7時50分


中国メディアの環球網は22日、「韓国の政治体制に危機警報が鳴った」と題する記事を掲載。デモが多発する韓国の国内事情を伝えた。

中国メディアの環球網は22日、「韓国の政治体制に危機警報が鳴った」と題する記事を掲載。デモが多発する韓国の国内事情を伝えた。

記事はまず、韓国警察庁の統計で2019年に韓国人が行ったデモが9万件以上に達することが確実になったことを紹介。「これは間違いなく驚くべき数字だ」とした上で、「韓国人のデモはなぜこれほど多いのか。韓国社会にはどんな問題があるのか」と疑問を提起した。

同メディアの韓国駐在記者は「韓国では確かに、毎日のようにさまざまなデモを目にしたり聞いたりする」とし、「経済や社会の不公平さが加速しているほか、韓国社会の異なる価値観の対立がますます顕著になっている。デモの件数が過去最多を更新したことは、韓国の政治体制に対する警報だ」とした。

具体的なデモ件数を見ると、2019年1~11月で8万7426件に達しており、12月も含めると9万件を超えることは確実と見られている。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾があった16年は4万5755件だった。文在寅(ムン・ジェイン)政権が誕生した2017年は前年比でやや減少したが、2018年は6万8262件に跳ね上がり、19年はそこからさらに2万件以上増えている。

記事は、デモ件数の増加について「現在の韓国社会のさまざまな不満や対立が、対話や正常なルートで解決できないことを間接的に証明している。だからこそ、集会やデモによって解決しようという社会心理が急速に拡大しているのだ」と指摘した。

その上で、昨年6月末に米国のドナルド・トランプ大統領が訪韓した際は、「ソウルの光化門広場は終日大混乱だった」と説明。保守派と進歩派の民間団体がトランプ氏の訪韓を歓迎、反対する集会が2日間で30件に達したことを挙げ、「光化門広場はすでに二つに分断されている」と表現した。

韓国警察庁の統計によると、19年1~10月のデモで秩序維持に警官隊が投入されたのは1万1385件だった。これは、前年比で45.3%も増加しているそうだ。

韓国でセウォル号事件や慰安婦問題などのデモを取材してきたという環球網の駐在記者は、特に印象に残っているものに朴前大統領に反対するろうそく集会を挙げた。
「クリスマスや年越しの時期と重なり、お祭り騒ぎのようだった」「韓国人は風刺的な要素も好きで、デモに連れてきた子犬の首輪に『私が大統領になろうか』と書かれた風船をくくり付けていた」などと説明し、「いずれにしても政治的な色合いが強く、1本の道の両側に保守派と進歩派が分かれ、中央には警官が立つという形だ」と振り返った。

記事は、韓国問題の専門家の話として、「韓国社会は政治理念の衝突と対立が深刻。こうした対立は政界だけでなく市民社会にまで存在する。2つの勢力によるデモは往々にして『口はあるが耳はない』状態だ。自分の要求だけに関心があり、相手陣営の考え方は無視する」と指摘。「韓国社会は“自由民主”で、社会の価値観の多元化を促進し、多くのマイノリティーが権利を主張しているが、彼らがとる方法は基本的にみんなデモになる」とした。

そして、「根本的には、デモの多くは経済と社会の不平等から起こる」とし、「1997年のアジア通貨危機以降、韓国では貧富の差が拡大し続け、ここ数年では階層の固定化が著しい。
各種の社会的な対立がうず巻き、民衆の不満は日増しに高まっている」と解説。「朴前大統領の弾劾がろうそく集会の後押しを受けて成功したことによって、もともとデモの伝統があった韓国人がデモは効果があると認識した」とし、「集会の自由が“デモ万能主義”へと変化している」と論じた。(翻訳・編集/北田)

【正論】日米「反ファシズム同盟」の時代

2020-01-27 16:31:55 | 日記
2020年 01月 20日


【正論】日米「反ファシズム同盟」の時代

福井県立大学教授・島田洋一

2020.1.20

 国際政治は、先進自由主義陣営と「先進ファシズム」陣営が覇を争う時代に入った。文明と「ハイテク野蛮」の対決と言ってもよい。日米同盟もその観点から整理し直す必要がある。


 ≪中国、イランをめぐって≫

 ファシズムは、「国家主義的な独裁を永遠の統治原理としつつ、資本主義のエネルギーを抑圧体制活性化のために用いる」イデオロギーと定義できる。軍事、国民監視、情報統制などあらゆる面でハイテク化を進める中国共産党政権(以下中共)はまさに「先進ファシズム」の典型である。

 中国も経済発展すれば徐々に自由民主化する、だから支援すべきという発想は過去半世紀の最大の誤りだった。一党独裁のファシズム国家を経済発展させれば先進ファシズム国家となるだけである。

「中国の体制に憧れる者はいない」という発想も危うい。例えばイランの神権ファシズム政権は、自由民主主義を斥けつつ経済大国となった中共に、憧憬の目を向けてきた。全体主義者にとっては、中共は成功モデルなのである。

 そのイランが揺れている。制裁で経済が悪化する中、圧政の要と言うべき暴力装置、革命防衛隊が二重の打撃を受けたためだ。

 対外破壊活動部門のソレイマニ司令官の米軍による殺害は、イラン絡みのテロで米国人に死者が出た場合、イラン本体に強烈な打撃を加えるという公約をトランプ政権が実行したものである。破壊活動に対する抑止力は格段に高まったといえる。

 続いてイラン政府はウクライナ機墜落は事故との虚偽説明を一転させ、革命防衛隊によるミサイルの誤射だったと認めた。イラン各地で抗議デモが発生、政権打倒のスローガンも叫ばれた。

 「日本とイランの伝統的な友好関係」が政治家の決まり文句だが、「友好」を向けるべき相手は現政権ではない。現政権は長年、北朝鮮にミサイル開発資金を提供してきた存在でもある。

 昨年9月、サウジアラビアの石油プラントがミサイル攻撃を受けたが、米政府のみならず英独仏政府もイランの犯行との見解を示している。再度攻撃があり、サウジが反撃すれば中東本格戦争となる。それを防ぐには、イランに対する監視網と反撃体制(抑止力)を大幅に強化せねばならない。


 ≪日本だけが責任免れるか≫

 トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)がその中核を担うべきとの主張を強めている。すなわち欧州諸国(およびカナダ)の軍事貢献拡大を求めたものである。

 先進7カ国(G7)中、NATO加盟国でない唯一の国が日本である。同時に中東石油への依存度が最も高いのも日本である。その日本だけが、新たな責任分担を免れるのか。あり得ないだろう。

 安倍晋三政権は海上自衛隊の護衛艦と哨戒機の中東派遣を決めた。「調査研究」という不十分な形であれ、時宜を得た措置だった。ただ今後は、米欧各国が中東への軍事関与を深める分、日本には「守備範囲」たる東アジアでの軍事的役割を高めてほしいという形で圧力が高まるかもしれない。

 イスラム世界を刺激しないため表に出ない仕切りになっているが、中東ではイスラエルも重要プレーヤーである。ソレイマニ除去作戦でも、バグダッド空港で傘下の武装勢力幹部らが出迎え2台の車に分乗して連絡路を通行中に、上空で待機していた米軍無人攻撃機が遠隔操作でミサイルを発射、車内の全員を殺害した。一般道の手前地点のため、巻き添え被害は生じなかった。完璧なタイミングの背後に、ヒューミント(人的情報収集)でのイスラエル情報部の貢献があったという。

 秘密戦分野を中心に寄与するイスラエル的な行き方もあるが、日本にはモサドに比肩するような対外情報機関がない。


 ≪重層的な同盟関係を築け≫

 日本の政治家は、日米安保は「米国が攻撃されても日本は助ける必要が全くない」(トランプ氏)ものの、米軍への基地貸与で「全体として義務のバランスは取れている」という言い方を好む。だが例えば英国は(1)インド洋の英領ディエゴガルシア島を基地として米軍に貸与し、(2)NATOの枠組みで相互防衛に参加し、(3)秘密情報部(MI6)が米中央情報局(CIA)と緊密に協同するなど重層的な同盟関係を築いている。

 基地を貸しているからバランスが取れているという議論は、日米同盟は重層性を欠くという告白に等しい。それでも安倍政権は、集団的自衛権の一部行使に踏み込んだ平和安全法制を成立させた(2015年)。対して立憲民主党を中心とする野党は、海上自衛隊の中東派遣に反対すると共に、平和安全法制の廃止も唱えている。

 もし枝野幸男政権ができ、公約実行に乗り出したら韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄どころではない強烈な反発が米側からくるだろう。結局は文在寅政権同様、撤回に追い込まれるはずである。公約違反に期待するしかないような政権を誕生させる余裕は日本にはない。(しまだ よういち)