日本と世界

世界の中の日本

米有力紙が掲載した「原発のすゝめ」 島田洋一(福井県立大学教授)

2020-01-27 13:14:01 | 日記
2019.09.12 (木)

米有力紙が掲載した「原発のすゝめ」 島田洋一(福井県立大学教授)


米紙ワシントン・ポスト9月4日付に、原発に関する興味深い論説が載った。

筆者は常連コラムニストのヘンリー・オルセン氏。

タイトルは単刀直入に「原子力を無視する候補者は信用するな」(Don’t trust candidates who ignore nuclear power)である。

日本にも参考になる、というより、日本にこそ一層当てはまる論点が多々ある。コラムの骨子を紹介しておこう。

●大統領選候補も関心は再エネ
 
オルセン氏はまず、米民主党の大統領候補者が押し並べて、社会の脱炭素化、すなわち温室効果ガスの排出ゼロに向け、きわめて前のめりの対応を公約している点に注意を喚起する。

エリザベス・ウォレン上院議員は、気候変動を「存亡に関わる課題」と呼び、

バーニー・サンダース上院議員は「地球を健康的で居住可能なままにしようと思うなら、我々のエネルギー・システムを化石燃料依存から脱却させるために残された時間は11年を切っている(パリ協定が削減目標年としている2030年までにとの意味=筆者注)」と力説する。
 
ところが2030年はおろか、予見しうる将来、いわゆる再生可能エネルギーが大量安定供給を保証するベース電源たり得ないことは明白である。

「太陽、風力は決して発電のバックボーンにはならない。継続的に運転できないからだ」(オルセン氏)。

 
発電状況にムラのあるそれら電源に対応した大型・高効率・低コストの蓄電池が実用化され、家庭やビルが配電網に頼らず自立できるようになれば別だが、そうした時代はまだ視野に入ってこない。

となれば、温室効果ガス削減という課題に「最も安く迅速に対応でき」「すでに実用化された」
原子力を使うのが常識的回答(少なくともその一つ)になるはずである。

ところが目下、民主党大統領候補として最有力の4人の内、ウォレン上院議員、カマラ・ハリス上院議員の2人は原子力発電の利用に全く言及していない。

サンダース上院議員は逆方向に一段と踏み込み、「原発の新増設は一切認めない。既存原発の運転免許も更新を停止する」を公約に掲げる。
 
現在、世論調査で支持率トップのジョー・バイデン前副大統領だけが
「すべての低炭素およびゼロ炭素テクノロジーを見据えねばならない」とし、

「原発建設のコスト低下に向けた新テクノロジーの研究、既存原発の安全性、放射 性廃棄物処理に関する研究が必要」と曖昧ながら原子力に言及するものの、
やはり「原発の新設を促すような発言は何もしていない」とオルセン氏は指摘する。

 ●日本の原発ゼロの矛盾と偽善
 
以上を踏まえたオルセン氏の結論は明快である。

「迅速に炭素排出を減らせる、実用化された方法を排除する姿勢は、有権者にとって警告のサインでなければならない。

もし候補者が明らかな現実を認めないなら、彼らは気候変動との闘いに真剣ではな い、あるいは真の動機は他にあると見なければならない」。
 
トランプ大統領を筆頭に共和党の政治家の多くは、人間活動を主因とする地球温暖化という説に懐疑的である。

エネルギーの効率利用は進めるべきだが、無理に化石燃料を排除する必要はなく、ベース電源は予見しうる将来、火力発電で維持すればよいとの立場である。

良かれ悪しかれ、民主党のような矛盾や偽善が生じる余地はない。
 
翻って日本では、自民党から共産党に至るまで、人間活動を主因とする地球温暖化という説をほぼ無批判に受け入れている。
 
原発の再稼働を順次進めたとしても、同時並行的に新増設も行わねば、廃炉が進む中、エネルギー・ミックス中に原子力が占める割合は着実に減っていく。

原発の建設技術も失われていく。
 
石油・天然ガスが自給できるアメリカでは、民主党的な「脱炭素」公約が実現できなくとも、「遺憾ながら当面火力発電に頼ります」で社会に実害は生じない。
 
しかし日本は状況が異なる。

原発ゼロの状態で石油・天然ガスの輸入が止まれば、日本経済、国民生活は崩壊せざるを得ない。矛盾と偽善という問題は日本においてこそ深刻である。

不景気な韓国が、日本より成長率が高いのはなぜ…? その「謎」を解く

2020-01-27 12:57:28 | 日記
不景気な韓国が、日本より成長率が高いのはなぜ…? その「謎」を解く

1/24(金) 7:01配信

現代ビジネス

不景気な韓国が、日本より成長率が高いのはなぜ…? その「謎」を解く

潜在成長率も圧倒的に日本が低い

具体的に両国の潜在成長率をみてみよう。日本の潜在成長率は内閣府によれば2016~2018年の平均で0.9%、韓国は韓国銀行によれば2016~2020年の平均で2.7%と予測されており、日本より1.8%ポイント高い水準である。

ただし、それぞれの国の潜在成長率を実際の経済成長率と比較すると、日本は潜在成長率と等しく、韓国は潜在成長率より0.7%ポイント低い。

つまり韓国は日本より実際の経済成長率が潜在成長率より下方に乖離しており、失業増などの問題が発生していることがわかる。

ではなぜ韓国の潜在成長率が日本より高いのであろうか。

韓国といえば三星(サムスン)やLGといったグローバル企業の躍進ぶりが日本でも知られており、半導体メモリーやスマートフォンなどIT製品を中心に日本企業を凌駕している。

このような韓国企業の勢いが日韓の潜在成長率に差をつけていると考えている人も多いのではないだろうか。

しかし、韓国の潜在成長率が日本より高い主な理由は、高齢化が進んでいないといった人口学的なものである

繰り返しになるが潜在成長率は、

(1)労働投入量の伸び率、

(2)資本投入量の伸び率、

(3)生産性の伸び率で決まる。

そして、
(1)による部分を労働投入の寄与、
(2)による部分を資本投入の寄与、
(3)による部分を生産性の寄与とすると、
日韓の潜在成長率に大きく差をつけているのが資本投入の寄与である(資本投入とは、大雑把に言えば、新たに工場を建てたり機械設備を導入したりすることなどをイメージしてもらえるといい)。

具体的には、韓国は資本投入の寄与が1.4%であるが、日本はこれが0.3%に過ぎない。
韓国の潜在成長率は日本より1.8%ポイント高いが、資本投入の寄与だけでその6割以上を占める1.1%ポイントの差がついている(ちなみに、労働投入の寄与の差は0.1%ポイントに過ぎず、生産性の寄与の差は0.5%である)。

韓国の資本投入の寄与が高い理由として高齢化が進んでいないことを挙げることができるが、これには説明が必要である。

資本投入の伸びは投資に左右される。

資本蓄積は新たな投資による増加部分から資本廃棄による減少を引いた分だけ変化するが、資本が資本蓄積の一定比率で廃棄されるとすると、投資が多いほど資本蓄積の増加率、すなわち資本投入の増加率が高まる。

さらに貯蓄率と高齢化率との間には負の相関関係があることが知られている。

「ライフサイクル仮説」によれば人々は高齢期には貯蓄を取り崩すため、高齢化が進むとマクロでみた貯蓄率が低下する。

これは「高齢化が進む→貯蓄率低下→投資率低下→資本投入の伸び率低下」といった流れに整理できる。

つまり高齢化は資本投入の伸び率の低下をもたらす。

2019年における高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口の比率)をみると、日本は28.4%、韓国は14.9%であり、日本のほうが高齢化が進んでいることがわかる。

もちろん資本投入の寄与の差のすべてが高齢化の進み方の差で説明できるわけではないが、重要な要因であることは間違いない。
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2030年代の成長率

韓国では今後、高齢化が日本を上回るスピードで進み2049年には韓国が日本を上回る。


これは朝鮮戦争後、長期間続いたベビーブーム世代が2020年より順次、65歳以上になるからである。

そして急速な高齢化を背景とした資本投入の寄与の縮小などにより、2030年代には韓国の潜在成長率が2%を切ると予測されている。

 
現在の韓国は潜在成長率が日本より高い。よって、日本より景気が悪くても日本より経済成長率が高いといった一見すれば謎な現象が生じている。

しかし、将来的には日韓の潜在成長率の差は大きく縮小することが見込まれ、このような現象は生じなくなってくるであろう。
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高安 雄一(大東文化大学教授)

香港デモ隊の中で、習近平氏と中国共産党が直面する危機を厳密で正確に表現しているスローガンを見かけた。

2020-01-26 17:59:28 | 日記
香港こそ中国共産党の最大の悩み


2019年10月07日 15時31分


香港デモ隊の中で、習近平氏と中国共産党が直面する危機を厳密で正確に表現しているスローガンを見かけた。

「私たちが燃えるなら、あなたも一緒に燃えるだろう」(宋碧龍/大紀元)


香港デモ隊の中で、習近平氏と中国共産党が直面する危機を厳密で正確に表現しているスローガンを見かけた。「私たちが燃えるなら、あなたも一緒に燃えるだろう」(宋碧龍/大紀元)

中国統制下の金融ハブ、香港で大きな混乱が始まってもうすぐ6カ月たつが、なぜ中国政府は抗議デモを鎮圧しないのだろうか。人民解放軍(PLA)は香港に駐屯しており、準軍組織である人民武装警察は何週間も深圳に配置されている。彼らのいわゆる「軍事訓練」は、まだ行われているのだろうか。

中国共産党(CCP)は香港を天安門事件のように扱うことに対して沈黙を保ったままだが、これはどのように解釈したらいいだろうか。

「外国の影響」の宣伝

南シナ海での米海軍の作戦の再開、最近の韓国と日本との戦争ゲーム、そして台湾海峡で繰り返される米軍の出現はどうだろうか。この地域での米軍の高い存在感は、中国政府に香港の抗議デモの鎮圧を躊躇させているだろうか。

その可能性は低い。中国は多数の兵隊を送り込む高い能力を持っており、高度な対軍艦兵器を持っており、そしてトランプ大統領はこれ以上、外国の紛争に米国が巻き込まれることを嫌っているからだ。

しかし、中国共産党は数十年に渡り、「外国の影響」が中国の主権に対する最大の脅威の一つだと国内で宣伝している。この地域で増加する米国の存在感、そしてトランプ大統領の香港に関する警告は、中国共産党のこの宣伝を後押しするだろう。

中国経済を弱体化させる貿易戦

香港のデモ隊に対する中国の対処の仕方次第で、貿易戦の行方が決まるというトランプ大統領の脅迫はどうだろうか。

この脅迫は中国共産党を留めさせているだろうか。もちろんその可能性はある。これから先、貿易戦の被害がどれだけひどいものになるのか、中国のリーダー、習近平氏と共産党はすでに気づいているか、もうじき気づくだろう。

実際、中国の多くの地域で貿易戦の影響はすでに感じられている。

グローバル製造サプライチェーンはここ30年間で初めて中国から離れ出した。

中国東南部の海岸沿いの地域の工場では従業員がリストラされ、閉鎖される工場も出ている。

中国の国内総生産(GDP)成長率はここ27年間で最低まで落ち込み、これからもっと低くなると見られている。

この急激な変化はこれからの中国経済に大きな悪影響をもたらすだろう。工場は閉鎖し、他の国へ移ることにより、中国の失業率は上がっている。中国の李克強首相が失業率を下げることを最優先の経済政策として掲げていることも不思議ではない。

香港は中国共産党の最大の心配の種

実は、中国共産党を痛めつけているのは貿易戦だけではない。香港こそ中国共産党の最大の心配の種だ。これにはいくつか理由がある。

例えば、もし香港が中国軍によって「軍事的に征服」されたなら、貿易戦によって製造業が中国から離れるのと同じように、外国の金融ビジネスも他のもっと安全な場所へと移るだろう。これに対し、米国と他の欧米諸国は香港の特別経済地区としての資格を剥奪するだろう。つまり、中国がとても頼りにしている、香港のアジアの金融ハブとしての利点は全て失われる。

そうすることによって中国共産党は、ロンドンをも超える証券取引所を持つ、中国と世界をつなぐ金融ゲートウェイを破壊してしまう。また、不動産の価格が暴落し、金融サービスや他の利益の高いビジネスが香港を放棄することで、とてつもない富が消えることになる。中国は1989年の天安門事件の後も生き残ることができたが、それは欧米諸国の経済が中国によって空洞化される前のことだったということを中国共産党は認識すべきだ。今日の香港でもし大虐殺が起きたら、中国と欧米諸国との貿易関係は現在よりはるかに悪化するだろう。

中国の経済発展モデルの神話が打ち砕かれた

アメリカのグローバル・リーダーシップよりも、中国の経済発展モデルの方が良いと世界を納得させることが、中国の大きな計画だった。中国の経済発展モデルが21世紀の青写真となるはずだった。欧米型の共和民主制は国家主導の経済と一党独裁に取り替えられる。これが中国が過去20年間に渡り世界に発信してきたメッセージだ。

実際、この中国の経済発展モデルのグローバル化を通して、中国は一帯一路と中国製造2025計画を進める予定だった。一帯一路は発展途上国から天然資源を盗み、中国製造2025は先進国から技術を盗むためのものだ。中国共産党は中国を世界の次の、そして唯一の覇権国にしようとしている。

しかし中国の逃亡犯条例に対する香港の抗議デモにより、中国の経済発展モデルの神話は打ち砕かれた。欧米の資本主義を取り入れている香港の人々は、中国の経済発展モデルではなく、香港こそがこれからの中国の富にとって大事であることに気づいている。もし中国共産党がデモ隊を攻撃するなら、中国の経済発展モデルの幻想は今よりさらに早く消えるだろう。

中国共産党の億万長者たちは財産を失うことを恐れている

しかし、香港金融の崩壊によって影響を受けるのは、中国共産党の計画や、香港と外国の人々だけではない。中国共産党の党員たちが普通の人ではなく、億万長者だということを忘れてはならない。

共産党の億万長者たちはアジアの他の国、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカ、そしてカナダに不動産や家族がいる。香港や欧米諸国の金融機関に何百万ドルもの党員たちの財産があることは確かだ。

共産党に忠誠を示すために、彼らはどれだけの資産を失う覚悟があるだろうか。中国共産党という船と一緒に沈んでもいいという党員はどれだけいるだろうか。

自分の財産が共産党での地位のおかげであり、また共産党が欧米諸国から金融支援を受けてきたおかげであることを、全ての党員は知っている。そして彼らは中国の富の大部分が幻であることも知っている。そうでなければ、何兆ドルものお金が年々中国から離れるのではなく、中国に残るはずだ。また、香港の街角は今頃デモ隊の血に染まっているだろう。

人民解放軍が今まで行動を起こさなかったのは、財産を失うことと、それによってもたらされる全てのことを恐れているからだ。香港で何をするか、または何をしないかという決断が、中国共産党の将来を左右することに気づいているのは習近平氏だけではないはずだ。さらに、抗議デモが長引くにつれて、中国の経済発展モデルの幻が消えていくことになる。

これが中国共産党にとって厄介なジレンマだということを誰もが知っている。香港デモ隊の中で、習近平氏と中国共産党が直面する危機を厳密で正確に表現しているスローガンを見かけた。「私たちが燃えるなら、あなたも一緒に燃えるだろう」



ジェームズ・ゴーリー(James Gorrie)氏は南カリフォルニアに拠点を置く作家兼講演者で、「The China Crisis」の著者でもある。


経済では韓国は日本に太刀打ちできない!

2020-01-26 17:48:11 | 日記
経済では韓国は日本に太刀打ちできない!


辺真一 | ジャーナリスト・コリア・レポート編集長


2019/7/7(日) 17:15


 日本による半導体素材の対韓規制措置に端を発した日韓対立は経済に留まらず、政治、外交、文化、観光、さらには庶民のレベルまで広がりつつある。特に韓国では日本商品不買運動が始まるなど「反日」の気運が日増しに高まっている。

 報復が報復を招く「貿易戦争」は利益を得ることにあるのではなく、相手により多くのダメージを与える戦いである。裏を返せば、「消耗戦」でもあり、「持久戦」でもある。

 「消耗戦」に勝つには耐えられるだけの経済力がなければならない。日韓の経済力を比較すると、どれをとっても日本が断然有利である。そもそも土台から違い過ぎる。

 国土の面積で日本(377,915平方キロメートル)は韓国(99,720平方キロメートル)よりも4倍も大きい。人口の数でも日本(1億2600万人)は韓国(5160万人)の2以上もあり、内需基盤が韓国よりもしっかりしている。また、日本は米国、中国に続く世界第3位の経済大国である。一方の韓国は12位である。

 今日から大相撲が始まったが、米中が東西の正横綱だとすると、日本はさしずめ東張出横綱の地位にある。これに対して韓国は前頭筆頭というところだ。簡単な話が、日韓の経済力は横綱と前頭ぐらいの差があると言っても過言ではない。具体的な統計を挙げて、比較してみると、その格差は一目瞭然だ。

 経済指標をみると、国内総生産(GDP)規模は韓国の1兆5400億ドルに対して日本は4兆8000ドルと3倍以上も韓国を上回っている。一人当たりGDPでも韓国の2万9938ドルに対して日本は3万8448ドルと、1.3倍も多い。

 日本も韓国も共に貿易立国である。共に貿易で成り立っている国であるが、輸出入どれをとっても日本が韓国を凌駕している。

 輸出だけを比較すると、韓国の昨年の輸出額は6000億ドルで、世界ランクは第6位。これに対して日本は7300億ドル(世界4位)と韓国を1300億ドルも引き離している。ちなみに輸入では韓国の5400億ドルに対して日本は7500億ドルと、2000億ドル以上も差を付けている。

 外貨保有高はどうか?日本は中国に続き世界で2番目に多い1兆2000億ドルの外貨を保有している。これに対して韓国は日本の3分の1の4000億ドルである。

 韓国は1997年の「IMF危機」で外貨が底を付き、破産寸前にまで追い込まれたが、韓国の金融危機を救ったのは他ならぬ日本からの緊急金融支援であった。韓国はこれを教訓に2001年に日本との間で互いに外貨を融通する通貨スワップ協定を結んだが、2015年の満期終了後は慰安婦問題による関係悪化もあって再延長されてない。外貨保有高が4000億ドルを超えたとはいえ、資本流出の発生を防ぐには決して十分とは言えない。

 加えて、世界的企業の数も日本の方が多い。経済紙「フォーチュン」が2017年基準で選定した「500大企業」の中に日本企業は51社も含まれていたが、韓国は15社と3分の1にも満たなかった。さらに、研究開発(R&D)に1千億円を投資している日本企業は29社もあったが、韓国は僅か3社と、日本の10分の1だ。

 韓国の産業構造は電子、電気機器、機械類、自動車、造船などの主力輸出品等の生産のため中間財(部品や素材)と資本財(製造機械)を日本に依存する構造にある。従って、日韓は韓国の貿易、輸出が伸びれば伸びるほど、日本の対韓輸出、即ち韓国の対日貿易赤字が増大する仕組みとなっている。実際にこの5年間で素材・部品の対日赤字は763億ドルに達している。

 例えば、韓国は2017年に過去最大の対日貿易赤字(283億ドル)を記録したが、その原因は皮肉にも輸出の核である半導体が好況だったことにある。今年も上半期の対日貿易赤字はすでに99億ドル(6月25日現在)に達しているが、そのうち素材・部品が実に3分の2を占めている。

 統計が示しているように韓国の輸出増で最も恩恵を受けている国は日本である。日韓条約締結以降54年間、一貫して日本の貿易黒字である。過去5年間だけをみても、14年=215億ドル、15年=202億ドル、16年=231億ドル、17年=283億ドル、18年=240億ドルと毎年200億ドル以上の黒字を記録している。韓国に進出している日本企業の85%が黒字を記録しているとのことである。この比率は中国(72%)や台湾(67%)よりも多い。

 日本が自国の企業の被害を犠牲にしてまでも半導体装備や素材などの対韓輸出を規制した場合、供給不足の状況に陥り、韓国の半導体業界は大きな打撃を被るのは誰が見ても時間の問題である。

 米大手債権格付け会社「ムーディーズ」は4日、「日本の輸出規制が韓国半導体業者の信用度に否定的な影響をあたえる」と予測し、また市場調査業者の「IHSマーケット」も「素材の供給が減少あるいは中断すれば、メモリーを含む半導体生産に相当な影響を及ぼす」とみている。

 韓国開発研究院(KDI)によれば、昨年の全体の輸出で半導体を除けば、韓国のGDP成長率は2.7%から1.4%に減少するとのことである。韓国経済がいかに半導体産業に依存しているかがわかる。

 半導体は韓国の全輸出の2割(1267億ドル)を占めている。その最大手が「サムソン電子」である。その「サムソン電子」の第二分期(4-6月)の営業利益は韓国ウォンで6兆5000億ウォン(約6000億円)と第一分期(6兆2300億ウォン)よりも4.3%増加したが、それでも昨年同期(14兆8700億ウォン)に比べると半分以下だった。

 今後、日本の韓国に対する輸出規制が強化されれば、韓国経済を牽引してきた半導体輸出は一段と落ち込み、韓国経済のさらなる悪化は避けられない。このままでは韓国は米中貿易戦争で苦戦を強いられている中国の二の舞になるだろう。



エネ研セミナー:「韓国・文政権の脱原子力政策、継承されない可能性も」

2020-01-26 17:37:22 | 日記
エネ研セミナー:「韓国・文政権の脱原子力政策、継承されない可能性も」


2019年6月14日

 日本エネルギー経済研究所は6月12日、立命館大学国際関係学部でエネルギー・原子力政策等を専門分野とする林恩廷(イム・ウンジョン)助教(=写真)を講師として招き、韓国のエネルギー・原子力政策に関するセミナーを都内で開催した。

 韓国では、エネルギー自給率の低さをカバーするために原子力推進政策を取るなど、エネルギー政策において日本と共通する面が多かった。

しかし、2017年に発足した文在寅政権は、同年6月に脱原子力政策への転換を宣言。再生可能エネルギーの拡大政策を閣議決定する一方、海外への原子力輸出については、アラブ首長国連邦(UAE)での受注成功例を弾みに、韓国政府は産業界や金融機関と力を合わせて継続していく考えを表明した。

 林助教は、政府のこうした方針に対して、韓国国内でもすでに反発の声や懐疑的な意見が強まり、将来的に継承されない可能性があると指摘。

人材確保面ではすでに問題が出はじめており、国策だった原子力からのフェーズアウトが宣言された途端、ソウル大の大学院には優秀な学生が集まらなくなったという。

このような韓国のエネルギー・原子力情勢について、同助教は日本との比較も交えて次のように説明している。

日本と良く似た原子力背景事情
 
韓国では、一次エネルギー供給における原子力シェアが2006年に15.9%だったが、10年後の2016年に11.6%へ低下した。総発電電力量における原子力シェアも、2006年頃までは35~40%だったが、近年は30%に落ち、代わりにLNGと石炭による火力発電が増加した。
 
原子力を巡る歴史的背景としては、南北が分断された当時、電力生産施設の8割近くが北朝鮮にあったため、電力供給に多大な困難が生じたという事実がある。

資源も国内には存在せず、これを克服するために韓国は1956年に米国と原子力の非軍事的利用に関する協力協定を締結し、米国から導入した研究炉を1962年から運転。米国と同盟を結ぶ段階までは日韓は良く似ていたが、この時点で韓国は日本から遅れること7年という差が生じている。
 
米国と締結した原子力協力協定については、日本の場合、米国から移転された核物質の再処理と濃縮が米国に受け入れられたのに対し、韓国では許されなかった。

このため、2015年に米韓で新協定が発効した際の有効期間を20年間に半減させ、柔軟性を持たせることに成功。

新しい乾式再処理技術を、米国と共同研究し続けられるようにしている。

原子力設備が「ゼロ」になるのは2080年
 
現在、韓国の商業用原子力発電設備は24基、約2,250万kWで、昨年6月に運転を停止した月城1号機もこれに含まれる。

差し当たり「停止中」という扱いだが、同炉が再び動くことは恐らくないだろう。
 
原子力発電の今後の展望としては、2009年から2013年までにすでに着工済みだった新ハンウル1、2号機と新古里4号機の作業を継続。

2017年の公論化委員会勧告を受けて、近年着工したばかりの新古里5、6号機の建設工事も再開しており、文政権の任期中はこれらの原子炉により、原子力発電設備容量は一時的に伸びる見通しである。
 
一方、2017年12月に策定された「第8次電力需給基本計画」によると、新ハンウル3、4号機と天地1、2号機、およびサイトと呼称が未定の2基を加えた6基の建設計画が白紙化され、稼働中の古い原子炉10基は運転認可の更新を行わない方針。
政府の長期目標では、原子力設備がゼロになるのは2080年ということになる。

文政権の「ツートラック」原子力政策
 
このように文政権の考え方としては、国内では原子力を段階的に削減する一方、海外では輸出を奨励・支援することにより、関連ビジネスをきっちり確保し、原子力産業界や人材のプールを維持するという「ツートラック・アプローチ」になる。

バックエンド・サイクルや廃炉分野、およびSMRや放射線の活用など、将来的に有望な分野を国内で育成して、産業構造の転換をサポートするとしている。

韓国は実際、サウジアラビアやチェコ等に対して原子力輸出をアピールしており、国際的に「国内の脱原子力政策と矛盾している」との批判が高まっている。

 文政権はまた、長期的な「脱原発」を目指して原子力への依存度を徐々に下げていくことを、「エネルギー転換」と呼び直しており、こうした方針への反発は国内でも強まる傾向にある。

理由としては脱原子力にともなう
(1)PM2.5など大気汚染の深刻化、
(2)気候変動への取組み、
(3)エネルギー供給の安全保証、
(4)原子炉輸出の妨げになるという懸念、
(5)ほかの電源における課題や貧弱さ――が挙げられる。

 これに対して、日本では福島第一原子力発電所事故以前の原子力政策に「一部回帰」している部分が認められ、全般的な世論との食い違いが発生。現実的に核燃料サイクルの問題や、エネルギー市場の自由化と自治体等との関係といった問題が絡んでいると認識している。
 また、福島第一発電所事故以降、日本からの原子力輸出は難航しているが、信頼の回復に取組みながら廃炉や除染、SMR等で新たなニッチ市場を開拓していくべきである。

これらの分野で、日本は他の国が経験していないことを経験済みであり、ノウハウやデータなど発信できる部分があると考えている。