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テーマは「意外と知らない住民税の仕組み」

2022-09-26 17:06:52 | 日記
医療費や保育料の負担が変わる 住民税の意外な仕組み住民税の基本(中)

2019/6/9


夕食を終えた筧家のリビング。幸子はパソコンを開いて、マネーセミナーの資料づくりを始めました。

テーマは「意外と知らない住民税の仕組み」。

恵は興味津々といった様子で、幸子のパソコンをのぞき込んでいます。お茶を飲んでいた良男が2人に話しかけてきました。

筧(かけい)家の家族構成

筧幸子(48)良男の妻。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。

筧良男(52)機械メーカー勤務。家計や資産運用は基本的に妻任せ。

筧恵(25)娘。旅行会社に勤める社会人3年目。
 
筧満(15)息子。投資を勉強しながらジュニアNISAで運用中。

筧良男 所得税は年末調整や確定申告のときに意識するけど、住民税はなじみが薄いな。

筧幸子 自分がどのくらい住民税を払っているのか知っておくのは大事よ。

住民税額によって社会保障や福祉サービスをどのくらい受けられるか、自己負担額がいくらになるのか、違ってくることが結構あるのよ。

筧恵 あ、確かに。例えば保育所の保育料とかね。会社の先輩のワーキングママによると、ママ友との会話の中で保育料の話が出てきて、そのママ友が払っている保育料を聞いて、相手の家の方が高収入だと分かったと言ってたわ。

幸子 この前、住民税には「所得割」と「均等割」があると話したけど、保育料は住民税の所得割で決まるのよ。

例えば、東京都世田谷区で1歳児を預ける場合、所得割が10万円の世帯は2万3000円、20万円の世帯は2万9700円よ。

良男 来年春から大学などの授業料や入学金を減免してもらえる高等教育無償化が始まるそうだけど、対象は基本的に住民税非課税世帯の子だそうだね。

幸子 私が会社員向けのマネーセミナーで講師をするときは、離れて暮らす老親の収入を把握するようアドバイスするわね。

住民税額によって払う医療費や将来受けるかもしれない介護サービスの自己負担額が変わることがあるのよ。

『イカゲーム』に見る韓国格差社会の現実

2022-09-26 16:37:34 | 日記
『イカゲーム』に見る韓国格差社会の現実

『ヴィンチェンツォ』も大ヒット

高橋一也 (ジャーナリスト)

 2019年から20年にかけてNetflixで公開された『愛の不時着』に続き、今年またもや韓国ドラマの嵐が吹き荒れた。

コロナ禍のため自宅で過ごす時間が長くなったこともあり、もはや韓国ドラマが生活の一部となった日本人も少なくないだろう。

 そこで本稿では、21年に公開された韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』と『イカゲーム』を取り上げて、ドラマから見える韓国事情を解説していきたい。

『ヴィンチェンツォ』が見せる〝移民大国〟韓国

 幼い頃にイタリアに渡りマフィアのボスに育てられた韓国人ヴィンチェンツォ・カサノ(演:ソン・ジュンギ)は、マフィアの顧問弁護士となり韓国に渡る。

その目的は、ソウルの雑居ビル地下に隠された金塊を手に入れること。

ヴィンチェンツォはビルの住民を立ち退かせようとするが、ビルは違法な手段で開発を進める大手ゼネコンの手に渡ってしまう。

ヴィンチェンツォは心を通わせたビルの住民とともに悪事を働く大手ゼネコンに立ち向い、悪をもって悪を制していく――。

 主人公の人物設定から荒唐無稽な印象を受ける方も多いと思われるが、韓国人にとって韓国系外国人は珍しい存在ではない。

そこには一つ目のキーワード「移民」の存在がある。

 海外に住む韓国人(永住者を含む)は約700万人で、人口が多い順に米国約254万人、中国約246万人、日本約82万人となっている。

既に現地で帰化した人たちは除外されているため、それらを含むとその数はより多くなる。

韓国の人口が約5100万人であることを考えると、人口の2割近くが海外に居住する「移民大国」であることが分かる。

 本稿ではそれらの人々をあえて「移民」と表現するが、それら移民が韓国から離れた理由は経済的なものだ。

近年「キロギアッパ」(雁のお父さん)と呼ばれる、子どもを母親同伴で海外留学させて、父親は韓国で暮らしながら仕送りを続ける移民が多いことが社会問題になっている。

 これは韓国の受験戦争が激化するとともに、一流大学を出ても大手企業に就職できず、就職できたとしても熾烈な出世競争で多くが40代で退職しなければならないという事情がある。

イタリア系韓国人の弁護士という人物設定が成り立つのは、このような背景があるからだ。

権力闘争の狭間に置かれた検察

 二つ目のキーワードは「検察」だ。

韓国パワーエリートの系譜を辿ると、1945年の独立から93年の軍事政権終焉までは軍人が圧倒的な力を持っており、次いで国家安全企画部(現在の国家情報院)関係者が位置していた。

その後、金泳三(キム・ヨンサム)政権に始まる文民政権で軍人や情報機関関係者は意趣返しを受けて権勢が削がれ、国家機関としては検察のみがパワーエリートとして生き残った。

 検察が生き残れたのには理由がある。

韓国の歴代大統領が金泳三氏と金大中(キム・デジュン)氏を除いて安らかな余生を送れなかったように、文民政権以降は新大統領が前大統領を訴追する事態が続いた。

 そこで猟犬の役割を果たしたのが検察だ。

韓国の検事は日本と同様に司法試験を突破した秀才たちだが、軍事政権時代は軍人の風下に置かれてルサンチマン(怨恨)を鬱積させていた。

文民政権になり軍事政権関係者糾弾の動きが始まると検事たちは、それまで忠誠の対象であった関係者を次々に取り調べ、全斗煥( チョン・ドゥファン )氏と盧泰愚(ノ・テウ)氏の元大統領を獄に繋いだ。

 その後は政権が交代するたびに、新政権の守護者と世論の代弁者よろしく前政権関係者を訴追し続けた。

2019年になぜか日本のお茶の間でも話題になった当時の法相である曺国(チョ・グク)への数々の疑惑事件は、最後に残ったパワーエリートである検察と、検察を含む旧来的な韓国を破壊しようとする文在寅政権の対立であったと見れば理解が容易だ。

ドラマではヤメ検弁護士が殺人を指示するなど悪事を尽くすが、そのような検事像は韓国人の検察へのイメージを反映しているといえるだろう。

『イカゲーム』が浮き彫りにする「借金漬け」の韓国民たち

 会社を解雇されてギャンブルにのめり込むソン・ギフン(演:イ・ジョンジェ)が、地下鉄のホームで出会った男に「数日ゲームをやれば金を稼げますよ」と唆されて、秘密の施設に送り込まれる。

施設に集められたのは金に目がくらんで犯罪を犯したり、借金取りに追われたりしている男女456人。

最後まで勝ち残った者が賞金約45億円を総取りできるゲームを提案される。

ただし、ゲームに負けることは死を意味する。

男女は拒否して社会に戻るが、二進も三進もいかない現実をあらためて認識して、秘密の施設に戻ってくる。

死か一攫千金かをかけたゲームは、子どもの頃に慣れ親しんだ遊びだった――。

 イカゲームを観る上でのキーワードは、ずばり「借金」だ。

ドラマを一貫する経済格差と拝金主義というテーマも、この借金を淵源とする。

 世界金融協会(IIP)によれば、2021年4月~6月期における韓国の家計債務残高の対国内総生産(GDP)比が104.2%となり、世界ワースト1となった。

これは韓国の経済規模よりも、韓国人による銀行からの借入れとクレジットカード使用額などの販売信用が大きいことを意味する。

 韓国に次いで香港が92%、英国が89.4%、米国が79.2%と続き、さらに順位は下がって日本が63.9%であることを見れば、韓国が世界で唯一、家計債務がGDPを上回る「借金漬け」の国であることが理解できるだろう。

大きな要因は見栄っ張りな気質

 IIPはその原因について、韓国政府の不動産政策失敗で住宅価格が高騰したことと指摘する。

例えば、ソウルと東京の分譲マンションを比較すると、ソウルは約8800万円(韓国不動産統計院)、東京は7712万円(不動産経済研究所)でソウルは東京の約1.14倍であるが、この数字からでは韓国人の皮膚感覚が分からないので別の数値を示してみよう。

 20年末に韓国紙ハンギョレ新聞が行った調査によれば、17年に平均年収の16.5倍だったマンション価格は、20年には26.5倍になった。

これを東京都(平均年収約447万円)に置き換えると、新築分譲マンションの平均価格が約1億1845万円になったことを意味する。

とてもじゃないが、共稼ぎして35年ローンを組んだとしても買える価格ではない。

 加えて、韓国人の見栄っ張りな特性も家計債務の増大に影響している。

再びマンションを例にすれば、東京の平均面積68.2平方メートルのところ、ソウルは104.9平方メートルと広大だ。

夫婦と子ども一人世帯の韓国人の友人になぜそんなに広い家に住むのかと聞いたところ、「家の広さはステータスに直結するので、狭い家に住むのは恥ずかしい」からだと答えた。

見栄っ張りという特性は、上述のクレジットカード使用額などの販売信用にも影響している。

 韓国は1997年のアジア通貨危機を機に、個人消費の増大と脱税防止を目的として、政府が主体となりクレジットカードの利用を推進したため、今ではキャッシュレス比率89.1%と世界で最もキャッシュレス化が進んだ国となった。

さらに韓国政府はこの過程で、30万円を上限として年間クレジットカード利用額の20%を所得から控除(現在は15%)するとともに、1000円以上のクレジットカード利用で自動的に毎月行われる当選金1億8000万円の宝くじを配布(レシートに抽選番号を印字)する政策をとった。

この射幸的ともいえる政策が見栄っ張りな特性を刺激して、一挙に家計債務が増大したという訳だ。

はたして韓国は幸せな国になったのか?

 内閣府が実施した調査(令和2年度外交に関する世論調査)では、韓国に「親しみを感じる」とする者は34.9%で、そのうち18〜29歳の女性が最も多くの割合を占めている。

また、日本テレビは今年6月のニュースで、「韓国での就職目指す 日本の若者が増加」を報じ、韓国のコンテンツの影響が大きいという声を紹介した。

これらの傾向は、ひとえに韓国ドラマが日本の若者に好影響を与えた結果だといえる。

 確かに、率直に言って韓国ドラマの質は俳優や脚本、演出、映像の面で日本のドラマやバラエティー番組を凌駕していると思う。

これは韓国政府と芸能関係者が一体となって、「韓流」を輸出コンテンツとして育成してきた成果であり、素直に賞賛すべきだろう。

ただ、日本の若者が憧れるような夢の国なのだろうか?

 イカゲームは日本のみならず、米国や西ヨーロッパでもヒットしたという。

ここから思い起こされるのは、19年アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』だ。

 イカゲームとパラサイトが西欧キリスト教文化圏ではない韓国を舞台としながら欧米人に親近感を抱かせたのは、貧富の格差が拡大していることへの共感があるからだ。

つまり、これら作品は不平等や機会の減少という世界に共通する格差問題を韓国人特有の豊かな感情表現で描き出したからヒットといえる。

世界中の視聴者が楽しむドラマの裏には、経済格差で苦しむ韓国の市民がいることを忘れてはならない。

 果たして、ドラマとして社会問題を切り売りしている韓国の未来に夢はあるのだろうか。



国葬と安倍政治 功罪の検証はこれからだ

2022-09-26 16:07:35 | 日記
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社説

国葬と安倍政治 功罪の検証はこれからだ

2022/9/26 6:00

 参院選の街頭演説中に銃撃されて亡くなった安倍晋三元首相の国葬があす行われる。
 世論調査では国葬に反対する割合が増え続け、直近では賛成を大幅に上回っている。

 安倍氏は憲政史上最長の8年8カ月にわたり政権を担った。

政権を奪還した2012年以降は大型国政選挙に6連勝し、首相が毎年交代していた不安定な政治に終止符を打ち、有権者の支持を集めた。

 にもかかわらず国葬への支持は広がらない。実施を決めた岸田文雄首相は、この落差を深刻に受け止めるべきだ。

 首相は国葬とする理由の一つに「さまざまな分野での歴史に残る業績」を挙げる。

具体的に言及していないが、経済政策「アベノミクス」や集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法などが念頭にあるとみられる。

 いずれも、それまでの政権が成し得なかった大胆な政策転換である。

株価上昇などで低迷していた経済を動かし、有事に備えた態勢整備に踏み出したことは間違いない。

 一方、先例のない金融緩和がもたらす副作用や解釈改憲の違憲性といった問題点も指摘されており、歴史的評価を下すのは早計に過ぎる。

 安倍氏自身、首相退任後もなお自民党内に影響力を維持し、過去の人ではなかった。

 国葬への支持が広がらないのは、まだ評価の定めようがない安倍氏を対象とすることに、国民がためらいや疑問を感じているからでもあろう。

 安倍氏が手がけた政策は現在も賛否を伴って進行中だ。そのまま受け継ぐか見直すかは、岸田政権が直面する政治課題である。

 国葬によってそれらを安倍氏の「功績」として定着させるようでは、後継政権の政策判断を縛ることになりかねない。絶対に避けるべきだ。

 長期政権下で生じたひずみも見過ごせない。

 1強体制の下、国権の最高機関である国会が軽んじられた。

「数の力」による採決強行が繰り返され、安倍氏が事実と異なる答弁を重ねたこともあった。

 人事権を振りかざした官僚支配は過度な忖度(そんたく)や萎縮を招き、公文書改ざんという信じ難い不祥事も起きた。

 死去後に表面化した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡っては、安倍政権下での教団の名称変更や選挙支援などの実態が未解明のままだ。

 安倍氏の非業の死を悼む思いは、もちろん大切にされなければならない。

それでも弔意と政治的評価は冷静に切り離すべきだ。負の遺産はなかったことにできない。

 数の力に頼って異論を排除する政治手法は、岸田政権が決して引き継いではならないものだ。
残念ながら、国葬を強行する首相のやり方は安倍氏と重なって見える。

 国葬によって安倍政治の検証が終わるわけではない。功罪が問われるのは、むしろこれからだ。


【評伝】安倍晋三元首相 「闘う政治家」として安保法成立、改憲発信

2022-09-25 14:56:30 | 日記
【評伝】安倍晋三元首相 「闘う政治家」として安保法成立、改憲発信 最長

政権も功罪評価分かれる

2022年7月8日 20時08分


新総裁に決まった安倍晋三官房長官(右から2人目)と握手する(左から)麻生太郎外相、小泉純一郎首相、谷垣禎一財務相(いずれも当時の肩書)=2006年09月20日撮影


 長期政権を築き、自民党保守派の代表格でもある安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。

世論の反対が強い安全保障関連法、特定秘密保護法などを次々と成立させ、退陣後も改憲や防衛力強化といった持論を発信し続けた。

個人的には現場で取材した第1次政権以前の印象が強く残っている。

「わたしは闘う政治家でありたい」

「闘う政治家とは国家、国民のためとあれば批判を恐れず行動する政治家のことだ」。

2006年に出版した著書に、安倍氏はこう記した。

この年、戦後最年少、初の戦後生まれという52歳で第1次政権を発足させるが、既に片りんは見せていた。

 父の安倍晋太郎元外相の秘書だった1980年代、北朝鮮による日本人拉致疑惑を知り、調べていくうちに事実と確信。対北朝鮮の強硬派として活動した。

小泉内閣の官房副長官だった02年、小泉純一郎首相の訪朝に同行し、拉致被害者5人の一時帰国が実現する。

副長官は首相や官房長官の部下で立場が弱く、まだ40代だったが「国家の意思として被害者を北朝鮮に返すべきではない」と主張し、押し通した。

 一気に頭角を現し、自民党幹事長、官房長官を経て猛スピードで頂点へと上り詰めた。

ジャンクフードやスナック菓子が好きで、ポップコーンを食べながら気さくに雑談に応じてくれる一面もあった。

 第1次政権は参院選敗北に病気が重なり、失意のまま1年で幕を閉じたが、第2次政権で1強の基盤を固めると「闘う」姿勢を前面に押し出す。

「私のことを右翼の軍国主義者と呼びたいのであれば、どうぞ呼んでほしい」など挑発的な言動も目立つようになった。

 数々の政策遂行や行動について、本人は国家、国民のためと信じて疑わなかったのかもしれない。

しかし、安保法は憲法の平和主義を揺るがし、市民らが連日のように国会前で抗議する中での強行採決となった。

政権批判の声を上げる聴衆に向かって「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と声を荒らげたこともある。

支持層を固め、反対意見を遠ざける政治手法は社会に分断やあつれきを生んだ。

 安倍氏は、首相の座を目前に病に倒れた父の無念をよく口にしていた。

国会議員になったときから、首相の地位を意識して活動した結果、戦後最長政権などの足跡を残したが、その功罪の評価は分かれる。(原田悟)





RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』

2022-09-25 14:52:34 | 日記
田畑竜介Grooooow Up

月~木曜 6:30

社会ラジオ

2022-07-12

「なぜ統一教会と報じない?」メディア批判と安倍元首相の功罪

安倍元総理が銃撃を受け死亡する衝撃的なニュースの中で、参議院選挙が終わった。

容疑者は、旧・統一教会への恨みを動機として挙げている、という。

RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で、神戸金史(かんべ・かねぶみ)解説委員は、事件と在任中の功罪について語った。

 
リベラル・保守派 それぞれの衝撃

先ほど局内で、RKBラジオ『Toi toi toi』のパーソナリティ・山口たかしさんと会って、「“旧統一教会”って、やっぱり放送で言えないんですか?」と聞かれたんです。「メディアが報道してないんじゃないか」と、ネット上でいろいろ出ている、と。
 
私も「報じるのが本来のジャーナリズムの役割でしょう。その役割を果たそうとする放送局や新聞社は、日本に1社もないのでしょうか?」と書いているのを見て、「え?」と思いました。

この方は、リベラルな考えを持ってらっしゃる有名な方。

逆に、保守派の論客には「安倍さんを必要以上に追及していた左翼の空気が、こういう事件をもたらしたんだ」なんてことを言う方もいらっしゃいます。どちらも私はおかしいと思います。
 
今回の事件は、思想的な背景というよりも宗教トラブルが背景にあるらしいということはだんだん分かってきた。ではなぜ、旧・統一教会と言えないのか。

「容疑者が言っていること」は「警察から伝聞で聞いている」ことで、本当なのかどうか確証が持てません。

もしかしたら、容疑者自身に別の動機があるのに隠している可能性もあるわけです。
 
一般的に事件ではいろいろな供述があります。

「はっきりわからないままでは報道できない」というのが、出さなかった理由です。

だから、「1社もないのか」と言われたら「そうです、みんなまともだから、出さないんですよ」というのが答えになります。
 
だけど昨日(11日)、旧・統一教会=世界平和統一家庭連合が会見をしました。

なぜ会見したか?ずっと取材攻勢にあって、説明せざるを得なくなったわけです。

その中で、母親が会員であるということを認めた。

だからもう、事実としてはっきりしましたから、書けます。

今日の朝刊にはいっぱい出ています。「書けないんじゃないか」という憶測が勝手に歩いてしまっている。それも、この凄惨な事件がもたらした心理的なショックの反映なのかもしれません。もうちょっと冷静になった方がいいんじゃないかと思います。

安倍元首相の功罪を振り返る

安倍さんが好きか嫌いか、賛成しているか反対しているかではなく、まずは追悼の気持ちを持たないことにはスタートできないと思います。

私も本当にそういう気持ちです。でも、それはそれとして、政治家であった安倍さんの功罪を考えることは非常に重要だと思います。
 
1日2日経ってからでもいいので、しっかり報じたり、一人ひとりが考えたりすることが大事かなと思います。

その瞬間に「おかしい!」「それはこうじゃないか」と結論を簡単に導き出す方が危ないと思います。
 
私が考える安倍さんの「功」の面は、やはりデフレ脱却を目指して経済の方向性を変えたことです。

いわゆる「アベノミクス」の成果は、中途で終わっていると私は思っていますが、今までのように続けていくだけでは危なかったかもしれません。
 
それから安保法制も、保守派の中には支持する人は多いですよね。反発もありますが、今までと違うことを打ち出していったということは意味があるでしょう。

それから外交です。「インド太平洋」の概念を打ち出していったのは、明らかに安倍さんです。

「圧力を強める中国にどう対峙していくのか」ということでの概念として大事だと思います。
 
一方で、プーチン大統領と27回も会談しながら、北方領土の返還の議論は完全に破綻しました。

戦後70年、保守派がずっと悲願としていた北方四島の返還が、2島に限定された上に、議論が消滅しているという…ここだけ見ると最悪の結果をもたらしていると思います。
 
私自身は、アベノミクスの評価というのは、今後の判断かなと思っています。

あの時代に必要だったものでも、時代が変わると、逆の効果をもたらす場合もあります。

今の物価高の問題にも関係していると思うんです。
 
前回、安倍さんが自民党の総裁選に出た時、私は「安倍さんに当選してほしい」と思ったんです。

それは、「アベノミクスはこのまま続けてはいけないのではないか」と、漠然と思っていたからです。

自分が言い出した経済政策を「時間が経って一定の役割を終えた」と言って軟着陸させるのは、本人がした方がいいと思ったんです。

他の人がやろうとすると「アベノミクスの否定か」と喧嘩になるかもしれない。安倍さんが当選したら、一番スムーズじゃないかと。

「日本史の年表に載る」

負の面もいっぱいあります。私は、霞が関の官僚たちのやりがいを安倍さんが奪ってしまったという気がしています。

もちろん、「良い悪い」はその時期に求められるものがあり、自分たちの利益だけを考える「省益」で動いてしまっている官僚を許せない、と政治主導の動きが始まったわけではありますが、政治家が何年かに一度変わっていくことに比べて、省庁にいる人たちは国の骨格として長くいるわけですよね。

ロングスパンで国益を考えていく風土がある。

政治家は、変える力を持ちつつも、目の前には選挙もありますから、目立つことに左右されてしまうこともあります。
 
そういう意味では、戦後の経済成長を進めていく中で、官僚の力はすごく大きかったと思います。

政治家の発言について、国会で「データはこうなっております」みたいな答弁をすることもありました。

だが、そういうことが急激になくなってしまいました。

政治主導が人事政治主導になり、文句を言ったらキャリアがなくなってしまうという中で、安倍さんたちを守ろうとすることでしか自分たちが生き延びる方法がなくなってしまっていた。

「モリカケ」の時の高級官僚の国会答弁に明らかに現れていると思います。
 
安倍さんが言っていることが事実と違うことは、官僚の皆さん分かっていたはずです。

118回のうそをついたと言われていますが、分かっていたのに守らざるを得ない。

まさかの書類改ざんも起こしている。これは、霞が関の劣化にほかならない。

長い第2次安倍政権の中で生まれてきたことじゃないか、と私は思っています。
 
6月20日に、キャリア官僚の合格者人数を人事院が発表したんですが、1873人のうち東大卒が217人でした。

2015年度の459人から半減しています。もちろん他の大学の人が増えることはいいんですが「せっかく東大を出てキャリア官僚になっても、あのような答弁をさせられるのではかなわない」と考えた人がかなりいると推察するべきだろうと思います。
 
国の根幹の一つをなしてきた霞が関がかなり劣化し、若い人たちが向かわなくなっているのは、国の将来にとって非常に危険なことです。

それが今進んでしまっている、これは第2次安倍政権の中で起きた強い傾向ではないかと思います。
 
安倍さんの存在自体が、戦後の歴史に大きな変化をもたらしました。

亡くなり方だけではなく、その存在自身、よく私が使う言葉ですが「歴史の年表に載る」ような人だったと思います。

お悔やみ申し上げるとともに、ここで大きく日本が変わっていく転換点になっていくであろうことを考えながら、追悼しつつ功罪を改めて考えていきたいと思います。