ICUROK!!

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ちさまひフォーエバー

2024年12月31日 15時25分28秒 | 映画

昨年サボってしまったが今年は一応書き残しておこうということで、極私的2024年映画10選。

ベイビーわるきゅーれナイスデイズ
エイリアン:ロムルス
密輸1970
シビル・ウォーアメリカ最後の日
ツイスターズ
ライド・オン
ゴジラxコング新たなる帝国
ソウルの春
マッドマックス:フュリオサ
犯罪都市NO WAY OUT

本年終了までのカウントダウン突入状態&飲み会まで時間が無いので手短に。
取り敢えず個人的な好き好き度合とリピート鑑賞に堪えられるかなど諸々を勘案して以上のような内容に。ベイビー~は本邦のアクション映画史に刻まれるべき完成度。ちさまひフォーエバー。
その他、選外となったが破墓/パミョは嘘だろ!?という大バカ展開含め好きな一本。また、今月飛行機の中で観た日本未公開作品The Last Stop in Yuma Countyは午後ローで掛かって欲しい一本として書き記しておく。

鑑賞本数少な目&個人的にそこまで乗れなかった作品が多かった印象の2024年。
来年は先ずはステイサムのビーキーパー、そしてトワイライト・ウォリアーズなどを楽しみにしつつ、作品に気持ちが乗れるよう引き続き精神状態の安定を図っていきたい所存。
ところでジョン・ウーのサイレント・ナイトは一体いつになったら日本公開されるのだと事あるごとに言っているのだが、せめて配信だけでもいいから早く鑑賞させてほしいもの。
それでは皆様よいお年をお迎えください。


父の代わりです

2022年12月31日 15時51分05秒 | 映画

恒例の映画10選といいつつ結果がこれで良いのか!?
というわけで、今年はあまりにも時間がないので開き直ってサクッといきます!

『トップガン マーヴェリック』
絶対に面白い映画を見せるからな!という制作陣の気概を感じる堂々のオープニングからキメ画尽くしで駆け抜ける131分。サブスク配信サービスが充実している昨今、やはり映画は映画館の大きいスクリーン&大音響で観てこそだと改めておもわせる大傑作。
ヴァル・キルマーのあの形での出演におトムと一緒に涙し、ルースターの「父の代わりです」で感極まり、最後のトニー・スコットに捧げる文言でハンカチが涙と鼻水まみれでグショグショになってしまった。文句なしの今年ベスト映画である。

『トップガン マーヴェリック』
なので、二回目観に行ったわけなのだが、二回目は既に冒頭から涙を流し始める情緒不安定っぷり。
実はトップガンって個人的に一作目はまったく思い入れがなく、映画としてそこまで面白くないとすらおもっていたのだが、本作により一作目の価値が爆上がりしてるのが凄いのよ。例えばドクター・スリープなんかもそうなんだけど、過去の作品の価値を更に押し上げる作品って中々作れるものではないとおもう。作品の細部まで目を凝らしながらスクリーンにひれ伏す二度目の鑑賞。

『トップガン マーヴェリック』(IMAX)
コクピット専用のIMAXカメラを製作して撮影した制作陣への敬意を表するべく三回目はIMAX上映で。いよいよフレアが飛んでいるだけで涙を流し始める境地に達する。
キメ画と素晴らしいサウンドトラックの往復ビンタが続く本作、チームワークのためにアメフトやるシーンにすべてが詰まっている気がする。もはや言葉は要らないという。当該シーケンスで流れる「I Ain’t Worried」はその後方々で掛かっていて耳にするたびにニヤニヤしてしまうのだった。

『トップガン マーヴェリック』(4DX)
本作でとうとう4DX童貞を卒業してしまった。はじめは酔うかと心配していたがまったく問題なく、4DXとの親和性の高い作品だったので大満足だった。冒頭だけ50回くらい繰り返したい。
そういえば今年は久しぶりに海外に行く機会もあったが現地の飲み屋のお姉さんとトップガンの話で盛り上がった。映画という共通言語は良いものだと改めておもったし、優れた映画は国境や人種など超越して愛されるのだとしみじみ感じたのだった。

『RRR』
インドから来た激熱男汁映画。昔のジョン・ウー作品を観ているかのようなむせ返るほどの濃厚なブロマンス。約3時間の長尺だが全編通して勢いが良く、無駄のない構成で一切ダレないのが凄い。特に何を見せるべきかが明確で回想や次のシーケンスに至るまでの繋ぎの省略の仕方もスムーズで上手い。
ニュータイプばりの阿吽の呼吸で繰り広げる肩車アクションの無敵っぷりに馬とバイクで駆け抜けるゴリゴリのアクションが最高に楽しい。どうしたらそういう発想になるんだよってなるのだが、ノリと勢いが強すぎて突っ込みすら間に合わない。大スクリーンで楽しめる映画ということでトップガンに次ぐ最高のエンターテイメントを堪能した。

『RRR』
なので、二回目観に行ったわけなのだが、とにかく草臥れた心に効く。通常長尺作品は大の苦手なので観ると消耗するんだけど、この作品は観終わったら元気になる驚異の効能がある。
1本でカチッと纏まっている感じからして同じS・S・ラージャマウリ監督作品のバーフバリよりも好み。ナートゥダンスの力強さやラーマさんのなんちゃってランボー無双っぷりは一々気持ち良い。入場特典のポストカードは作業机に飾っており、疲れた時に眺めては元気を貰うようにしている。

『犯罪都市THE ROUNDUP』
マ・ドンソク兄貴は今年も護られたい二の腕大賞を見事に受賞。兄貴自慢の拳に加えて一本背負いが次々炸裂して本当にスカッとする作品だった。
前作のキャラも良い感じで引き続き出演してくれて嬉しい。コメディ要素の入れ方が絶妙で韓国映画お得意の暴力シーンとの塩梅がとても良い。最後みんなで良い仕事したぜ!って感じの飲み会で終わる感じ含め完璧だった。
三作目も制作が決まっているようで、おまけに國村準も出るらしいので大変期待しております。

『サバカン』
2022年のベスト・オブおねショタ映画。80年代の長崎を舞台にイルカを見るため沖合の島に2人の少年が冒険に行くという筋書で、ノスタルジックな夏休み映画として普通に良い作品だった。
途中で出会ったお姉さんのおっぱいばかりみてしまう少年の可愛らしさよ。あと内田のジジイがみかんを盗んだ悪ガキを追いかける構図がホラー映画じみていて個人的にツボだった。
それにしても、本作のタイトルにもなっている鯖缶の寿司は貧しさゆえの料理&あまり人気がないという描写なのだが、どうにも美味そうに見えるのだ。折をみてやってみようかとおもいつつ年末になってしまったが、やはりどこかでチャレンジしてみよう。

『モガディシュ脱出までの14日間』
ソマリア内戦に巻き込まれ南と北の大使館員が命からがら脱出する実話ベースの作品。ホテル・ムンバイやクーデター、アルゴなんかを観た時の感覚にも似た、こんな状況絶対嫌だ映画。脱出する最後の最後まで緊張感が途切れることなく、映画館を出た後えらく消耗していた。
無政府状態のリアルマッドマックス化した地獄の中を脱出するんだけど、お得意の暴力描写やアクションもしっかりしていて見ごたえがあった。毎度のことながら韓国はこうした気骨ある作品を制作できる土壌があり素晴らしいとおもう。

『スパークス・ブラザーズ』
スパークスは今年ソニックマニアでライブを観ることができた。そしてなんとこの年末に再度来日して山田洋次監督と顔を合わせたという。まさにスパークスイヤーとなった2022年。
唯一無二のバンドのデビューから浮き沈みまで2人の大ファンというエドガー・ライト監督がまとめ上げた作品。日本文化好きというのは知っていたが家にパチンコの実機まであるのが凄まじく恐れ入った。同時期に公開されていたアネットは冒頭のスパークス登場意外に正直見所がなく個人的に好きになれない作品だったが楽曲は良かった。引き出しが豊富で器用なバンドなのだなと再認識。なんだかんだ今年サブスクで掛けていた曲を振り返るとスパークスの再生数がかなり多かったらしい。


というわけで2022年の(無理矢理)映画10選は以上。今年は番外編のようなこともやりません。
一年を振り返るとかなり多忙で尚且つあまり見たい作品も多くなかったためこのような結果になってしまった可能性はある。まあ、とにかくトップガンとRRRのインパクトが強すぎた。そしてこの二作品に共通しているのは、劇場の大スクリーンで映画を観ることの素晴らしさを再認識させてくれたことだろう。
来年もぼちぼち楽しみにしている作品はあるものの、まずは自分の時間を大切にして心の余裕を作るところからかもしれない(ここのところ毎年同じようなことを言っている気がするが……)。
一先ずこれからも楽しい作品やこちらの度胆を抜くような作品に出逢えることを祈念しつつ。
それでは、皆様良い年をお迎えください。


猫ちゃんのブレスを返せ

2021年12月31日 14時08分15秒 | 映画

さあ、恒例の2021年映画10選諸々のお時間がやって参りました。今年は絞り出します。

『Mr.ノーバディ』
普段は工場の冴えない経理担当のオヤジとおもって舐めていたら…という完全に私好みの作品。ボブ・オデンカーク演じるオヤジがすっとぼけた感じでバタバタとロシアンマフィアを片付けていく姿が痛快。この作品、主役のみならず映画全体がどこかすっとぼけた感じの雰囲気なのが個人的にハマってしまったのだ。共演のRZA、クリストファー・ロイドもすっとぼけながらインパクト残しまくりで最高。あと、マイケル・アイアンサイドの容姿がかなり変わっていて最初気づかなかったけどお元気そうで何より。バスでダニエル・バーンハードらチンピラグループに絡まれた時はまだオヤジ覚醒途中で結構ボコボコにされるところや、イキってた隣人のダッジ・チャレンジャーぶん捕るところなんかが好きな場面。最後は殺しの下ごしらえもバッチリで工場にランボー並みの罠を張り巡らせマフィアをイチコロにする盛り上げ方も実によろしい。クソみたいな時代にこういう作品が年に1本は必要なのだ。

『マリグナント 狂暴な悪夢』
不作続きの今年後半戦に突如現れたとんでもない作品。悪霊によるエクソシスト的なオカルトホラーと思いきや後半で全く別の映画になるという今年の映画最大級のインパクトをもたらした怪作。日本昔話、はたまたブラックジャック先生でも登場しそうな大どんでん返しの展開に加え、警察署一つ潰す勢いの大暴れに劇場で笑いを堪えきれなかった。あまり語ると核心に触れてしまうので、あとは興味があれば観てくれとしか言いようがないのだが。こういう作品との出会いがあるから映画鑑賞は止められないと、ついつい水野晴郎顔になってしまう。どこか懐かしさを覚える作品のテイストに合わせてかVHSが活躍するのも嬉しいところ。細かい画作りもちゃんとしていてつくづくジェームズ・ワンという監督は器用な人だ。

『レイジング・ファイア』
ベニー・チャン監督の遺作となった傑作。いよいよ“香港映画”を作るのが難しくなってきた昨今。静かに力強い反骨精神が見え隠れしていて「香港映画ここにあり」という意地を見せてくれたんじゃないかとおもう。バイクチェイスでの無茶苦茶っぷり、ヒートやザ・アウトローを彷彿させる後半市街地での銃撃戦など古き良き香港アクショ映画の底力を感じさせてくれて嬉しかった。鬼に金棒、ドニーさんに警棒とはよく言ったものでラストの警棒vsナイフアクションが超絶クオリティ。教会がステージというのも熱い。ドニーさんが警棒展開したときは「いよっ、宇宙最強!」と掛け声を飛ばしたくなる。そして、ニコラス・ツェーがとにかく色気もあるわでクッソ格好良い。多感な時期に観ていたら確実に特殊警棒とバタフライナイフの購入を検討してしまう職質まっしぐら映画だった。

『ただ悪より救いたまえ』
毎度のことながら韓国製アクション映画のレベルは本当に高くて脱帽する。エレベーター内でのドンパチや階段でのナイフバトルなど個人的に好きなアクションてんこ盛りだった。東京からタイへと殺し屋さん出張追いかけっこバトル。人身売買組織との闘いということでドルフ・ラングレンのバトルヒートを思い出しつつ、毎度のことながらタイは闇が深いな~などと勝手なレッテル貼りをしてしまうボンクラ脳。あと、白竜が使ってた雑居ビルの拷問部屋、日本にもあんな闇プレイスがあるのかなとワクワクしながら観ていた。タイパートでは『オンリー・ゴッド』のおっさんも出演しており、相変わらずカタギの役は似合わない面構えであった。

『ベイビーわるきゅーれ』
こちらは和製アクション映画の心意気。同じく阪元裕吾監督の今年の作品『ある用務員』で注目していた伊澤彩織さんが大活躍。『ある用務員』のJK殺し屋スピンオフ的な趣の作品なのだがスベるかスベらないかギリギリのゆるさをもつ世界観が個人的にハマった。この辺は正直好みが分かれそうなところではあるのだけれども。本作は最後の伊澤彩織さんvs三元雅芸さんの肉弾戦がユニークな振り付けでとても良く出来ていた。伊澤さんの闘った後「疲れた」のボヤキが大好き。もっとあの二人の物語が観たいなぁなどと呟いていたら、続編制作が決定したようでおめでとうございます。二作目は本作のテイストを大切にしつつ更なる大暴れをしていただければと期待している。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』
一応リアルタイム世代には当たるのだけれど本シリーズを観たのはかなり後の方だったわけで、更に特にファンでもないという断りはしたうえで、この作品のためにこれまでのすべてのシリーズ作品が報われたというか救われたというかそんな気持ちがしてしまった。2時間半以上の長尺に詰めるだけ詰め込んで本当にこの長いカルマのようなシリーズを終わらせてしまった。それはもうきっちりと。新劇場版になって登場したマリについて、当初はエヴァオタに媚びるコネメガネ~くらいにしかおもっていなかったのが本作でもう大好きになってしまった。いやー、つくづく手のひらは返すためにあるんですなあ。きちんと終わらせたってのがとにかく高評価となった一本。

『ガールズ&パンツァー最終章 第3話』
魔境での鬱屈した生活の中で出会った、人生最大級にハマった清涼剤のようなアニメシリーズ最終章の第3話目。これまで散々持ち上げておいて7本目に持ってくるとは如何なるおつもりかと叱られてしまいそうであるが、いや、その、作品としてはそらもう知波単大活躍のジャングル戦の続きも激熱で素晴らしいんすよ。不憫じゃないエリカも可愛いし継続のシモヘイヘも良キャラだ。しかし、問題は我が心の母校アンツィオ高校の描写ですよ!あれだけでマイナス10万点ですわ!もう少し活躍を見せてくれー!!というわけで、アンツィオ過激派にとっては残念な結果だったわけだが、いよいよ個人的に期待していたあんこうチーム白旗展開が来たので次回作が超楽しみ。澤ちゃんが覚醒して胸熱展開となるか、はたまた大洗が敗北を迎え桃ちゃんは留年するのか、まだまだ死ぬるわけにはいかないのだ。…畜生!クラウドファンディングでP40買うぞ!

『すばらしき世界』
やれやれ、つい戦車の話に熱くなってしまった。さて、本作は個人的に好きな西川美和監督の最新作。シャバに出た元ヤクザがやり直そうと社会の中で苦闘する姿を丁寧に描写する。社会の厳しさや様々な困難の中で愚直に生きていこうとする少々不器用な主人公にとって皮肉めいたタイトル。それでも一縷の望みを見せつつ最後はズドンと心に迫る。後半は主人公としての視点が若手テレビ屋さんに移っていたのが上手いなとおもった。あとは役者の力。役所広司の枯れた演技と枯れた尻に尽きる。梶芽衣子さん相変わらずお綺麗でもう70代なのが信じられん。

『ミセス・ノイズィ』
騒音おばさんのフラッシュなんかあったなあとしみじみ。人の表層だけを見て先入観や経験値や過去の参照を基に動いた結果すれ違いからの大騒動に発展という寓話的要素を持つ作品。メディアリンチ、ネットリンチもテーマに入れつつコミュニケーションの本質を描く。炎上騒動が広がる中、キャバ嬢が誰よりも冷静な視点で語るのは映画らしくて面白い。極端に説教臭くなったりシリアスになったりし過ぎず、最後は綺麗な落としどころに持ってくる点も良かった。拾い物感のあった邦画の佳作。

『アメリカン・ユートピア』
デヴィッド・バーンといえば『ストップ・メイキング・センス』をたまに作業BGVに使うことがあるのだけど、本作はソロライブの映画化。まず舞台のコンセプトが面白くて滅茶苦茶クール。チンドン屋みたいに一人一人楽器を抱えて舞台上を縦横無尽に動き回る。トーキング・ヘッズの楽曲も久々に聴くと良いものだ。個人的にギタリストのアンジー・スワンが滅茶苦茶格好良くてお気に入り。一方、こういうこと言うと野暮なうえ真面目に怒られそうだがスパイク・リー監督らしい例のBLMに関するシーン構成は些か無粋に感じたりもした。いずれにしても、このライブは生でじっくり見てみたいので何とか本邦に来ていただけないものかしらね。


さてはて、例の如くグダグダと書き綴ってきたわけだが、冒頭でも述べたように絞り出した感が例年以上で大変苦悩した。自分の精神状態のせいなのかわからんが、特に今年後半は大作系映画など一つも面白くなくて、毎週肩を落として劇場を出る始末だった。それでも、『マリグナント』『レイジング・ファイア』『ただ悪より救いたまえ』のような作品に出会えたのは本当に救いだったとしか言いようがない。

というわけで、最後は恒例の各種オマケ大賞コーナー。
女優賞は今年はダントツの一位で伊澤彩織さん。今後の活躍に大期待。次いで男優賞はニコラス・ツェーに決定。もうね、なんなんすかね、あの格好良さは。抱かれたら誰だって全身の毛穴から血を噴いて絶命するわあんなん。
今年のベストバウトは悩んだので異例の二作品から『レイジング・ファイア』のドニーさんvsニコラス・ツェーと『ベイビーわるきゅーれ』の伊澤彩織さんvs三元雅芸さんに決定。午後ローにベストマッチ賞はチャドウィックの死が惜しまれる『21ブリッジ』。劇伴大賞は「あれ、この曲、坂本龍一っぽくね?」とボーっとアホ面してたら本当に坂本龍一だった『MINAMATA-ミナマタ-』。劇中歌大賞は『007ノータイム・トゥ・ダイ』というより女王陛下はいいよな~(いいよなおじさん顔)ってことで「We Have All The Time In The World」に決定。護られたい二の腕大賞は映画自体は今年ワースト級だったが『エターナルズ』のバブみ溢れるマ・ドンソクに。何と四年連続の受賞ということで、これはもはや二の腕界のオメガパフュームっすわ(自分でも何言ってるか分からない)。ベストタイミング賞は『ローグ』のナイスなパク付きを見せたワニさん。餌付けしたい子No.1は『モンスターハンター』のキュートなトニー・ジャー。お前が『直撃!地獄拳』リメイクしろ大賞は『るろうに剣心最終章The Final』の新田真剣佑に。そして最後に、人生辛いので子宮に入れてくれ大賞は『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のマリさんに決定だ。皆さんおめでとうございます!

やれやれ、2021年もクソ疫病のせいで映画公開自体が減るわ千葉ちゃんが亡くなるわでろくでもない年だった。さすがに来年も同じ状況は勘弁してほしい。良い展望に向かうことを切に願いつつ。
それでは、皆様良い年をお迎えください。


You Only Live Twice......??

2021年11月27日 15時18分10秒 | 映画

『007ノー・タイム・トゥ・ダイ』が公開されてもうすぐ2か月。馬鹿なので三度観た。

ダニエル・クレイグのボンド(以下ダニボン←いつまでも言い続ける)については毎回ここに感想など記してきた(一作目二作目三作目四作目)。あれこれ書くと一々消耗して堪らんのだが今回満を持しての最終作ということもあり観念して以下グダグダと述べさせていただくことにする。

先述の通りダニボンもいよいよ最終作となったわけだが、先ず初めに出た感想は「やっと観れた」に尽きる。世の中がこのような状態になってから公開延期を重ね、前売り券も別バージョンで再発売という異常事態。それに乗っかり2枚買う私……。とにかく作品の感想云々以前に無事に公開されたという感慨の方が大きかったのは間違いない。
そして、次いで出た感想は「長かった」である。これは公開まで「長かった」という思いに加え、カジノロワイヤルからの道のりの「長かった」でもあり、歴代最長の上映時間に対する「長かった」でもあった。

さて、ここからは大きくストーリー、アクション、音楽、個人的ニヤケポイントに分けて感想を並べていくことにする。

先ずストーリーについてはいきなり落とすようで恐縮だが正直蛇足感が否めなかった。前作で引退しマドレーヌちゃんと幸せに暮らしまっせという終わり方をしたので、本当にあれで殺しのライセンスは返上!もう引退!チャンチャン!あとはご想像にお任せして七代目ヨロシク~で良かったんじゃないかと思ってしまう。前作が最終的には身内話に小ぢんまりと纏まってしまったこともあり、これ以上は話を膨らませなくてもいいよなという、ある種の満腹感があった。そして、ここで敢えて続編を作るのであれば、続編で何が起こるのか大体読めてくるものである。これがボンド映画ファンならなおのこと。必ず真っ先に思い浮かぶであろう、女王陛下の007だ。単純に幸せのまま終わるわけがない。
というわけで、蓋を開けてみればダニボンを終わらせるために作ったような展開と言っては乱暴すぎるであろうか。そう、ダニボンの死というインパクト。概ね待ち構えていた展開なわけだが、なるほど、そう落とすかと妙に納得して落ち着いたままエンドロールを迎えてしまった。最高に盛り上がる爆死演出であるのだがどうにも心に響かない。むしろフェリックス・ライターの死の方が衝撃であの最期は泣けてしまった。ダニボン就任決定当時、青い目のボンドに対してあれこれ言う外野がいたけれど、それらに対するカウンターのような素晴らしいセリフと、その美しい青い目を受け継ぐボンドの子(以下、ボン子)という宝物が遺される展開にはグッと来てしまうところはある。しかし、どうしてもダニボンを終わらせるための蛇足感を感じてしまうのだ。
個人的に元々長尺作品が得意でないということも影響しているのかもしれないのだけれども、正直観ながら若干白けてしまったところがある。中盤のセリフの多さも少々くたびれる。そのほか、ラスボスである自称“最凶の敵”サフィンが存在感無さ過ぎだったり、ボン子のうさちゃんぬいぐるみを最後に上手く生かせなかったりと気になる点は多い。この映画全体のトーンや大事なところでキメ画をバシッと入れてくれる感じは好きなので何とも勿体ない感じがする。
やれやれ、ここまでいきなりディスりまくるというね。個人的な映画鑑賞に対するスタンスに反する部分もあるので落とすのはここまでだ。まあ、なんというか、カジノロワイヤルの圧倒的インパクトから続くダニボンに対する期待値が大きかった以上、どうしても辛口になってしまう部分があるのよね。今回の監督は過去作の参照よりも原作を読み直した的なインタビュー記事があったけど、全体を通して当然のことながら女王陛下に加え二度死ぬ辺りの影響が強いのかなと感じた。

お次はアクション。歴代最長作品ということでアバンタイトルも最長。あれ30分くらいあったか。長いこと散々予告編で見せられてきたアクションをようやく拝むことができて嬉しかったよね。アバンタイトルは物凄く好きなんだよ、この作品。次の音楽の項で語るけれども、音楽の使い方もバッチリ。いきなりヴェスパーの墓がぶっ飛ぶところで驚きと笑いを生みつつ、高所からの飛び降り⇒アクロバティックなバイクチェイス⇒アストンマーティンDB5ギミック大活躍という往年のファンもニンマリさせる特盛展開で実に熱い。とりわけカーチェイスの撮り方が上手くてアストンがドリフトするキメ画が入ると堪らん。カーチェイスといえば中盤以降にマドレーヌ&ボン子を乗せたランクルvsレンジローバーも良かった。まず、敵さんが橋のところから追いかけてくるシーンの“分かってらっしゃる”構図が大変好み。そして追走するレンジローバーをなぎ倒しながら川や森に突撃する走りを空撮を交えて滅茶苦茶格好良く撮っていて、あれはそのままランクルのCMに使えるんじゃあないかって思わず笑ってしまった。
銃撃戦や肉弾戦のクオリティも相変らず高い。湯沸かし器みたいな名前のパロマちゃんとボンドの掛け合いはこの映画のハイライトかってくらい観ていて楽しいし、そこに新007ことノーミも加わって序盤の大きな見せ場になっている。そして何といっても長回し大好きマン的には最後の階段を使った長回し風アクションに尽きる。手榴弾の激しい爆発から始まり扉を開けて次々と襲い掛かってくる敵を階段を登りながらボロボロになって片付けていくダニボンが格好良すぎる。相当なトレーニングを積んだんだろうなと思わせるクオリティの高いアクションシーケンスであり、個人的に終盤最大の見せ場だと思う。そういえば最近久々にムーアボンドを観直したがダルくてダルくて仕方がなかった。まったくボンド映画はよくぞここまで進化したものである。制作環境も異なる昔と比べるなと言われればそれまでかもしれんが。

音楽については、これはもう女王陛下。ここぞとばかり、ずるいくらい使うよな、まったく。アバンタイトルでダニボンがWe have all~のセリフを放つと同時に流れるかの名曲のアレンジ。初見ではニンマリしつつも、「あーもう、やっぱりこれ絶対誰か死ぬやん」という感じになってしまったのだった。ロンドン橋を背景にMと007が対峙すべき敵について話し合う場面ではジョン・バリーの女王陛下テーマが掛かるところも堪らない。そしてダニボンの最期ではYou have all~と改変セリフを放ちつつ、迎えるエンドロールで満を持してのルイ・アームストロングという。アームストロング終わりからしんみりせずにボンドテーマというのもレイゼンビーボンドを意識してか。そんなわけで、ビリー・アイリッシュがまるで霞むくらい女王陛下出ずっぱり状態でありがとうございました。

最後は、もう随分語ってしまったような気がするけど個人的ニヤケポイントをいくつか。アバンタイトルでは相変わらずダニボンとマドレーヌちゃんがあたふたセックスなのにまず1ニヤケポイント。そしてOPタイトル曲に入るところのドクター・ノオをオマージュした入り&女王陛下を意識した時計等の演出に5ニヤケポイント。ポイント制止めます。他にも過去作を感じさせる場面として、例えばMI6本部にジュディ・デンチの肖像だけじゃなくてバーナード・リーの肖像が掛かっているみたいな細かいところなんかも嬉しい。
あと、アクションの項でも語ったけれどパロマちゃんね。本作の救いというか一番好きなキャラクター。登場初っ端からお茶目で気付けに酒をあおるところがちょう可愛いし、いざとなったら3週間のトレーニング内容が一体何だったのか気になるレベルの戦闘力の高さで躊躇ない戦いっぷりが最高。
本作はボンドカーも見所たっぷりなわけだけど、冒頭のアストンマーティンDB5に留まらず、私の大好きなダルトンボンドのV8も登場するのが10ニヤケポイント。ポイント制復活。
単純に笑えたところでは、あれほどまでにボンドを苦しめたスペクター、そして首領のブロフェルドがあっけなく御陀仏という。特にブロフェルドに関しては「あれ、なんか死んでますやん」ってノリなのが笑える。あと、肝心なボンドの最期のところ、あれ絶対ザ・ロック思い出した奴いるよな。あそこで「発煙筒振れ!」って思った奴、少なくとも30万人はいるね。

というわけで、ノー・タイム・トゥ・ダイを総括すると「女王陛下はいいよな~」(いいよなおじさん顔)に落ち着く。ここまで色々好き放題語ってきたけれども本当にダニボンもこれで終わりなわけだ。カジノロワイヤルの衝撃から14年余り、新たなボンド像を作り上げ最後まで駆け抜けたダニエル・クレイグやブロッコリ家の娘をはじめとする制作陣は本当に良い仕事をしたとおもう。伝統に拘ることなくボンド映画の可能性の枠を更に押し広げたわけで、これはとてつもない偉業である。次の世代にこのパラレルワールドへ更なる自由度を与えたことにより、七代目ボンドはこれまた違った質の巨大なプレッシャーが加わることになるだろう。お次も硬派でリアルなボンド像でいくか、はたまた突然ムーアのようなボンド像の再来となるか、あれこれ想像を巡らせるだけでワクワクさんになってしまう。

最後にダニボン全五部作を振り返って、改めて個人的に好きな順に並べてみる。

カジノロワイヤル>>スカイフォール>>>スペクター>>>ノー・タイム・トゥ・ダイ>>>>>>>>>>>>>>慰めの報酬

うん、もう、慰め~はなかったことにしよう……。
合言葉は「JAMES BOND WILL RETURN」。次はどんなボンドが観られるのか。その日まで、ワルサーを枕元に忍ばせつつ、常に逃げ道を用意して生き延びるのだ。


グランドマスター

2020年12月30日 14時24分27秒 | 映画

2020年の映画10選諸々。いつもの感じでまとめます。

『イップ・マン完結』
シリーズの集大成。人生の終局に向かうイップ・マンと次世代に受け継がれる武術を通じた魂の作品。
本作はリー師父に始まりリー師父に終わるというリー師父へのリスペクトが溢れまくった作りになっている。個人的ベストバウトは待ちに待ったドニーさんVSアドキンスではなく路地裏の闘いである。美術から振り付けまでドラ道リスペクトで初回に劇場で観たときは思わず涙が出てきた。愛と尊敬にまみれた描写の数々に昨年ワンスアポンアタイム~でタランティーノに滅茶苦茶ムカついていた私は拳を握り締めながら「わかったかタランティーノ!!」という気持ちになってしまった。
ドニーさんの怒りの連撃は今作も健在だし親子の話の落とし込み方などドラマ部分の作りも良い。あと中盤の中秋節で米国軍人相手にキレキレの技で応戦する女武術家チョン師匠が大好きで弟子入りさせてほしい。最後は川井憲次さんの例の力強いテーマ曲で引き締まる。鑑賞後にはベスト盤的サントラが出ていたので速攻買ってしまった。パンフレットも締めくくりに相応しいボリューム満点な内容で総合的に満足度の高い作品だった。因みに、シリーズで好きな順に並べると3⇒1⇒2⇒4かな。番外編マスターZの続編も引き続き期待したい。

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』
今一つパッとしないDC映画の中でこちらの作品はダントツだとおもう。まあ、マーゴット・ロビーが大好きってことも贔屓目であるんだけれど、警察署へのカチコミをはじめアクションの完成度は高いしコミカルな描写とのバランスも抜群なのだ。それに加えてまたまた大好きな“強いお姉さん映画”という要素も加わっていて最高でしかない。特にこの点において、この頃舶来エンターテインメント界隈において時折執拗に持て囃される自称先進的な定型的人権意識の押し付けが鼻につくことも無く、前向きにな姿勢で普通に楽しめる作品に纏まっているのも好感が持てる。ここのところ個人的に感じている一見耳ざわりの良い思想の押し付けとその後進性に関しては語る機会があればいずれどこかで…といってやらないお約束構文。
主役のみならず他のキャラクターも皆良かった。脇を固める“クロスボウ・キラー”の残念っぷりがちょう可愛いし、キレッキレのブラックキャナリーには尻を蹴飛ばされたい。冒頭とエンディングに出てくるハーレイ・クインの好物のエッグサンドが滅茶苦茶美味そうで、家に帰ってからチリソース振りかけて何度か真似させていただいた。スナイダーカットとか今更どうでもいいからハーレイ・クインでもう一本やってくれ。

『ランボー ラスト・ブラッド』
2020年最高の人体破壊映画。舐めていたジジイがジョン・ランボーだったという、喧嘩売りまくってたメキシカンマフィアたちが哀れになるストーリー。
はじめに書いたように、まあ、人体破壊がとんでもない。散々、溜めに溜めて最後に思いきり炸裂する構成になっていることも作用し、クライマックスでスクリーンいっぱい飛び散る肉片がグロっと爽やかすぎて心の中でおもわずガッツポーズしてしまった。ランボー怒りの殺しの下ごしらえをするシーンも最高だったよ。
時代遅れな暴力映画と切り捨ててしまうのは簡単だ。しかし、ランボーは未だにPTSDに苦しむ描写があり、自分の“蓋”を開放して暴力で相手を叩きつけても何も終わらないことはとっくに理解しているのだ。自分には暴力しか成す術がないという、かの戦争での一人の犠牲者でもある老兵の哀愁が沁みる。第一作の「何も終わっちゃいねぇ!何も!(CV渡辺謙)」なのである。
礼儀として吹き替え版も観たのだが翻訳は平田勝茂先生の安定クオリティだった。ささきいさお御大の枯れ具合も程よくマッチするよね。ケンコバは意外と役柄がハマっていた一方、某多才な筋肉俳優はかなり微妙であったことを付記しておく。

『フォードvsフェラーリ』
ローアングルでかっ飛ばすキメ画尽くしに音響が超絶迫力満点ですげえカッコよかったという馬鹿みたいな感想。映画として完成度が高いのでモータースポーツに疎くても十分楽しめる。
自動車メーカーが勝利を目指すドラマといっても所詮サラリーマンが回してるわけで、同じ組織内で足の引っ張り合いが始まったり手柄を横取りしたがったり等、ああいうクソいるよなぁみたいな感じも面白い(傍から見れば)。心理描写や各種説明もどこぞの爆売れ漫画のように一々無粋に語ることなどなく淡々とさりげなく処理されているのが好印象だった。個人的に好きな場面はマット・デイモンとクリスチャン・ベールが和解するのに子供みたいなヘナチョコ喧嘩するところと、フォード二世が親父にも乗らせたかったと嗚咽するところ。あと、親父と息子が滑走路で語り合うシーンの夕暮れ空が格別に美しく印象的だった。とにかくこの映画、キメ画しかないのよ。最後のル・マンでの戦いは正々堂々フェアプレイかとおもいきや、こっそりフェラーリチームのストップウォッチをパクったり、ピットにナットを投げ込んでパニックにさせたり泥啜っても勝つぞみたいな人間臭さが堪らなく好き。良い役者も揃って堅実な作りの一本だった。

『エクストリーム・ジョブ』
今年の映画初めに観た一本。ポンコツ麻薬捜査班がチキン屋さんを装って張り込み捜査を始めたら思いもよらない大繁盛店になってしまうコメディ映画。
役者陣が終始とぼけた顔して分刻みでボケをかましてくるので劇場でかなり腹筋が鍛えられた。ただボケっぱなしかというとそうではなくて、チキン屋の流行から本業の麻薬捜査に繋がる話の流れが綺麗で話もちゃんと出来ている。また、さすがは韓国映画といったところで、コメディ映画であってもアクションに手を抜かずクオリティがかなり高い。最後の波止場の乱闘は本当に見ごたえバッチリで、急に香港ノワールでも観ているかのような雰囲気だな…などと感心していたら締めにレスリー・チャンの「當年情」が流れ始めて完全に止めを刺された。しかも引きのショットからズームインして闘いを終えて座り込んでる姿を映しながらという、バカすぎて分かってらっしゃりすぎて劇場で涙目になりながらヒーヒーいってた。
兎にも角にも、水原カルビ味チキンが滅茶苦茶食べたくなってくる。

『ディヴァイン・フューリー/使者』
これまた韓国映画。特にインパクトのある予告編ではなかったものの、何だかどうにも気になって観に行ったら意外な拾い物感のあった一本。エクソシスト映画なんだけどバトルものという熱い展開が待っていた。
人の善性が根底にある話が好きなのでこの作品で描かれる父と息子の愛やエクソシスト師匠との師弟関係も凄く良くて、愛が悪に打ち勝つというストーリーへの絡ませ方も上手かった。まあ、あとはバトルね。聖水片手に悪魔とガチンコの殴り合いという期待以上の展開に笑いを堪えるのが必死だった。しかもこれまた韓国映画御馴染みの気合の入ったアクションなので、ワンカットで見せ場まで作ってくれるから堪らない。あとは悪魔に取り憑かれた子供の演技が最高だったな。悪魔に憑かれるとゲロを吐くのは万国共通なのだろうか。

『初恋』
さて、ここまで書いてくると例によってバテてくる。今年はやむを得ない事情によって劇場公開作品の大幅な減少があったこともあり、10本選ぶのも中々苦労する。などと言い訳を済ませ、残りの5本はサクッといきまっせ。(そう言って上手くいった試しがない……。)
三池崇史の映画は正直得意かといわれればかなり苦手なほうなのだが、これは普通に楽しむことができた。奇をてらわず方向性が明確な話なうえコンパクトな仕上がりで肩肘張っていないのが良い。
個人的にはクライマックスの舞台が思い出のユニディだったのが何とも。小道具やら調達に行った黒歴…思い出が……。車が大ジャンプするカースタントを急にアニメーション映像に転換するという、自由かつ大胆な手法で予算を抑える方策は上手いなとおもった。あとは方々で語られてるけどベッキーの狂気にまみれた演技が最高。

『透明人間』
はい、皆さん、今夜の作品は透明人間。透明な人間。怖いですねー恐ろしいですねー。(突然の淀川先生降臨)
透明な人間ですよ。タイトルからネタバレしてんですよ。もう世界中で何百、何千、同じ題材で作品作られてんですかってんですよ。監督は異色のSFアクション作『アップグレード』のリー・ワネルってことで一応期待値60%くらいで臨んだところ、これが中々良い塩梅の仕上がりじゃないの。徹頭徹尾緊張感を持続させる演出は見事だし、『アップグレード』でも感じたダークでひんやりした質感が背筋も凍るソシオパスの静かな暴走に上手く調和している。ソシオパス男の大豪邸などの美術も不穏さを醸成して良い相乗効果を生んでいたとおもう。散々やり尽くされた題材を美味しく料理してくれた。
まあ、でも、個人的にはやっぱりヴァーホーベン御大の“淫靡視ぶるマン”かなぁ……。

『淪落の人』
人の善性を信じる救いと希望に満ちた優しい作品でボロ泣き状態だった。あの人肉饅頭売ってたアンソニー・ウォンが、ユンファに眼球ブチ抜かれたアンソニー・ウォンがなどといつまでも言っていてはいけないのだ。良い役者さんだよ、ホント。
現在台湾に居を移してしまったアンソニー・ウォン。ノーギャラでの出演には様々な想いがあったのだろう。インタビュー記事を読んでると香港映画は香港の変容と伴にかつての香港映画たり得なくなって来てしまっているということに気づかされ悲しくなった。それでもこういう作品は希望になるわけで灯はまだ消せはしないんだという思いが込み上げる。散々良い話やっといて友人との“AVマラソン”みたいな笑いどころがあるのも好き。優しさが一番なのよ。

『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』
劇場公開してくれて嬉しかった。正直シリーズの中でどうかと言われれば微妙ではある。しかし、このシリーズ、かなりのブランクがあってからの2作目以降、変に手抜きをせず堅実に制作を続けているのは偉いとおもう。しかも今回で第8作目だよ。
隠居したトーマス・ベケットはエンド・オブ・ステイツのニック・ノルティみたいになっていて笑った。そして、何といっても秋元才加嬢。良い役どころ貰ったよなあ。ユキ・ミフネakaレディ・デスって名前も馬鹿っぽくて堪らん。次作への登場も期待できる終わり方だったのが嬉しい。次は是非ビリー・ゼインも再登場していただきたい。午後のロードショーにもぴったりな一本だ。


というわけで、今年はこのような情勢下において10本選出するのにかなり苦悩した。正直5本迄でも良かったかもしれん。期待の新作公開が続々と翌年に延期される異常事態。007やワイスピの新作などが予定通り上映されていたらどうだったんだろうとおもわずにはいられない。そうした劇場で掛ける新作が少ない状況の中で、普段観ることも無かったであろう作品に出会えたのは禍を転じて何とやらである。また、『コマンドー 日本語吹替え4K版』『燃えよドラゴン ディレクターズ・カット』『トータル・リコール 4Kデジタルリマスター』といった大好きな往年の名作を劇場で観なおすことができたのも今年ならではであった。

さあ、ここからは恒例の各種オマケ大賞でございます。
女優賞は『イップ・マン完結』の中秋節で一目惚れしたチョン師匠に決定。近所に武館があったら是非とも通いたい。男優賞は今後の応援も込めて『淪落の人』のアンソニー・ウォンに。ってか、最近台湾で叉焼包を販売する計画があるって記事が出てて笑っちゃったよ。本当に頑張って欲しい。
さあ、どんどんいくわよ。戦うおじいちゃん大賞はベトナム繋がりの役柄を演じたお二方、シルベスター・スタローンとトム・べレンジャー。劇伴大賞はシンプル&クールなバンドサウンドと良質な音響で盛り上げてくれた『フォードvsフェラーリ』に。このシーン作った人頭大丈夫ですか大賞は超絶長回しワンカットアクションで度肝を抜いた『タイラー・レイク』。そして護られたい二の腕大賞は何と三年連続で『悪人伝』のマ・ドンソクが受賞。これは文句無しでしょう。張り手俳優No.1の称号も併せて差し上げます。続いて、食ってみたい映画飯大賞は『パラサイト半地下の家族』に登場したチャパグリ。強制脱水症状誘発大賞は私の目や鼻から体液ダダ漏れにしてくれた『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に。ベスト・ウィッグ・ドレッサーは『ファナティック ハリウッドの狂愛者』でキモオタストーカー役を怪演したジョン・トラボルタに決定。トラボルタとくれば今年のニコラス・ケイジも凄かったというわけで、ベスト・オブ・アルパカ映画部門として『カラー・アウト・オブ・スペース』が受賞。アルパカのおっぱいって飲めるのかという新たな無駄知識に加えトリップ映像と物体Xチックな造形が最高だった。最後に、今年のドラマ部門は『コブラ会』に決まり。語ると長くなるから止めとくけど、正直ここ数年で最高のドラマ。いよいよ年明けに新シーズンが配信されるのでワクワクさんが止まらない。

以上で2020年の映画総まとめは終わり。先述したように今年はとんでもない年になってしまった。とにかく来年は延期になった作品群が楽しみで仕方がないよ。まずは年明け早々ドニーさんのデブゴンが待っているし、いい加減はよう007を観させておくれ……。
何が何でも明るく楽しい年になることを祈念しつつ。
それでは、皆様良い年をお迎えください。


貴方糖分過多なんじゃありませんこと?

2019年12月28日 19時23分35秒 | 映画

2019年の私的映画10選など。例によりネタバレ関係なくいきまっせ。

『ガールズ&パンツァー最終章 第2話』
一昨年同様、これは映画なのかというのは置いておいて、結局、今年劇場で一番観た作品。散々待たせておいてどうなのかと蓋を開けてみれば、そら制作に時間掛かりますわなという期待を裏切らない濃厚かつ迫力の完成度だった。特に大洗VS知波単のジャングル戦は本当に良く出来ていたので早くBDで繰り返し再生したいもの。知波単アレンジのラバさんは名曲だ。
今回は既存&前作から登場したキャラクターの掘り下げが行われ、更に新たなライバル校のキャラクター登場と作品世界の可能性も押し拡げられており、シリーズの中で重要な位置付けとなった一本だったとおもう。夏の優勝校である大洗に他校が挑む構図が鮮明となり、ポンコツ知波単ズ大躍進という熱い展開から、次回もしやヒールとなった大洗が敗退するのではなどと色々妄想が捗ってしまう。この辺りの構成の上手さはさすが吉田玲子氏といったところだ。
と、まあ、ここから語りだすと非常に長くなること請け合いなので止めときます。間違いなく重要なターニングポイントとなるであろう第3話に期待大。完走するまで、否、我らがアンツィオのスピンオフシリーズが制作される日まで、生き抜かねば…ねば……。

『イップ・マン外伝マスターZ』
イップ・マン3で登場した張天志のスピンオフということでマックス・チャンの男前アクションが炸裂。
冒頭から高速かつ美しい身体捌きのアクションを見せつけてくれて全身が痺れるほどの衝撃。トリッキーな攻守の動きを見せるトニー・ジャー戦やミシェル・ヨーとのグラスを片手に謎の手技を仕掛けるシーンをはじめ、時折挟まれるユエン・ウーピンらしいユニークな遊び心感じさせる振り付けも楽しい。
物語全体において、唯の勧善懲悪だけでなく懸命に何かをやり直そうと葛藤する人々の姿を描いていて、人はいつでもやり直せるんだという力強いメッセージ性が感じられる点も好感が持てる。かつてイップ・マンに敗れた張天志が本作の最後に完全再起して‟詠春拳、張天志”と名乗り上げるシーンは鳥肌もの。音楽の入りも完璧で川井憲次さん作曲のテーマの素晴らしさに改めて気付く。腐敗権力と癒着した横暴な警察に民衆の正義が勝利する結末は今見直すと香港の現状を想起させる。現実世界でも民衆の勝利を願って止まない。
どうでもいいけど途中からシン・ユーが功夫のできるフジモンに、ケビン・チェンが綺麗な品川にしか見えなくなり、やや複雑なニヤケ面で観ていたのはここだけの話……。

『ジョン・ウィック:パラベラム』
犬を殺されてから1週間くらいしか経っていないのにこの大進展と言っては野暮ではあるが、消化不良気味だった2から大きく方向転換してアクションはシリーズ最高峰の完成度と相成った。
マーク・ダカスコス、タイガー・チェン、ザ・レイド組の起用、韓国映画『悪女』を意識したバイクチェイス、マトリックスのセルフオマージュ等々、全編を通して古今東西のアクション映画と武術へのリスペクトに溢れた作りとなっている。殺人技のデパートっぷりには更に磨きが掛かり、本フー、馬フー、ワンフーなど新鮮なアクション盛沢山で、アイデア次第でアクション映画は如何様にでも面白くなるんだぞという気概を感じさせる。ハル・ベリー姐さんはコンバットシューティングのトレーニング成果バッチリで、シェパード犬2匹との連携技による長回しアクションが滅茶苦茶カッコイイ。
しかしまあ、何だかんだ本作のNo.1はダカスコスの活躍に尽きる。今回出演を見送ったデューク真田は絶対に次回出て欲しいし、再度ザ・レイド組を交えて徹底的に殺り切っていただきたいとおもう。

『T-34レジェンド・オブ・ウォー』
予告の段階でどう見ても戦争映画というより戦車道映画だったのだが、劇場でそれは確信に至る。
映画序盤から現代的VFXを交えたフェティシズム満載の描写によるⅢ号戦車との熱い戦いを繰り広げ、捕虜収容所からの大脱走~パンター追撃~戦略大作戦を想起させる市街での最終決戦まで物語のテンポも抜群。全体的にエンターテインメントに寄せた作りで最後まで安心して観ることができる。
本作は現存する戦車は実車を使い、なんと役者にも操縦させる気合の入りよう。砲弾と砲弾がかち合ったり跳弾させたり等、フィクションだからこそやれることを思いっきり詰め込んだ実車版戦車道全開で終始ニヤニヤしっぱなし。主人公とナチス将校のライバル関係に最後の熱い一騎打ちなんて、まるで何かの試合じゃないの。そして絶好のタイミングで流れるパンツァーリートにエーリカよ。あんた絶対例のアニメ観てるだろ…と。しかしこの監督、インタビュー記事によれば未見だったというのだから全く驚きである。

『ハーツ・ビート・ラウドたびだちのうた』
長年営んできたレコードショップの閉店を決断した親父が気まぐれで娘とセッションした音源をSpotifyに上げたらヒットしてしまうところから物語が進んでいくのだが、まず以てとにかく音楽が素晴らしい。クライマックスの親父と娘のライブシーンでは思わず目からお汁だっくだく。本作のサントラはSpotifyやYoutubeで配信しているというのが作品世界とリンクしていて上手いとおもう。
親父と娘の宅録する姿は腐れDTMerの私に滅茶苦茶響いて、劇場でウンウン頷きニンマリしてしまった。また、医学部進学を目指す堅実な娘とは裏腹に曲がヒットして調子に乗った親父が、密かにバンドのロゴを考えてノートに書き込んだり、新しいギターを買い娘にはサンプラーを買い与えて叱られたりする姿が可愛らしくて仕方がない。
話の筋は至ってシンプルだが、宅録~ネットでヒットという現代的な要素が物語展開の契機となっている。また、娘のパートナーが女性であり、それをごく普通に受け入れる親父という進歩的な描写には大いに感心してしまった。というわけで本作は今年の百合映画大賞でもあります。(台無し)

『オーヴァーロード』
毎度のことながら色々書いてるとこの辺りでバテてくるな……。
さて、こちらは第二次大戦を舞台とした久々のナチス実験もの。冒頭からPTSDになりそうな激しい空中戦&残酷描写で掴みはバッチリ。ナチスの謎テクノロジーによる強化ゾンビ人間はとにかくパワフル。勢い重視の姿勢にグロテスクなシーンも思わず笑ってしまう。
クライマックスで崩壊する実験施設から長回しで一本締めするところは実に痛快だった。こういう思わぬ拾い物のような作品があるから映画は止められないのだなと、桃尻マイク水野晴郎ちゃん顔でしみじみおもうのだった。
この作品、重要な役どころをカート・ラッセルの息子さんワイアット・ラッセルが演じていたんだけど、親父さんそっくりで大変男前。今後の活躍に期待したい。あと、やっぱJ・Jエイブラムスは監督業よりプロデューサー専念のほうがいいんじゃあないの…などと例の三部作絡みで毒を吐きたい気持ちも沸いてくるがそれはまたどこか別の機会があれば……。

『ドクター・スリープ』
シャイニングの続編ということで、今回は“シャイニング”そのものに焦点を当てた内容。続編として大変完成度が高く、この作品により前作の株も上がるという奇跡的な作りだったとおもう。同じキング原作で今年公開されたITの続編よりも個人的にはこちらに軍配が上がる。
シャイニングがテーマ=超能力バトルという熱い展開が繰り広げられる。ダークサイドキャラであるローズに対し、大人になったダニーと非常に強いシャイニングを持つ少女アブラちゃんが連携して立ち向かうわけだが、とにかくアブラちゃんが格好良い。あの禍々しく呪われた場所での最終決戦に持っていくまで、前作を絡めた非常に丁寧な描写で盛り上げてくれる。ラストシーンはアブラちゃんの格好良さとユーモアが相まって最高にキマっていた。本作はアル中に苦しむダニーと永遠の命のために魂を貪るローズという依存症を抱えたキャラクターを対峙させ、依存症との闘いを描く側面もあったとおもう。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
ノレたのでOK。今回は怪獣の出し惜しみ一切無し。怪獣が主役だぞとばかり一枚絵のような美しいシーン満載だ。人間ドラマは正しく添え物程度で、感情移入などバカらしくなる狂人大進撃っぷりはもう笑って観ましょう。
個人的にラドン登場で人がたくさん死ぬところと、モスラちゃんとゴジラのラブラブオーラ全開っぷりが大好き。ラドンに関しては公開後にゴマすりクソバード呼ばわりされていて、それに反応してくれた監督のこちらのツイートがお気に入りだ。


芹沢博士こと渡辺謙は滅茶苦茶ながらも何だかんだ良い役だったよな。そうそう、渡辺謙といえば、遂にランボー4Kレストア版BDに金曜ロードショーの吹き替えが収録されるのよね!昔親父が録画したVHSを何度も観たので個人的にランボーで一番好きな吹き替えなのだ。来年のバレンタインデーに発売ってなわけで超楽しみだぜ!あれ、おかしいな、ゴジラの話をしていたはずなのにな!!

『ハンターキラー潜航せよ』
新しい21世紀の潜水艦映画として好例の一つになったとおもう。セットの作り込みや細かい描写にかなりのこだわりを感じる。今後の潜水艦映画を制作する際にはベンチマーク対象になるのではなかろうか。潜航するときは逆スムーズクリミナル体勢になるというのが一番勉強になった。あの潜航シーンはカメラを傾けるのではなくセットごと傾けて撮影しているというのだからまったく良い金の掛け方をしたものである。
とまあ、ここまで持ち上げておいて、真面目な人は怒り始める要素満載の内容ではある。個人的に好きなのはお決まりの米国VSロシアの構図を持ち出して散々USA!コール状態にしつつも、最後にウラー!状態へ持って行くところ。まじっすか!?となりながらも激熱っぷりに劇場で打ち震えた。フィクションだからこそできる友好の形の描き方ってのは良いものだ。

『ファイナル・スコア』
敢えてこの現代に、ダイ・ハード、暴走特急、サドンデス…古き良きアクション映画の要素をごった煮にして、上澄みの程よく美味しいところを頂かせてくれる、どこか憎めないそんな一本。
狭いエレベーター内での闘いやキッチンで人間フライを作るシーンなど模範解答が満載となっている。劇中で時折挟まれるギャグは一歩間違えればスベるか叱られるかといったギリギリのセンスで90年代の映画を観ているような気分に。先のハンターキラーといい、こういった作品をTV洋画劇場で流していただきたいものである。などと言って老害になっていくのだろうか……。
それにしても振り返れば本作品のほかエンドゲーム、マスターZ、大脱出3とデイヴ・バウティスタ大活躍の年だったのだな。


というわけで、今年を総括するに、どうにも大作系やエライ人絶賛系の作品がひたすらピンと来ない一年だったような気がする。って、まあ、昨年も似たようなもんか。いずれにせよ、上記でピックアップしたものをはじめ中規模の作品に良作が多かった印象。今回選外とはなったがSFサスペンスの佳作『アップグレード』などTV洋画劇場にもピッタリな作品に複数出会うことができた。

では、恒例の各種オマケ大賞をば。
まずは女優賞。ひたすら‟カッコツエエ”ババアを好演した『ターミネーター:ニュー・フェイト』よりリンダ・ハミルトン、『ハロウィン』よりジェイミー・リー・カーティスのお二方を。この二人は強い女性大好きなジェームズ・キャメロン繋がりでもあるわけで、同年に大活躍ってのがこれまた良いですよね。特にリンダ・ハミルトンの復活は本当に嬉しかった。
男優賞は『マスターZ』のマックス・チャン。これはもう今年ダントツ。併せて今年の名乗り部門大賞も差し上げます。
さあ、どんどんいきまっせ。ベストオブ決め台詞は『ターミネーター:ニュー・フェイト』でサラ・コナーが放った“Because we're not machines, you metal mother fucker!” に。『エンド・オブ・ステイツ』でボロ雑巾のような出で立ちから圧倒的存在感を見せつけたニック・ノルティには、ああ爆弾大賞を。嫌な死に方大賞は『ブライトバーン恐怖の拡散者』でハンドルに顎バコーン!なるやつ。百合映画大賞のアニメ部門には『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』を。楽曲大賞は今年2回も劇場で流れた永遠の名曲、『Get Wild』。そうそう、忘れちゃいけない細野晴臣イヤーでもあった2019年、ドキュメンタリー映画大賞は『NO SMOKING』で決まり。次いでガンギマリハイカロリー作品大賞にはマイケル・ベイのキチガイアクション大作『6アンダーグラウンド』。護られたい二の腕大賞は2年連続マ・ドンソクへ。星が見事な夜です大賞は『大脱出3』の‟悪魔砦”。こちらは真面目にやっているのか不安になる抜群のネーミングセンスも含め納得の受賞だ。そして最後に、今年一番膝小僧に頬擦りしたい美形ショタ大賞は奇跡のCG出演ジョン・コナーに決定です。皆さんおめでとうございます!

来年は二丁拳銃のチョウ・ユンファ大復活『プロジェクト・グーテンベルグ』や、007の新作、『イップ・マン完結』とクソとションベンがいっぺんに出そうな作品が続々控えているので括約筋を鍛えて万全の態勢で臨もうとおもいます。というか、全身あちこちぶっ壊れてきており、摂生のうえ鍛え直さないとさすがにヤバくなってきたので先ずは健康第一とういうことで……。
それでは、皆様良い年をお迎えください。


Marry her.

2018年12月28日 00時39分37秒 | 映画

2018年の私的映画10選など。

『ジオストーム』
ローランド・エメリッヒもドン引きするレベルの不真面目映画オブ・ザ・イヤー。地球規模の大災害を描いた唯のありふれたディザスタームービーかとおもいきや、ドラマ部分を含めノリと勢いだけで(はて、どこかで……)グイグイ推し進めていく超展開っぷりに度肝を抜かれ、劇場では終始心の中でサムズアップしていた作品。
とにかく物事が前のめりで進み展開が早い。重大な判断が必要な箇所はすべて即断即決。意思決定の際に、「吟味する」「他人を疑う」などという余地は一切無い。特に気象コントロール衛星技術者に転職したマイク・バニングの弟くんのフィアンセ(シークレットサービスである)が陰謀を阻止するために大統領拉致という懐かしのジャック・バウアーばりの超越した手段を即決するところは爆笑もの。そしてフィアンセのドンパチ賑やかな活躍を目にした大統領が弟くんに向けた一言“Marry her.”は今年一番の名台詞だとおもう。一々役者陣も真面目な顔して演技続けるの大変だったろうなと現場の苦労を勝手に想像してしまうのだった。
それはそうと、台風への対処法がシャークネードと同じ爆薬だったのだけど、台風被害の大きかった本年を振り返りつつ、本当に有効なら是非とも実現していただきたいものである。

『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』
スコット・アドキンスの中華服姿艶めかしい前作からガラリと雰囲気が変わり、安直な言い方だが何処を切り取ってもクライマックスという中華資本をぶち込みまくったアクション超大作。ウー・ジン自ら監督を務め三作目もやる気満々で物凄いシリーズに作り上げている。
話としては色々な方面から怒られそうで、某国営放送でもプロパガンダ映画扱いだったが、それで済ませてしまうには勿体ない壮絶なエネルギーに満ちたアクションの完成度に脱帽。個人的に呼吸困難に陥るレベルで大好きな場面といえば、戦車がドリフトして宙を飛ぶという戦車道行進曲が聞こえてきそうな戦車チェイスアクション。メイキングを見ると制作陣は戦車版ワイルドスピードを目指していたようだが、「バターになっちゃいますよ」的シーンを差し込むなど、これ絶対にガルパンファンいるだろ!とおもわざるを得ない仕上がり。しかもこの戦車道シーン、実際にウー・ジンが戦車操縦しているから大したもん。
ステイサムのサメ映画しかり、今後も潤沢な中華資本による作品が増えていく流れに対し色々物申す方々もいらっしゃるようだが、バンバン金使って面白い作品を作っていってもらえれば言うことなしだ。

『マンハント』
大人になって良かったなぁとおもえた作品。高校生くらいの時分に観ていたら物凄いこき下ろしていたんだろうなと……。
全体的に90年代くらいのアクション映画のノリで本当に緩くて穴だらけなんだけど何処か憎めない。一見するとダサいようで、一周回ってカッコイイという境地に辿り着く。ウー校長のファンとして、こんな時代になっても未だジョン・ウー美学は健在であり、監督悲願の企画を本邦で実現できて本当に良かったねと、唯々祝福するのみである。手錠を繋いだチャン・ハンユーと福山雅治のラブラブっぷりにチョウ・ユンファとダニー・リーの姿を重ねる。他にも冒頭から楓林閣のカチコミをおもわせるような銃撃戦をおっぱじめたり、福山氏がティ・ロンばりの日本刀さばきを見せつけたりするなど、セルフオマージュをあちこちに散りばめつつ、最後は青空の下“For a better tomorrow.”で締めるのも実にオツ。大阪舞台の割には殆ど関西弁が出てこない謎はさておき、國村準、池内博之、殺意の波動に目覚めた倉田保昭先生など脇を固める役者陣も大変素晴らしかった。

『イコライザー2』
冒頭から高速鉄道に揺られて世界最強のコックさん映画かなという、前作の闇の必殺仕置き人スタイルから今作は完全に歩く死亡フラグ寄りのスタイルに変貌を遂げたマッコールさん。マッコールさん自身のキャラクターを掘り下げつつ、ナメたらアカンお仕置きイコライジングアクションもパワーアップしており続編の在り方として正しかった。街のチンピラ集団に加わりそうになっていた近所の青年への説教や、例の「一度しか殺せないのが残念だ」の名台詞シーンをはじめ、マッコールさん前作以上に滅茶苦茶怖い。
ラジオ放送などでハリケーンが迫っているという伏線を張りつつ、人々が避難した無人の街を最後の戦いの舞台に持っていく展開がとても好き。冷静かつ着実に一人一人敵を屠っていくマッコールさんの姿にペイルライダーのイーストウッドの姿を重ねつつ、キャラの掘り下げも完了したところで是非とも三作目をお願いしたいところだ。

『レディ・プレイヤー1』
毎年のことながらあれこれ書いているとこの辺でバテてくるな……。
さて、“スピルバーグがまたやった”というべきこの作品。80年代に映画にポップカルチャーに…そういったものが大好きで本当に良かったとおもえる一本だ。小ネタが分からなかったとしても冒険映画として普通に面白い。
本作品はやはり何といっても最後に強大な力に対してオアシスの皆が立ち上がりハチャメチャになって戦う場面のあのテンション。レゴムービーのクライマックスにも似たあのゾクゾク来る感じが堪らなく好きで劇場でニヤニヤと鳥肌が止まらなかった。本作を観た後におもわずシャイニングを見返したんだけど、オマージュへの作り込みが物凄く細かくてひたすら感心。また、CG構成が主体の場面であろうとキメ画の構図が完璧でさすがはスピルバーグ様様だと改めて感服したのであった。
なお、この映画、主人公の描き方に注文付けたくなる場面もあったが、冷静に考えたら童貞オタクに彼女ができたらそうなるわなと妙に納得して自己解決してしまったのだった。

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』
冥府魔道に生きるデル・トロの子連れ狼。前作よりアクション要素多めに入れつつ、陰惨な流れは相変わらず。
理不尽な仕事は空回りを続け、上層部の手のひら返しに翻弄されて、運命がすべて呪われたかような負のスパイラルに堕ちていく様は自身の境遇にも重ねてしまい冷静には見ていられなかった。今年亡くなってしまったヨハン・ヨハンソン作曲の劇伴、デェェェェウ…デェェェェウ…が精神にズビズビ効いてくる。完全に死んだかとおもったデル・トロがラストに死んだ目で新人採用面接に登場してくださったので三作目はいかほど陰鬱な作品になるのか期待大。
それはそうと、この作品といえば、やはりあの話題になったアディオスショットに尽きるだろう。仕事でクソみたいな連中と接するたびにあれをお見舞いしてやりたくなってしまうよね……。

『若おかみは小学生!』
大方の方々と同様、当初はキャラデザと文科省云々の宣伝文句にこれどうなのよ…とやや疑いの目で見送ろうかとおもっていたのだけれど思い切って観て良かった。
おっこちゃんの両親が事故で亡くなってしまうところが話の契機なので重い話にもなるのだけど、そういった悲しみ諸々背負いながら、同じように大切な何かを失った人たちと触れ合っていく中で、前を向いて生きていこうとするおっこちゃんの姿に最後はもう手前の汚れた目からも汁がドバドバになってしまった。吉田玲子さんの脚本にハズレなし。
キャラデザどうなのよと言いつつ、蓋を開けてみれば全体的に物凄く作画が良いし、季節の移り変わりなど美術、演出が物凄く細かいところまで丁寧に配慮されて作り込まれていて、異例のロングランになったのも頷ける完成度。

『ピーターラビット』
あの世界一有名なウサギの可愛らしい平和な作品かとおもったらとんでもねぇ。人間との血で血を洗う壮絶なバトルを繰り広げるバイオレンスコメディだった。
冒頭スズメたちが可愛らしく歌いながら登場したところを容赦なく撃墜するという出オチから勝負あった感。こんな悪い顔したウサギ見たことねぇ。人間を倒すためならアナフィラキシーショックからまさかの爆破までどんな手段も厭わないピーター兄貴に惚れ惚れ。これを観る前に実家で少しだけ原作を読んだのだが、こいつら葉っぱでもやってんのかというテンションかつ斜め上を行く掘り下げ方で殆ど意味がなかったというとんでもない作品だった。

『カメラを止めるな!』
ひたすらワンカットで撮ったゾンビ映画程度の情報で観に行ったらワンカット以後の第2部からが本番だったという構成の妙による勝利。映画作りを主軸に置いた作りということもあって、かつて黒歴史量産集団の片隅に在籍していた私個人的にも響く作品であった。
先に構成の妙と言ったように、あの伏線がここでこうなるのかという爆笑答え合わせが随所に散りばめられており、劇場内はドッカンドッカン大盛り上がりだった。上映後に自然発生的に拍手が起こる場に居合わせたのは久しぶりで、劇場の空気感含めて良い作品だったとおもう。

『映画 HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』
なっげぇタイトル!というわけで10作目は悩んだ末こちら。プリキュア15周年ということで、なんとまあ、恐ろしいことでしょうね奥さん。初代を観ていたあの頃あたいはまだまだ可憐な学徒であったわけで……。
プリキュアシリーズは正義の押し売り感を強く感じるようになってからうんざりして観るのを止めていたのだけれど(女児アニメを真剣に見るな)、現在放送中のハグプリは久しぶりにちゃんと観続けられている。時代に即した価値観を取り入れて先進的なものの見方をした作りで感心しきりなのだ。そんなこんなで初めて劇場でプリキュア映画を観たのだけど、とても温かい気持ちになったよね。個人的にやっぱり初代が好きだというのと、その他思い入れのあるキャラたちが出てくるとやはりこみ上げてくるものがあるね。15周年にふさわしい打ち上げ花火のような作品で、お兄さんもお姉さんも心の中でミラクルライト振っていたぞ。


さて、そんなこんなで、今年は昨年に続きというか昨年以上に決定打が無く非常に悩みまして、良い映画というよりは、個人的に楽しかった映画、何度も見たくなるような映画といった観点を重視して選別した結果であります。また、振り返ってみると、『SPL狼たちの処刑台』や『タクシー運転手約束は海を越えて』をはじめ、昨年同様アジア映画の当たりも多かった一年だったとおもいます。

では、例により各種オマケの大賞をば。まず女優賞は『万引き家族』より真夏の気怠い午後に汗だくになって一緒にそうめん食べたい女優No.1で現在朝ドラでも大活躍中の安藤サクラさんに決定。そして男優賞は『マッド・ダディ』『マンディ地獄のロード・ウォリアー』でガンギマリ演技&魅惑の顔芸でスクリーンを彩りつつ今後どこへ向かうのかさっぱり分からないキャリアを積み重ね続けているニコラス・ケイジに決定。
今年の銃撃戦大賞はハイウェイでマイケル・マン作品のような硬派なガンファイトを見せてくれた『ザ・アウトロー』。劇伴大賞は先述の『ボーダーライン』の陰鬱テーマや『マンディ地獄のロード・ウォリアー』でのトリップ映像との融和が見事だった故ヨハン・ヨハンソン氏へ。ベスト・オブ・説教は『イコライザー2』のマッコールさん。入浴シーン大賞は『ニンジャバットマン』のゴリラに。お家で飼いたい可愛い動物大賞は『ザ・プレデター』のプレデター犬。護られたい二の腕大賞は『犯罪都市』のマ・ドンソクへ。最後に、理性を狂わせるショタ大賞は『ペンギン・ハイウェイ』のウチダ君に決定です。皆さんおめでとうございます!

来年は年明け早々に『クリード炎の宿敵』『マイル22』をはじめ期待値爆上げのラインナップで始まり、ガルパン最終章第2話も待っているわけで、相変わらず句読点のように「辛い」「辛い」言っている毎日でありますが、おっこちゃんのように前を向いて生きねばなりませんな。作品を万全の態勢で楽しむために精神状態を健全に保つべく、来年も好きな事には全力で身も心も金もブッ込んでいく所存であります。
それでは、皆様良い年をお迎えください。


ぱんつのあほ

2017年12月29日 16時21分02秒 | 映画
2017年の私的映画10選など。何事も義務感を感じ始めると辛いものだが、年に1度くらい駄文を取り纏めるくらいのことをしないとオツムの経年劣化が止まらないので……。

『ガールズ&パンツァー最終章(第1話)』
のっけからこれは映画扱いで良いのか……?というのはお許し願いたい。すべての発端はVODサービスにどっぷり漬かってしまった寂しい田舎暮らしから。「どぉれ、この際全話無料だから観てみんべ……」などと超絶今更ながら軽い気持ちで戦車道に手を染めてしまったが最後。気づけば「女子高生になりたい」などとうわ言を言うようになり、毎日毎日戦車道のことで頭がいっぱいで仕事も手に付かない有様(元々やる気ない説はさておき)。
何が良いって、とにかく清清しくて、爽快で、痛快で、卑屈な奴なんか誰一人いなくて、辛い日々を忘れさせてくれるんすわ。出てくる子は一人一人生き生きと個性豊かでとても可愛くてね、こんな生活していたら駄目だ!一刻も早く快活な女子高生にならないと!ってなるんですよ。もう、何を言っているのかわからないけど、そういうことなんですよ。やたらリアルで迫力満点な轟音を響かせる戦車に、楽しいキャラクター達に、そして野暮な突っ込みなどハネ返すあの堂々とした世界観に魅せられてどっぷりハッセル17式の履帯が漬かってしまい、そのままあれよあれよという間に最終章が公開されてという、今おもえば完璧な流れが出来上がっていたのですね。
さて、肝心の最終章の幕開けは桃ちゃんがもはや虚勢を張りもせず完全にポンコツになってるところで先ず以って心鷲掴み。そして大洗のヨハネスブルグに菱形戦車登場という熱い展開。新キャラはね、とりあえずムラカミにマウント取られたいですよあたしゃあ。などとここまでつらつら書き続けて終わりが見えなくなってきてしまったので、とりあえず、来世は爽やかな女子高生になれるよう、徳を積んでいきたいとおもいます。

『イップ・マン 継承』
ドニーさんの葉問シリーズ三作目にして、個人的に最高傑作かと。今回ウーピン先生印のアクションは言わずもがな最高レベルのクオリティで、夜襲された学校での戦い、エレベーターでのムエタイ対決が個人的に大好き。んで、なんといっても最後のドニーさんVSマックス・チャンとの詠春拳VS詠春拳の激しくも美しい一進一退の攻防戦に尽きる。最後は素手で互いの技をぶつけ合う中で見せるチーサオみたいな組み手の動きは脳汁吹き出るかとおもった。劇場出て家帰ったらずっと詠春拳の構えしてたよね。もう万年ボンクラ魂。
今回はアクションは勿論だけれど、夫婦愛をベースにした話も良くってね。ガンになった奥さんを想い、自分の力ではどうにもならない辛さや、夫として、武術家としての様々な葛藤をぶつけながら叩く木人の音が泣いているという。あそこは本当に名場面で、背中で演技するドニーさんにこっちも泣けてきてしまう。
その他、細かいところだと成長した青年李小龍がダンスが得意なところ見せてくれるとこなんかニンマリしちゃうよね。マイク・タイソンとのタイマンも思いの外良くできてて全編見所満載だった。今後は続編のほかマックス・チャンが演じた張天志のスピンオフも計画されているようで大変楽しみでありますね。

『キングコング:髑髏島の巨神』
怪獣映画のアイコンの一つとなってから散々リメイクやら二次創作やらでいじくり回されてきたキングコングをどう料理するのかというのがまず最初に重要なわけだが、余計な説明は省略し、初っ端から出し惜しみせずドーン!と登場させてきた時点で勝負あった。旧作を今更焼直しする必要はないわけで、みんなキングコング観に来たんだよね!オラ、召し上がりやがれ!ってな具合で完全に割り切って独自の世界観で推し進めたのは正解。爆音で流れるパラノイドとヘリのローター音のコラボレーションでテンション爆上げにしておいて闘いのゴングを鳴らす憎い演出に全編キメ画尽くしの大怪獣プロレス。巨大タコの足を引きちぎって今宵の酒の肴にとお持ち帰りするキングコング先輩の漢の背中に惚れ惚れ。あと、最後のスカルクローラーとのバトルで鎖に巻きつけた船のスクリューを空飛ぶギロチンの如くブン回すコング先輩本当に大好きです。そして、マザファッカ大佐は本当に相変わらず最高のマザファ……!!

『ザ・コンサルタント』
ただの会計士とおもっていた相手が会計処理以外もプロフェッショナルスキル逞しい必殺会計士だった。というわけで、ナメてた相手が実はとんでもない奴でしたシリーズに新たな風を吹き込んでくれたベンアフ版イコライザーとでも呼ぶべき作品。ベンアフ演じる必殺会計士が自閉症持ちという設定で、実は社会との関わりや個性を活かした共存など深いテーマ性を持っているのもこの作品の魅力かとおもう。シラットとコンバットシューティングのコラボレーションで容赦なく目前の敵を制圧していき、最後はまさかの兄弟愛炸裂なぶっ飛び展開でオイオイまじかよと爆笑してしまったが、アレは凄く好きなオチです。ここでこの映画の好みが完全に分かれそうよね。
新たな展開を予見させるラストだったので是非とも今作のメンバーを揃えて必殺会計士っぷりを更に全開にした続編をお願いしたいところ。

『ドラゴン×マッハ!』
トニー・ジャー、ウー・ジン、そして獄長マックス・チャンとの夢の対決。これ2015年の作品なんだよなあ…って、葉問3も同じ年の公開なのよね……。まあ、いずれも劇場公開されてソフトもちゃんと出たので良しとしましょうよということで。こっちは何故か変テコな邦題だけど。
もうアクションは質とレベルがケタ違いだよね。葉問より先に公開されたこともあり獄長ことマックス・チャンの魅力にやられたのが本作でして、結構同じような人多いんじゃあなかろうか。髪をきっちりセットしてパリッとしたスーツ姿でトニー・ジャー&ウー・ジンの猛攻を捌く姿に惚れないわけないじゃないの。その他、空港の窓から飛び降りるスタントしれっとやってるの凄いし、刑務所大暴動の長回しの完成度は高いし、前作SPLを彷彿させる特殊警棒、ナイフの絡むバトルを入れてくれたのも嬉しい。今回は救いのある話なのも良いし、エンディングの殺破狼の歌がクソかっこよすぎンよー。

『ヘッド・ショット』
所属組織の仲間に頭を撃たれたシラット使いの必殺処刑人イコ・ウワイスが意識を取り戻すも記憶喪失のまま再びかつての仲間たちに狙われるというどこかで観たようなストーリーはさておき、こちらもハイレベルのアクションで痺れさせてくれた。アクションは引きの長回しでじっくりと見せるという基本を忠実に、役者と一緒にバスの窓をカメラごと突き破って落ちるというちょっと尋常じゃない制作陣の仕事っぷりには脱帽。個人的に一番好きだったのは警察署での闘い。机越しに無駄丸撃ちまくって反撃にあうダイ・ハードオチにもニンマリ。それにしても流石はインドネシア映画といったところか、人の命が軽い軽い。残酷描写も一味違うよね。

『レゴバットマン ザ・ムービー』
合言葉はアイアンマンのバーカ!ベンアフの涙目重量級いぶし銀バットマンより断然こちらに軍配。ヒーロー物として避けられないヒーローVSヴィランの関係の普遍性にスポットを当てつつも、何だかんだそこまで難しく考えずとも楽しめるコメディタッチでノリと勢い重視のバットマン映画。はて、ノリと勢い…どこかで聞いたような……。
さておき、ブロックに指紋やキズ、ホコリも付着させちゃうレゴムービー制作陣様々の細かいこだわりの作り込みは今回もバッチリ。個人的には今回も水の表現はブロックをベースに構築してほしかったところもあるけどね。まあ、いずれにせよ、この後に公開されたニンジャゴーといいレゴ映画はどれも完成度が高くハズレ無しなので、今後どんな作品を見せていただけるのか非常に楽しみでありんすな。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』
高速鉄道にゾンビだからとこの邦題。しかし蓋を開けてみれば王道展開を散りばめた傑作ゾンビ映画だった。近年のトレンドのやたら速くて雪崩のように押し寄せるゾンビも取り入れつつゾンビがゾンビに連結して電車ごっこする様は思わず爆笑してしまった。ゾンビ相手に素手で突破する豪腕親父が素敵。あとは終局の物哀しさに連なる美しさに尽きる。
なお、同じく韓国映画でゾンビも登場する呪詛と御祓いサンバに地獄の國村準が舞い降りるコクソンも完成度高かったが、中々にトラウマが過ぎるので今回の10選からは外してしまった……。

『エル』
触手系ゲームを開発する会社の女社長が突如自宅でレイプされ…って、この時点でもうおかしいのだが、我らがヴァーホベン御大久々の新作というだけで嬉しい。レイプ被害からのただの復讐譚では済むはずも無く、どうかしている人間たちが繰り広げるどうかしている展開のオンパレードでヴァーホーベン節も健在。女社長役のイザベル氏は還暦過ぎとはおもえぬ凄まじい色気を見せつけ、オナニーに足コキまで攻めの演技で、これは恐らく御大仕込みの相当の指導があったとおもわれるので是非メイキングか音声解説を所望したいところ。
ヴァーホーベン御大はそろそろ傘寿だけど、まだまだ人がたくさん死ぬ映画やってほしい。ふとスター・ウォーズep9監督して全員殺して欲しいとおもったけど、それって殆どスターシップ・トゥルーパーズだわな……。

『ゲット・アウト』
黒人青年がガールフレンドの白人家庭に挨拶に伺うも、家では不気味に引きつった顔を浮かべる黒人が働き、白人だらけの異様な雰囲気のホームパーティーに招かれる。この集落は何かがおかしいぞ。ってなわけで、レイシズムを根底に置き、スリラー、シニカルなブラックユーモアを織り交ぜつつ最後に畳み掛けるキチガイ展開はおもわず笑ってしまった。引きつった笑顔を見せる家政婦と真夜中に無表情で走るおっさんの異様さがツボ。あとは運輸保安庁TSAの友人が最高。音信不通となった主人公助けるべく名推理「性の奴隷」を繰り広げ、最後は絶妙なタイミングでの登場ですべてを掻っ攫っていく名キャラクター。劇場を出た後におもわずTSAコールしたくなってしまった。TSA!TSA!

さてさて、今回もオマケに女優&男優賞とその他諸々の発表です。例により10選に入れられなかった作品からもいきますわよ。
まずは女優賞から。『ジョン・ウィック チャプター2』では艶かしい手つきの手話を披露し、俺が代わりに酒を奢ってやりたくなる殺し屋ナンバー1を演じ、『トリプルX再起動』では“クリ勃起”という衝撃的な二つ名で大活躍だったルビー・ローズに決定。
お次の男優賞は、漢の背中とはかくありたいものよということでキングコング先輩に決定しました。副賞は巨大ダコの酢漬けです。
それから、番外編。銃撃戦大賞は細巻き葉巻を咥えるJ・K・シモンズが激シブだった『パトリオット・デイ』に。続いて、泣ける映画部門最優秀作品賞はオールタイムベストから外せない人生の大切な一本『ターミネーター2 3D』。そして、今年のベスト・オブ・獄長ニストはマックス・チャンに決定。最後に、ジジイいつまでも元気でいてくれ!大賞はリドリー・スコット御大とポール・ヴァーホーベン御大の二人に差し上げたいとおもいます。皆さん、おめでとうございます!

これで以上となるわけでありますが、なんというかTwitterのほうでもちょくちょくボヤいていましたが、今年は大作系映画が殆ど期待値を超えないという有様で個人的には大不作の一年でありました。まあ、私事で大変恐縮ではあるのだけれども、4月より流刑地での新しい労働生活となり精神的にかなりキていたのも今一つ劇場でノリ切れなかった要因になっていたのかなとはおもいます。
とはいえ、今年はアジア映画の当たり年かなとおもうくらい、上述以外にもアジア圏の良作がいっぱい出てくれたのは嬉しい限り。来年は更に楽しい作品を期待するのは勿論のこと、己の精神状態も整えていかねばなりますまいて……。

それでは、わたくしこれより戦車道の再履修に入りますゆえ。皆様、良い年をお迎えください。

テテテテ♪テーテーテーテーテテテテテ♪

2016年12月31日 16時18分40秒 | 映画

2016年の私的映画10選など。例により未見の方には分かりづらい駄文&一部ネタバレありなのは御勘弁。

『シン・ゴジラ』
禍々しくも神々しい究極生物に見慣れた界隈が蹂躙される楽しさ。鑑賞後に思わずロケ地巡りなんぞしてしまった。そういや最近ビオランテ見直してておもったんだけど、抗核バクテリアとか宇宙大戦争のテーマとか本作に影響あるっぽい……?(界隈専門外につき誰かおせーて)
ともかく、最後のヤシオリ作戦は予算殆どここに集約したんじゃねえかというハイテンションで万年8歳児のワクワクがとまらない仕立てが最高。全編矢継ぎ早に長台詞の応酬を繰り広げたり、官民共同作戦で扇町の昭和電工の配管を舐めるように撮影したり、細部にわたって庵野様々といったところ。本作の「現実対虚構」というコピーは秀逸であり、ありふれた見方ではあるがやはり3.11以降のこの手の作品に一つの方向性を示したかとおもう。登場人物は一癖も二癖もあり、とりわけ個人的にお気に入りなのは巨災対の塚本晋也と臨時総理の平泉成の二人のオジサマ。
まあ、正直なところ“蒲田くん”をはじめとするCGの安っぽさは如何なものかとおもうし、ルー・石原・パタースンの劇的マズさはあるものの、それを補って余りある物語があった。未だにふと口ずさんでしまう宇宙大戦争のテーマと共に苦難は乗り越えられる。

『シング・ストリート』
1985年の不況にあえぐダブリンで鬱屈した日常を過ごしていた10代の若人が「バンドやってモテようぜ!」から始まる青春ムービー。80s好きとしてはたまらない設定&音楽たち。若さゆえの前向きな勢いにこちらの心情も突き動かされ凄く暖かい気持ちになる。すっかりバンド“シング・ストリート”のファンになってしまった私は鑑賞後、即効サントラを購入した。バンド初のオリジナル曲The Riddle Of The Modelは楽曲は勿論、PVも80sのツボを押さえていて最高。そうそう、サントラといえば、歌だけじゃなくて劇中に流れる細かいピアノアレンジ曲を入れてくれなかったのはちと残念だった。
この作品、ストーリー、音楽共に大変素晴らしいのだが、個人的に一番グッときたのは主人公の兄貴でして。弟にレコードコレクションを聴かせて的確なアドバイスをしつつ、最後には自分が果たせなかった夢に向かう弟の背中を押す姿が素敵すぎて涙がタチアナドバドバ状態。本作2回目の鑑賞時は伏線からお目目しとしとになってしまった。私もあんな出来た兄貴が欲しかった。はあ~バンドやりてえなあ(白目)。

『エンド・オブ・キングダム』
USAにおイタはダメだと何度言えば。新たな無双ヒーロー、マイク・バニングによる対テロ戦の容赦無さは前作以上で、もはや笑えて来る。殺るときは殺る精神、素晴らしいですね。個人的に大好物の長回し(実際は4カットくらい繋いでるとか)によるバニングとSASによる連携戦の完成度がめちゃくちゃ高い。この監督、アクションは初とのことだが良くぞここまでこなした。
なお、本作はロンドンで我が国含む各国の首脳が次々とテロの犠牲になるのだが、イタリアは女好きドイツはメルケル風など、現実を思わせてちょっぴり可笑しい。フィクションとはいえ、これは賛否出そうだから良くぞ思い切ったものである。そんな中で、肝心のUSA大統領は足手まといになること無く、今回はバニングと共に善戦。愛すべきバディームービーの出来上がりだ。次回作はお空が舞台との噂があるが、それって昔ハリソン・フォードがめっちゃ強い大統領の映画があったような……。

『この世界の片隅に』
方々で散々語られていることではあるが、日常描写の繊細さが物凄くて一気に作品に引き込まれる。重苦しく悲壮感に満ちた戦争映画とは一線を画し、ただひたすらに懸命にその時代を生きる人々がいた。さまざまな調査や取材に裏付けられた背景や、コマ数を一般的なアニメより大幅UPして描かれる人物のたおやかな所作、砲弾の破片の降り注ぐ音響の迫力などなど、隅々に制作者の執念を感じる。劇中時間の経過と共にどんどん貧しくなる食料事情の一端を見るにつけ、水木しげる先生の“戦争は腹が減るから良くない”との御言葉を思い出す。世の中の正気が失われていく中で、水原さんが“すずさんだけは普通で、まともでいてくれ”と投げかける言葉の重さは今の時代へも通づるメッセージにも思えてきて胸に深く突き刺さる。
あとは能年ちゃんのすずさんのハマりっぷりはお見事。そんで真面目な話しておいて恐縮だが、丁寧な作画も手伝ってか、すずさんに何処と無くエロスを感じてしまういけないぽっくんなのであった…新なの傘を一本…ウッ……。

『ドント・ブリーズ』
所は不況のデトロイト。窃盗で稼いだ金で新天地を夢見る若人3人が最後のターゲットに選んだのは何と無敵の盲目殺人マシーン爺が住む家だったという、相手をナメて悪事を働くと痛い目に遭う系の寓話作品。約90分弱の間、タイトル同様に観客側も思わず息を殺してしまう。横でボリボリ菓子食ってた兄ちゃんの手が完全に止まっていたからね。盲目爺は勿論、爺の飼い犬がこれまた絶妙なタイミングで脅かしてくれるし、両者ともしつこいのなんの。個人的にツボだったのはピペットに入れた精液片手に迫る爺が返り討ちに遭って、自分に“口内射精”されるところで、緊張の糸が切れ思わず噴出してしまった。ちなみに盲目爺を演じたスティーヴン・ラングは御歳64にしてムッキムキ。後で気づいたけどアバターでマグカップ片手に突撃する最高にかっちょいい大佐やってた人だったのね。

『コップ・カー』
家出した悪ガキ2人が盗んだパトカーはケビン・ベーコン演じる悪徳警官が所有するものだったという、こちらも寓話的な一本。
個人的にお気に入りなのは悪ガキに車盗られてテンパってるベーコンが、車盗もうと靴紐たらしてドアロックに引っ掛けようとするも上手くいかなくてイラついてるシーン。あとはパトカーのトランクから出てきたオッサンのどことなく漂うマヌケっぷりも好きだ。登場人物は少なめで話も極めてシンプルなんだけど、こんな映画が昔の日曜洋画で掛かってたら最高だなとおもえてくる。90分弱で手堅くまとまりサクッと観られるのもポイント。

『ロスト・バケーション』
こちらを鑑賞したのは8月。夏だ、水着だ、サメ映画だということで季節にぴったりの作品だった。サメのいる海に取り残された医大生おねえさんのサバイバルストーリー。医学知識も無く、カナヅチのあたいにゃあとてもかようなシチュエーションはこなせないので気安く海に行くべきでないと肝に銘じる。
孤立無援のおねえさんを支えるのは、一羽のケガをしたカモメの“セガール”(おねえさん命名、カモメsea gullと我らが無敵のSeagalをかけてるっぽい)というクスリと笑える小ネタ入り。シチュエーションものなので、観客がダレないようスッキリしたテンポでまとめられており、こちらも90分未満で観られる佳作。

『永い言い訳』
こちらは縁あってエキストラに参加させていただいた作品。このようなことが無ければ決して観ていなかっただろうなという、有難い出会いの一本。
自己愛にまみれたクズ人格の作家先生が不倫の真っ最中に正妻が事故死するも涙一つ流せないところから端を発する物語。遺族とその子供らとの触れ合いで、それまで蔑ろにしていた人との結びつきに気付きを得る。“人生とは他者だ”との一言にそれは集約されているとおもう。子役の2人が上手いに尽きる。あとは自己愛まみれのモックンが他人事とはおもえず個人的に苦しくなってしまった。私もあの手合いに似た精神性を持っているとおもわれるので、やはり婚姻など成すべきでないないのだろう……。
どうでもいいけど、現場で西川監督を間近で見て大変好みのタイプであることを確認いたしました。

『ズートピア』
副題は「ケモナーへの目覚め」でいかがでしょう?
最近のこの手の作品ではもうお馴染みとなっている多様性の共存をテーマ置きつつ、難しいことは考えずとも楽しめるウサギのジュディ&キツネのニックによるバディーアクションムービーである。メリケンの電子アニメは完全にヒットの法則というか物語の作り方をキチンと体系化していて偉いなと。ジュディが警察学校で訓練するところや暴走電車のシーケンスなど、“こういう時はこうだよね”ということを教科書的にちゃんとやってくれる安心感。
そんなこと言いながら、冒頭の一言がすべて台無しにしているわけだが、それでもこれを観たら目覚めざるを得ないだろうよ。ウサギが子作り盛んなところをしれっと描いている辺りなんかいよいよ意味深でもう……。

『ジャック・リーチャーNEVER GO BACK』
前作の孤高の“アウトロー”感は薄れ、今回は強いおねえさんと悪ガキの3人で巨悪の陰謀に立ち向かうという内容。前作の雰囲気を期待していると若干肩透かしだけど、先日読んだキリング・フロアーのリーチャー像に近いような気はする。
リーチャーと行動を共にするおねえさんと悪ガキはあまり足手まといになることもなく、爽快感あるアクションサスペンスになっている。前作はどこか懐かしい70年代映画の雰囲気であったが、本作は80~90年代の雰囲気にアップデートされていた。
M:Iシリーズに加え、こちらもおトムの代表シリーズとして今後も続けていってほしい。

さて、オマケとして、例によって主演女優&男優賞およびその他諸々発表いたします。
10選から漏れてしまった作品からもいきまっせ!
まずは、主演女優賞はズートピアより、手塚先生のジャングル大帝以来、新たな性の目覚めを覚えさせてくれたジュディ。主演男優賞はディカプリオてめぇに賞をくれてやるわけにはいかん!との気概に溢れ最高の闘いを見せてくれたレヴェナントの森の熊さん。いや、待てよ、あれメス熊だったか!?まあいいや!!
そして今回番外編として、DVDスルー大賞はメリッサ・マッカーシーがキレッキレでコメディ路線のステイサムが印象的だった『スパイ』に決定。ベストオブ殺しのテクニック賞はメカニック:ワールドミッション(頭の悪い邦題!)の透明プール底抜き地獄。羽交い絞めで殺されたい大賞はデッドプールのジーナ・カラーノ姉貴。最後に、ババア結婚してくれ大賞は西川美和監督に決まりです。
皆さん、おめでとうございます!

酷い!

てなわけで、今年の私的10選は以上。来年は早々にSPL2やスコセッシの沈黙など控えていてこれまた楽しみ。
それでは、今年も残るところあと僅か。普通に、良いお年を。


Witness me !

2015年12月31日 17時39分07秒 | 映画

かような年の瀬ギリギリに、昨年に続き本年も大して本数観ているわけではないですが、2015年の私的映画10選など記しておきます。(一部ネタバレ含みますのでご容赦を)

 

『マッドマックス怒りのデス・ロード』
とりあえずというか、個人的に結局今年はこれを超える完成度の作品が無かったなあ、という印象。
荒野の砦から行って帰ってくるだけの間に衝突、爆発、砂煙、そして沈黙の中で描かれる人間模様と猛スピードで盛りだくさんの二時間。荒野のカリスマ、イモータン・ジョーをはじめ我らがフュリオサ大隊長と、観ているだけで楽しいキャラクター。背景から小道具まで緻密に構築された世界観。荒廃した褐色の世界と青空の対比が美しい。
マックスの脱げたブーツやフュリオサ大隊長の外れた義手バンドなど細かい描写がすべて伏線になっているという職人技の数々。そして、極力実写で構築した頭のオカシイ(褒めてます)猛烈なアクションの本気度にはとにかく圧倒される。アクション映画史に残る一本なのは間違いない。
まあ、なんだかんだ完成度が高いのは結構なんだけど、もうちょっとフザけてて良かったかもしれないなというのが正直なところ。てなわけで、これ以上グダグダ書いてもキリが無いのでこの辺で。

『クリード チャンプを継ぐ男』
これはもう、一言で、熱かった。本当に油断してたら泣かされたという。スタローンの枯れた演技に尽きるねえ。
伝説のチャンプ、アポロの息子という宿命を背負ったアドニスと、重い病気を患ったロッキーの2人が留置所でお互いの率直な想いをぶつける所で涙ドバーよ。そして、アドニスとロッキーが一緒に“闘おう”と決意してからの展開。かつてロッキーが走ったフィラデルフィアの街をバイク軍団と走るアドニス。療養中のロッキーの部屋の下まで走って行って皆で「ロッキーを励まそう」ってとこでまたまた涙ドバー。
アドニス役のマイケル・B・ジョーダンのボコボコにされた顔が、あれ意識してメイクしてんのかってくらい、アポロにどことなく似てるんだよなあ。んで、「試合には負けたけど闘いには勝った」っていうロッキー一作目を髣髴させる最後にもう涙汁がタチアナドバドバよ。
あとはアドニスの初戦の完成度ね。試合がワンカットなんすよ。ワンカット大好物おじさんとしましても、新たな歴史の一ページとして大変感慨深い作品でやんした。

『ジョン・ウィック』
昨年二番手に挙げたイコライザー同様、ナメてた相手が実は…系の映画ね。初っ端からお約束通り、なんて奴を怒らせちまったんだとビビり出す敵さんチームの哀れな姿。あとはこの作品のポイント、コンバットシューティングと体術のミックス=所謂ガンフーはホント観ていて楽しいね。行動不能にしてからのダメ押しのヘッドショットとか最高すぎまっせ。カチコミはちゃんと抗弾ベストを着用して原則ダブルタップからのスムーズなタクティカルリロードっていうマイケル・マン的リアリズムに万年中学生は鼻血が止まらんです。
あと、とにかくあのワンちゃんすげえ可愛かったなあ。一緒にお布団入りたいわ。あんな可愛い子を殺めるなんて許せませんよ。ヘッドショットでおしおき頭パンパンです。
本作、不満があるとすれば、最後の闘いはもうちょっと盛り上げる相手にしてほしかったというのと、キアヌはもう少し無双っぷり発揮して欲しかったというところかな。まあ、その辺は次に繋げて行っていただければと期待しつつ。

『ワイスピ スカイミッション』
各作品手短に纏めようとおもったけど例によって結構なグダグダに……。そろそろ圧縮していきます。
これはもうラストの構築美に尽きる。大切な“家族”ポールを失った事実を踏まえてのあの最後、涙ドバーせざるを得ない。
車って空飛べるよね?って錯覚するほどの大バカカーアクション、ロック様が街中でミニガンぶっぱなしてるところの祭り感といい、今作もエンターテインメントの極致っぷりは健在。トニー・ジャーの活躍とロンダ・ラウジー姐さんVSチンポの無い兄貴のキャットファイトが観れたのが個人的には嬉しかった。
しかしまあ、ポールを亡くしてここまで完成させたのって本当に技術力しかり大したもんだよなあ。こんなこと言っちゃあなんだが、今の技術で死亡遊戯を再構築したら…と妄想が捗ってしまう。

『ナイトクローラー』
清清しいまでの主人公のキチガイクズっぷりが謎の高揚感をもたらす作品。胸糞映画なのに気持ち良いっていう。
盗品スクラップを生活の糧としていたルーが、事故・事件現場を個人撮影してニュース番組に映像を売り込むという天職を見つけてからのなりふり構わぬ暴走っぷり。誰が傷つこうが関係無し。サイコパス全開で結果が全て。仕舞いにゃ警察の嫌疑も振り切って堂々とビジネス展開してゆく姿に痺れてしまう。
あとは個人的にレネ・ルッソを久々にスクリーンで見れたのが嬉しかった。んで、監督が旦那だったとは知らんかったです。

『M:I ローグ・ネイション』
冒頭の例の飛行機しがみつきアクションから体張って笑い取りに行ってるよなあ。サイモン・ペッグが居るだけで壮大なコメディ映画に見えてくる不思議。
カーチェイスからのバイクチェイスの完成度がすげえ高くて、アウトロー組さまさまといったところか。ショーン・ハリス演じる親玉も存在感あって大変よろしゅうござんした。
いずれにせよ、ウー校長で思春期を送ったボンクラとして、いよいよもってM:I-2とは何だったのかと思わざるを得ない悲しさがありますよね。

『007スペクター』
先日あれこれ書いたので割愛。

『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』
だんだん書く気力が無くなってると?その通りです。
これはBDで観たんだけど、本邦今年公開ってことなので入れておきやす。
初っ端からファンキーなベースで大好きな「Get up Offa That Thing」が流れてテンションがヴィンヴィンに上がっちゃう。JBを演じるチャドウィックのなりきりっぷりはお見事で、ちゃんと自分でスプリットやってるんすよ。
ゴッドファーザーの幼少期、デビュー、最盛期と時代を順に追うのではなく、上手く織り交ぜつつ、時折作品の枠を飛び出して観客に語りかける演出も粋。揺ぎ無きJBのカリスマっぷりを存分に堪能させていただきました。

『カリフォルニア・ダウン』
どんな災害でもロック様がいれば大丈夫!開かないドアはひっぺがす!息してなきゃ力尽くでぶっ生き返す!!そう、気合があれば大丈夫なんです!!!
公私混同と呼ばれても結構、愛するものを守るためロック様は陸海空と奔走するのである。こういう事態になった時のために、さまざまな乗り物の免許を持っていたほうが良いのだなあとおもった。
ロック様の嫁の新しい男(案の定クズ野郎)役を演じていたヨアン・グリフィズが何故か終始ヴァン・ダムにしか見えなかったという。そして個人的な大ヒットはロック様の娘役、アレクサンドラ・ダダリオちゃんですね!水中オパイコの迫力たるや、私にも心臓マッサージさせてください!!とおもいつつ、親父に殺されるよな……。

『野火』
低予算ながら力強いトラウマ映画。そう、戦争映画なんだからトラウマ与えてなんぼなんですよ。闇の中で待ち伏せされて大量死していくあたりは、予算少ないながらも照明やカット割りを上手く使いつつ、印象的で残忍なシーンに仕上がっている。全編通して生き生きとした草木と対照的にそこかしこに漂う死の香り。敗戦色濃いジャングルで、食糧不足の挙句狂いだす理性。死と紙一重の状況でギラギラした目で鬼気迫る塚本氏とリリー氏の演技も大変良かった。


途中で気絶しそうになりながらも、私的10選は悩んだ挙句このような結果でございました。
上で取り上げてはいないものの、ニンジャ・アベンジャーズやカンフー・ジャングルなど各ドニーさん作品、ユニソル兄弟(?)のバトルヒート&マキシマム・ブラッドなど、好物のアクション映画が豊作で楽しい1年だったとおもいます。とりわけクリードをはじめ往年のアクションスターの枯れた演技も輝いておりましたね。
あと、今年の特徴として、マッドマックスをはじめ、ターミネータージェニシス、ジュラシック・ワールド、スター・ウォーズEp7フォースの覚醒など、続編・リブート企画が盛り上がったものの、いざ期待して乗り込んでみればクオリティは良いんだけど、どこか決定打が無く、肩透かし感が多かったかなというのが個人的な印象でございました。

さて、オマケの男優賞と女優賞的なものを。まず、女優賞はフュリオサ大隊長、これで決まりでしょう。男優賞は私をビショビショにさせた老齢のロッキーへ。
さらに今回は特別賞として、上述のカリフォルニア・ダウンや久々のジョー・ダンテおじさんのゾンビ・ガールで活躍目覚しかったアレクサンドラ・ダダリオちゃん!2015年おっぱい大賞決定です!!

そんなこんなで、今年も残すところあと6時間ちょい。ここの更新は結局2回という酷い有様でありましたが、来年もゆるりとやって参る所存でありますので引き続き何卒宜しくお願いいたします。