久しぶりに映画話を。今回も大して面白くないのに長丁場になるのですいません。
まずは石井輝男先生の幻の迷作「恐怖奇形人間」から。ようやく観たが、いやまあ、これはたまげた。改めて石井監督の偉大さを思い知らされたよ。江戸川乱歩のエッセンスを取り入れたお話なのだが、石井監督独特の演出と「片輪」だの「基地外」だの「裏日本」だの放送禁止用語にフリークス集団の登場と、タブーの連続にやられてしまう。以下ネタバレを織り交ぜつつ感想を述べます。毎度のことだが、ストーリー解説はめんどくさいから、気になったらウィキペディアでも見やがれ。
えー、しょっぱなから基地外女が精神病院でおっぱい丸出しダンス!意味も分らず精神病院に入れられた主人公は脱出して、自身の謎とルーツを追って裏日本まで行く。そこで自分と瓜二つの男の死を知った主人公は、その遺体が息を吹き返したように装って、謎に迫っていくのである。この生き返ったように見せかけるシーンが石井監督らしくて素晴らしい。由利徹演じる生臭坊主が墓場で主人公を発見するのだが、コント仕立ての演出になっている。そしてこの生臭坊主がどうしようもないスケベ野郎で笑わせてくれる。
さてはて、その後いろいろあって主人公は自身の父の存在を知り、父の住む島へ行くのだが、これまたおっぱい丸出しダンスの連続!変態だらけの島の演出は石井監督ならでは。しかしなんといっても凄いのが父親を演じる土方巽だね!波飛沫の断崖で踊る姿がとにかく印象強い。これは観た人にしか分らない独特の迫力だよ。よくああいう役者見つけてくるよなあ。島に舞台が移ってからというもの、フリークスだらけでおぞましいのなんの。父親は奇形人間による支配を目論み外科手術でフリークスたちを作り上げたのだという。
で、そうそう、主人公は医者なんだが、ここで知り合ったシャム双生児の女性を分離手術して恋に落ちる。そこでいよいよ母親の登場、出生の秘密が明かされ、いやーんシャムちゃんと近親相姦じゃーん!となってしまう。そして唐突に登場する明智小五郎!本当に唐突で、見事なまでの謎解きに大爆笑!銃の弾は抜いていたっていつの間に!?途中挿入される乱歩仕込の「人間椅子」シーンも必見!椅子の中で恍惚のスケベ禿に腹筋崩壊!
さあ、いよいよ衝撃のラスト!過去との決着を付ける主人公の父と母!いきなり出番だらけの明智小五郎!そして!そして!愛し合ってしまった兄妹は花火のように四散するという遺書を残し、本当に人間花火となって四散する!飛び散る肉片!何故か繋いだままの手!そして二人の生首が宙を舞い…
「おか~さ~ん!」
「おか~さ~ん!」
「おか~さ~ん!」
夕焼け空にこだまする悲しい声!もう観ているほうは笑うのを通り越して唖然!悪い夢を見ること間違いなし!
てなわけで、もうね、ここで下手糞な文章を並べても仕方ないのよ。このラストは一見の価値あり。輸入DVDで観たのだが、特典に塚本晋也と川崎実のインタビューが入っているのは興味深い。また、石井監督イタリア巡業の模様も収められているのだが、通訳の姉ちゃんに「もう一枚脱いで」なんて言うシーンがあったりして微笑ましくなってくる。本当にスケベなおじちゃんだよ。
しょっぱなから長くなってしまった…。さて、最近780円のレトロムービーコレクションなるDVDにはまっているのだが、お次はその中の一本、「ロボットモンスター」という作品。タイトルからしてまずいよな。この作品、本気なのかわざとなのかまったく分らない。ロボットモンスターってどんなのが出てくるのかと思ったらただのゴリラの着ぐるみ野郎だった!
ジョニー少年は姉と妹、そして母親と共にピクニックへ。妹とままごとをする中、とある洞窟の入り口で考古学者の2人組みと出くわす。考古学者の博士と助手は壁画の分析の真っ最中で、そこに描かれた宇宙人?にジョニー少年と妹は夢中になる。そこで、心配した母と姉が登場。ジョニー少年は一丁前に気を利かせ、姉と助手の仲を取り持つ。お昼寝の時間だと連れ戻されたジョニー少年はまたまた余計な一言。「あんな学者みたいな父ちゃんがほしいなー」
さてさて、昼寝なんかしてられんとジョニー少年はこっそり抜け出し再び洞窟へ。そこで突如、ゴリラの宇宙人(スペクトルマンかよ)が人類を滅ぼすため宇宙光線で地球を攻撃する。気を失うジョニー少年。ここでさっきまでと世界ががらりと変わる超展開が起きる。生き残ったのはジョニー少年と姉・妹・母親、そして、父親になった博士とその助手の6人。あれ、何事!?あんたらいつの間に一家になったの!?姉さんと助手はそんな関係だったの!?しかし、びっくりするのはこれから。謎はラストで明かされる。
間の抜けたストーリーに、なぜか唐突にやってくる姉のアリスと助手のラブシーン。そうこうしているうちに着ぐるみゴリラがアリスに恋をしてしまって大暴走。人類滅亡計画を進める中、アリスを殺そうとするも、「ねばならない」と「できない」で揺れ動くゴリラちゃんの心。そんな優柔不断ゴリラちゃんに親分の宇宙猿人ゴリは大激怒!てめえも地球も俺の宇宙光線で吹っ飛んじまいな!ビビビビビ!挿入されるチープなトリケラトプスのよく分からん特撮に唖然!ビビビビビ!画面がチカチカ!目が痛い!で、地球破滅かと思われたそのとき…
夢オチ
えっ??全てはジョニー少年の夢でしたとさ!ジョニー少年は昼寝を抜け出した後、洞窟へ行き、崖かどっかで転んで気を失ってたらしい。考古学者2人に付き添われる中、母親一同心配してやってくる。姉のアリスがすかさず助手にアプローチ。「ジョニーのことアリガトヨー、いっしょに夕飯でもどうかしら」続けざまに母親も「そうしましょう」なんて言いやがり、やけに乗り気な学者2人。ジョニーの望んだ家族の夢が現実になろうとするところでストーリーは終了。上手くまとめたつもりだろうが、爆笑の後に襲い掛かる脱力感の凄まじさよ。最後は取って付けたかのようにゴリちゃんが再登場(3回のリフレイン付)!宇宙光線は目が痛いからもういいっつの!チープな脚本にあえて拍手を送ろう。なんか勇気をもらった気がする。
ああ、もうだめだ疲れてきた。最後はとうとう観てしまったぞ「ストリートファイター・ザ・レジェンド・オブ・チュンリー」!まったく長いタイトルだな…。
この映画、初めに言わせてもらう。見事につまらない!もう感動的!アクションはありきたりもいいところ。春麗役のオネエチャンもイマイチ可愛くない。とりあえずやってみた的なスピニングバードキックはもう目が当てられない。気功拳のシーンなんか今月公開のドラゴンボールの序章のような気さえしてくる…。
他のキャラクターも華がなかったなあ。今回シャドルー四天王の名前は日本版だった。バイソンが一番活躍していたけど死に様がベネットで思わず吹いてしまった。あと、バルログ弱えー!散々煽っておいて瞬殺じゃねえか!俺はアニメ版みたいにシャワー中の春麗を襲うのを期待していたのに…!仮面の下はメチャクチャ不細工だし悲しくなったよ…。そして我らがベガ様!愛しのベガ様が~!なんじゃこりゃああ!ふつうのガタイのいいホワイトカラーのおっちゃんじゃねえかよ!サイコパワーなんか一切使ってくれない。重いパンチとキックのみ。スローとワイヤーワークの多用で華のない肉弾戦。サイコクラッシャーしろよ!JCVD版ストリートファイター見習え!そうそう、チュンリーの師匠ゲンは偉そうにしてる割に、バイソンやベガ様にフルボッコ。パワーバランスのいい加減さが目立つ。あ、ここまで書いて気づいた…
サガットは??
まあ、世界的金融危機がシャドルーに及んだとしても不思議じゃあないわな。まずは広告宣伝費や人件費からってのはどの組織も例外ではなかろう。
終わり方もなかなか後味が悪かった。自分の目の前で父を殺したベガを、今度はベガの娘の前で殺す春麗ってのもどうなのよ…。
まったく久しぶりに素直につまらないと思える映画が出てきたな。もっといろいろ間違って欲しかったのに残念。JCVD版の方が100倍面白いよ。あー、あっちも久々に観たくなってきたな…。
いやはや、長々と書いてきたが、面白さに関しては差こそあれ、共通するのは馬鹿映画だったということだ。しかし、レジェンド・オブ・チュンリーは本当に酷かった…。最後にオマケでさくらのオリジナルアニメ(約5分)が上映されたが、あっちのほうがまだましだったよ。帰りに憂さ晴らしということでストⅣをやりに行った。まんまとカプコンにはめられてるな。よし、この辺で勘弁してやろう…。今年もいい映画に出会えますように…。
そういえば、レッドクリフ気が付いたらDVD化。ごめんなさい。