先般公開のご褒美映画「エクスペンダブルズ2」、アクション映画ファンとしての礼を尽くすべく字幕版と吹替え版を堪能してきました。結果的に暫定今年最高に楽しんだ映画No.1へランクインです。霧の中からヴァン・ダムが!アドキンスが!そしてチャック・ノリスが!!鼻息荒いうちに久々に映画の感想というか備忘録をば。ストーリー解説なんぞするつもりは無いが、ネタバレは平気でする所存なので、まだ大スクリーンでヴァン・ダムのジャンピング後ろ回し蹴りを観ていない諸氏はとっとと劇場へ行きやがれ。
鼻息荒くなりすぎた…ちょっと落ち着こう。
まずもって、今回はなんといっても前作を上回る豪華な布陣。前作を上回るレベルの面子が揃ってどうやって撮るんかいな…という不安はあったのだがこれを思いっきり吹き飛ばしてくれたのがサイモン・ウェスト監督。そもそもデビュー作がコン・エアーという華麗な経歴をお持ちですから、はなっから心配する必要なんざ無かったのですよね。
冒頭ネパールのドンパチ映画御用達“なんだかよく分からん政情不安地区”での戦闘シーンからグイグイ引き込まれる。その疾走感はラストまで保ちつつ、緩急つけたアクションに加え、前作より消耗品軍団の人物描写を細かく織り込んでキャラクター性に深みを持たせるという。それぞれのキャラの持ち味の引き出し方は前作を遥かに凌いでいたと思いますよ。肝心なアクションの撮り方、見せ方も安定していて、スライ隊長は思い切って監督を任せて大正解だったんじゃないかな。いやー、良い仕事しましたよ本当に。
さて、本作でも我らがスライ隊長は髑髏アクセサリーで身を固めドンギマリの中二病。というか、スライ隊長はまず、役柄よりも、こんな鼻汁、脳汁、クソ汁、万汁グッチョグチョになる企画を2度もやり遂げて下さったことに感謝。ナンパなチャラ坊はスタローンに土下座っすよ。男の教科書というか中二の教科書っぷりをむき出しに、この時代に敢えてアクションバカを地で行くかと。エクスペンダブルズメンバーのインタビューで度々出てくるのは80年代辺りの筋肉火薬弾けるアクション映画全盛期への回顧なんだよな。そういう思いが画面から噴き出していて、あたいの身体にビショビショ降り注ぐわけです。ほおら、鼻息が荒くなる、荒くなる。
万年クリスマスのステイサムは相変わらず次世代型動けるハゲっぷり目覚しく、前作の彼女はすっかり良い感じのエロビッチとなり仕事中も電話に振り回される始末。前作でも思ったけど、ステイサムはスライ隊長にめちゃくちゃ愛されてるよなあ。スタローンに足が短いってからかわれるシーンがお気に入り。悪に祈りを捧げてクナイで始末するセクシーハゲも素敵。一体何本隠し持ってるんだ。
元人間核弾頭ドルフ・ラングレンはパート2でついに萌えキャラに昇格しちゃいましたね。本作では自身のプロフィールをオーバーラップさせるが如く、昔の彼女のことをネタにされたりMIT卒だったけど落ち目になってたりと、すっかりいじられキャラ、もとい、萌えキャラっぷりを発揮。二度目の大々的カムバックに表情明るく、イビキ高らか、元人間核弾頭自作の爆弾は不発弾という茶目っぷり。個人的にヴァン・ダムの部下たちに襲われた村を助ける所の一幕が好きでして。銃撃戦の最中、スライ隊長をバックアップしつつラングレンがハイタッチするところが泣けてきちゃうのね。ニクイ演出だよ。
ジェット・リーは…後で書くからな!
26世紀青年の大統領テリー・クルーズはグルメキャラまっしぐらで相変わらず連射型ショットガン小脇にお笑いキャラも勢い弾む。仲良しランディは今回も自己啓発本片手に耳ネタいじられ役で安定。今回は特にこの仲良し2人がメンバーの会話を掘り下げ、キャラクターに厚みを持たせてくれます。
あと誰がいたっけ?ああ、そう、本年のワーストワンに見事ノミネートされたハンガーゲームが記憶に新しいリアム・ヘムズワース演じるのはヴァン・ダムにぶっ殺されるおいしい役ビリー・ザ・キッド。埋葬されると死人に口無しでスライ隊長に託した恥ずかしい手紙を弔辞としてメンバーの前で披露されるというオマケ付きですな。
紅一点ユー・ナンはずっとつまらなそうな顔して大して可愛くないのだが、あれだけガチムチ親父に囲まれると不思議と可愛く見える瞬間があるという、理系学部マジック的なアレ。彼女の趣味は爪の手入れ。
そんでまあ、今回の一大イベントというか、一大事というか、前作でカメオ出演だったジョン・メイトリックス知事、ジョン・マクレーン刑事(あいや偶然にも二人ともジョンだ)両氏が今作ではドンパチ賑やかに暴れ回ってくれるわけです。スタローンと合わせて3人でマシンガン片手に降臨するシーンは涙モノ。「I'm back!」「I'll be back!」を連発するシュワにウィリスが「お前は戻りすぎ」とツッコミを入れたり、「イピカイェー」「次はランボーか」などの台詞を挟みつつサービスたっぷり。しかしまあ、シュワっちは本当に「お帰りシュワちゃん!」だからね。プルトニウム鉱山で掘削機に乗り込んで登場のシュワっち、あれトータールリコールのオマージュだよね!?こういうの本当に分かってらっしゃる。シュワちゃんさんは完全に役者復帰して4月に本邦で新作公開予定だっけ。楽しみ。
さて、ここで満を持しての、兎にも角にも嬉しいのはジャン=クロード・ヴァン・ダム!JCVD!JCVD!…がでっかいスクリーンにカムバックしたわけです。しかもナルシストな悪役に持ち前のユーモアを引っ提げて。長い低迷期を経て「その男、ヴァン・ダム」あたりからメキメキと哀愁漂わせつつ演技に磨きをかけ、最近では「ユニバーサル・ソルジャー リジェネレーション」といった傑作を送り出し、ついにメジャー作品でスライ隊長に開脚キックをぶちかまして再び出世街道へ!?今になってみれば前作を断ったのは正解だったよな。“ヴィラン”は本当に当たり役。霧の中からヴァン・ダムが出てくるところ、泣きそうになったよ。心の中で「来るぞ、来るぞ~」って鳥肌まみれになりながらね。リスペクトが足りませんでした!申し訳ありませんでしたー!ってあたいも地面にひれ伏しそうになったし。いいなー、ビリー・ザ・キッド、あたいも中段蹴り食らいたいよー。スライ隊長VSヴァン・ダムは、筆舌に尽くしがたいガチンコっぷりでアクション映画史に残る名場面。銃撃戦から肉弾戦に持っていく流れがブロークン・アローみたいですごく良い。そんで何より、スライ隊長の肩越しに映るヴァン・ダムの断末魔の顔素敵よー。あと、個人的に好きなのは空港でスライ、シュワ、ウィリスの三人組に襲撃されて焦るヴァン・ダム。「やっべー」って感じで後ずさりする姿に一人ゲラゲラ笑ってたあたいはリスペクトが足りないなw
ヴァン・ダム演じるヴィランの忠実な手下には、近年コアなアクションファンに大注目のスコット・アドキンス。ズバ抜けた身体能力を武器にメジャーシーンに駆け上がってゆくアドキンス、嬉しいじゃあありませんか(息子の成長を陰ながら見守る母親のような眼差しで)。ステイサムVSアドキンス、これもアクション映画史に残りますなー。アドキンスの美しい蹴り、ステイサムが1発打てば3発返すほどの勢い。デッドロック2のボイカよろしくヒゲ面の凶悪アドキンスに心してお手合わせした次世代型動けるハゲ、ステイサムも偉いよね。アドキンスの最期はヘリのテイルローターで頭部粉砕というお約束パターンでグロっと爽やかでありました。
そして、ヤツが!生きる伝説が!モリコーネの音楽をバックに霧の中から現れたッ!その名はプレジデントマン!じゃなくて、ブルース・リーと闘った男、チャック・ノリス!!まさに字幕版のお言葉を借りれば「祭りだな」ということですね。なんなんだよ、あのチャック・ノリス無双!そして“チャック・ノリス・ファクト”に新たな1ページが…!100人斬り&戦車ぶっ壊してのオーラを纏った登場で終わりかと思ったら、最後の空港でも豪華メンバーに絡みつつ無双っぷりを発揮してくれて嬉しかったですね。そして、一匹狼(ローンウルフ)は次のメシの種を探しに出かけると…伝説は終わらないのね!!
ここでちょいとお祭り気分に水を差します。
そう、ジェット・リーね。冒頭のフライパン無双めちゃくちゃ良かったのよ。前作よりアクションもきちんと撮れていて更なる活躍を期待してたら、途中で帰っちゃうの!w去り際に記念撮影するスライ隊長のちょっぴり寂しそうな顔ったら、こればっかりは残念だよな。ぜひともアドキンスと絡んでほしかったんだけど…。しかし、パンフレットの“帰っちゃったドラゴン”って上手いよなーw今回もパンフレットは気合入ってるから買ってない人は是非もう一回劇場に行って購入をお勧めします。隅っこのほうに凄い馬鹿なこと書いてあったりするの。
ヴァン・ダムやアドキンスも欲を言えばもう1~2人くらい軍団と絡んでフルボッコにしてほしかったかな……などと欲を言い出せばきりが無い!リスペクトが足りないな!
吹き替え版については、こちらも黄金メンバー勢ぞろい。でも、しょっぱな頭に袋かぶせられてるシュワちゃんが袋を取るまで誰だか分からないようにしているはずなのに、袋の上からぶん殴られたらリアクションが思いっきり玄田ボイスで笑った。特徴ありすぎてバレッバレだっつのw最後の空港での会話はニュアンス的に吹き替えのほうが好きかな。でも、まずは各員の演技に集中できる字幕版を観てからの方がよいと思います。あと、言ったところでどうしようもないんだけど、野沢那智さん、この時まで健在でいて欲しかったよね…。
次回作はすでに制作決定らしいけど、噂通りニコラスハゲとか出るのかな。個人的には動ける人をお願い致したいところ。スカして出演オファー断ったと言う噂のドニー・イェン先生に是非悪役を。あとは現在冷凍刑務所行きになっているスナイプス番長はマストでしょう。来年解凍予定だからバッチリ間に合うよねっ!セガールは最近いろいろ難がありすぎるから微妙なところだし、トラボルタとかも動けないしなあ…悪役には良さそうだけど…。他には誰だ…マイケル・ジェイ・ホワイト…ヤン・スエ…千葉真一……夢が広がりんぐ。
えー、相変わらずグダグダ書き連ねてきたけれど、エクスペンダブルズ2は前作を超えるご褒美映画でアベンジャーズなんか目じゃないくらい楽しませていただきました。子供の頃TV洋画劇場で観てきたヒーローたちの熱いカムバックを全身の毛穴で受け止めて気づいたら目から変な汁がこぼれてくるんですよ。
パンフに載ってるラングレンのインタビューでヴァン・ダムへのコメントが泣けるんだ。
「彼が参加してくれるのはすばらしいことだよ。観客は、しばらく彼の姿を大きなスクリーンで観ていない。彼を久しぶりに観たいと思う人は、きっと多いと思う。」
シュワ、ウィリス、ノリスら大御所は勿論だけれど、ドルフ・ラングレンとヴァン・ダムをメジャーに復活させ、更にはスコット・アドキンスに華々しい大舞台へのデビューを用意してくれたこの企画、スライ隊長に本当に感謝ですな。
そのアドキンス、ヴァン・ダム、ラングレンの三人が再度激突する来月のユニバーサル・ソルジャー殺戮の黙示録も見逃せないっすね!監督は前作リジェネレーションと同様、できる子のジョン・ハイアムズ!
さてはて、興奮覚めやらぬ中、プルトニウム鉱山でアドキンスが左から銃を抜いたはずが右のホルスターに戻すシーンが気になって眠れないっ!こうなったら3回目行って確認するかっ…!!