2012年7月7日(土) NO NUKES 2012 @幕張メッセ国際展示場4・5ホール
私の人生において重要な2つのバンド、KRAFTWERKとYMOが同じステージに、というわけで漏らすおしっこも足りないようなイベントに飛びついてきた。以下、遅れ馳せながら備忘録(あいすまぬ他のバンドは割愛)。
■YMO
M-01 Radioactivity
M-02 Firecracker
M-03 SOLID STATE SURVIVOR
M-04 中国女
M-05 1000 Knives
M-06 Cosmic Surfin’~Absolute Ego Dance
M-07 東風
M-08 Rydeen
1曲目は本イベントの趣旨に合わせて、そして、トリを務めるご本家に向けた細野御大の歌うRadioactivity。元々細野御大が他の折にやったやつをYMOなりにアレンジしたものだった。TEE調のリフにインソムニアっぽいベースが絡み合うという神と神の融合のような演奏。
個人的には上を見てもお分かりの通りSolid~→中国女の流れが一番盛り上がった。近年のYMOの活動の中でこの2曲が改めて演奏されるのことは無かったから尚更。最近はエレクトロニカ(死語?)に倒錯していた頃に比べて毎々教授がリードシンセを弾き倒してくれているのが嬉しい。幸宏氏は中国女のフーマンチューのとき1回目、2回目とアレンジ違いの歌い方をしてくれて往年のファンはニンマリといったところでしょう。
Cosmic Surfin’からAbsolute Ego Danceへの繋ぎや東風も生で聴くのは初めてだった。これらはNHKライブやワーハピでお馴染みになっている感があるのでサプライズ的ではなかったけど、「下半身モヤモヤ、みぞおちワクワク、頭クラクラ」の状態にてたいそう躍らせていただきましたよ、もう。
その他、Firecracker、1000 Knivesはここ最近のアレンジ。ラストのRydeenは79/09バージョンから曲が始まり、大部分が生演奏されていたと思われる。
今回で2010年のワーハピ以来二回目のYMOライブに参加したわけだが、正直ワーハピ以上に盛り上がった。二回しかライブ参加してないけれども、今回がベストと思う。会場ではかなり前のほうに陣取っていたおかげで濃い目のファンも多く、会場の一体感も大変素晴らしいものだった。
■KRAFTWERK
M-01 Radioactivity
M-02 Metropolis
M-03 The Robots
M-04 Numbers
M-05 Computer World
M-06 Trans-Europe Express
M-07 Computer Love
M-08 It's More Fun to Compute
M-09 電卓
[encore]
M-10 Musique Non Stop
機材がステージに運ばれると歓声が上がる。はたまたチェックのためスタッフがラルフのシンセを鳴らしたり各コンソールのLEDが点くたびに大きな歓声。思わず周囲皆で「うわー!かっこいいー!」と方々で始まる撮影タイム。演奏も何も本人たちも出てきちゃあいないのにこの熱気、流石です。
いよいよ演奏と、その前に出てきた映像がめちゃくちゃかっこいいんだ。トリのKRAFTWERKを意識した波形映像の中から電力マフィア総本山の家紋が浮かび上がると会場が一気に沸き上がる。
そして始まる神々の演奏。
一曲目Radioactivity。「チェルノブイリ…ハリスバーグ…セラフィールド…ヒロシマ…」の次が「チェルノブイリ…ハリスバーグ…セラフィールド…フクシマ…」。やはり来たか、と。「ヒロシマ」「フクシマ」を交互に読み上げ、すべてが日本語ゴシックフォントで表示される。そしてラルフ・ヒュッター様が歌い始めるや何とこれが日本語歌詞。さすがにそこまでは予想していなかった。
日本でも 放射能 今日も いつまでも
フクシマ 放射能 空気 水 すべて
今でも 放射能 今すぐやめろ
出不精の彼らが(失礼)わざわざこのイベント1日のためにノーギャラではるばる日本までやって来てくれたという思い、そしてわざわざ歌詞を変えて、わざわざ日本語を覚えて歌ってくれたというのに、全く喜べない現実が頭の中でモヤモヤしてしまって何ともいえない気持ちに。それでも純粋に音楽を楽しもうと気持ちを切り替える。
二曲目Metropolis。最近までずっとライブレパートリーに入っていなかったのでこれはテンションあがるぜ!しかし、リズムセクションが始まってから何かがおかしい……シーケンスがぐっちゃぐっちゃだー!P-MODEL風に言わせていただけば「これがテクノだ」状態いただきましたー。どうやらベース音がずれている模様。何故か自分の周囲では気づいている人あまりいなかったみたいだけど、一人でゲラゲラ笑っている不届き者がいたなら私です。ヘニングとフリッツが「おい、やべえぞ」「どうにかなる?」「だめでぇ」みたいな雰囲気になっているのがひたすらおかしい。で、無理矢理シーケンスやり直したり試行錯誤しているうちに後半はなんとか正確なアンサンブルに。こんなんでも持ち直せるのは流石だわなあ。というわけで微妙な空気で終わりつつも、これはこれで大変貴重な演奏と相成ったのである。
三曲目The Robotsでは例のロボットは登場せず。映像のみでロボット盆踊りを披露。会場は「We are the robots」の合唱。あー、そこ合唱すんのかと個人的にはやや意外であったもののしっかり参加。
四曲~五曲目、Numbers→Computer Worldはお馴染みの流れですな。最近の動向をあまりチェックしていなかったので違ったら申し訳ないんだけどNY近代美術館で「Retrospective 1 2 3 4 5 6 7 8」やってからだいぶアレンジ変わってるよね。オリジナルに近い部分が増えたりとか。そういうわけで、Numbersは「イチ、ニイ、サン、シイ」のタイミングをすっかり逃してしまった。会場も合唱少なかったから結構戸惑ったファンの人も多かったのではと推測。「予習はちゃんとしなさい」って言ってたお母さんの言葉が今となってようやく分かるようになったよ。
六曲目はTEE。これも最近は3Dライブとかやっているせいかすっかり全編CGアニメになったねえ。そういう目線で見ると、作りこみも3D向けに考えてあるんだよな。是非次回は3Dライブを見たいところ。と、ここまで散々書いた所で重要なことに気づいた。2009年にフローリアン・シュナイダー様が引退されてから新メンバーに加わったVJ担当のシュテファン・プファフェ氏。この新編成でも初来日なのよね。それにしても読みにくいお名前よ。身長がめちゃくちゃ高い。横のフリッツ氏と比べて頭1個分違う。
七曲目は、ホントもうね、待ってましたよ、Computer Love、大好き。シンセベースとスネアの音色がめちゃくちゃかっこいい。前奏が始まって思わず唸る。この日何度言ったか分からない「うおーかっこいいー!」。最近のこのバージョンはボコーダーの声色も大変好みであります。欲を言えばオリジナルにもあったようなシンセソロをふんだんに入れてほしいんだけれどもね。あれやられたら確実にお目目からザブザブ流れる塩水よ。この曲は個人的には10分くらいやってくれて構わないと思っている。さらに欲を言えばドイツ語バージョンを……ってのは無理な話か。Computer Loveは言わずもがな人気の高い曲だけれどもMinimum-Maximumツアーの時はやってくれなかったから本当に日本中のファンが待っていたと思うんだよな。ほんとダンケでありますよ。
八曲目It's More Fun to ComputeはMinimum-Maximumと変わらないアレンジ。後半でベースとリズムトラックの掛け合いになるところが大好物でございます。もう一度欲を言えば80年代のライブみたいな超高速「コンピュー!コンピュー!」も聴きたいよね!って、神様は欲をかく人は嫌いだと…!?
九曲目は電卓。Pocket Calculatorから入るのかと思いきやこれまた意表を突かれた。日本まではるばるいらして下さってありがとうございます!ありがとうございます!足したり引いたりの大合唱!
と言いたいところだが、「男子声小さいよ何やってんの!」と合唱コンクールのトラウマが再生されるが如く、2004年のSHIBUYA-AXの方が会場の一体感は良かったというのが正直なところ。それでも前方の濃い目のファンの方々に囲まれてしっかり指差し合唱させていただきました。それにしても横で「ラルフー!キャー!」と叫んでいたクラフトワーク女子()と懇ろになりたいナァ。
一旦袖に引いて、焦らすのが得意な神々達もかかるフェス形式であればすんなりと再度ステージに現れる。アンコールにムジークノンストップ。これは皆で合唱だったな。しかし、やっぱりアレンジが従前のと違うんで些か戸惑った。各々のソロも短めだったので個人的にはMinimum-Maximumバージョン(The Mixバージョン)が良かったかな。映像は従前よりもCGがクリアになっててかっこよかった。ラルフ様は「Good Night!Auf Wiedersehen!」で退場。「ラルフ、ありがとう!」と力いっぱい叫んだ。
退場後、反原発のメッセージ映像が流れる中、舞台袖の盛大な拍手の音が聞こえてくる。KRAFTWERKとYMOの七人が談笑する姿を思い浮かべつつ、踊り疲れた体に鞭打って会場を後にした。
というわけで、神々の演奏をしかと見届けたわけだが、やはり究極の様式美を感じるよね。映像もステージも一新して笑いが止まらないくらいのかっこよさ。卓にVAIOを並べなくなったのでそれぞれの顔や手元の動きが良く見えるようになった。あの卓のELECTRIC CAFE(TECHNO POP)のデザインコンセプトにも似たレトロフューチャーな構成は、Retrospectiveを経て80~90年代頃のスタイルへの回帰も意識しているのかななどと深読みしてみる。そういやラルフ様は歌うとき口元に片手をあてがう癖があったが、マイクの感度が上がったのか知らんけど手を当てないで演奏と歌に集中していたね。
で、ここからはちょいと神を冒涜します。本当に申し訳ございません。
お馴染みのイントロで流れるボコーダーボイス「Meine Damen und Herrn~」で折角だから「シュクジョ シンシ ノ ミナサマ」も入れて欲しかったなあ。あとラルフ様にはやっぱり最後に「Sayonara!」で退場して欲しかったな、なんて…。
それとMetropolisでのマシントラブルなんかはこう言っちゃあ何だが大歓迎なのだけれども、所々PAさんの音像処理が酷かった。前半ちょっと音量小さく感じたし、所々ラルフ様の御声が聴こえなかったし、リードシンセやSEが全然拾えてない所あったし……。
ハイハイ、ここまで。
兎にも角にも、2004年3月4日のSHIBUYA-AX追加公演でご尊顔を拝めたのが最後かなと思っていた次第で、本当に嬉しかった。次は是非改めて単独で来て頂きたいよね(って言ってるそばから嘘か真かツアーやるって噂が…)。その折は3Dライブにて最高の音響&映像で本領発揮して下されば。Metropolisの失敗も挽回ですよ!(もうやめてあげよう…)
個人的にはもうベンチャーズ化してもいいんじゃないかと。いやまあ、冗談ですがね。いずれにしても日本中のファンが待っているからな(新譜もry)!
しかしまあ、この手のイベントでは案の定極端な連中が沸いてくるんだよな。一人一人が自分で考えて行動する。それでいいじゃありませんか。
ひとまず、純粋に音楽を楽しんではいけませんか?