横浜中央市場 まぐろ問屋【八清】

まぐろ問屋八清は
「本当においしいもの」にこだわり、
新鮮な最高級の鮪を皆様にお届けしています。

鯨肉と私たち

2009年10月21日 | 雑談
おはようございます!横浜市場、マグロの八清です!!

私たちの食事において、日々のたんぱく源はなんでしょう?
そう聞かれると、間違いなく牛・豚・鶏などの『肉』と答えるでしょう。
しかし私たち日本人は、太古の昔からそういった鳥獣の肉を
食してきたわけではありません。
日本では宗教上の理由などから、「肉食」が忌避された背景もあります。
『散切り頭を叩いてみれば 文明開化の音がする』でご存知の通り、
牛鍋が流行ったのも明治時代の頃からですし、それ以降もまだ肉は高価でした。
地方ではボタン鍋でも知られる猪肉などは食べていたし、
全く獣の肉を食べていなかったわけではありませんが、
それでも日本人のポピュラーな動物性たんぱく源といえば、
一昔前の給食などではお馴染み、鯨肉(げいにく)でした。
小型のハクジラ類を中心に、縄文時代以前を含む旧石器時代の貝塚や、
弥生時代の遺跡など古くから出土例があるそうです。

日本人は少しクセのある鯨肉やイルカの肉を、大和煮・竜田揚げの他、
鯨ベーコン・コロ(鯨肉を揚げて油を絞った残りを乾燥させたもの。)・
ウデモノ(=茹で物)(百尋ほか各種内臓を茹でたものの総称)・
塩鯨(本皮を塩漬けにしたもの)等にうまく調理して食していました。

そんな鯨肉ですが、食肉以外としても利用されていたのでご紹介します。

<食肉以外の利用>
【農薬】
 日本ならではの鯨油の活用法は農薬でしょう。
 田んぼに鯨油を撒くと、一面に油の膜ができます。
 その後に、棒などで稲をたたき、害虫を油膜の上に落として退治するのです。

 この方法は江戸時代後期に発案されて全国に広まり、
 米の増収をもたらしたと言われています。
 また、鯨油を牛などの家畜のからだに塗り付けて
 アブなどの害虫から守ったという話もあります。
 
【からくり人形への利用】
 鯨ヒゲについては、からくり人形のぜんまいや釣竿の穂先など、
 欧米と同様にさまざまな素材に用いてきたようです。
 特に文楽人形の命ともいえる精妙な"首の動き"は、
 鯨ヒゲでなければ出せないと言われています。

【鯨は骨まで愛される?!】
 さて、最後に残されたのは骨です。
 クジラの骨には多くの脂肪分が含まれ、これらからも鯨油がとられています。
 そして採取した後の骨さえも、田畑にまかれ肥料として利用されたようです。
(河出書房新社「クジラの謎 イルカの秘密」)より

この通り、日本人は食用としてのみならず、
クジラのすべてを利用し尽くしてきたのでありました。
調べたところ、世界各地でも沿岸部を中心に鯨肉を食べていたといいます。
しかしそれは17世紀頃までで、沿岸鯨類資源の枯渇から沖合い・遠洋へと
漁場が移動するにつれ、鯨油としての利用が主流になってきたとのこと。

そんな背景があったのですね。
今まで鯨を食用とするのは日本人くらいなものと思っていましたが、
中世ヨーロッパの人々も食べていた事実を始めて知りました。
今は捕鯨はかなり規制をされていて貴重な存在となっていますが、
私たちのたんぱく源、さらには産業の必需品、文化の担い手と
なってきたのですね。


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