EU加盟国であるイギリスが
のどちらを選ぶかという国民投票が 2016/06/23 に実施されました。すでに投票は閉めきられており、今(日本時間2016/06/24 09:00)現在、開票作業が進んでいるものと思われます。
時あたかも
イギリス南東部で豪雨と浸水があり、投票に行けなかった人もいたようですが、国民投票をやり直すことはないでしょう。
世界中でおこなわれている世論調査には
それなりの意義はあろうかと思いますが、視聴率や純粋の数値統計と違い、事前の世論調査の結果をみて選挙民が投票することになるため、しかも接戦になっていて投票者がどちらに投票するかをまだ決めていない場合、事前の世論調査とはまったく違った投票結果が出るようです。
アメリカでも
ブラッドリー効果・ワイルダー効果などがあります。これは事前の調査では本音を言えず、実際の投票では本音に従ったので、事前と事後で大きく異なることを指しています。
ただし事前の調査にも変化があるようです。
いままでは、対面調査が原則だったために、白人層が調査員に「人種差別主義者」だと思われたくないとして本音ではない「黒人候補者支持」という回答をしたけれど、実際には「白人候補者に投票」するという行動をとっていました。
しかし対面ではなく、電話やインターネットによる調査に変わってきたため、本音で調査に応じることが増え、事前と事後で異なることが少なくなってきた、ともされています。
さらにかつての黒人候補者に見られた「徹底的に白人を攻撃する」姿勢ではなく、より普遍的な公約を表明する時代となりつつあるので、様相は大きく変わってきたのかも知れません。オバマはこの普遍性のため選ばれたのでしょう。
事実、私にも経験があります。
あるとき、留守番電話が入っていることに気がつきました。私の自宅が乱数で選ばれたらしく、何らかの世論調査が目的のようでした。
自動で発せられる質問に対して「1」や「2」で応えるものでしたが、一定時間の間に応えていないため、自動的に通話は切れていました。
このように、
- 対面調査ではなく、
- ランダムに相手を決め
- 自動音声で問いかけ
- こちらも音声を発することなくボタンで回答する
こういうシステムになれば、より本音を言いやすくなる利点があろうかとは思いますが、電話に応対できる時間帯の人だけを対象としたものであり、その限界もあるのですね。
どっちに転んでも、完ぺきな調査にはならない、と言えます。
イギリスの世論調査がどのような形式で行なわれたものか承知しておりませんが「世論調査」は
- あくまでも参考意見であるのみならず
- 場合によっては参考にさえならない
と知っておくべきでしょう。
たいせつなのは、あくまでも1人1人の意見ですね。
「自分1人の意見が全体では無視される」と過小評価する人がいますが、意味はわかるとしても、そういう人の意見が集まれば相当大きくなる、も知っておきたいものです。
不思議なものですが
ちゃんとした選挙権が与えられている国なのに実際に投票する人が少なく(投票率が低い)、香港のように国政を担う人を自由に選挙できない地域に限って選挙権を強硬に要求するのですね。
最後に、一言だけ追加します。
これはその国・地域のマスメディアのレベルでもありますが、メディアのレベルが低すぎると、一体どうなるか。
かりに得票率で 55ー45 だったとしましょうか。
- ある報道では、「圧勝した」と報道します。
- 別の報道では、「分断した」と報道します。
この違いがお分かりでしょうか。そうです・・・・・・
- 投票結果が、そのメディアに都合がいい場合(つまりメディアが支持していた場合)、「圧勝した」と報道しやすく
- 投票結果が、そのメディアに都合が悪い場合(つまりメディアが反対していたほうが勝った場合)、「分断した」と報道しやすいのです。
同じ結果 55ー45 なのに、メディアの意図次第で、「圧勝した」と過大評価したり、「分断した」と過小評価するのです。これはそのメディアしか見ていない人に影響が大きく、地域全体にとって大変危険な状態だと言えます。
公共メディアに客観性がない場合、まるでどこかの政党の機関誌のように成り下がってしまうことを、知っておきたいものです。