ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・セラピュティクス・アンド・オンコロジー,Vol. 8 2009 65
予報
HPV16ワクチンの交差反応のリスクの可能性の定量化
ダーヤ・カンデュク
生化学・分子生物学科,バーリ大学、イタリア
(2009年3月18日受付、2009年5月5日受理)
背景:
感染病のワクチン接種に関連して有害事象が起こる可能性があり、起こりうる副作用の効果的な分析およびその定義が強く望まれている。HPV16 プロテオーム(全タンパク質)をモデルとして使用して、抗HPV16ワクチン接種の実際のリスクおよび理論的なリスクを定量し、同時に起こる人体との交差反応から誘導される可能性のある疾患範囲を定義した。
方法:
我々は、タンパク質の国際データベースを用いて、HPV16 プロテオームの一次配列の中に、ヒトのタンパク質と共通する7量体アミノ酸配列を検索した。
結果:
ヒトのプロテオームには、HPV16にみられる82 個のヘプタペプチドと2個のオクタペプチドが含まれる。ウイルスとの一致は、細胞分化や増殖、神経感覚調節などの基本的なプロセスに関与するタンパク質の中にみられる。HPV16由来7量体を含むヒトのタンパク質としては、細胞接着分子,白血球分化抗原,酵素,精子形成に関連するタンパク質,転写因子,および神経抗原が挙げられる。ウイルスとの一致の数とその位置は、HPV16に基づくワクチン接種後のヒト宿主における自己免疫性の副交差反応の発生をほぼ避け難いものとしている。
結論:
すべての抗原に基づくワクチンは、分子レベルでの配列類似性を比較することによって、注意深くまた完璧に設計し、可能性のある副作用を厳密にスクリーニングする必要がある。
キーワード:HPV16 プロテオーム; ヒトプロテオーム; 類似性分析;ウイルス対ヒトプロテオームのオーバーラップ;ワクチン関連交差反応
感染病のワクチン接種は、有害事象を起こす可能性がある(1)。実際、現行の抗原特異的免疫療法プロトコールは、感染性微生物由来の抗原だけでなく、標的患者と共通の配列を有する抗原を発現する宿主組織も対象としている(2)。ワクチン接種プロトコールと関連する、交差反応性のリスクの可能性を明瞭で明確で数学的に集計したものはない。この作業は、達成できないものではない。なぜなら、ウイルス、細菌、および高等脊椎動物の全タンパク質集合体の配列は決定されて折り、2つのタンパク質の配列の比較分析を可能としている。ここでは、HPV16 タンパク質複合体を、7量体レベルで、ヒトのプロテオーム(全タンパク質)とのアミノ酸配列類似性を調べた。HPV16とヒトのタンパク質 は、ヘプタペプチドモチーフ(7個のペプチドからなる特徴的な配列)を高頻度に共有していることがわかった。このことを、HPV16ワクチンの交差反応のリスクの可能性という点で考察する。
方法
HPV16 腫瘍性タンパク質の一次配列 (Medlineアクセッション番号K02718) を7量体(7個のアミノ酸)にわけ、ヒトのプロテオームとの配列類似性を、PIR完全一致プログラム (pir.georgetown.edu/pirwww/search/fasta)を使用して分析した。7量体から、残基をひとつ差し引いた、すなわち、6個の残基がオーバーラップしている、つまりMHQKRTA,HQKRTAM,QKRTAMF,KRTAMFQなどである。ヒトプロテオームは、EBI・Integr8 サイト (http://www.ebi.ac.uk/integr8)から入手したもので、ダウンロードした時点では34,044個の 非重複タンパク質からなるものであった。ヒトのタンパク質の機能および疾患との関連の可能性は、ユニバーサル・プロテイン・リソース (UniProt; www.uniprot.org/uniprot)を使用して分析した。
結果と考察
HPV16 プロテオームをモデルとして使用して、抗ウイルスワクチン接種による交差反応のリスクの可能性を定量化した。HPV16タンパク質は、7量体を調査単位として使用して、ヒトプロテオームとの同一性を分析した。 表1 は、HPV16の7量体と完全に一致する部分を含むヒトのタンパク質のリストである。数個のヒトのタンパク質が、HPV16 タンパク質複合体と同一のヘプタペプチドモチーフを共有している。2個のタンパク質の間で、20個のアミノ酸のうちから7個のアミノ酸残基が同一である理論的な確率は、20の7乗= 1,280,000,000に1回であり、ウイルスのL1, L2, E6およびE7 タンパク質が、実際にヒトプロテオームと合計82個の完全一致でヘプタペプチド配列を共有している。更に、2個のタンパク質の間で、20個のアミノ酸のうちから8個のアミノ酸残基が同一である理論的な確率は、20の8乗= 25,600,000,000に1回であり、2個のウイルスの8量体が、ヒト プロテオームに存在している
(1) HPV16L2・67-74;GGRTGYIPペプチドが、末梢性のベンゾジアゼピンレセプターに相互作用するタンパク質にみられ、このタンパク質は側頭葉と被殻で高度に発現されている;[19]
(2) the HPV16 E7・85-92;DGLTVIVT ペプチド配列は、肝癌発症マーカーであるγ-グルタミルトランスフェラーゼ7にみられる。[70]
ウイルスとヒト プロテオームの間でヘプタペプチドがオーパーラップしている実際値と理論値との差が大きい。この差は、リスクの可能性がより高いと予想される事実を強調するものである。モノクロナール抗体応答を誘導するのに5個または6個のアミノ酸が必要であることに基づいて[2]、 82 個のヘプタペプチドオーバーラップが、明らかに自己免疫反応を誘導する。同様に、病理学的な負荷の可能性も大きい。表1に、ウイルスとの一致が、細胞増殖や分化、精子形成、筋肉の発達と再生、組織の形態形成プログラミング、リポタンパク質代謝、脂肪生成の初期段階、生存運動ニューロンたんぱく質に関与するヒトのタンパク質にみられた。さらに、HPV16モチーフを含んでいるヒトのタンパク質の改変は、筋肉疾患から神経性障害に及ぶ多数の病態を起す。その結果、これらのヒト抗原を標的とすることは表1に記載した多くの症候群を引き起こすかもしれないと想定することは論理的なことである。表1に詳細に示すように、HPV16由来モチーフを含んでいるヒトのタンパク質に対する自己免疫反応が、脊髄性筋萎縮症, あひる歩行を起す近位筋脱力, つま先歩き, 脊柱前弯症, 頻繁な転倒, 起立や階段の登りの困難, 心臓血管および筋骨格異常、リポタンパク質代謝の障害による高コレステロール血症、冠動脈疾患の多発など病態を導くかもしれない。
ポイントは、子宮頸がんワクチンに含まれているHPVウイルスの断片と、人体の中で免疫反応に関与しているタンパク質が類似しており、HPVへの抗体を作ることで、人体の免疫反応に関与しているタンパク質への抗体が作られてしまい、自己免疫反応を起しているのではないかという研究です。
4価ヒトパピローマウィルス (HPV) ワクチン接種後の死亡: 因果関係があるか、あるいは偶然の一致か?
背景
ワクチンの本当のリスクに関して正しく理解することは、不必要な副作用(薬物有害反応)を防ぐために重要なことである。しかしながら、今日まで、有害事象がワクチン接種に必然的に関連しているかどうかを決定するための確実なテスト法や基準が設定されていない。
目的
この研究は、ワクチン接種後のいくつかの重篤な自己免疫性や神経学的な薬物有害反応が、因果関係があるのか単に偶然の一致であったのかどうかを決定するために、およびワクチン接種が疑われる重篤で有害な神経学的反応の症例における因果関係を評価するためのバイオマーカーに基づく免疫組織化学的 (IHC) プロトコールを確認するために行われた。
方法
HPVワクチンであるガーダシル接種後に脳血管炎のような症状を呈した2人の若い女性から死後採取した脳組織標本を、様々な免疫炎症マーカーを使用して免疫組織化学的に解析した。脳切片は、ガーダシルに含まれているHPV-16L1抗原およびHPV-18L1 抗原を認識する抗体を使用して染色した。
結果
2つのケースともに、死体解剖では、個体の死因を説明するような解剖学的、微生物学的、あるいは毒物学的な所見は見られなかった。これに対して、我々の行った免疫組織化学的解析では、試験したすべての脳サンプルにおいて脳血管の壁に結合している交差反応性 HPV-16L1 抗体により引き起こされた可能性がある自己免疫性血管炎の証拠が示された。我々は、また、脳脈管構造内にHPV-16L1 粒子 が存在すること、いくつかのHPV-16L1 粒子は血管の壁に固着していることを検出した。 HPV-18L1 抗体は、脳の血管あるいは他の神経組織には結合していなかった。 免疫組織化学的方法により、両方のケースからの脳血管組織において、T細胞シグナル伝達の増加および古典的な抗体依存性補体経路の著しい活性が見られた。活動性の脳感染の無い状態での補体活性化というこのパターンは、免疫の攻撃が自己組織に向かっている免疫応答を、異常に引き起こしていることを示唆する。
結論
我々の研究は、HPV-16L1 抗原を含むHPVワクチンが、致死の可能性のある自己免疫性脈管障害を引き起こす固有のリスクを課すことを示唆している。
治療における意味
脳血管炎は、診断・治療されずに放置されると通常致命的な結果をもたらす深刻な疾患である。HPV ワクチン接種後のワクチン安全性調査データベースに報告された症例の多く(すなわち、 極度の持続性偏頭痛、失神、てんかん発作、振戦(ふるえ)および刺痛(ピリピリ感)、筋肉痛、 歩行運動異常、精神病性症状、および認知障害)は脳血管炎を示しているが、それが認識されていないという事実は、本論文の知見に鑑みて大変憂慮されるべきことである。 このように、いくつかのケースではワクチン接種が、致死的な自己免疫性/神経学的事象の誘因となる可能性があると思われる。医師は、この関連性について認識しておくべきである。
キーワード: HPVワクチン;重篤有害反応; 脳血管炎; 脈管障害; 自己免疫; 分子擬態; 免疫複合体; 自己抗体
序文
過去数十年の間に、様々なワクチンの使用後の神経学的および自己免疫性の有害反応 (薬害有害反応)を記述している無数の研究や症例報告があった。 関節炎、 血管炎、 全身性エリテマトーデス (SLE)、 脳障害、 神経障害、 発作性疾患および自己免疫脱髄性疾患症候群が、最も頻繁に報告された重篤な有害事象であった [1-13]。ワクチンの投与と有害事象の間に明白な時間的関連がみられることもあるが、大多数のケースでは、因果的関連が示されていない。そのため、(i)ワクチン接種後に起こった重篤な薬害有害反応の多くは、ワクチンとは偶然の一致で無関係である [14]、そして (ii)本当の重篤なワクチン関連の薬害有害反応 (すなわち、永続的な障害や死亡) は大変稀である [15]と結論付けられていることが多い。しかしながら、ワクチン接種に関連する薬害有害反応に関して因果関係がめったに確立されないのは、いくつかの重要な理由のためである。 これらの理由には、例えば、因果関係のための判断基準がしっかりと定義されていないこと [6、16、17]; ワクチン接種と自己免疫の潜伏期間が数日から数年に及ぶこと (個人の感受性因子が、症状の発症時期、時間的経過、および重症度の決定に影響を与えると考えるのが最も妥当である) [6]; 他の神経学的な疾患でみなれるような神経学的な事象が、明らかな病態として出現するまでかなりの時間がかかる可能性があること [18];ワクチン接種後の有害な徴候は変則的であり、よくみられる自己免疫性または神経学的な病気とは対応しないかもしれないこと [6]; 個人の感受性因子が考慮されず、「すべての人がフリーサイズの服を着れる」という原則が想定されていること [19]; 有害事象におけるワクチンの誘因を考慮していないこと [20]。
4価 ヒトパピローマウィルス(qHPV) ワクチンであるガーダシルは、ファストトラック承認プロセスの後、アメリカ食品医薬品局により2006年に 認可された [21]。許認可前および許認可後の疫学的調査では、ガーダシルワクチン接種に関連した自己免疫安全性に対する懸念は特定されておらず [22、23]、このワクチンは安全性に大変優れた特性を持つと考えられていた[24]。しかしながら、ガーダシルの安全性試験を注意深く精査してみると、試験方法のデザイン、データの報告および解釈に重要な欠陥があるという証拠が得られた [25-28]。 これら後者の知見に係らず、疫学的な研究は「関連」だけを試験して「因果関係」は試験しておらず、本当のリスクの見積もりが信頼できないものとなっていることに留意することが重要である。一方、HPV ワクチン接種後の重篤な自己免疫および神経学的な合併症を記述する無数の症例報告のデータは、依然、懸念すべき問題が提起され続けている [11、12、29-35]。にもかかわらず、ワクチン接種後関連現象の厳密な病因学は、つかみどころがなく、そのため、因果関係が不確かなままである。
我々は、qHPV ワクチンガーダシル接種後の原因不明の突然死の二つのケースの分析に基づいて免疫組織化学的 (IHC) プロトコール(手順)を開発した。このプロトコールは、HPV ワクチン接種後に報告された重篤な自己免疫および神経学的な症状が因果関係があるものか単なる偶然の一致かを決定する目的で開発されたものである。
患者と方法
ケース1
関連する病歴がなく何の薬も服用していない19歳の女性が睡眠中死亡した。3回目で最後のqHPVワクチンブースターの約6ヶ月後であり、最初のワクチン接種関連症状の悪化の後であった。死亡する前夜に、両親により生存が確認されている。彼女の症状は、最初のqHPV注射の後に始まった。手にイボができ、それはワクチン接種期間を通して持続した。さらに、原因不明の疲労、筋力低下、頻脈、胸部痛、四肢のピリピリ感、怒りっぽさ、精神錯乱、および健忘の期間(記憶喪失)を経験した。検死では、異常が無く、正確な死因を決定することができなかった。解剖では、胆嚢および子宮頸部にいくらかの小さな変化がみられた(両部とも、微生物学的検査および組織学的検査では、重要な病気はみられなかった)。すべての検死の後、死因とみなされる可能性のあるような、解剖学的、微生物学的、あるいは毒物学的に重大な異常はみられなかった。脳の海馬、小脳および皮質分水嶺の組織学的解析は、神経細胞消失や神経炎症性変化の証拠は見られなかったと報告されている。しかしながら、検死報告書では、どの免疫抗体および染色法が使用されたのかを特定していなかった。
ケース2
偏頭痛の既往症がありおよび経口避妊薬を使用していた14歳の女性は、1回目のqHPVワクチン注射の14日後、偏頭痛の悪化、言語障害、めまい、脱力感、歩行困難、抑うつ気分、錯乱、健忘症、嘔吐を経験した。症状は徐々に消失した。しかしながら、2回目のqHPVワクチンのブースターの後15日目に、シャワーのために浴室に入った30分後、母親により浴槽の中で意識不明の状態で発見された。救急援助が呼ばれ、すぐに駆けつけた。蘇生処置がとられた。救護員のノートによると、患者には脈がみられなかった。病院に到着して約30分後、患者は心停止した。40分後、蘇生処置は終了され、患者は死亡と宣告された。ケース1と同様に、正確な死因を検死によって特定できなかった。特に、「原因不明の突然死」と分類されたこのケースの死因を説明する解剖学的、微生物学的または毒物学的な所見はみられなかった。にもかかわらず、検死では、血液脳関門の局所的破壊を示す脳浮腫および小脳ヘルニアを明示した。脳切片の免疫組織化学的解析に、炎症マーカーへの特定の抗体は使用されなかったが、検死の報告では、患者の脳に、炎症プロセスやミクログリア反応の証拠はみられなかった。しかしながら、被覆する分子層の空胞化を伴う小脳におけるプルキンエ細胞の好酸性変化がみられた。検死官によれば、これらの変化は、末期の低酸素性虚血性脳障害と一致した。神経病理学的な検査は、基礎的な構造的脳障害を示さなかった。更に、検死官の報告書では、低酸素性虚血性脳障害は、脳浮腫と同じく末期であり、どちらかが他方の原因となった可能性があるとコメントされていた。検死での知見に基づいて、検死官は、正確な事象の順序を確立することはできず、特定の病因は未決定であった。
組織試料
検死時に上記2ケースから採取した脳組織標本のパラフィン包埋片を本研究に使用した。免疫組織化学的に分析した組織には、小脳、海馬、脈絡叢、および皮質分水嶺(ケース1)および小脳、海馬、脈絡叢、脳幹の部分(髄質、中脳、脳橋)、右基底核、右頭頂葉および左前頭葉(ケース2)であった。切片は5マイクロメートルに切断し、スライドグラス上に置いた。
免疫組織化学的手順
パラフィン脳切片からパラフィンを取り除き、再水和し、過酸化水素3%を含むメタノール中に15分間放置して、内因性ペルオキシダーゼ活性を阻止した。その後、切片をサポニン1%の1xPBS(1倍濃度のリン酸生理食塩緩衝液)中に室温(RT)で1時間放置した後、抗原賦活化を容易とし、かつ一次抗体(Abs)の膜透過性を向上するために、適切な抗原賦活化溶液(表1)中で20分間沸騰することで前処理をした。その後、切片は、ツイーン0.1%および正常ヤギ血清10%を含む1xPBS中で1時間室温で阻止した。阻止ステップの後、切片は、一次抗体の適切な希釈液とともに、阻止溶液(表1)中で40℃の加湿器内で一夜培養した。 その後、切片は1xPBS中で3回洗浄し、ビオチン標識、アフィニティ精製した抗免疫グロブリンG(IgG)二次抗体と1:200の希釈で(ベクターラボラロリーズ社)培養し、その後、アビジン―ビオチン複合体(ABC)-免疫ペルオキシダーゼ・ベクタステイン・エリートABCキット(ベクターラボラトリーズ社、バーリンゲーム、カリフォルニア)を使用して培養した。陽性の反応は、通常の方法による3,3-ジアミノベンジジン(DAB)過酸化により可視化した。切片は、メチルグリーンにより対比染色し、脱水し、カバーガラスをつけ、カメラ付きのコンピューターシステムに接続したツァイス・アキシオバート顕微鏡(カールツァイス・カナダ社、オンタリオ)で観察した。10倍、40倍のイメージ像を、アキシオ・ビジョン4.3ソフトウェアを使用して撮影した。
結果と考察
主要な知見
qHPVワクチンであるガーダシル接種後に死亡した二人の若い女性から採取した脳組織標本を免疫組織化学的に観察した結果、自己免疫性血管炎が、脳血管の壁に結合した交差反応性HPV-16L1抗体により引き起こされたことを強く示唆する証拠が得られた(図1,2)。更に、HPV-16L1粒子が脳脈管構造内に存在し、HPV-16L1粒子の一部は血管壁に付着している明らかな証拠が得られた(図1C,2C,2D)。これとは対照的に、HPV-18L1抗体は、脳血管や他の神経組織には結合しなかった(図1D)。
病理組織学的に、免疫介在性血管炎は、Tリンパ球の過剰な動員および血管付着、補体およびMHCIIシグナル伝達の増加、免疫グロブリンG–免疫複合体の脳脈管構造への補体依存性沈着を典型的に示すものである[5、36-40]。タンパク分解性の細胞外基質分解酵素(MMPs)の発現増加もまた、免疫性脈管障害症候群を特徴付けるものである[41-43]。細胞外基質分解酵素は、炎症性浸潤と血管破壊の両方に重要な役割を担っている[41-43]。続いて起こる血管損傷は、出血性および虚血性の脳組織病変部として顕在化する。とりわけ、二人の若い女性から採取した脳組織標本にはこれらすべての病原性免疫プロセスの明確かつ一貫した証拠がみられる(図3-8)。
両ケースの脳組織標本において、HPV-16L1粒子が脳血管内に存在しかつこれらの血管の壁に付着していることは(図1、2、5,6)、ワクチンから誘導された免疫複合体が血液脳関門を通過できることを示しており、大変懸念されることである。ガーダシルは、遺伝子組換え型のワクチンであり、活性物質としてHPV6、11、16、18型の組換え型主カプシド(L1)タンパク質のウィルス様粒子(VLPs)を含有している(ただし、2価HPVワクチンであるサーバリックスはHPV-16L1とHPV-18L1ウィルス様粒子だけを含有している)。ガーダシルのHPVウィルス様粒子(HPV-16L1も含めて)は、非晶質アルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩のアジュバントに吸着されており、最近の動物モデル実験では、注射の後に単球により取り込まれたアルミニウムアジュバントのナノ粒子が、まず流入領域リンパ節へ移動し、その後血液脳関門を越えて移動し、最後に脳に蓄積し、そこで重度の免疫炎症性有害反応を引き起こす可能性があることを示された[44]。このように、ガーダシルを接種した二人の若い女性から得た脳組織標本の脳脈管構造にHPV-16L1粒子が存在することは、アルミニウムアジュバントに吸着したこれらの粒子を脳組織に進入させる循環マクロファージに依存する「トロイの木馬」機構により説明できるかもしれない。
脳組織における免疫複合体および免疫細胞の蓄積は、1)直接の脳感染、2)脳腫瘍、または3)ワクチン接種によるなどの免疫系の過度の刺激がない限り通常おこらないことにも留意すべきである。検死結果および病歴(方法の項参照)から、後者だけが上記二つのケースに当てはまるようであろう。
ケース2の検死の後に脳浮腫が見られたことは、局所的な血液脳関門破壊を強く示唆するものである[10、45]。更に、ヘマトキシリン・エオシン染色では、出血を示す明白な証拠が見られ(図8)、それはケース1にも存在した(図7)。出血性組織病変部として現れた血液脳関門の破壊は、血管炎と過度のレベルのグリア誘導炎症性サイトカインの有害作用の両方の結果であった可能性がある。検死では両ケースでミクログリア反応および炎症性反応の証拠が見られなかったが、これは、脳組織標本の病理組織学的解析でグリア特異的マーカーを使用しなかったためのようであった。これに対して、ミクログリアおよびアストログリア特異的マーカー(表1)を使用した我々の免疫組織化学的解析の結果では、ケース1およびケース2から得た、観察したすべての脳組織切片において、非常に強度のミクログリア増殖症およびアストログリア増殖症が見られた(図9,10)。ミクログリアは脳の常在免疫細胞であり、それらの過度の活性化は、脳における不可逆性の神経破壊および炎症促進性プロセスを導く可能性がある[46、47]。
活性化型ミクログリアが、他の炎症性因子や遊走リンパ球の血液脳関門の透過性を高めることは良く知られている[48]。更に、脳におけるミクログリアの凝集は、低酸素性-虚血性脳損傷のマーカーとして認められており[49]、後者はケース2で検死官により診断されている。ミクログリアおよびアストログリアはともに、HPVワクチンであるガーダシルおよびサーバリックスの両方に含まれるアルミニウムワクチンアジュバントなどの様々な免疫侵襲により活性化される。更に、動物実験では、ヒトのワクチンで使用された濃度に匹敵する濃度のアルミニウムアジュバントの2回の注射だけで、注射後6ヶ月持続するミクログリアの有効な活性化を達成するに十分であることが示された[50]。
自己免疫性血管炎およびワクチン接種
血管炎には、中心となる特徴が出血性病変部および組織虚血を伴った血管壁の炎症性破壊である、不均一な障害が含まれる。脳脈管構造の完全性が損なわれたために、脳浮腫が起きている可能性がある[36、38、51-53]。本来、様々なタイプの炎症に血管が関与しているので、血管炎は多様な疾患の根底にあって、その診断を困難なものとしている[37、39]。血管炎は、身体のすべての部位のすべてのサイズの動脈および静脈を含めた血管に影響を与え、様々な臨床的な神経学的症状を呈する可能性がある[37、39]。
脳は特に虚血に感受性がある。そのため、神経系の血管炎は、認識・治療されずに放置されると、ほぼ必然的に恒久的な損傷や障害をおこすので、臨床医は最も注意すべきである[37]。脳血管炎は稀であると考えられている[40]。しかしながら、脳血管炎の臨床症状は、徴候や症状が変動してとても変わりやすく[40]、しばしば多様な炎症性疾患(すなわち、SLE(全身性エリテマトーデス[41]および細菌性髄膜炎[43])の根底にあって、脳血管炎の多くの症例は診断されていないか、あるいは誤診されているか、その両方である可能性がある。脳血管炎の典型的な症状には、重度の頭痛、立ちくらみ、失神、てんかん発作、振戦およびピリピリ感、脱力、歩行運動欠陥、認知および言語機能障害が含まれる[39、51、52]。これらの症状の大部分は、qHPVワクチン接種後のケース1およびケース2の両方で報告されていることに留意されたい(表2)。
血管炎は、ワクチン接種の重篤な薬害有害反応としての可能性が長い間認識されていた[5、54-57]。例えば、カルバルホおよびショエンフェルトの論文には、関連する既往症がなく他の薬剤を服用していない14歳の男子において、B型肝炎ワクチンの投与後、中程度のサイズの動脈に発症する稀で生命の危険のある壊死性血管炎である結節性多発動脈炎の症例が記述されている[5]。B型肝炎ワクチン接種後の血管炎の症例はその他多数報告されている。これらの症例の免疫組織化学的検査では、血管にウィルスB抗原が検出されず、因果関係の証拠は確立されなかった[55、57]。しかしながら、ワクチン由来B型肝炎抗原が分子擬態により自己免疫の原因となった可能性については調査されていない。実際、我々が知る限り、我々の研究が、ヒト中枢神経系(CNS)におけるワクチン抗原誘引自己免疫性血管炎の直接の証拠を示した最初のものである。
分子擬態 (それにより、ワクチン抗原が宿主抗原に類似すること)が、ワクチンが自己免疫疾患を引き起こす機構として一般に受け入れられていることを、ここで強調しておきたい。このように、ワクチン抗原を破壊するために産出された抗体およびT細胞は、異なる組織(すなわち、血管の壁)で構造的に類似の自己抗原も攻撃する [5,6,35]。ワクチン接種がしばしば病気を予防する意図で宿主での有効な感染無しに行われる事実は、ワクチン抗原と宿主組織が構造的に類似している場合、自己免疫のリスクが悪化することを示唆する。その理由は、二通り考えられる。1つめは、ワクチン接種が、自然感染と比べて、より大量の抗体を持続して産出する (すなわち、ガーダシル誘引HPV-16 抗体価は、HPV 自然感染価の10倍以上である [58])。 2つめは, 実際の感染病原体 (すなわち、HPV-16 ウィルス)が無い状態で、ワクチン誘引抗体は、優先的に宿主抗原に結合する。
血管炎とHPV ワクチン接種
最近、HPV ワクチン接種後の若いティーン女子が罹患した血管炎のケースが2つ報告されている。両ケースともに、以前の感染歴はなく、2価HPVワクチン (サーバリックス)の投与と血管炎の発生に時間的関係がはっきりとみられた [32]。ワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System、VAERS)のインターネットのデータベースを用いた我々の研究によると[59] 、HPV ワクチン接種後関連血管炎の報告が多数あることがわかった。これらのケースの分析から、ワクチン接種後血管炎関連症状は、もっとも典型的には、ここで記述するケース1およびケース2での報告と同様に、ワクチン接種の 最初の3ヶ月から4ヶ月の間に現れることがわかった (Table 3)。 また、我々は、VAERSに報告された血管炎関連症状とケース1およびケース2で体験されたものとの驚くべき類似点に注目した(Table 2)。VAERSなどの受動的なワクチン安全性調査システムへの報告は、それだけでは、ワクチンが薬物有害反応の原因となったことを証明するものではないが、多数のVAERS報告には、診断上の実験分析結果、臨床医の経過観察および専門家の診断結果の詳細な記録が含まれることに留意すべきである。特に、これらの報告のいくつかは、免疫介在性血管炎の診断が確認されている医学的に確証された症例が含まれている (すなわち、VAERS ID# 425345-1、436679-1; 表3)。
正確な病因論およびVAERSに報告された血管炎の症例でのHPV ワクチン接種の役割は、未決定のままであった。しかしながら、そこで行われた病理組織学的検査の範囲はとても限定されたものであったことを、我々はここに記しておく (Table 3)。具体的には、ワクチン抗原および宿主血管構造の交差反応性による分子擬態によるHPVワクチン誘引自己免疫の可能性は、調査も考慮もされていない。特に医科学者は、分子擬態を、ワクチンが自己免疫疾患を引き起こす可能性の高い機構として一般に受け入れているので、ワクチンが疑われる自己免疫病理学の病理組織学的分析をしなかった理由は不明である[5、6、35]。
今回得られた知見に鑑みた、自己免疫性血管炎の病態生理学
ほとんどのタイプの血管炎は免疫性の異常と関連しているが、血管の炎症およびその後の血管の損傷を惹起する主要な免疫病原性の事象は、依然として全く解明されていない。にもかかわらず、血管組織での自己抗体の発生および免疫複合体の沈着が、免疫性血管障害の中心的役割を果たしていると認識されている [39、60、61]。図1から図6に示すように、ここで報告される二つのケースの両方の脳細胞標本において、これら免疫病原性のプロセスの両方の明確な証拠がみられるようである。すなわち、多数の HPV-16L1 陽性細胞が、脳の血管壁に付着しており、さらに、血管壁そのものが、HPV-16L1に対して驚くほど顕著な免疫反応性を示している (図1~図6)。
循環型免疫複合体は、感染への応答、組織傷害、あるいはワクチン接種の結果のどれからも起こりうる。ワクチンは抗体産出を過刺激するように設計されている (自然感染後に起こるよりもより高い抗体レベルを達成する)事実は、ワクチン接種による免疫性血管障害のリスクがはるかに高い可能性があることを示唆している。上記したように、ガーダシルは、HPVの自然感染レベルより10倍以上高いHPV-16 抗体価を継続して誘引する [58]。とりわけ、循環型免疫複合体のレベル増加は、ヒト血管炎症候群に典型的にみられるものである [61]。
免疫複合体の沈着は、補体経路を活性化する能力を有するので、血管の炎症を誘発する強力で迅速なトリガーとなる [5、39、53、61-63]。実際、補体の不適切な活性化 (すなわち、神経細胞および脳脈管構造における)は、根底に血管の機能障害を伴う炎症性神経変性疾患および神経免疫疾患にしばしば観察される [53、61、63、64]。特に、古典的な抗体依存性補体経路による活性化が、血管炎およびSLE(全身性エリテマトーデス)などの免疫複合体介在疾患では長い間認められていた[37、39、65]。
免疫複合体の血管での沈着および白血球の血管壁への動員は、それ自体が抗体依存性補体経路の活性化に依存している。特に、血管の平滑筋細胞および血管内皮による C1q の異常発現は、Tリンパ球および免疫複合体の血管壁への結合を促進し、血管の損傷、虚血性病変部、および脳浮腫をもたらす [53、62、66]。脳脈管構造の不全による二次性脳浮腫におけるC1q 活性化の重大な役割の実証[53]は、この報告に記述したケース2に特に関連しており、そこでは、両側の鉤ノッチおよび初期小脳扁桃ヘルニアを伴なう脳浮腫が検死により明らかにされた。更に、 ケース2の検死では、検死官の報告書によると末期の虚血性低酸素性脳障害を示唆する、小脳のプルキンエ細胞に影響する虚血性変化が明らかになった。
更に、血管の内皮細胞および平滑筋細胞の両方がMHC(主要組織適合抗原)IIを発現し、T細胞動員を促進することによって、本質的にコンピテントな抗原提示細胞として作用する[36、67、68]ことが実証された。この点については、CNS(中枢神経系)を通過するリンパ球の輸送は通常制限されており、リンパ球の脳内皮への固着は大変すくない (他の臓器では15%-20%に比して、5%以下である) ことに留意することが重要である[39]。更に、脳血管の内皮細胞は、MHCクラスIおよびII分子 (T リンパ球への抗原提示に極めて重要)を発現可能であるが、全身の脈管構造の内皮と比べて起こる回数は少ない [39]。
このように、ここで記述する脳組織標本におけるHPV-16L1、Ig-複合体、CD3+ T細胞、 MHC II、 C5b-9 およびC1q 血管染色の顕著で一貫したパターン (図 3~図6)は、これら2つのHPV ワクチン接種後の死亡症例の可能な説明として、異常な活動亢進性免疫応答により引き起こされた血管炎性の神経障害を強く示唆している。具体的には、6つのすべてのマーカーが、脳血管の壁に固着している多数の免疫細胞を顕著に染色した (図1~図6)。更に、C1q およびHPV-16L1 が、血管の 内皮および平滑筋細胞層を顕著に染色した (図 3と図4)。これらの知見をまとめると、免疫複合体および交差反応性 HPV-16L1 抗体 (血管壁への結合)の両方が、血管の損傷を引き起こすことに関わったことが示唆される。
血管周囲の沈着物における膜侵襲複合体 (MAC) 成分C5b-9 への密度の高い顕著な免疫反応性(図 5) は、古典的な抗体依存性補体経路の異常な活性化によりもたらされた血管障害へ実証的な証拠を更に提供している。膜侵襲複合体(MAC)の形成は、古典経路の最終ステップであり、その活性は、標的細胞の溶解性の破壊をもたらす[64、69]。免疫血管障害では、C5b-9/MAC活性は、血管周囲組織および血管壁内細胞の両方の破壊と関連している [37、39]。膜侵襲複合体MACは通常、ワクチン接種などの免疫トリガーにより活性される [70、71]。異質な感染病原体 (すなわち、ウィルスや細菌) の侵入による有効な脳感染なしに、脳で膜侵襲複合体MACが活性化することは、免疫攻撃が自己組織に向かっている、免疫応答の異常な誘発を示しいる。 従って、検死検査により致命的な事象を説明する他の微生物学的な侵襲の証拠が見つからない場合、ケース1およびケース2の脳組織標本における膜侵襲複合体MAC のそのような活性化は、qHPV ワクチンを受けたことによる可能性が高いと説明できるであろう。
更に、顕著な膜侵襲複合体(MAC)免疫反応性は、小脳のプルキンエ細胞および海馬をはじめとする脳の様々な領域のニューロンにおいても検出された。これらの結果は、他の論文でより詳細に発表、議論する予定である。 更に、両ケースの脳組織標本において、血管壁および血管周囲の細胞外マトリックス (ECM) でのマトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP-9)の強度の免疫染色を検出した。血管壁 のMMP-9免疫染色パターンは、 HPV-16L1 およびC1qのものとよく一致した (図 3および図4)。この知見は、qHPV ワクチン接種後の両ケースでの致命的事象の根底にある原因として免疫誘引血管障害を我々が示唆することを再び支持するものである。実際に、MMP-9は、血管炎における炎症性浸潤および血管および細胞外マトリックスの破壊の進行に関わる重要なタンパク分解性酵素の一つである[41-43]。MMP-9 発現の増加は、全身エリテマトーデスにおける虚血性神経障害[41]、自己免疫脱髄性症候群、虚血および脳卒中 [72、73] などの、神経免疫性血管障害および様々な重度の炎症性神経系病態と強く関連している。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)は、また片頭痛などの神経障害性疼痛症候群でも顕著に上昇する [74、75]。これに関しては、頭痛は、HPV ワクチン接種後の最も頻繁に報告された症状の一つであり (表 4) 、根底にある未診断あるは誤診された脳血管炎のためでありえることを特記しておく。
更に、MMP-2およびMMP-9 が、実験的細菌性髄膜炎[76] および中枢神経および末梢神経系の他の神経炎症モデル[77、78]において、血液脳関門破壊を誘発し、白血球血管外漏出を促進することが示されている。特に、細菌性髄膜炎において、血液脳関門の急性破壊、炎症促進性サイトカインの髄腔内産生、および脳脊椎液中の血液由来白血球の蓄積が、脳浮腫、脳血管炎、および最終的な永久的な神経細胞損傷を引き起こす。病原性微生物それ自体よりも、宿主の過敏性免疫応答が、神経細胞損傷の原因であり、永久的な神経学的後遺症をもたらしていると考えられている [43、79]。この点に関して、(免疫アジュバントの作用のために)免疫応答を過刺激するように設計されたワクチンが、中枢神経系に影響をあたえる重篤自己免疫疾患の固有のリスクを備えているようにみえる事実をもう一度強調することが重要である [17、80-82]。ワクチン接種後に誘発された自己免疫現象の網羅的な研究に基づいて、コーヘン、カルバルホ、およびショエンフェルトは、「ワクチンが、神経系に影響を与えやすいように考えられる」と結論した [1、83]。
我々の研究の明らかな限界は、試験した組織が二人の個人のもので、それに対する対照サンプルがなかったことである。このために、免疫反応性の定量的測定をすることができなかった。将来、我々は、明らかにワクチン接種に無関係な原因で死亡した年齢が同じ個人からの対照脳組織と、HPV ワクチン接種後の突然の原因不明な死亡の他の症例の脳組織を試験して、我々の知見を更に裏付けることを意図している。にもかかわらず、今回の二つのケースの脳組織標本における、すべての免疫組織学的マーカーにたいする免疫染色パターンでの顕著な類似 (すなわち、図1~図4を比較)、およびそれらの症状と、HPV ワクチン接種後の血管障害に関するVAERS 報告に記述された症状 (それらのいくつかは医学的に確認されたケースであった; 表2および表3)の類似は、今回の我々の結論を強く支持するものである。
結論
すべての医薬製品(ワクチンも含めて)は、いくらかの有害作用のリスクを持っている。しかしながら、ほとんどの医薬製品と違って、ワクチンは通常健康な個人に投与されるものであり、このため、FDAによれば、ワクチンの安全性が特に強調されるべきものとなっている[84]。従って、ワクチンの本当のリスクを正しく理解することは、不必要な薬害有害反応を避けるために大切なことである[19]。この点に関して、有害事象がワクチン接種と因果関係があるかどうかを決定するための確かなテストや基準が確立していない事実[6、16]は、懸念すべきことである。
近年、ワクチンが、自己免疫病因の重度の神経学的症状を引き起こす因子かもしれないことが、次第に明確になってきている[1-13]。自己免疫現象のいくつかは、組換えワクチン(すなわちHPVワクチンやB型肝炎ワクチン)や弱毒化した生きたウィルス(すなわち、新三種混合ワクチン)の抗原が宿主抗原に似ているため自己免疫を引き起こす、分子擬態により説明できるであろう[5、6、83]。構造が類似していることにより、抗体や自己反応性T細胞が、侵入する病原体を破壊するだけでなく、宿主組織も攻撃する。今回の研究のデータは、ワクチン誘発自己免疫疾患の分子擬態仮説を実証するだけでなく、おそらくワクチン由来HPV-16L1抗体が血液脳関門および脈絡叢を越えて通過することが出発点となっている経路の提案にまで及んでいる。いったん、中枢神経系で、これらの抗体の一部が分子擬態により血管内皮細胞および/または平滑筋細胞などの神経細胞の宿主抗原に結合する。これがさらに古典的な抗体依存性補体経路の活性化(C1qおよびMAC)を引き起こし、その結果、血管の完全性の破壊、出血、および虚血性組織傷害が起こる。結果として生じた血液脳関門の崩壊は、更に免疫細胞やワクチン由来免疫複合体の脳への非差別的な通過を可能とし、HPVワクチン誘発神経破壊性自己免疫プロセスを永続化する。HPV-16L1ウィルス様粒子(VLP)は、中枢神経系に侵入して(おそらくマクロファージ依存性トロイの木馬機構により)、脳血管壁に沈着することで異常な免疫プロセスに貢献しているようである。
脳血管炎は、診断されずに放置されると通常致死的な結果を招く重篤な疾患である[37]。HPVワクチン接種後VAERSに報告された症状の多く(すなわち、重度の持続性片頭痛、失神、てんかん発作、振戦おおびピリピリ感、筋肉痛、歩行運動異常、精神病性症状および認知欠陥;表4)は、脳血管炎を示しているが、そうであると認識されない事実は、今回の知見に鑑みて、大変懸念されることである。特に、HPV-16L1抗体が脳血管壁免疫反応性への陽性であり、HPV-18L1抗体が陽性ではなかった(図1)事実は、HPV-16L1ウィルス様粒子を含むHPVワクチン(ガーダシルやサーバリックス)が本来致死の可能性のある自己免疫血管障害を引き起こすリスクを課すものであり、従って一部の個人にとっては本来安全ではないことを示唆している。厳密にどの個人がHPVワクチン接種後の重篤薬害有害反応を発症しやすいかは、現在未知である。HPVワクチン接種が実際に子宮頸がん症例を予防することができるのかどうかも未知である。なぜなら、現行の楽観的な代替マーカーによる推定は、確証されておらず、主に既存のデータの重大な誤解釈を元になされたようであるからである[25、85]。HPVワクチン接種プログラムは世界的に拡大しているので、依然未知のワクチン利益に対して、多くの女性の長期健康がリスクにさらされているかもしれない。結論として、HPVや他のワクチン接種後に起こる突然の不測の死亡ケースはすべて、この報告に示した方法に従って、常に網羅的な免疫組織化学的検査を行うべきである。
表2
認可後の期間 (2006年6月から2012年9月)におけるHPV ワクチンであるガーダシルおよびサーバリックス (表3参照)の接種後に米国VAERSに報告された脳血管炎関連症状と今回報告するケース1およびケース2にみられた症状との類似性
HPV ワクチン接種後VAERSに報告された脳血管炎関連症状
神経学的なもの
偏頭痛、頭痛
脱力、協調の喪失
歩行不能
言語不能、記憶喪失
精神病性症状 (不安、短気、精神錯乱)
てんかん発作、振戦、ピリピリ感
失神(意識消失)、めまい
全身性のもの
疲労および吐き気
心臓不整脈
病理組織学的なもの
アストロサイト増多症
血管性病変部および血管炎症 Igレベル増
著者コメント
Lucija Tomljenovicさんのコメント
英文へのリンク
(注:Sanevax.orgのサイトで、ガーダシルで亡くなった人の脳組織からHPVの断片を見つけた実験を報告するページで、著者自らのコメントです)
私が一番心配していることは、親や子どもたちがHPVワクチンの本当の利得と正当なリスクに関して真実を教えられていないということ、そして、医療管轄官庁がワクチンに関する政策や推奨を決定する根拠としてワクチン製造者により提供された情報だけに頼っているということです。
このような行政は、特に、薬品会社は治験計画とそのデータ解析を操作して彼らの薬がより効果的で安全なものにみえるように報告しているかもしれないと何度も警告している独立した研究者の立場からは、控えめに言っても懸念されるものです。HPV ワクチンのガーダシルとサーバリックスの治験の結果報告をみれば、この点がよくわかるとおもいます。
簡単にいえば、例えば、私たちが知っていることと、HPVワクチンの効果としていわれていることを並べてみることです:
私たちは(まだ)ワクチンが子宮頸がんを予防したかどうかを知らない。予防するかもしれないけれど、そいういった事実は実証されていない。これは、この病気が最初に感染されてから発症するまで数年から数十年かかるからです、発症するとしたらの話しですが。初期の治験が行われた時期を考えてみると、これらの治験の被験者であった女性はほとんどすべて子宮頸がんが発症する年齢に達していません。私たちが知っていることは、HPV感染と関連のある前癌性の病変部のいくつかをワクチンが予防するかもしれないけれど、前癌性の病変部の大部分はワクチン接種の如何に関わらず自然に解消するということです。この病変部は、ワクチン効果の「代理マーカー」と考えられており、実際に子宮頸がんを予防したと主張することを正当化するものではありません。これに関して、Gerhardus 博士とRazum博士は最近以下のように記述しています。
「新しい [HPV] ワクチンに対する不当な自信が、実際にワクチンの有効性を評価する必要がないかのような印象を与えた」 (J Epidemiol Community Health。2010; vol 64, no 5)。
にもかかわらず、メルク社のウェブサイトには、以下の記載があります。
「ガーダシルは子宮頸がんを予防することを助けるだけでなく、他のHPVの病気に対しても予防します」
同様に、米国CDC およびFDA は、以下のように主張しています。
「このワクチン(ガーダシル)は、何百万人もの女性の健康に貢献する可能性のある子宮頸がん予防の重要な道具です」
「私たちが現在得たすべての情報に基づいて、CDCは、ほとんどのタイプの子宮頸がんの予防のためにHPV ワクチン接種を推奨します」
米国小児学会は (AAP) はガーダシルのことをこう記しています。
「少女たちを子宮頸がんから守る、命を救うワクチン」
これらの4つの言い分のすべては、明らかにまちがっています。なぜなら、ガーダシルが実際にいくつかのタイプの子宮頸がんに対してよぼうできることをほのめかしているからです。
また、3年間の追跡の治験の結果は、HPV-16/18関連CIN 2/3+ 病変部に対するワクチンの有効性が97%を超えたので、ガーダシルの潜在的な予防力に対して大きな自信を持たせるようなものでしたが、すべてのHPV型によるCIN 2/3+ の数字は、40%には遠く及ばないものであったという事実を考えてみてください。この情報は、ワクチンの長期予防効果を評価する時はとても重要なものですが、しばしば見過ごされています。実際、このワクチンによりカバーされていないタイプのHPVによる感染や、これらのHPVタイプを含む複数のタイプによる感染の可能性があるので、ガーダシルワクチンの本当の予防効果、臨床的な利得をもたらすであろう効果(すなわち、子宮頸がんの苦しみを世界的に減少する効果)を評価する時には、すべての関連する(ハイリスク)HPV型によるCIN 2/3+に対してのワクチン効果を分析を考慮しなくては意味がありません。すべてを考慮した場合、治験結果では、HPV ワクチン効果は、16.9%と70%の間になります。パップテストによるスクリーニングプログラムが先進国での子宮頸がん死亡率を70%減少させたという明白な成功例を考えれば、パップスクリーニングが達成した以上に、ガーダシルの接種が世界の子宮頸がんをさらに劇的に減少させるとことはおそらくないでしょう。
より詳細なデータは以下を参照してください 。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=gerhardus%2Csurrogate
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23061593
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23016780
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22813421
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22188159
世界有数の保健管轄機関による(HPV ワクチンが子宮頸がんの70%を予防するという)楽観的な主張は、推定によるものなのに、それが実際の証拠として誤解されて親に提供されているのです。
親がしばしば耳にするもひとつの間違った主張は、HPV ワクチンの安全性が極めて優秀であるというものであるが、これは安全性試験がそう見せかけるように計画して行ったことによるものである。この主張は、世界中のワクチン安全性監視データベースに累積した証拠や、HPVを重篤有害事象に結びつける症例報告(死亡や障害が残ったものも含まれている)が示す安全性とは矛盾するものである。例えば、他のすべてのワクチンと比べたとき、30歳未満の女性におきた重篤有害反応の報告の60%以上がメルク社のHPV ワクチンであるガーダシルに関するものである(すべての死亡の63.8%、障害が残ったものの81.2%)。この年齢群の女性が子宮頸がんにより死亡するリスクはほぼゼロである一方、今までに1症例の子宮頸がんも予防していないをワクチンのために死亡あるいは障害が残るかもしれないというリスクに曝されているのである。
自己申告のワクチン安全性監視システムへの報告だけで、ワクチンが有害反応の原因であったことを証明するものではないが、世界中で報告されたHPV ワクチンの有害反応の異様に高い頻度と、そのパターンが一致していることは (すなわち、神経系関連の疾患が頻度で最も高いこと)、因果関係の可能性を示している。さらに、データワクチン監視データベースと一致して、HPV ワクチン投与との関連で同様の重篤有害反応を記録した症例報告の数が急増しており、そこでも神経系疾患が最も数多く報告されている。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20869467
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20388462
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20211914
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=CNS%20demyelination%20and%20quadrivalent%20HPV%20vaccination
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23061593
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23016780
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22813421
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22188159
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22540172
要約すると、ワクチンは宣伝されているほどの作用がないかもしれないし、主張されているほど安全ではないということです。
ワクチンのリスクを明確に評価することはとても重要なことです。ワクチンは、他の薬と違って、大勢の健康な個人に投与されるものであり、それが予防する病気も、個人が将来決して暴露されないかもしれないものであることも多いのです。このため、米国FDAによれば、「ワクチンに関連する、つまりワクチンが引き起こす重要な有害事象の許容レベルは低くあるべきである。」
このように、上記の情報の視点から、子宮頸がんは定期的なパップスクリーニングとループ式電気外科円錐切除法で予防できることが明らかで、これらの方法は同じようなリスクがないのに、子宮頸がんへの効果がはっきりとしていないワクチンのために、思春期前の少女たちを死亡や生涯にわたる神経変性/自己免疫病状のリスクに曝すことが賢明なことであるかどうか、もう一度考え直す価値があるでしょう。
医療倫理は、ワクチン接種は患者の十分に説明を受けた上での同意があって行うことを要求しています。このためには、公知のあるいは予測できるワクチンの利得とリスクを客観的に開示することが必要です。HPVワクチンがよく親に宣伝されているやり方をみると、必ずしもそのような開示が利用できる最良の知識に基づいて行われているようではありません。
私は、娘さんがHPVワクチン接種の後に亡くなった何人かの母親と個人的に知り合いです。そのうちの1人が以下のように言っています。
「私の娘も私も他の何百人の人も、誤ったマーケティングと本当のリスクと利得を知らされないで騙されました。情報を得ること。調べてください、何も考えずに接種することは止めてください。」
また他の母親は、次のようにメールしました。
「私は、これほどまで宣伝されたワクチンを今までみたことがありません!!!テレビで、マガジンで、新聞の折込広告で。娘が死んだ後、郵便で子どもにワクチン接種するようにという宣伝を受け取りました。それは傷口に塩を塗るようなものでした。私はそれらにむかって叫びたかったです!!!!! それはすべてお金なのです!!!」
「私はCDCに組織のサンプルを送ったのでそれについて連絡をとりました。その情報を得るために何回も連絡してみても、決して返事はありませんでした!!!!!! 主席検死医が、XXの死亡の原因はわかりませんでしたが、ガーダシルであるとは思いませんと言いました。これは道理にかなったことでしょうか? 死因がわからないのにどうやってガーダシルではないとわかるのでしょうか。」
当然の懸念を調査することへの躊躇、それは、私が子どもがワクチンの後死亡したり重い障害になった親からのメールを受けて、毎週のように出くわすことです。彼らは、保健管轄機関がたいてい適切な調査なしに、ワクチンが害をなしたという可能性さえ否定するという事実にたいしてのフラストレーションを繰り返し述べています。
母親の1人は、60人の医療および研究の専門家に頼んでみましたが、すべてに断られました。明らかに、科学者が調査することを拒否していたら、答えは得られないでしょう。
ワクチンが重篤な有害反応を引き起こすのは稀であるという見方がどうやって広がったのか、容易に理解できます。
それは、上に述べたような可能性が簡単に否定され研究が行われないからです。
Lucija