接種当日、Dクリニックにて、組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(イラクサギンウワバ細胞由来)1回目接種。
接種621日後Dクリニックにて、組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(イラクサギンウワバ細胞由来)2回目接種。接種部位:左上腕
接種1年9ヶ月後頃より、下肢の筋力低下、全身倦怠(倦怠感)あり、A総合病院受診。
接種669日後、眠気、下肢疲労感発現。
接種1年10ヶ月後上旬、頭痛、不眠、嚥下困難感、眼痛、嘔気、脱力、めまい、食欲低下があり、学校は2時間程度しかいられず家で寝込んだ。この頃が体調不良のピーク。
接種674日後、甲状腺機能を採血し異常なし。
接種676日後、苓桂朮甘湯を内服し、2-3週間して良くなった。
接種1年10ヶ月後下旬までは体調不良。その後は徐々に改善し、歩行など良好。
接種691日後、うつ病疑いでBメンタルクリニック受診。
接種1年10ヶ月後下旬倦怠感、眠気、下肢倦怠感、頭痛、不眠、嚥下困難感、眼痛、嘔気、脱力、めまい、食欲低下は改善傾向。
接種726日後、Bメンタルクリニックにて、うつ病疑いはワクチンの副反応の可能性もありと言われる。
接種786日後、神経内科的疾患につき、DクリニックよりC総合病院へ紹介。ワクチン接種後の副作用としてギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎の疑いで、C総合病院へ入院。フルボキサミンマレイン酸塩25:就寝前0.5T、レボチロキシンナトリウム錠50:朝1Tを入院時処方。
接種787日後、退院。フルボキサミンマレイン酸塩25:就寝前0.5T、レボチロキシンナトリウム錠50:朝1Tを退院時処方。接種2年2ヶ月後、退院4週間後、膠原病については再診状態の改善を確認し、膠原病異常なし。
接種828日後、倦怠感、眠気、下肢倦怠感、頭痛、不眠、嚥下困難感、眼痛、嘔気、脱力、めまい、食欲低下の症状はなくなり、ほぼ治癒。うつ症状もなし。
<ギラン・バレー症候群に関する詳細情報>
[事象の詳細]本事象が最初に発現したときの様子を記載して下さい。:倦怠感
いずれかの症状、徴候(四肢の弛緩性脱力/麻痺(両側性あるいは片側性、対象性あるいは非対称性)、運動失調、眼筋麻痺、錯感覚、疼痛、自律神経症状、顔面脱力、不全失語症、構語障害)はありましたか?:下肢疲労感
患者は呼吸不全に陥りましたか?:いいえ
気管内挿管または機械的換気が必要となりましたか?:いいえ
その他の症状、兆候はありましたか?:嚥下困難
感身体的、神経学的検査の結果(バイタルサイン、罹患四肢の深部腱反射、運動機能、脳神経検査所見および感覚器検査所見):C総合病院受診時は症状(他覚的)なし
本事象の経過および転帰:接種1年10ヶ月後下旬より改善傾向があり、2年3ヶ月後にはほぼ治癒。
[診断検査]全血球数、分画および血小板数:WBC6100、血小板23.9(接種786日後)で正常電解質/肝酵素値:AST19、ALT19、ガンマGT14(接種786日後)で正常
脳脊髄液分析:蛋白39、細胞数10、好中球数1、リンパ球数9
抗ガングリオシド抗体:なし
カンピロバクター、ジェジュニー検査:なし
その他の検査結果:なし
中枢神経の画像検査:頭部MRI、頚髄MRI(接種786日後)異常なし
神経伝道検査または誘発電位検査:なし
[既往歴]悪性疾患:いいえ
妊娠または分娩:いいえ
最近受けた手術:いいえ
脊髄外傷:いいえ
最近感染をきたしたことがありますか?:いいえ
関連のあるその他の病歴/リスク因子はありますか?:いいえ
○A委員髄液に異常がなく、臨床症状(筋力低下)がなく、GBSとは診断できない。ADEMは中枢神経症状がなく、脳MRIも異常なく否定できる。GBS,ADEMとも診断できず、ワクチンとの関係は否定的である。
○B委員神経内科専門医が診察した時点では、組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(イラクサギンウワバ細胞由来)による副反応が否定できないと思われる免疫介在性の神経障害と思われる症状は改善しており、各種症状やうつ症状が中心だった。甲状腺低下症の薬と抗うつ薬の両者の投与で症状はぼぼ改善した。脳脊髄液はほぼ正常であり、退院時点ではうつの薬を投与しているものの、免疫介在性神経障害と思われる症状はほとんど消失している。接種1年10ヶ月後以前の運動機能障害が免疫介在性の末梢神経神経障害、または中枢神経障害であった可能性は完全に否定はできない。甲状腺機能低下症が原発性であることは断定できず、組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(イラクサギンウワバ細胞由来)による免疫介在性であることは否定できない。
○C委員メンタルクリニックの精神科的所見にもよるが、接種時期と発症時期の時間的関係からはワクチン接種との因果関係はやはり否定できない。接種の痛み刺激等によるトラウマからくる心因反応等やこれらをきっかけにした精神疾患の発症、発生機序が不明な未知の病態(ワクチンの免疫原性、接種部位の組織障害が関係するのか?)の出現等も可能性はある。ただし、末梢神経伝導速度は今回の追加情報でもなされていないようで、画像所見も異常がない、一泊二日の入院で入院後も処方内容も変わっていないところからみると、まだギランバレーやADEMは考えにくいと言わざるを得ない。神経内科医の「ギランバレー」という診断のプロセスはどのようであったのか?また甲状腺機能異常なしでレボチロキシンナトリウムを処方している、膠原病という診断(再診状態の改善を確認とのこと)が突然でてきており、これらについてもよく理解できない。膠原病の疑いはないということか