日々乃家日誌 まにまに・てい子の日々の発見

母まにまにが娘てい子と始めた、日々の発見を綴るブログです。

キル・ボクスンと温室(感想文)

2023年08月02日 | 感想文/創作物
ボクスンはAランクの殺し屋。

それを隠してティーンエイジャーを育てる母でもある。


母娘の暮らすゴージャスなマンションの中央には、彼女の趣味の温室がある。


ボクスンはそこで鉢の手入れをしたり、難しい年頃の娘と会話を試みたりする。


マンションは実は実在する場所ではなく「ボクスンと娘が暮らす」心象風景だから、決して外の景色は映し出されない。


太陽の光は射さず、どの季節の風も吹き込んでこない。


その平和を彼女は文字通り命がけで守っている。


彼女を愛した者からの最後の贈り物は、その温室を壊す凶器だったけれど、意図はどうあれ必要な一突きだった。


彼女のような者の娘が、ただ守られる花であるものか。


その先の物語がどうなっていったのかは知らないけれど、二人を隔てる壁が壊れた隙間からは風と光が(たまに嵐も)通り抜けているはずだと思っている。





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