好かない、の根本にうまっているものはない
私の知るどんな私より
あなたの知るどんな私より
大元に近い
好きじゃない、よりも
好き、よりも
素肌の
たんなる
好かない、だから
好かない、の根本にうまっているものはない
私の知るどんな私より
あなたの知るどんな私より
大元に近い
好きじゃない、よりも
好き、よりも
素肌の
たんなる
好かない、だから
そういえばこの全てを、ネジの一個に至るまでの総額を計算したという人に会ったことがある。
まるごと一個分の空港のお値段。
なんて面白いんだろう。
材質や工法、立方メートル×時間×人
その人の目に映る空港はどんなだろう。
ある時パーキングエリアで美味しいお菓子を買ってくれたので、私の中ではその人はとてもいい人。
成田で始まった2週間が羽田で終わった。
こんにちは、ウェルカム、バイバイ、グッドラック。
元気でね、一生懸命勉強して人類に貢献してね。
私たちの一部であるあなたたちという形の何かが私の前を通って、また散らばっていく。
来し方もいく末も見えないけれど、今だけ出会ってお互いを寿ぐ。
ただそれだけをそれとしてそのままそうあろう。
ぜんぶそのまま何も損なわないように。
私とこどもが前を通った時に、初老の男が何か「なんで〜んだ!」という風に怒鳴りつけた。前を横切ったのが気に食わなかったのだろう。
すいません、と返して素早く離れたけれど今日は怒鳴られたのがこどもだったこともあり、珍しく私はそいつを許していなかった。
直接会う人間に対して怒るということを私は普段ほとんどしない。
娘は私を過激だと言うけど。
(たしかに、私の中の人ならざるエリアに倫理や常識は存在しない)
それでも戦闘的ではない理由のひとつは、大概の場合、怒ることも戦うことも私の手間とエネルギーに値しないから。
この部屋より建物より大きい羽が私の背中から広がり、その気になれば飛ぶこともなく誰でも吹き飛ばせる、ように感じている。
例えば、ね。
あんまり負ける気がしない。
多分できる。
でもしない。
あ、だからしない、か。
その上例え私が弱くても私が負けても、気にしない。どうということもない。
あ、だから負けないのか。
怒鳴った男とは他生の縁があったのかもしれないが、なんの怒りも恨みも繋ぎたくない。
ぶつかりそうな相手のボートを強く蹴るように、彼を彼の流れに押し戻しておさらばする。
いや、違うか。
動くのはいつだって自分。
あの全てが叶わない場所に向かうものだったとは
だからあんなに大変だったのか
なんて強い思い込みだったんだろう
がんばってがんばって動かすんじゃなく
背中をふりかえればよかっただけ
でもねえ
ふりかえるのに入り用な回り道もある