日々乃家日誌 まにまに・てい子の日々の発見

母まにまにが娘てい子と始めた、日々の発見を綴るブログです。

中邑賢龍さん

2019年07月30日 | ホームスクール・ホームエデュケーション・不登校
不登校の子ども対象の異才発掘プロジェクトROCKETを率いる東大の中邑賢龍(なかむらけんりゅう)さんの話を聞く機会があった。

質疑応答で新入社員研修についてのアドバイスを求められた中邑先生は、あろうことか履歴書を部屋中にばらまいてここからこっちって採用したらいんじゃないですかね、と言った。
おんなじような人ばかり固まると発言もしにくくなるしと。

私なりに中邑先生の話を理解すると、今の日本社会と教育に足りないのは両方の意味での遊び。

そして中邑先生から伝わってきたのは、子どもたちも未来も自分のこととして引き受ける覚悟。

「昨日は珍しく朝まで電話もなかったな、明け方4時に死にたいんですけどってかかってきたりするんだけど」

「みんな仲良く元気よくじゃなくて、暗く一人でおとなしくじゃだめですかね。
元々みんな違うのに」

「僕たち変態少年を守りたい育てたい」

「学校で友達がいない?あきらめろ、お前はこんな狭いところで生きる人間じゃない。全国区、グローバルに生きる人間だ」

「世話になったら頭を下げろ」

「大人のすごさを見せつけてやる」

東大のROCKETっていうからどんなものかと思っていたら。
そうか。
私たちホームエデュケーションの仲間と同じように全部の前提をとっぱらい体を張って子どもを育てる、いわば同志みたいな人なんだな。

勝手にそんなこと言われても困るかもしれないけど。

中邑先生、お互いがんばりましょう。

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羽衣に金糸

2019年07月29日 | 日記
ずっと着ている大好きな薄い羽織りものを、美術館のドアノブに引っかけて裂いてしまった。

いつか夏の海で海月に刺された時みたい、もう少しで無くなってしまう美術館と私が確かに出会った証みたいで、残念ではなかったけれど。

そのままってわけにもいかないし。

ガーゼより薄いくらいの生地だから普通には直せない。
目立たないようにするんじゃなくて、蜘蛛の糸みたいな細い細い金の糸で、金継ぎみたいに縫ってみたいと思った。

ある日思った通りの糸を見つけた。

人から見たら不恰好かもしれないけど。

おばあさんになるまで着ようかな。







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東京駅でスイカジュース

2019年07月28日 | 死について
東京駅が大好きなんだけれど、いつも賑わう構内を歩いていると母にと買い求めたものの記憶がよみがえる。
最後に入院していた病院に行くために乗り換えたのが東京駅だから。
 
難病で少しずつ話せなくなって、咀嚼することも難しくなっていって、母は大好きなビールも塩を振ったスイカも口にできなくなった。
 
きっと頷く人も多いと思うんだけど「普通」とされる能力を失っていく家族のために、なんとかならないかと目を皿のようにして探す時期があった。
 
羽のように軽いスプーン。
筆談機として活躍したDS。
携帯用の小さなすり鉢。
 
だから東京駅のジューススタンドでスイカジュースを見つけた時も心が踊った。
 
その時はまだ歩いていて口からものを飲み込めた母は、スイカジュースを飲んでは何度も手でOKサインを出した。
美味しい、と。
 
いろんなものを失っていく下り坂のような道のりを、今振り返ってみると、それもみんな贈り物のような時間だった。
 
あー、でもあのスイカジュース。
塩をふってあげたらよかったな。
 
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花火から逃げる

2019年07月27日 | 日記
久しぶりに出かけていった先は浴衣を着た人でいっぱいの隅田川近くだったから、花火が終わって電車が混む前にとっとと帰らなきゃと思っていた。

だけど「何があったの?」と聞かれて会場の真ん中で抱きしめられたから、しばらくそこを動けなかった。

(なんでわかるんだ、さすが天女)

さあ帰ろう!どっちの駅が正解か?!
別の友だちと蒸し蒸しした夜を駆け抜ける。

ビルの合間に遠くフィナーレのカケラ。

痛くてつらくて、でも綺麗なものもあって、すごく生きている。

子どもたち

こんな風に人生に出ておいで。


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長電話

2019年07月25日 | 日記
出張中の部屋で荷物の整理や仕事をしながら娘とFaceTimeで話していた。

「もう切ろうか」

「もうちょっと」

通りかかった猫を見せてくれたりしながら、娘は今日あったことや夢の話をしてくれた。いろんなことをきちんと感じて生きているから、ていこの話はいつも面白い。そのうちお互い別なことをしてしばらく静かになって、また話し始めたり。

遠くから聞こえてくる独り言みたいなおしゃべりを音楽みたいに聞いていたら、実家の寝室で耳を熱くした昔を思い出した。

話す中身も関係なくはないんだけど、それより、うんうんと調子を合わせる感じ、この時を一緒に過ごしてる感じ、黙っていても大丈夫な感じ。

そうだった、長電話ってそんなだったね。










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